ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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ジードの超全集を買いました。
ただでさえ高い濱田龍臣君の好感度が更に上がる内容でしたね。
やっぱジードは神作だ。


二話 光の巨人

 

数分前―――

 突如何もない宇宙空間に空いた穴から、五人の人影が現れた。

 

『ッ・・・・・・、バカなっ・・・・・・』

 

『クソッ・・・、どこ行きやがったデザストロのヤロォ・・・』

 

 悔し気にその中の一人、グレンファイヤーが呻く。

 

『全く・・・。あなたが無暗に炎を浴びせるから・・・・・・』

 

 その隣でミラーナイトが愚痴を漏らす。

 

『俺のせいかよ! お前だってなんかよく分かんない光線バンバン撃ってただろ! なあ焼き鳥?』

 

『誰が焼き鳥だ! ジャンボットと呼べといつも言っているだろう』

 

 とても超空大凶獣の名を冠する怪獣を追って来たとは思えないやり取り。だがこれがいつもの彼ら、ウルティメイトフォースゼロである。

 

『ジャンナイン。お前はどう見る・・・・・ジャンナイン?』

 

 ジャンボットが弟分であるジャンナインに意見を求めるが、ジャンナインは会話の輪から外れ、離れた場所で佇んでいる青年に視線を向けている。

 

『・・・・・・兄さん。ゼロは一体何をしているんだ?』

 

 ジャンナインの問いに対し、ジャンボットの代わりにミラーナイトが答えた。

 

『・・・ここはアナザークライシスが起きた宇宙ですから。ゼロにも何か思う事があるのでしょう。・・・しかし、全く破壊の後が見当たらないのは一体・・・』

 

 その場の全員がゼロに視線を移す。

 

『・・・・・・』

 

 全員の視線が自分に向いている事にも気付かずに、ゼロは目の前の星、地球を見つめ続けていた。

 かつて自分が力不足なばかりに、消滅させてしまった星を。

 

『・・・あれから、随分と経ったもんだな・・・・・・』

 

 ゼロがそう嘆息するのを、他の四人は聞き逃さなかった。

 四人が困ったように顔を見合わせ、どう言葉を掛けたらいいのか、誰がさっさとデザストロを追うぞと言うのかを視線で擦り付け合う。

 

(グレン。君が言ったらどうだ? 空気を読まない発言は得意だろう?)

 

(おまっ・・・・・・、相変わらず生意気な後輩だなテメー・・・。おい焼き鳥、お前も兄貴として何か言ってやれよ)

 

(だからジャンボットだと言っている! ・・・今回はジャンナインの意見に賛成だな。こういう軽率な発言に最も適しているのはグレンだ)

 

(言いたい放題言いやがってテメー等・・・・・・。テメー等もロボットなんだし心の籠ってない発言位お安い御用だろ)

 

(私は心優しきエメラナ姫の配慮によって心が備わっている。私をコピーして作られたジャンナインとてそれは変わらない)

 

(兄さんの言う通りだ。一番精神年齢の低いグレンが行け)

 

(喧嘩売ってんのか――――)

 

(ハイハイ私が行きますよ)

 

 三人の不毛な言い争いを見かねたミラーナイトがわざとらしく肩を竦めた。

 

『ゼロ』

 

 普段と何ら変わらない声音でゼロに声を掛けると、優しくその肩に手を置く。

 

『あの地球が気になるのでしょう? デザストロは私達で追いますから、少し地球を見てきたらどうですか?』

 

 ミラーナイトの提案に、便乗した三人も首を縦に振る。

 

『しかし・・・』

 

『鏡にはあなたの迷いが映っていますよ。なに、普段助けられている礼です。遠慮せず行きなさい』

 

 渋るゼロに、ミラーナイトがポンと背中を押した。

 

『・・・・・・、そこまで言うなら仕方ないな。何かあったらすぐに知らせろよ』

 

『はい。ゼロもお気を付けて』

 

『・・・・・・俺の心配なんざ二万年早いぜ?』

 

 お決まりのセリフを残した後、ゼロが地球に向かって飛び立っていった。

 

『全く、素直じゃない・・・・・・』

 

 ミラーナイトの呟きを背に、ゼロは地球との距離を詰めていく。

 

(・・・・・・この星、確かにあの時・・・)

 

