ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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既に持っているのにもう一つジードライザーを買ってしまいました。

売れ残ってたのかどうかは知らないけど、千円だったんだよね。ついつい。



三十話 重なる不安

 

 

 ゼロがダークロプスゼロを破壊し、まだ焦げ臭い匂いが残る東京の街の中。太陽は沈み、千歌達はようやく今日宿泊する旅館へと辿り着いていた。

 

「落ち着くずら~~・・・」

 

「気に入ってくれたみたいで、嬉しいわ」

 

 花丸に、梨子がどこか陰った笑顔で返す。

 

「なんか、修学旅行みたいで楽しーね」

 

「曜ちゃんは・・・、一体何着買ったの?」

 

 巫女服からコスチュームチェンジし、今度はCAの様な格好をして、一人コスプレ大会を開催する曜。巫女服にしろその服にしろ、それなりに値が張る事は確かだ。

 

「堕天使ヨハネ、降臨!」

 

 訂正、参加者はもう一人いた。

 黒いマントを翻し、お馴染みの堕天使コスプレをした善子が机に飛び乗る。

 

「ヤバイ・・・、カッコイイ・・・」

 

「ご満悦ずら」

 

「アンタだって東京のお菓子でご満悦なくせに‼」

 

 なんだかんだ皆東京を満喫しているようである。

 無理に明るく振舞っている感は、どうしても否めないが。

 ツッコんだ後、謎の儀式を再開した善子を尻目に、花丸はバッグの中を漁りだす。

 

「ふふ・・・、まるレベルになると、お土産以外に夜食用のお饅頭も買って・・・・・あれ?」

 

「ん! 美味しいこれ」

 

「本当」

 

 夜食用の饅頭が行方不明になっている事に気付き、そっと視線を上げた花丸の目に映ったのは曜と梨子に食された饅頭の姿だった。

 

「あぁー! まるのバックトゥザぴよこ万十――――ッ‼」

 

「むぐっ・・・・・・」

 

「りょ、旅館のじゃなかったの?」

 

 突然叫んだ花丸に驚き、曜が青い顔で饅頭を喉に詰まらせる。

 

「それより・・・、そろそろ布団引かなきゃ・・・」

 

 梨子が涙目の花丸に頭を下げている一方、ルビィは押し入れから布団を抱え、よろよろとそれを運び出す。

 

「おっとっと・・・」

 

 だがルビィに支えられる重量ではない。バランスを崩し、四人のいるテーブルの方へと倒れこんできた。

 

「「「「「うわぁっ!?」」」」」

 

 曜が埋もれ、梨子は吹き飛び、一年生はテーブルに突っ伏し、バックトゥザぴよこ万十が辺りに錯乱する。

 

「ねぇ・・・・・・って、あれ?」

 

 それとほぼ同時に、少し思いつめた表情で部屋に入ってきた千歌が、部屋の惨状を見て素っ頓狂な声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダークロプスゼロを倒した後、陸とゼロは夜だというのに明るい秋葉原の街を当てもなく歩き回っていた。

 普段の陸ならこの沼津の比にもならない大都会に興奮していたのだろうが、不思議とそんな気分にはなれなかった。

 

「・・・・・・らしくなかったな。さっきのお前」

 

〈・・・・・・まあ、ちょっとイライラしててな・・・。自分に・・・〉

 

 先程入った家電量販店のテレビには、東京に現れたゼロの事が報道されていた。

 執拗にダークロプスゼロを破壊したゼロに、反感を持つ者もそれなりにいるらしい。

 

〈・・・・・・それにしても、まさかダークネスファイブが生きていたとはな。・・・オメガ・アーマゲドンで死んだとばかり・・・〉

 

 ダークネスファイブ。

 宇宙船にいた五体の宇宙人の事を指し、奴らはウルトラマンベリアル直属の精鋭部隊なのだそうだ。

 その内の一人、メフィラス星人魔導のスライが口にした事が、陸はずっと心に引っかかっていた。

 

「・‥ゼロ」

 

〈・・・ん?〉

 

「・・・・・・スライって奴が言ってたスカルゴモラって、何だ?」

 

 千歌達の救出の為、宇宙船に乗り込んだ際にゼロがスライに向かって突き出した言葉。

 ゼロは、陸よりも早く六年前の怪獣災害の真相に気付いていたらしい。

 

〈・・・・・・悪い。言おうと思ったんだが・・・、あの時は邪魔が入ってな〉

 

「・・・そこはもういいよ。とにかく、知ってる事全部教えてくれ」

 

「それはボクからするよ」

 

「っ・・・・・・?」

 

 後ろから肩と掴まれ、陸は足を止めた。

 

「やあ陸君。無事に千歌ちゃん達を助けられたみたいだね。良かった良かった」

 

 背後から聞こえる軽快な口調。肩に乗せられた腕を振り払いながら振り返ると、今の陸には憎たらしく思える笑みを作った男がいた。

 

