ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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気付けばガチャガチャで引いたウルトラカプセルやフルボトルの数がとんでもない事になっていました。

今月末アルティメットルミナスもあるっつーのに・・・・・・。


二十一話 自分を貫く力

 

 

『ああぁぁぁぁぁぁぁ‼』

 

『・・・・・・ルナミラクルに続き、ストロングコロナまで復活してしまいましたか・・・・・・』

 

 ゼロを目の敵にする五人。

 その中の一人が、顎に手を当てながら唸った。

 

『送り出す輩がヘマを踏んでばかりなのだ。さっさとその場で始末すればいいものを』

 

『確かにそうすればいいのでしょうが、リトルスターを人為的に分離する方法が見つかれば我々にも好都合です。その実験台は多く確保しておきたいのでね』

 

『ああぁぁぁぁぁぁぁ‼』

 

『今のとこ仙道陸と関わりのある人間しか発現してないしな。ホントどうなってんだよ』

 

『ゥゥゥゥゥゥ・・・』

 

『ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼』

 

『あぁ! うっせーよジャタール! ちょっと落ち着け‼』

 

 発狂する者、それに怒号を浴びせる者。非常に騒々しい。

 

『うるさい! これが慌てずにいられるか! これ以上ゼロの能力が蘇ったら・・・・・・』

 

 かつて自分を宇宙の塵にしたストロングコロナゼロを見て落ち着きを失っていた。

 

『ジャタールの言う通りです。これ以上ゼロにリトルスターを受け渡す訳にはいきませんね。昨日新たなリトルスターの発現が確認されましたが・・・・・・、光が小さすぎて個人の特定までに至っていません。それで誰かを調査に向かわせたいのですが・・・・・・』

 

『・・・・・・その仕事、私に任せて頂けませんか?』

 

 そう提案したのは、頭から珍妙な突起物の生えた一つ目の宇宙人だった。

 

『ついでに、ウルトラマンゼロも倒してくるというおまけ付きで・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。

善子の家のマンションのゴミ捨て場。

 堕天使グッズの全てをダンボールに入れた善子が、物憂げな顔でそこにいた。

 

「これで・・・、よし」

 

 堕天使は卒業すると決めた。今日からは普通の高校生に戻る。

 やはりまだ堕天使でいたいと思う気持ちが腕を止めるが、心残りはない。そう自分に言い聞かせてダンボールをゴミ捨て場に置いた。

 

「堕天使ヨハネちゃん!」

 

 ダンボールを置き、ゴミ捨て場から出てきた善子に声が掛かった。

 見ればそこには、堕天使ゴスロリを着たAqours五人の姿が。

 

「「「「「スクールアイドルに入りませんか?」」」」」

 

「・・・はぁ・・・?」

 

「ううん! 入ってください! Aqoursに! 堕天使ヨハネとして!」

 

 善子は五人が何でこんな事を言うのか理解できなかった。

 昨日は自分のせいで、ダイヤに怒られたというのに。

 

「何言ってるの? 昨日話したでしょ? ・・・もう」

 

「いいんだよ! 堕天使で! 自分か好きならそれでいいんだよ!」

 

 後退する善子に、千歌が言い募って訴える。

 

「・・・・・・だめよ」

 

 そう言って逃げ出す善子を、全員で追いかける。

 

「あっ! 待って!」

 

「生徒会長にも怒られたでしょ~~~!」

 

「うん! それは私達が悪かったんだよ! 善子ちゃんはいいんだよ! そのまんまで!」

 

「どういう意味―!?」

 

 言い合いをしながら街中で追いかけっこをする善子とAqours。

 あちらに曲がりこちらに曲がり、それでも五人は善子についてくる。

 

「しつこ―――――――いっ‼」

 

「私ね! μ‘sがどうして伝説を作れたのか! どうしてスクールアイドルがそこまで繋がってきたのか! 考えてみて分かったんだ!」

 

「もういい加減にして―‼」

 

 長い事街中を駆け回り、遂に善子はその足を止めた。

 その背後でAqours五人も息を切らし、肩を大きく上下させている。

 