 ウルティメイトフォースゼロの四人が気を利かせてくれたのは、正直に言って嬉しかった。あのままデザストロを追っても、地球が気になって任務に集中できなかっただろう。

 かつて崩壊したその星は、全くその跡を見せない程に青く輝いている。

 

(・・・一体、あの後に何が・・・)

 

 畏怖や疑問を胸に、ゼロは更にその速度を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――舞台は戻って内浦

 大地が揺れ、大海はその衝撃に激しく波立つ。

 

『ヴァァヴゥゥゥゥゥゥ・・・・・・』

 

 空間をも揺らす咆哮を轟かせ、そいつは沖に出ていた漁船を蹂躙しながら進行してくる。

 全身を覆うゴツゴツとした黒い皮膚。一撃で船体を破壊する太く力強い腕。頭部から背中を通って背後まで並んでいる、サンゴの様な赤いトゲ。

 まるで怪獣映画にでも出てくるようなその巨大な怪物に、内浦の人間は震撼した。

 陸とてその例外ではない。かつて見た破滅の光景が脳裏を過り、思わず身震いする。

 今目の前にあるのは、かつて自分たちを襲った絶望と同じもの。

 襲い来る怪物こそ違えど、奴がこの内浦に再び破壊をもたらすことは考えるまでもなく分かる。

 六年前に起こった怪獣災害が、再び起ころうとしている。

 

(そうだっ! 千歌達がまだ!)

 

 幼馴染達がまだ学校に残っていることを思い出し、陸は慌ててハンドルを切って浦女への道を引き返し出した。

 

「クソッ・・・、何で今日に限ってあいつ等・・・」

 

 愚痴を零しながら、今来た坂道を自転車で駆け上る。

 陸の脳裏に浮かぶは、厄災の中で血を流す幼き少女たちの姿。

 もうあんな思いを彼女たちにさせたくない。その思いで勾配のきつい坂道を猛スピードで登っていく。

 

『ッ――――‼』

 

 ただ空気が抜けた様な掠れた咆哮が聞こえたと思ったら、途端に逃げ惑っていた人達が立ち止まって騒めき出した。

 何かと思い振り向いた先の怪獣は、大きく顎を開いていた。

 吠えるでもなく暴れるでもなく、ただその場に立ち尽くし、じっと開閉したまま動かない。

 そしてその口内には、ミサイルの様な物が見える。

 まさか発射しようというのか、あれを。

 嫌な予感がして怪獣の視線の先を確認すると、最悪な事にそこには浦の星女学院、まだ千歌達が残っている学校が。

 あそこはこの地域の避難所に指定されているため、逃げてきた人が大勢いるはずだ。

 まさか浦女に人が密集しているという事を分かっているというのだろうか。

 もしあれが浦女に着弾しようものなら―――、

 

(ダメだ・・・。そんなの絶対ダメだ!)

 

 最悪の結末を想像してしまった陸は、更に自転車を漕ぐその足に力を込めた。

 逃げることだって出来たはずだ。

でも陸は聞いてしまった、あの時の彼女たちの悲鳴を。陸は見てしまった、あの時の彼女たちの恐怖に染まった表情を。

 あの日から、自分は彼女たちを守ると決めた。特別な力も、特別な才能もなくていい。それでも守りたいと願った。

 だから感覚的に間に合わないと悟りつつも、こうして坂を駆け上がっているのだろう。

 まるで発射のカウントダウンをするかのように人々の騒めきが大きくなっていくと共に、陸の焦燥も勢いを増してゆく。

 

 ―――そして誰かが「打ちやがった!」と言うのを、陸は聞き逃さなかった。

 

「っ・・・・・・」

 

 怪獣の口から放たれたミサイルと思しき物体は、浦女に向かって一直線に向かっていく。

 その光景に陸は遂に足を止め、同時に様々な感情が押し寄せてくるのを感じた。

 幼馴染を失う絶望、守れなかった自分への嫌悪、守ってあげられなかった彼女たちへの罪悪感、現実への憤り。

 力も無しに彼女たちを守ろうとするのはただの甘えだったのか。

 結局力がなければ何も救えないのか、何も守れないのか。

 力無き自分は、理不尽な現実が突き付けるこの光景をただ指を咥えて見ていることしかできないのか。

 

(千歌・・・・・・、曜・・・・・・)

 

 何もできない自分を咎める陸の眼前で、遂にミサイルは浦女に到達しようとする。

 もはや奇跡を信じるしかないと、陸が目を瞑ったその瞬間、

 