「・・・オウガ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございまーす」

 

 街中でオウガに声を掛けられた陸は、何故か秋葉原の外れにある和菓子屋でオウガと共に饅頭を購入していた。

 

「ここ、人によっては聖地みたいなものだから、千歌ちゃん達にも教えてあげなよ」

 

 美人の若い女店員から饅頭を受け取り、オウガは満足気である。穂むらと書かれた看板を指さし、そんな事を言って来る。

 

「ここのお饅頭は美味しいよ? そんなむすっとした顔してないで食べてみろって」

 

「・・・・・・」

 

 仏頂面を崩さない陸に、オウガがやれやれと肩を竦めた。

 

「ハイハイ分かったよ。スカルゴモラの話をすればいいんでしょ」

 

 袋の中から饅頭を一つ口に放り込むと、ベンチにどさりと腰かけた。

 

「その様子だと、もう六年前に日本中を襲ったのがスカルゴモラだって事は知ってるんだろ?」

 

 オウガの問いに、陸が首肯する。

 

「・・・・・・答えろ。何でスカルゴモラは内浦を襲った」

 

 スライは気まぐれだとか言っていたが、怪獣を送り込んで自分は高みの見物を決め込むような奴がそんな無駄な事をするなど陸は到底思えなかった。

 

「・・・まあそうだね。実験だよ」

 

「・・・・・・実験‥?」

 

「そう。ちゃんとスカルゴモラに変身・・・、いや、フュージョンライズできるか」

 

「・・・・・・どういう事だ」

 

「ん~~~~・・・・・・。そーだなー・・・・・・。まずはスカルゴモラについて説明した方が良かったかな?」

 

 もう一つ饅頭を口に含むと、もちもちと咀嚼を始めるオウガ。

 緊張を幾ばくか解すため、陸も購入した饅頭を口に放り込む。作ってくれた人には悪いが、今の陸には殆ど味は感じられなかった。

 やがてオウガは饅頭を飲み込むと口を開いた。

 

「スカルゴモラはね、変身して初めて出現する怪獣なんだよ。そう例えば、君がゼロ君に変身するみたいにね」

 

「何・・・?」

 

 オウガが吐いた言葉に、陸が硬直する。

 オウガの言葉を信じるならば、スカルゴモラは送り出された怪獣ではなく、何者かが変身した怪獣だという。

 

「スカルゴモラはレッドキングとゴモラ。この二体の怪獣の力と、ウルトラマンベリアルの力が融合して誕生したベリアル融合獣の事を言うのさ」

 

「ベリアル・・・融合獣・・・」

 

「そ。・・・・・・これを使う事でフュージョンライズできる」

 

 そう言ったオウガが胸元から取り出したのは、ベースの赤の中に黒と銀のラインが走り、中央に二重螺旋のような形をしたシリンダーが埋め込まれた物体と、レッドキングとゴモラの姿の絵が描かれた二つの黒いカプセル。

 

『ッ‼』

 

 オウガがそれを見せつけてきた瞬間、ゼロが無理矢理人格を入れ替え、奴の胸倉を掴み上げた。

 

『・・・・・・何でテメェがライザーを持っている・・・・・・。六年前に現れたスカルゴモラはお前かっ!?』

 

「・・・・・・いいや、六年前のスカルゴモラに変身してたのは伏井出ケイだよ。このライザーは彼の物をスライから譲り受けたのさ」

 

 オウガは胸倉を掴まれたまま、ライザーを胸の前で構える。

 

「フュージョンライズ! ってね。こんな感じで。六年前、伏井出ケイはリトルスターの発現状況の調査と、繰り返しフュージョンライズすることで自身がそれに適応できるようにしていたって訳。ほら、サイドアーズでもスカルゴモラが出現したのは六年前だろ?」

 

『・・・・・・なら何故こっちの地球では六回も出現した』

 

「向こうでフュージョンライズし続けるのは伏井出ケイにとっても都合が悪かったんだよ。ウルトラマンキングと融合した宇宙だぜ? そんなところで何回もベリアル融合獣になってたら、流石に宇宙警備隊に感づかれるさ。それでこっちの地球で実験をしていたって訳。幸い、こっちの地球にはアナザークライシス以降、宇宙警備隊の監視の目が届いてなかったからね。まあ、鳥羽ライハみたいなリトルスター発症者は見つからなかったらしいけど」

 

『ぐっ・・・・・・』

 

 アナザークライシスを止められなかった事に責任を感じていたゼロが、憤怒と自身の不甲斐無さをない交ぜに歯嚙みをする。

 

(ゼロ、悪いけど変わってくれ)

 

 陸は再び前に出ると、極力平静を装ってオウガの胸倉から手を離した。

 

「・・・・・・まだ答えてないだろ。スカルゴモラが内浦を襲った理由。偶然じゃないんだろ」

 

「・・・・・・・・・『ディザスト・スマッシュ』」

 

