ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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ネクサス目当てで新アルティメットルミナスガチャを五回(二千五百円分)引いた結果。

ジオラマ四個、レオ師匠一体。


うん。泣きたい。


二十四話 光の印

 

 

「これは・・・・・・?」

 

 内浦の一角。

 古くからある寺にして、国木田花丸の実家でもあるそこ。

 母に言われて蔵の掃除をしていた花丸は、とある物が目に映った。

 所々痛んでいる古そうな箱から少しだけその姿を見せる、筒状の物体。

 

「・・・・・・巻物・・・?」

 

 不思議に思った花丸が手に取ると、やはりそれは巻物だった。

 

「・・・・・・」

 

 身体が疼くのを感じる花丸。

 花丸は本が好きだ。千歌達とスクールアイドルをやる前は、基本的にずっと図書室に籠っているような本の虫だった。まあ、それは今も変わっていないのだが。

 巻物と言うと、昔の物語だったり、古来からの言い伝えが記されている物だ。

 現代と昔では文章の表現方法も大きく違うので、普段呼んでいる文学作品とはまた違った楽しみが味わえる。

 要約すると、すっごく読みたい。

 しかしこんな古びた箱に入っている物、もしかしたら家宝だったりするのかもしれない。ちょっと先が破れているのを見る限り、かなり劣化が進んでいる可能性もある。

 だからここはぐっと我慢の子・・・・・・。

 

「・・・・・・・・・、ちょっとだけ見て、そっと戻せば問題ないずら・・・」

 

 しかし湧き上がる興味には勝てなかった。

 そそくさと蔵の物陰に隠れ、その巻物を開く。

 

「・・・・・・随分と古い文字だなぁ・・・」

 

 そこに記されていたのは現代人ならまず読めないであろう古典文字と、黒い炎の中で三日月形の角を生やした怪獣が、銀色の巨人と戦っている描写を切り取ったような絵だった。

 

「・・・・・・流石に読めないずら・・・・・・」

 

 文学少女の花丸でも流石に解読不可能で、諦めた様に花丸は巻物―――太平風土記を元に戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わった~・・・・・・」

 

 淡島神社。参拝者を殺したいのかと思ってしまうほど長い階段を往復し終えたAqoursの面々は、力なく地面にへたり込んでいた。

 日々のトレーニングでそれなりに体力は付いたものかと思っていたが、個々の階段は別格らしい。

 決して体力が無いわけではない彼女達ですらこの有り様なのだ。以前平然とこの階段を往復していた果南の体力は計り知れない。

 

「‥・・・・・・いつも思うんだけど・・・、陸ちゃんそんなに体力あったっけ・・・?」

 

 途中で花丸が力尽きた時の為に一緒に走っていた陸。予想通り下りは花丸を背負って走ってきたというのに、六人と違って息すら上がっていない。それを訝しく思ったらしい千歌が眉を寄せる。

 

「毎朝あれを乗せて自転車漕いでますからね」

 

「私そこまで重くないでしょ!」

 

 そう言って曜を指さすと、膨れた曜にポカポカと殴られた。

 まあ実際曜は重くないし、そもそもゼロと一体化しているおかげなのだが。

 

〈今度試しに力貸すの辞めてみるか?〉

 

(俺もああなるから辞めて)

 

 恐らくだがゼロが抜けたらこの中で一番体力無い自信が・・・、花丸がいるから二番目か。

 

「・・・ん?」

 

 六人の内、一人が離れた場所にいる事に気付く陸。

 皆がへばっている中、一人陸に背負われていたおかげで回復が早かった花丸が険しい顔で唸っている。

 花丸の両手には、巻物と古典文字が羅列している本が。

 

「・・・・・・何見てんの?」

 

「ずらっ!?」

 

 よほど集中していたのか。近づいていた陸にも気が付かなかったようだ。驚きのあまり持っていた巻物を放り投げてしまっている。

 

「ほっ」

 

 それをキャッチした陸の目に入ったのは、何と書いてあるのか全く分からない文章だった。

 

「何? まさかこれ読んでたのか?」

 

 陸が巻物を返しながら問いかけると、花丸はこくりと首肯した。

 

「昨日まるの家の蔵から出てきて・・・・・・、ちょっと気になったから、お母さんに古典文字の解読所を貸してもらって読んでみようと思ったんだ」

 

「・・・・・・マジかよ・・・」

 

 古文はテスト等で出てきた時には頭がショートしてしまうレベルで苦手だ。謎だ。宇宙語だ。それをわざわざ解読しようだなんて思わない。

 