「ステージ上で、自分の好きを迷わず見せる事なんだよ!」

 

 なおも善子を説得しようとする千歌を、善子は立ち止まって見つめた。

 

「お客さんにどう思われるとか、人気がどうとかじゃない! 自分が一番好きな姿を、輝いてる姿を見せる事なんだよ! だから善子ちゃんは捨てちゃだめなんだよ! 自分が堕天使を好きな限り‼」

 

 千歌はそこまで言うと、屈託のない笑みを浮かべた。後ろにいる四人も、同じように笑っている。

 

「・・・いいの? 変なこと言うわよ」

 

「いいよ」

 

「時々、儀式とかするかも!」

 

「それくらい我慢するわ」

 

「リトルデーモンになれって言うかも‼」

 

「それは・・・・・・、でも、嫌だったら嫌だって言う!」

 

「ッ・・・・・・」

 

 千歌はそう言うと、昨日善子が風に飛ばした黒い羽根を差し出した。

 これを手に取れば了承。そう言う事なのだろう。

 それを見た善子の胸に、ちょっとした期待が生まれた。

 ここなら、自分は自分のままいられる。ヨハネのままの自分を受け入れてくれる仲間がいる。

 自分の求めたリア充生活は、ここにあるのかもしれない。そう思わせてくれる。

 ・・・・・・だったら、答えは決まっているだろう。

 

「・・・・・・」

 

 善子は無言でその手に触れる。

 だから自分に素直でいよう。

 自分を理解、とまではいかずとも、受け入れてくれる仲間がいるなら。

 善子がそう思った時だった。

 

「熱っ!?」

 

「・・・っ‥‥?」

 

 善子の胸が紫色に発光を始めたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・これって・・・」

 

 前に同じようなものを見たことのある千歌達五人が眉を寄せる。

 昨日の陸の予想通り、善子のリトルスターは堕天使でいたいと思う気持ちの現れ。

 それが仲間に受け入れられた今、それが強く発現したのだ。

 だがそれがリトルスターだという事に気付く者はいない。

 近くで六人のやり取りを見ていた、ただ一人を除いては。

 

『・・・・・・・・・見つけたぞ。リトルスター保持者』

 

 声と共に放たれたビームが、善子と千歌の足元で跳弾する。

 

「わぁっ!?」

 

「ピギィッ!」

 

「・・・・・・誰よアンタ‥」

 

 善子が警戒心を露わに、目の前にいる黒いマントを羽織った人物に問いかける。

 その人物が顔を覆っていたマスクを外すと。

 

「っ・・・・・・」

 

 頭から珍妙な突起物を生やし、目は一つしかない。全身が黒く武骨な腕には、鋭い爪を光らせていた。

 少なくとも、この星の住人でない事は確かだ。

 

「何よアンタ・・・。何する気!?」

 

 善子がその宇宙人―――ゼットン星人を睨みつけると同時に、善子の胸の光が強くなり、善子の腕に四色に光る光の剣が生成される。

 

『ッ! させるか!』

 

 ゼットン星人を黒い霧の様な物が包み、ゼットン星人自身も霧へと変貌していく。

 

「はっ・・・‥が・・・・・・」

 

 善子が体をびくりと震わせ、黒い霧が善子を包み込んでいった。

 

『くっ・・・、はっはっはっ・・・』

 

 やがて光剣は消えて霧が晴れ、善子の身体を支配したゼットン星人が愉快そうに笑った。善子の身体なのに、善子の声をしていない。そんな善子に異様なものを感じ取った五人が怯えた視線を向ける。

 

『これならばゼロも手が出せまい・・・・・・。何より・・・』

 

 恍惚とした表情で、ゼットン星人は光る胸の光を見つめていた。

 

「善子ちゃん⁉」

 

 花丸が善子の名を呼んだ刹那、

 

『はあっ!』

 

「ずらっ!?」

 

 ゼットン星人が光剣を振るうと、三日月形の炎が花丸の顔の横を駆け抜けていった。

 

『これがリトルスターの力か・・・・・・、素晴らしい・・・』

 