 奇跡は起こった。

 

『デェェェヤァァァァ‼』

 

 謎の声と共に光が一閃したと思ったら、突如としてミサイルが空中で爆散したのだ。

 そして、

 

『ッ――――・・・』

 

 海の方で怪獣の悲鳴と、倒れこんだのか派手に水飛沫を上げた音がした。

 それを聞いた全員が怪獣へと視線を移し、何があったのかと目を凝らす。

 人々の視線が集まる中で派手に上がった飛沫が収まると、そこにはもう一つの巨大な影。

 

『シェァァ‼』

 

 掛け声と共に怪獣と戦う、巨人の姿があった。

その場にいた誰もが、神か何かと錯覚した。

 

『ベロクロン・・・・・・。何でこんな所にいやがる』

 

 頭部に装着された二つの刃物。胸から肩に装着された銀色のプロテクター。青と赤のツートンカラーの中に銀色のラインが走る肉体に、胸に輝く青いランプ。

 そしておおよそ神とは思えない悪い目つき。おまけに喋る言語はまさかの日本語。

 

『まあいい。まずはぶっ飛ばす! 話はその後だ!』

 

 ぶっ飛ばしたら何も話せなくないかと言う周囲の無言のツッコミをよそに、巨人は怪獣に向かってその拳を突き出す。

 

『ラアアァァァァァァァ!』

 

 一発、十発、百発と、目にも止まらぬ速さで巨人が怪獣の腹部に拳を叩き込み、怪獣が苦しそうに呻く。

 

『ヴァァァァァァァ‼』

 

『うおっ・・・と、あっぶねー』

 

 負けじと怪獣も剛腕を振るうが、巨人は身軽な動きでそれをかわす。

 

「・・・何だこれ・・・・・・、夢でも見てるのか・・・?」

 

 そしてその光景をただ茫然を見つめる陸。

 陸だけではない、一体この場にこの状況を飲み込めている人間がいるだろうか。

 巨大な二体の生物が、自分たちの目の前で戦っている。

 そんな作り話の様な光景が、今まさに目の前に広がっているのだ。

 

「・・・・・・ウルトラマン・・・」

 

 喧騒の中でその小さな呟きは、やけに強く陸の鼓膜を打つ。

 ウルトラマン。あの巨人の名前だろうか。

 声の主を探して周囲を見渡すが、陸のいる坂道には他に人影は見当たらない。

 

「・・・・・・?」

 

 訝しく思う陸をよそに、巨人と怪獣の戦いはさらに激化していく。

 

『ゴガァァァァァァ‼』

 

『ッ!?』

 

 咆哮を上げた怪獣に巨人が反応して飛びのいた瞬間、怪獣の無数の棘から何かが発射される。

 どうやらまたミサイルらしい。全身からミサイル打ち放題とはなんともまあ滅茶苦茶な。

 さっきと違う点は大きさが三回りほど小さい事と――――

 圧倒的に数が多い事。

 そしてそのミサイルは巨人を無視し、陸達のいる方へと飛んできていた。

 

『ゼヤァ!』

 

 巨人が頭部についた二つの刃物を投擲し、次々とミサイルを海に叩き落していく。

 しかしそれをかいくぐったミサイルが地上に着弾、容易く地面を抉っていく。

そしてその一つが、陸の近くに向かって来ていた。

 

「ずらっ!?」

 

「ピギュッ!?」

 

 その先には何と二人の少女が。

 

「っ! あぶねぇ!」

 

 言うよりも早く陸が飛び出し、彼女達の方へと走って行く。

 自分でも信じられない速度で走り、やがて彼女達を突き飛ばした陸を爆風が襲った。

 

「ッ――――」

 

 まるで紙の様に陸の体は吹き飛ばされ、固い何かにぶつかった衝撃と共に陸の意識は闇の底へと消えた。

 

「うゅ・・・、え・・・?」

 

「・・・・・・っ、大丈夫ずらっ?」

 

 陸に突き飛ばされたおかげで事なきを得た少女達が、慌てて陸に駆け寄る。

 が、徐々に地面に広がっていく紅が、自分たちを助けた彼がどんな状態であるかを残酷に告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ッ―――――――――――‼」」

『ッ!? まさか・・・』

 

 少女達の悲鳴が耳に入った巨人―――、ウルトラマンゼロが悲鳴のする方向を向くと、身を震わせる少女二人と、頭部から流した血で血だまりを作っている一人の少年が。

 その近くでもうもうと煙が上がっているのを見ると、恐らくミサイルに吹き飛ばされたのであろう。

 