「先輩・・・、全部口に出てるずら・・・」

 

「苦手なもんは仕方ない。で? なんて書いてあるの?」

 

 さっきちらっと見えたのは頭が痛くなる古典文字だけではなく、怪獣と巨人が戦っているような絵もあった。

 巨人はどことなくゼロと似ているような感じがするので、結構気になる。

 そして何より、

 

〈おい陸! 今の巻物は何だ? 見せろ! 今すぐ見せろ!〉

 

 巻物を見てからと言うものゼロがうるさい。

 どうやら巻物に書いてあった絵が気になるらしい。

 

「まだ断片的にしか解読できてないけど・・・・・・、それでもいいずら?」

 

「全然いいよ。それよりよく解読しようと思ったな。俺だったら見ようとも思わん」

 

「先輩は本読むの嫌いなの?」

 

「小説はそれなりに読むぞ? けど古文は見ただけで頭痛くなってくるからな・・・・・・」

 

 一体何度テスト中に頭を抱えた事か。

 

「慣れれば面白いよ? 古文には古文の味があるし」

 

「・・・・・・俺はその域に達しなくていいかな」

 

「わからず屋」

 

「俺の事はもういいだろ! それより、なんて書いてあった?」

 

「人に頼む態度じゃないずら・・・・・・。えっと・・・」

 

 そう言って花丸は、分かりやすくなるようにメモに取ったものを見せてくれた。その隣に現代語訳があるのが陸的にはありがたい。

 

 

『地泣きて零れし時、眠りたるもののけ、禍古獣目覚めん。

 禍古獣。三日月の角で天ヲ穿ち、地ヲ裂き、山ヲ崩さん。

 天より出でし鈍色の巨人。此れを封印す』

 

『大地が躍動して崩れる時、眠りについていた獣、禍古獣が目覚める。

 禍古獣。三日月形の角で天を穿ち、大地を裂き、山を崩す。

 天空より現れた銀色の巨人が、これを封印する』

 

 

「・・・・・・は?」

 

 読み終えた陸が素っ頓狂な声を上げる。

 

「まるの字、汚かったずら・・・?」

 

「ああいや! そうじゃなくて。何言ってるのかさっぱりわからなくて・・・」

 

 花丸には咄嗟に胡麻化したが、陸にはなんとなく心当たりがあった。

 この文章に出てきた、もののけと戦う鈍色の巨人と言うもの。

 これはもしかしてウルトラマンではないだろうか。

 

(ゼロ・・・。これって・・・・・・)

 

〈・・・・・・陸。ちょっと体借りるぞ〉

 

 そう言われ、素直にゼロと人格を入れ替える。

 

『花丸。見つかったのはこれだけか?』

 

「う、うん・・・。探したら他もあるかもしれないけど・・・・・・。なんでいきなり下の名前ずら?」

 

 詰め寄るゼロに気押されながらも花丸が答える。

 

『・・・・・・この世界の太平風土記も過去の出来事を記録し、それが未来に起こりうる可能性を暗示しているとしたら・・・・・・』

 

 ゼロがしばらくぶつぶつと独り言を言った後、

 

「太平風土記・・・? これ、太平風土記っていうの!?」

 

 今度は花丸が興奮気味に詰め寄ってきた。

 太平風土記。聞いたこともない名前だ。

 きっと花丸はそれを聞いて読書家の血が騒いでいるのだろう。

 

『っ・・・、ああ。歴史書、見たいなもんだ。幾多の怪現象や、それに纏わる怪獣たちの存在が記されている』

 

「・・・怪獣って・・・・・・、作り話って事ずら?」

 

『いや。物によって記されている内容も違う。伝説の言い伝えだったり、伝承として過去の出来事を後世に伝えるための物だったりもしているが・・・、これの場合は過去の預言者が記した予言の書かもしれねぇ・・・』

 

「予言書‥・・・。てことは、これに書かれている事が本当に起こる可能性があるって事ずらっ!?」

 

 いつになく息を荒げながら身を乗り出す花丸に、ゼロが反射的にのけ反る。

 

『まあ、そう言う事だが・・・・・・。随分とあっさり信じるんだなお前・・・』

 

「予言書と言う響きがたまらなくいいずら! この際それが事実がどうかは二の次ずら!」

 

『お、おう・・・、そうか・・・』

 

 目を輝かせながら太平風土記を見つめるその姿は、新しい玩具を与えられて喜ぶ子供の様で。普段はおとなしい花丸が見せる無邪気な一面なのかもしれない。

 