 ゼットン星人は善子の顔で歪んだ笑みを浮かべ、愉快そうにAqours五人を見る。

 剣呑に光るその目は、次はどいつを攻撃しようかと言っているようだった。

 

『もう少し貴様らでこの力を試したかったところだが・・・・・・、そろそろゼロを呼ばねばなるまい』

 

 そう言って指を鳴らした瞬間、立っていられないほどの地響きが発生した。

 人々がよろめき、不安の声を上げる中、固いアスファルトで舗装された道路に亀裂が走る。

 

『ゼェッ・・・トォン・・・』

 

 そんな機械染みた鳴き声の後、大地を裂いて黒い怪獣が現れた。

 黒と白のカラーリング、どことなくカミキリムシを彷彿とさせる全身。

 目、鼻、口のない無機質な顔面。橙色に光る胸。

 そんな生物らしさを感じさせないその怪獣は、突如火球を放って市街地を蹂躙し始めた。

 

「善子ちゃん!」

 

『来るな!』

 

 近づく千歌にゼットン星人は光剣を向けた。すると今度は突風が発生して千歌を吹き飛ばしてしまう。

 

『悪いがこの娘は人質に使わせてもらう。なに、事が済んだら返すさ。いつになるか、そして生きているかは保証はせんがな』

 

 再び身体を黒い霧に変えたゼットン星人が怪獣の中に入って行く。

 

『ゼェッ・・・トォン・・・・・・』

 

『ふふ・・・、ゼロ。早く出て来い・・・。さもなくば!』

 

 次の瞬間、怪獣は千歌達の方を振り向き、灼熱の火球を千歌達に向けて放った。

 

「ひっ・・・!」

 

 迫る火球に戦慄する少女達を眺めながら、ゼットン星人はある事を確信付いていた。

 

『さあ来いゼロ。光の国の戦士ならば、ここで現れるはずだろう・・・・・・』

 

 そしてゼットン星人の目論見通り、

 

『デェェェヤァァァァ‼』

 

 火球を薙ぎ払い、少女達の盾になる様に青い巨人―――ウルトラマンゼロが現れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼロさん!」

 

 火球から自分達を守ったゼロを見て、ルビィが喜びの声を上げる。

 

『へへっ・・・、待たせちまったなぁ・・・』

 

 ゼロはルビィに向けてお決まりのポーズを取った後、火球を放った怪獣と向き合った。

 

『ゼットンか・・・・・・。朝っぱらからやり合うような相手じゃねーぞ・・・・・・』

 

「・・・・・・あいつ等も朝っぱらからなんつー格好してんだよ」

 

 陸の視線の先には、昨日の堕天使ゴスロリを纏ったAqours五人。朝練で早起きしていたとしても、あの格好に着替える必要があっただろうか。

 

『おい陸。今は戦いに集中しろ』

 

「分かってるよ」

 

『行くぜェ!』

 

 ゼロはファイティングポーズを取った後、いきなりストロングコロナにタイプチェンジしてゼットンに殴りかかった。

 燃える炎の拳がゼットンの顔面を捉えるその寸前、突如展開されたバリアによって攻撃は防がれてしまう。

 

『オラオラオラオラオラオラァァァ‼』

 

 それでも攻撃の手を緩めずに連続して拳を繰り出すゼロだが、尽くバリアによって防がれる。

 

『ゼェッ・・・‥トォン・・・』

 

 逆に隙を突いてゼットンが繰り出した蹴りをモロに喰らい、建物を巻き込みながら吹き飛ばされるゼロ。

 

「パワーで駄目なら‥‥ゼロ!」

 

『おうよ!』

 

 陸の意見に乗ってルナミラクルに変わり、今度はミラクルゼロスラッガーでの攻撃を開始する。

 だがゼットンのバリアは全方位に展開され、刃がその体に届かない。

 

『ゼェッ・・・トォン・・・』

 

『レボリウムスマッシュ‼』

 

 衝撃波で跳ね返した火球さえもバリアに防がれ、飛散した火球が周囲の建物を襲う。

 

