ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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GWだし連日投稿(意味不明)


二十七話 忍び寄る影

 

 

 

「この前のPVが五万回再生?」

 

 季節は夏。

 ただでさえ暑いというのに、そこら中で騒音を奏でるセミの鳴き声が暑さを増長させる中、うちわを仰いでいた千歌が後ろを向いて反応する。

 

「ホントに?」

 

「ランタンが綺麗だって、評判になったみたい」

 

 そしていつも通りパソコンの前に集まるAqours六人。

 いつもと違ったのは、現時点での自分たちの順位を知った彼女達の反応だった。

 

「きゅ・・・九十九位っ!?」

 

「ずらっ!?」

 

 今まで四桁台を低迷していたAqoursが、一気に二桁台ときた。

 

「・・・きた。きたきたぁ~! 五千以上いるスクールアイドルの中で百位以内って事でしょ!」

 

 皆のテンションが上がる中、最も興奮している千歌が歓喜の声を上げる。

 

「一時的な盛り上がりって事もあるかもだけど、それでも凄いわね!」

 

「ランキング上昇率では一位!」

 

「凄いずら!」

 

「なんかさ、このまま行ったらラブライブ優勝できちゃうかも!」

 

「優勝?」

 

「そんな簡単じゃないでしょ?」

 

「分かってるけど、でも可能性はゼロじゃないって事だよ!」

 

 浮足立った雰囲気に、パソコンが鳴らしたピロンと言う音が水を差した。

 

「・・・ん?」

 

「メール・・・、みたいですね」

 

 ルビィの言う通り、開かれていたパソコンに赤いアイコンが表示されていた。

 カーソルを合わせてクリックし、開かれたもの、それは―――、

 

「Aqoursの皆さん。東京スクールアイドルワールド運営委員会」

 

「東京?」

 

「って、書いてありますね・・・・・・」

 

 田舎者には馴染みの薄い単語に、梨子を除く五人がきょとんとパソコンを見つめる。

 

「東京って言うと、あの東にある京?」

 

「何の説明にもなってないけど・・・」

 

「日本の首都ずら」

 

「知ってるわよ」

 

 いまいち今目の前で起きている事が理解できていない六人が、数秒間中身のないやり取りを続けた後、

 

「「「「「「東京だぁっ‼」」」」」」

 

「うおっ!?」

 

 散々鞠莉に絡まれ、ようやく部室に入ってきた陸をビビらせる程に大声でハモった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ねぇ陸・・・」

 

「・・・ん?」

 

 東京遠征、当日。

 一応沼津駅まで見送りに来た陸は、曜と共にある人物にジト目を向けていた。

 

「ふふふっ・・・・・・、天津雲井の彼方から、堕天使たるこの私が、摩天にて、数多のリトルデーモンを召喚しましょう・・・」

 

 視線の先には堕天使モードに入った津島善子。

 お得意の堕天使ファッションだけでは今回は済まず、装着したであろう長い爪と、もはや何キャラなのかすらも分からない程に真っ白な顔。

 当然そんな奇抜な格好をしている人間がいれば人だかりもできる。善子は自身の周りに集まった人々を恍惚とした表情で眺めていた。

 

「・・・・・・私は・・・、あれを見てどんな顔をすればいいの?」

 

「・・・・・・俺に聞かんでくれ・・・」

 

〈どんどん酷くなっていってないか? あいつ〉

 

 あれと同列に捉えられるのが嫌だったので、陸は曜と共に少し離れた場所で他の四人の到着を待っている。

 

「にしても・・・、遅いね千歌ちゃん達・・・」

 

「多分これが原因だ」

 

 そう言って陸は曜にスマホの画面を見せた。

 そこには地方感丸出しのド派手ファッションをした千歌とルビィ。そして東京を切り立った断崖とでも勘違いしているのか、ヘルメットにライト、つるはしを装備し、探検家の様な軍服を着た花丸の写真が。

 

「うわっ・・・・・・、何コレ・・・」

 

「美渡さんから送られてきた。大方変な事吹き込まれたんだろ」

 

〈・・・・・・面白いな・・・〉

 

 梨子が指摘して普通の格好になっている事を願う。

 

「「「くっくっくっ・・・・・・」」」

 

 善子に向かってフラッシュを焚き始める人間が出てきた頃に、善子のファッションを笑う三人の少女が現れた。

 

「善子ちゃんも‥・・・」

 

「やってしまいましたねぇ・・・・・・」

 

「善子ちゃんもすっかり堕天使ずら~」

 

 自分達と同類を見つけて喜ぶような視線を善子に向ける、千歌、ルビィ、花丸の三人。美渡から送られてきた写真とは違い、普通の服装だった。

 

「遅いよ皆―」

 

「ゴメンナサイ・・・。三人の服装を正してたらこんな時間に」

 

「やっぱりか。ありがとな桜内」

 

 写真の様な格好で向かっていたら、笑い者間違いなしだったろう。

 

「‥‥善子じゃなくてぇ・・・、ヨハネ‼」

 

 善子が両腕を広げて叫び、見物していた野次馬達が逃げ去っていく。

 