「にしても、先輩詳しいね。ひょっとしてこういうの好きなの?」

 

『・・・・・・』

 

 返答に困ったらしいゼロが、何も言わずに主導権を返してきた。

 こいつどうしてやろうかと思いつつも、陸はどう返答しようかと思考を巡らせる。

 

「ま、まあな。本訳された文献とか読むのは好きだぞ」

 

「ふぅん・・・」

 

 思ってもいない事を口にした陸を、花丸は興味深そうに見据えた。

 

「先輩。今日の練習が終わった後時間あるずら?」

 

「ん? まあ、大丈夫と言えば大丈夫だが・・・・・・」

 

 家に両親がいないので、仙道家には門限と言うものが存在しない。そうは言っても常識くらいはわきまえているので、遅くまで出歩くなどという事はないが。

 それにまだ太陽はそれなりに高い位置にあるので、練習が終わっても花丸に付き合う時間は全然あるだろう。

 陸の答えを聞いた花丸は、悪戯っぽく笑ってから言った。

 

「じゃあ、ちょっとまるの家に来て欲しいずら」

 

「‥・・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせずら・・・・・・」

 

 練習後。国木田家。

 花丸の部屋に案内された陸が、幼馴染以外だと初めて入る女の子の部屋にそわそわしていると、あるものを取りに行っていたらしい花丸が帰ってきた。

 ダダの時に一応梨子の部屋には侵入したが、体を動かしていたのはゼロだし、状況が状況だったのでノーカウントだ。

 

「わざわざごめんね。時間大丈夫だったずら?」

 

「ああ、そこは気にしなくていいよ」

 

 練習終わりに花丸の家に行くと言ったら、曜に冷たい視線を向けられたが気にしない。

 

「で? 一体全体何の用だ?」

 

 これは純粋な疑問だ。

 もう既に日は沈みかけていて、この部屋にも夕日が差し込んでいる。何というか、こんな時間に女の子の部屋で二人きりと言うのは精神衛生上あまりよろしくない。

 

「変な期待はしない方がいいよ。まるにその気はないずら」

 

「安心しろ。俺もお前に限ってそう言う事はないって確信してるから」

 

「実際その通りだけど・・・、言い切られると何か悲しいものがあるずら・・・」

 

 そう言うと花丸は抱えていた何冊かの本を下した。

 どうやら取りに行っていたのはこの本らしい。どれも図鑑の様に大きくて厚く、所々痛んでいるのを見るとそれなりに古い物のようだ。

 

「それは?」

 

「まるの家にあるふるーい本ずら。昔日本で起きた怪現象とか伝説が、全部ではないけどいっぱい載ってるずら」

 

「で? それをどうするわけ?」

 

 陸が聞くと、花丸は練習の時に見ていた巻物、太平風土記を鞄から取り出した。

 

「まる達で、この巻物に書いてある伝説を紐解くずら!」

 

「紐解くって・・・・・・、具体的にどうするんだよ」

 

「何のためにこの本と先輩がいるずら。この巻物の内容と似ている出来事と照らし合わせて、この予言が何を示しているのかを解明するずら!」

 

 なるほど。それでこの本か。

 

「それに先輩の話もちょっと興味あるんだ。これ以外の太平風土記に何が書かれていたかの話を聞きたいずら! ・・・・・・だめかな?」

 

 正直古文関連の調べ物など目眩がするほどにやりたくないが、後輩に頼まれては断る訳にも行くまい。まあ、学校は違うが。

 

「ま、いいよ」

 

「やった!」

 

 あどけない見た目に反して落ち着きのある花丸が見せる、年相応の無邪気な笑み。

 この顔が見れたなら、陸がここに来た意味もあったのかもしれない。

 

(じゃ、ゼロ。よろしく)

 

〈お前な・・・・・・・・・〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて・・・・・・。ここかな?」

 

 既に日も沈み、闇に塗り潰された森の中。

 人間ならばロクに回りを確認することもできない闇の中でその男、オウガは相変わらずケタケタと笑っていた。

 これから起こる事が楽しみでたまらない。まるでそう思っているかのように。

 オウガはスライに指示されたポイントでしゃがみ込むと、そのまま地面に手を当て、辺りを支配する漆黒よりも暗い闇を注ぎ始めた。途端に大地が躍動を始め、鼓動の様に規則性のある揺れが辺りに響く。

 

「ボクがこんなことしてるだなんて知れたら、きっとゼロ君怒るよな・・・・・・。殺されない様にしないと」

 

 オウガは立ち上がると、そのまま闇へと消えていった。

 