『クソッ、これじゃ街に被害が出るだけだ』

 

 ゼロはそう言うとストロングコロナに戻り、ありったけの力を込めてバリアを殴りつけた。

 強固なバリアはそれすらも防ぐ。が、

 

『ガルネイトバスタァァァァァァ‼』

 

 ゼロ距離からのガルネイトバスターまでは流石に耐えられず、バリアを突き破った高熱のエネルギー弾がゼットンに直撃する。

 よろめいたところに必殺の殴る蹴るの連続コンボを叩き込み、ふらふらになったゼットンを背後からホールドした。

 

『ウルトラハリケーン‼』

 

 激しい回転を加えて天高く放り投げたゼットンに狙いを定め、構えたゼロの右手が再び高熱を帯びる。

 

『こいつで終いだ! ガルネイト――――――』

 

「ゼロさん待って!」

 

『っ⁉』

 

 ゼットンを粉砕しようとしたゼロを制止したのは、ゼットンでもゼットン星人でもなくルビィだった。

 

「中に善子ちゃんがいるんです!」

 

『何っ⁉』

 

 ゼロが構えた右手を下げた刹那、上空から雨のように火球が降り注いできた。

 

『ぐあぁぁぁぁぁぁっ‼』

 

「があぁぁ・・・!」

 

 火球は反応が遅れたゼロを直撃し、洒落にならない熱量の炎がゼロを飲み込んでいく。

 

『ゼェッ・・・‥トォン・・・』

 

『がはっ・・・!』

 

 立て続けにヒットする火球にゼロが倒れ伏した後、ゼットンの全体重が乗ったプレスを喰らい、陸は一瞬だが意識を手放しかける。

 重力による加速も加わったその一撃、重くないはずがない。

 

「・・・・・・どうすんだ・・・。津島がいるんじゃ攻撃できねぇぞ・・・」

 

『・・・‥‥大方身体を乗っ取られたとかそんな感じだろ。とりあえず、今は時間を稼ぐ事に集中だ』

 

「・・・・・・お前何言って・・・」

 

『いいから。俺を信じろ』

 

 戦いを長引かせたら不利になるのはこっちだというのに、ゼロの声音は絶対的な自信を含んでいた。

 

「・・・・・・信じていいんだな?」

 

『ああ、任せろ』

 

 返事と共にゼロはルナミラクルにタイプチェンジし、今までとは全く違う立ち回りを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『これは・・・・・・』

 

 善子の身体を乗っ取り、体内でゼットンを操るゼットン星人は今までとはまるで違うゼロの戦い方に違和感を覚える。

 やたらと距離をとり、ゼットンの火球を相殺したりその攻撃から建物や人を守ったりしてばかりで一向に攻撃をしてこないのだ。

 

『ふっ・・・、遂に攻撃する事を諦めたか。ウルトラマンゼロ』

 

 更に追い詰めてやろうと連続で火球を放つが、ゼロはその火球をレボリウムスマッシュで相殺したりミラクルゼロスラッガーでかき消したりとなんなく処理する。

 どうやら守りに徹したことにより多少行動に余裕が生まれたらしい。

 

『ぐっ・・・、ならば・・・』

 

「ちょっとアンタ! 私の体で何やってんのよ!」

 

『っ⁉ なんだとっ⁉』

 

 完全に食い潰したはずの善子の意識が戻った事に驚愕するゼットン星人。

 

「セットンだかパットンだか知らないけど、これ私の身体よ⁉ さっさと返しなさいよ!」

 

『・・・・・・まさか自我を保っているとは驚いた・・・、これもリトルスターの影響なのか・・・?』

 

 多少の計算違いは起こったが、まだ軌道修正できる範囲内だ。

 そう思ったゼットン星人は、ゼロとゼットンの戦いを見ている五人の少女に照準を定めた。

 

『反抗する気力すら失くしてやる』

 

「ちょっと! アンタ何しようとしてるのよ!」

 

『仲間が貴様の精神力の糧となっているならば、そいつらを消してしまえばいいだけだ』

 

「やめっ・・・」

 