「せっかくのステージ! 溜まりに溜まった堕天使キャラを開放しまくるの!」

 

「いいから着替えて来い」

 

最後まで善子を見ていた幼気な少女が、アレに影響されない事を願わずにはいられない陸だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千歌―!」

 

「あっ! むっちゃーん!」

 

 善子の着替えも終わり、いざ出発しようとしていた千歌達に近寄る三人の少女。その手には何かがパンパンに詰まった袋を抱えていた。

 

〈誰だ?〉

 

(前に見たことある気がする。確か千歌達のクラスメイトだよ)

 

 見送りに来てくれるとは、よほどAqoursは学校に愛されているらしい。

 

「イベント、頑張ってきてね!」

 

「これ、クラス皆から」

 

 そう言って差し出された袋から、ポロリとのっぽパンが顔を覗かせていた。

 

「わぁ・・・、ありがとう!」

 

「それ食べて、浦の星の凄い所見せてやって!」

 

「・・・うんっ! 頑張る!」

 

 よほど嬉しかったのか、三人に向けて満面の笑みを向けた後、千歌達六人は電車に乗り込んで行った。

 

「じゃあ、行ってきま――――――すっ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈お前は行かなくてよかったのか?〉

 

「俺は明日行く。ライブ自体は明日だからな」

 

 千歌達が電車に乗り込んだのを見届けた後、ふらふらと沼津の町を歩き回る陸。やはり内浦とは違って賑わっている。来年の春からこの辺の高校に通わなくてはいけないので、下見がてら散歩中なのだ。

 

〈ん? じゃあ何であいつ等今日行ったんだ?〉

 

「なんか東京を観光したいんだとさ。そんで前日から東京行きって訳。・・・つかこの話千歌達としてたよな。聞いてなかったのか?」

 

〈興味のない話は聞かない主義だからな〉

 

「あったなー・・・、そんな設定・・・」

 

 この頃やたら食い気味に話しかけてくるのですっかり忘れていた。

 

〈だったらお前も東京観光すればよかったんじゃないのか?〉

 

「流石に向こうで一泊する程の余裕はないね」

 

 千歌達は多少親御さんの協力を得ているらしいが、生憎陸の両親は今太平洋でマグロと奮闘中。そんな人に小遣いをもらおうなど無理な話だ。

 

「・・・・・・ホントに今回東京行って良かったのかね・・・」

 

〈俺らが見てねー間に事件に巻き込まれないといいけどな〉

 

「だからフラグになるから辞めろって・・・・・・」

 

 陸が心配していたのはそこではなかったが、いい加減学習して欲しい陸だった。

 そして陸はまだ知らない。

 この東京遠征が、今後の陸とゼロ、そしてAqoursの運命を大きく揺るがすことになろうとは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう~! 時間無くなっちゃったよ! せっかくじっくり見ようと思ったのにー」

 

 千歌達が東京に着いてから数時間。

 それぞれが思い思いに単独行動をしたこともあって、既に日は傾いていた。

 

「なによ! だから言ってるでしょ? これは、ライブの為の道具なの!」

 

 善子の手からは、魔術専門店とやらで買った怪しいものが入っている袋がぶら下がっていた。

 

「・・・・・・そんな格好して・・・」

 

 千歌の視線の先には、上機嫌で巫女服に身を包んだ曜が。制服専門店を見つけて目の色を変えたと思っていたが、まさかこんなものを購入していたとは。

 

「だって、神社に行くって言ってたから! 似合いますでしょか!?」

 

「敬礼は違うと思う・・・」

 

 千歌達は今、明日のイベントでのライブの成功を祈願する為にとある神社に向かっていた。

 予定で言えばもう少し早く来るつもりだったのだが、見ての通り単独行動が過ぎてもうこんな時間である。

 かく言う千歌も最初は興奮して片っ端からスクールアイドルの店に入っていたので他人の事は言えない。

 ルビィと花丸は迷子、梨子も途中トイレに行くと言ってからしばらく帰ってこなかった。

 ここに来てストッパーの陸がいない事が悔やまれる。

 

「・・・・・・ここだ・・・」

 

 しばらく歩き、千歌達六人は目的地の神社へとたどり着いた。

 目の前には高く傾斜のある階段。

 千歌の憧れ、μ‘sが練習に使っていたという階段である。

 

「ここが、μ‘sがいつも練習していたって言う階段!」

 

 μ‘sファンの千歌とルビィが同時に目を輝かせ出す。二人だけではない。数多くのスクールアイドルにとって、この場所は聖地なのだ。

 

「ねぇ! 登ってみない?」

 

「そうね」

 

「よーし! 皆行くよー!」

 

 千歌が一番乗りで駆け上がり始め、それに五人も続く。

 

(μ‘sが登ってたんだ・・・。ここを・・・!)

 

 先頭を走る千歌の頭に浮かぶのは、自分にこの道を進ませるきっかけとなった九人の少女の姿。

 あのμ‘sがいた場所。ある一点を目指して、日々登り続けた階段。

 そこを今自分が駆け上がっていると言うだけで、あのμ‘sに一歩近づいた気がする。

 

(ラブライブを、目指して!)