『あのヤロォ・・・・・・、何て無茶しやがる・・・』

 

 だがゼロ自身にも非が無いわけではない。自分がベロクロンのミサイル攻撃を失念していた事で起きた事故でもあるのだ。

 だが後悔している時間はない。一刻も早くベロクロンを倒さなくては。

 

『ワイドゼロ―――――』

 

 振り向きざまに光線を叩き込もうと構えたゼロの目に入ったのは、さっきまでとはかけ離れた姿のベロクロンだった。

 全体的なビジュアルが変わったわけではないのだが、腹部が裂けてそこから巨大な大筒が姿を現したのだ。

 そしてその大筒に集約していく赤と黒の光を見て、ゼロが驚嘆の声を上げる。

 まさか、あれは・・・。

 

『・・・レゾリューム光線だと・・・・・・』

 

 単純な破壊力もさることながら、その光線はもう一つ、ゼロにとっては恐ろしい効果を持っている。

 それは、純粋なウルトラマンの体を分解するという効果。

 本来はエンペラ星人のみが持つその力を、何故一超獣に過ぎないベロクロンが撃てるのか。

 

(まさか・・・、裏で何者かが糸を引いてやがるのか・・・)

 

 ゼロが思考を巡らせた刹那、発射の時を知らせる様にベロクロンの腹部の光が禍々しさを増す。

 

『ぐっ・・・‥』

 

 咄嗟に回避行動に移ろうとするが、ゼロの背後、つまり光線の矛先にはまだ多くの人間がいる。

 レゾリューム光線は威力も洒落にならない。もしゼロが回避しようものならその場にいた人間はおろか、恐らくここ一帯の地形が変わる。

 

『ギャゴガァァァァァァァァァァァァ‼』

 

 ベロクロンの咆哮と共に、漆黒の極光と化したレゾリューム光線がゼロに向かって解き放たれる。

 

『ちぃっ・・・。ウルティメイトイージス‼』

 

 ゼロの叫びに呼応したウルティメイトブレスレットが盾状に変形し、放たれたレゾリューム光線を受け止めた。絶対の矛と絶対の盾が衝突し、その矛盾を示すかのように白と黒の光が爆ぜては消える。

 人々は、それを見て初めて巨人が味方であることを悟った。

 

『ぐっ・・・お・・・・・・』

 

 身体が押し返される。デザストロを追う過程で何度も時空移動を繰り返して疲労しているゼロにこの衝撃は辛いものがあった。思うように身体に力が入らない。

 

『だあぁぁ‼』

 

 だがそこは戦士の意地。またはゼロの性格故か、気合と根性で押し戻す。

 同時にウルティメイトイージスもブレスレットに戻る。ブレスレットはひび割れ、しばらくの間紫電を迸らせた後、埋め込まれたクリスタルが輝きを失ってしまった。

 いくらウルティメイトイージスとは言え、レゾリューム光線ともなると全ては防ぎ切れないらしい。

 その証拠にゼロの体から少しずつ光が漏れ出ていく。

 

『・・・悪いな・・・こう何度も壊しちまって・・・』

 

 肩で息をするゼロがブレスに向かって何か呟くと、右手で光の吸収を始めた。

 

『ここらが潮時だぜ・・・・・・、ワイドゼロショットッ‼』

 

 L字に組んだゼロの腕から放たれた光線がベロクロンを貫く。

 ベロクロンが断末魔を上げた後爆散し、それを見た人々が歓声を挙げる。

 だが倒したゼロの表情に余裕はなく、苦しげにいつの間にか赤く点滅を始めていた胸のランプに手を当てている。

 

『う・・・・・・・・・、ぐ・・・ぁ・・・』

 

 しかし人々がそれを訝しく思ったのもつかの間、次の瞬間、ゼロの体は光の粒子となって虚空に霧散していった。

 

 

 




デザストロ、エックスやオーブの映画に名前だけ出てきた謎の怪獣。
超空大凶獣って、普通にヤバそうな名前してますよね・・・。
本編開始二話目にして主人公死亡。まあ、ウルトラマンシリーズならお約束ですけどね。
次回も当然お約束展開が起こります。大体予想がつくだろうけど。
にしても、レゾリューム砲搭載のベロクロンて・・・。
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