 善子が抵抗しようとしたが体は奪い返せず、無情にもゼットンは千歌達に向かって火球を放った。

 

『シェヤァ!』

 

 当然ゼロがそれを防ぐが、ゼットンは構わず火球を放ち続ける。

 

『サア! デェェリャ! セヤァ!』

 

 絶え間なく放たれ続ける火球をゼロはゼロスラッガーで切り裂きながら千歌達を守るが、やがてカラータイマーが点滅を始める。

 徐々に苦しそうになってきているゼロを見て、勝利を確信したゼットン星人が高笑いをし始めた。

 

『はははははははははははっ! これぞ・・・、これぞ完全勝利! ゼロを始末したら次は貴様らもだ小娘ども! 全員灰燼と化すがいい―――――――』

 

 ――――――ここでゼットン星人は、思わず硬直してしまう程の戦慄を覚えた。

 

「何言ってんのよアンタ・・・・・・」

 

『っ⁉ っ⁉』

 

「・・・・・・私のリトルデーモン達に、何しようとしてんのよ―――――――っ‼」

 

『ぐ・・・・・・、お・・・・・・』

 

 強烈な浮遊感がゼットン星人を襲い、善子の身体から切り離されそうになる。

 

『馬鹿な・・・・・・、津島・・・、善子・・・・・・。こんな人間如きに・・・・・・』

 

「私のリア充生活の邪魔しようとしてんじゃないわよっ‼」

 

『ぬ・・・・・・、あああ・・・・・・』

 

「あと善子じゃない! 堕天使ヨハネェェェェェェェェェェェェッ‼」

 

 怒号と共に善子のリトルスターが煌き、発生した光の波に飲み込まれたゼットン星人が体外に排出される。

 光の奔流はやがて剣の様な形に変わった。光の剣はゼットンの固い皮膚までも突き破り、外に放り出されたゼットン星人が落下していく。

 

『クソがぁぁぁぁぁぁぁっ‼』

 

 落下するゼットン星人は黒い霧と化し、霧散するように消えていった。

 ゼットンの動きがおかしくなるのは、そのすぐ直後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれはっ・・・・・・」

 

『ッ・・・!』

 

 ゼットンの火球を防ぎ続けてた陸とゼロの目に映ったのは、ゼットンの身体から追い出されて消えていくゼットン星人と、動きのおかしくなったゼットンだった。

 狂ったかのように誰もいない場所に火球を放出したり、無意味にバリアを展開したりしている。

 

『ははっ、やりやがったな善子の奴!』

 

「え・・・? あれ津島がやったの?」

 

『ああ、正確には善子が身体からゼットン星人を追い出したんだよ。そんで操っていた奴がいなくなった事でゼットンの動きがおかしくなった』

 

 計算どおり、とでも言いたげなゼロ。

 

「・・・・・・お前、まさかそれが目的で時間稼ぎしてたのか? 津島が身体からゼットン星人を追いだせるって信じて・・・‥」

 

『忘れたか陸。俺がこの前アイツの身体から追い出された事を。この俺ですら追い出すような奴だ。ゼットン星人如きに負けるはずがねぇんだよ!』

 

 ゼロはそう言うと、ルナミラクルにタイプチェンジし、火球を放ち続けるゼットンに向かって肉薄していく。

 

「けどどーすんだ。ゼットン星人がいなくなっても津島がゼットンの中にいるって事は変わらないんだぞ」

 

『ゼットン星人がいなくなれば十分だ。・・・パーティクルナミラクル!』

 

 ゼロは身体を光の粒子に変えると、空いた穴からゼットンの体内に侵入して善子を救出した。

 

「ッ・・・・・・?」

 

 人間大になったゼロに抱えられ、何が起こっているのかよく分かっていない顔をする善子。

 そんな善子を地上に下して安全を確保し、再び巨大化するとゼロツインソードを構えてゼットンの頭上を取った。

 

『プラズマスパークスラッシュッ‼』

 

 光を纏った大剣に両断され、真っ二つになった宇宙恐竜は爆散する。

 

「善子ちゃん!」

 