 

 喜びを体現するように千歌が最後の段でジャンプをし、聖地を踏みしめる様にしっかりと両足で着地した。

 

「「~~~~~~♪」」

 

 階段を登り切った千歌の耳朶に、澄んだ歌声が触れた。

 歌声が重なっている様に響いている事から、恐らく歌っているのは一人ではない。

 声質が似ている事もあるのか、互いに互いの邪魔をせず、心地の良いハーモニーを奏でているようにも聞こえた。

 その歌声の存在感を示すかのように、強い突風が吹く。

 

「・・・・・・?」

 

 本殿前に、二人の女子高生が佇んでいた。一人は紫色の髪をツインテールに、もう一人はそれよりも暗い紫色の髪をサイドテールに束ねている。

 歌い終わった彼女達は、背後で歌声に聞き入っていた千歌に気付くと振り向き、微笑んだ。

 

「こんにちわ」

 

「こ・・・、こんにちは・・・」

 

 サイドテールの方の少女が挨拶をしてきて、戸惑いながらも千歌がそれに返す。

 

「千歌ちゃん?」

 

 遅れてきた五人が、見知らぬ少女二人と千歌が向き合っているという構図に首を傾げる。その内ルビィだけが、その二人の少女に見覚えがあるかの様に目を細めた。

 

「まさか・・・、天界勅使・・・?」

 

 石造の裏に隠れて訳の分からない事を言った善子を無視し、その少女は六人を見回す。

 そして何かに気付いた様に、再び口を開いた。

 

「あら・・・もしかしてAqoursの皆さん?」

 

「嘘・・・・・・、どうして・・・?」

 

 いきなりそんな事を言われ、動揺を隠せない千歌。

 

「この子・・・、脳内に直接・・・」

 

 善子は今度は花丸の背後に隠れて妄言を吐く。しかし少女はまたもや善子を無視し、言葉を続けた。

 

「PV見ました。素晴らしかったです!」

 

「あ、ありがとうございます・・・」

 

 どうやら以前公開したPVを視聴してくれたらしい。ならばAqoursを知っている事も頷ける。

 

「もしかして・・・・・・、明日のイベントでいらしたんですか?」

 

「・・・はい」

 

 千歌の返答を聞き、サイドテールの少女が笑みを深くする。

 

「そうですか・・・、楽しみにしてます」

 

 それだけ言うと、サイドテールの少女は千歌の真横を通って歩き出した。

 サイドテールの少女が歩きさっていく中、もう一人の釣り目とツインテールが特徴的な少女が六人に頭を下げる。

 そう思った次の瞬間、彼女は千歌達に向かって走り始めたのだ。

 戸惑う千歌達の眼前でその少女は地面に手を突き、側転、バク転と繋げ、千歌の頭上を通ると、微かな笑みを向けて着地した。

 

「では」

 

 去っていく二人の背中を、六人は啞然としたまま眺めていた。

 少し間が開いた後、喋れることを思い出したように花丸が口を開く。

 

「東京の女子高生って、皆こんなに凄いずらっ?」

 

「あったり前でしょ? 東京よ、東京!」

 

「いや・・・全員が全員そうって訳じゃ・・・」

 

「梨子ちゃんは出来るの?」

 

「無理無理無理無理!」

 

 五人が思い思いに感想を述べる中、千歌は一人だけ二人が去った後の階段を見据えていた。

 

「歌・・・、綺麗だったな・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・Aqoursだな・・・?』

 

 神社での祈願を終え、予約している旅館に向かおうとしたAqours六人に、一人の男が声を掛けた。全身黒づくめと言うだけで怪しさの塊なのに、その男が纏う雰囲気は、最近やたらと危険な目に遭う事が多い彼女達を警戒させるには十分すぎる。

 

「な・・・・、何ですか・・・?」

 

 どこかで聞き覚えのあるおどろおどろしい声音に、千歌が一歩後退しながら答えた。

 

『・・・・・・私と一緒に来てもらおうか』

 

 その男はおもむろに手をかざす。その手は黒く武骨で、地球人でない事は一目瞭然だ。

 そして男が被っていたフードを脱いだ瞬間、六人は戦慄を覚える事になる。

 

「アンタはっ・・・!」

 

 特に善子が強く反応したその男、ゼットン星人は六人に向けてぱちんと指を鳴らす。

 六人の意識は、そこで途絶えた。

 

 

 

 

 




次回、Aqoursとあの方々が接触? その時陸とゼロは一体?

ダイヤ「貴方・・・、またルビィを危険な目に・・・・・・」

俺「ちょ・・・、安心してください! ダイヤさんが危険な目に遭う話もちゃんとあるんで!」

ダイヤ「そう言う話はしてませんわ! まるでわたくしがそれを望んでいるみたいじゃないですの!」

俺「ま、ダイヤさんにゃAqoursの中で一番危険な目に遭ってもらうんすけどねwww」

ダイヤ「え・・・・・・」





まあ、十話以上先の話だけどね。
それでは次回で!
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