「君の成長。期待してるよ。陸君」

 

 大地が裂けたのは、この直後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ないずら・・・・・・。まさかこんな時間まで・・・・・・」

 

 辺りはどっぷり暗くなり、陸の目に映るのは国木田家の灯りと、申し訳なさそうに頭を下げる花丸の姿。

 

「いや・・・、いいよ。こっちもすっかり話し込んじゃってたし・・・・・・はは・・・」

 

 あの後、太平風土記の伝承についての話を始めた陸(ゼロ)と花丸の盛り上がりは止まる事を知らず、気付いたらこんな時間になってしまっていた。

 流石にこんな時間まで後輩の家に居座る訳にも行かないので早く帰るとしよう。

 

「太平風土記の事、解読進んだら何か教えてよ」

 

「先輩も、もっと他の太平風土記の話も聞かせてほしいずら! ぎるばりすと赤き鋼の話、とっても面白かったずら!」

 

「ん。じゃな」

 

 花丸にひらひらと手を振ると、陸は自転車を漕いで国木田家を後にした。

 

〈いやー。可愛い後輩を持つと苦労するぜ〉

 

「別にお前の後輩じゃないけどな。まあでもしかし、あんなに興奮した国木田は見たことなかったな」

 

〈それだけ俺様の話が面白かったって事だろ〉

 

「へーへー凄い凄い」

 

 調子に乗ったゼロはウザいので、早々に話題を切り替える。

 

「それで、ゼロ的には何か収穫あったのか? 国木田が持ってた太平風土記についての」

 

〈詳しい事はまだよく分からないが・・・・・・、あの禍古獣とか言うの、もしかしたら魔王獣かもしれないな〉

 

「魔王獣・・・? なんだそりゃ」

 

〈世界を滅ぼそうとする怪獣の事だ。昔別宇宙でそいつらを封印するためにウルトラ戦士との間で壮絶な戦いがあった〉

 

 そんなヤバいのがこの地球にもいると言うのだろうか。

 

「ん? 待て。てことはお前より前にもこの地球に来たウルトラマンがいるって事か?」

 

〈そう言う事になるな。だが光の国のウルトラマンでこの地球に来たのは俺が初めてだから、恐らくそれ以外のウルトラマンだろ。しかし、まさかこの宇宙にもマガオロチの子供が産みつけられていたとはな〉

 

「どういう事だ?」

 

〈魔王獣の大元は大魔王獣マガオロチ。そいつのエネルギーが地球のエレメントと結びついて魔王獣は誕生した。だから魔王獣はある意味歪められた地球の分身とも言える〉

 

「‥‥それ国木田に話してやったら良かったんじゃねーの?」

 

〈話してたら、きっとまだあの中にいただろうがな〉

 

「はっ、ちげぇねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ‼」

 

 地響きと共に、逃げ惑う人々の悲鳴が暗闇に反響する。

 悲鳴が聞こえた方を見てみれば巨大な影があり、それから遠ざかる様に人々が逃げているのが見えた。

 

『キシャァァァァイヴゥヴゥゥゥウゥゥゥゥゥゥゥゥッ‼』

 

 闇夜に響く咆哮と共に、人々の悲鳴が大きくなる。

 悲鳴は上げなかったが、陸もその声を聞き、身体が固まる。

 

〈陸。陸っ? オイ! またかお前!〉

 

「っ・・・! っと、ワリィ・・・」

 

 まただ。

 また、六年前の怪獣と似たような書き声だった。

 戸惑う陸の目の前に、ウルトラゼロアイが出現する。

 

〈とにかく行くぞ。こんな暗闇じゃ町の人間も避難が出来ない〉

 

「ああ、そうだな・・・」

 

 陸は今来た道を振り返る。

 少し戻れば、そこは花丸の家だ。

 

「行かせねぇよ。シェア!」

 

 ウルトラゼロアイを装着し、陸はゼロへの変身を遂げた。

 

 

 

 




太平風土記。
ジードの世界にもあったし、こっちの世界にもあってもいいよね? ね?(不安)
ちゃっかりジードの映画ネタもいれた所で解説行きますか。
この地球にはゼロが来る前、と言うか、アナザークライシスが起こる前に一体のウルトラマンが来ていました。それが太平風土記に描かれていた巨人ですね。
この巨人も物語で結構重要な役割を果たすのですが、それはまたの機会に。

曜「結構際どい解説したね。ネタバレ大丈夫?」

俺「この解説通りに行かない可能性もあるから大丈夫!」

曜「ダメじゃん」


がんばルビィします。それでは次回!
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