 ゼットンが倒されてひとまず安心した千歌達は、一斉に善子の元に駆け寄った。

 

「大丈夫?」

 

「怪我とかないずら?」

 

「う…、うん・・・」

 

 善子はいまいち自分の身に何が起きていたのか分かっておらず、飛びついてきた花丸や千歌を少し照れながら引き離している。

 

「ゼロさーん! ありがとー!」

 

『へへっ・・・・・・、ウィ!』

 

 ぴょとぴょこと飛び跳ねながらお礼を言うルビィに、ゼロはサムズアップで返した。

 

「ゼロ・・・?」

 

「うん! ウルトラマンゼロさん!」

 

「・・・・・・ウルトラマンゼロ・・・」

 

 ルビィからゼロの名前を聞いた善子が、堕天している時の表情でゼロを見た。そしてビシッとゼロを指さす。

 

「ありがとね! リトルデーモン!」

 

『え・・・? 俺・・・?』

 

 いきなりリトルデーモン認定されたゼロのカラータイマーに、善子の胸から分離されたリトルスターが吸い寄せられていく。

 

 ――――――仲間と手を取り合い、自分を貫く力――――ウルトラマンオーブ。

 

 陸の頭に声が響いた次の瞬間、その光は陸の周りを漂っていたひび割れたカプセルに吸収された。

 

『デュワ!』

 

 するとカプセルのひび割れが治り、ぼんやりと何かが映っていたカプセルにハッキリとウルトラマンらしきものが映し出された。

 

「これは・・・‥?」

 

 そのカプセルを掴んで凝視する陸に、ゼロが説明を入れる。

 

『そいつはウルトラカプセル。戦況を覆しうる究極の力、無限の可能性を秘めたアイテムだ。オメガ・アーマゲドンの際に光の国で開発されたもので、その中にウルトラマンの力が宿っている。そんでそのウルトラマンの名前はオーブ。ウルトラマンオーブだ』

 

「オーブ・・・・・・」

 

 自分を貫く力・・・。ある意味自分の魂である堕天使を貫こうとした善子らしいかもしれない。

 

「リトルスターが、このカプセルを起動させたって事か?」

 

『まあ、そういう事例もあるが・・・・・・。今回は壊れたオーブカプセルをリトルスターの力で修復したって感じだろ。ちなみに、まだカプセルはある』

 

 ゼロに言われて周囲を見ると、確かにいくつかのひび割れたカプセルと、そうでないただの真っ白なカプセルが漂っていた。

 ひび割れたカプセルには、うっすらと何かが描かれているようにも見える。

 

『ウルトラマンヒカリに言われて一応持ってきていたが・・・、こんな所で役に立つとはな』

 

「ひび割れてるのは何なん?」

 

『それは元々起動してた奴だ。つっても、レゾリューム光線の影響で壊れちまったけどな。ま、その内直るだろ』

 

「お気楽だな」

 

『前向きと言え。さてと・・・、そろそろ戻るとしますかね。シュワッ!』

 

 ゼロは空に飛び立っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日それから数時間後、浦の星女学院。

 

「鞠莉さん!」 

 

「どうしたのデースか?」

 

「あのメールは何ですの!?」

 

 勢いよく理事長室の扉を開けたダイヤが、机を叩いて鞠莉に詰め寄る。

 

「何って・・・・・・、書いてあったとおりデース」

 

 ティーカップ片手にそう答えた鞠莉に、ダイヤが肩を震わせ出す。

 

「そんな・・・・・・、ウソでしょう‥‥」

 

 そんなダイヤを見て、鞠莉も笑顔を陰らせた。

 




善子のリトルスターの能力は、一応オーブカリバーを意識したもの。
ニュージェネレーションカプセルもこんな感じで復活させていきますね。それ以外のカプセルがあるという事は・・・・・・、まあ、そこもお楽しみに。


陸「つまり新加入メンバーからリトルスター搾取する流れって事か」

俺「ネタバレ禁止」



ちゃんとそれ以外にも構想はあるのでご安心ください。

それでは次回で!

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