 意味不明のオウガの返しに、陸の眉が吊り上がる。

 

「真面目に――――ッ!」

 

「・・・今はこれしか言えないかな。と言うか、ボクもこれしか知らないんだけどね」

 

 再び掴みかかった陸の手を払い除けると、オウガは身体を霧に変え、夜の帳が包み込んだ街の闇に消えていった。

 ぽすりと、先程までオウガが持っていた和菓子の袋がアスファルトを叩く。いつの間にか全部食い切ってやがった。

 

〈・・・・・・俺の・・・、せいだってのかよ・・・・・・〉

 

 自責の念で塗りつぶされたゼロの呻きは、音として陸の耳に届く事はなかったが、

陸の頭の中でだけは、いつまでも、切実に反響していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「音ノ木坂って、μ‘sの?」

 

 布団とバックトゥザぴよこ万十で散らかった部屋を片付け、浴衣に着替えた千歌達は六人でテーブルを囲って座っていた。

 

「うん、この近くなんだって。・・・梨子ちゃん」

 

「ん?」

 

「今からさ、行ってみない? 皆で」

 

 どことなく沈んだ空気を振り払おうと、千歌が憧れでもあるμ‘sの母校、音ノ木坂学院に行くことを提案した。

 その提案に、梨子の表情の陰りが、微かにだが増す。

 

「私、一回行ってみたいと思ってたんだ。μ‘sが頑張って守った高校、μ’sが練習していた学校」

 

「ル、ルビィも行ってみたい!」

 

「私も賛成―!」

 

「東京の夜は物騒じゃないずら?」

 

「なっ、なにっ? 怖いの?」

 

「善子ちゃん震えてるずら」

 

「ヨハネよ!」

 

 少し皆に明るさが戻ってきたのを見て、千歌はこの提案をしたのは正解だったと思った。

 ただ一人、余計に明るさを失った者がいるのには気づかなかったが。

 

「ゴメン。私はいい」

 

 音ノ木坂の出身であるはずの梨子が、この中で唯一不参加の意志を表明した。

 全員が以外そうな顔で梨子を見る。

 何か思い詰めていそうな梨子の顔を見てしまっては、誰も音ノ木坂に行こうとは言えなかった。

 

「・・・・・・そうだよね。やっぱりこんな時間に私達だけで行くのは危ないよね・・・」

 

 苦笑を浮かべながら曜が言った言葉に、一年生三人が空気を読むように首肯した。

 

「・・・うん。守ってくれる陸ちゃんもいないし・・・・・・、っ・・・」

 

 千歌は今この場に置いての禁句である陸の名前を出してしまっていた事に気付き、はっと口を噤む。

 

「・・・・・・陸先輩、まる達の知らない所で何かやってるのかな・・・」

 

「・・・関わるなって、言ってましたよね」

 

 千歌が名前を出してしまったことにより、皆心の内にため込んでいた疑問や不安を零し始める。

 

「・・・・・・もう寝よっか」

 

 これ以上空気が重くなるのをさせるために曜が切り出し、皆それに賛同して立ち上がっていく。

 

「ですね・・・、明日ライブですし」

 

 こうして東京の夜は、交錯する不安に彩られながら更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 摩天楼の様に聳え立つ建物の前で、そこに設置された巨大なモニターを眺めている陸。

 あの後、一睡もせずに夜の秋葉原を当てもなく散策していた。

 ゼロと一体化しているので睡眠をとらなくとも問題は無いのだが、精神の疲弊はまた別物だ。

 

「・・・・・・」

 

 一晩中焦燥と煩悶に身と心を焦がしながら、陸はある事に延々と思考を巡らせていた。

 どうしてダークネスファイブは千歌達を攫ったのか。

 奴らが狙っているリトルスターを発症した者は、今のAqoursにはいないはずだ。

 いくら過去に発症した人間が四人もいるとは言え、今更それを連れ去ったところで何になるというのだろうか。

 悶々とそれを考え続け、疲れ果てた陸の頭が出した答えがこれだ。

 

(・・・・・・俺と、一緒にいるから・・・)

 

 考えるまでもなかった。

 ベリアル直属の部下であるダークネスファイブと、ベリアルを倒したゼロの因縁が深くない訳がない。

 つまりは、そんなゼロと一体化している陸と一緒にいるからこそ、Aqoursは狙われたのだ。

 ・・・・・・陸とゼロが六人から離れた、このタイミングを見計らって。

 奴らが千歌達を攫ってどうしようとしていたかは分からない。

 人質に取るつもりだったのかもしれないし、何か他の理由。

 見せしめにあの中の誰かを殺す事だって十分にありえた。

 

「・・・・・・」

 

 果たして自分は、このまま彼女達と共にいていいのだろうか。

 陸がゼロと共に戦っているのは、自分の意思に沿ってそうしたいと決めたからだ。

 でも千歌達は?

 戦いの渦中に身を置いた陸と共にいる彼女達は、果たしてこの戦いに巻き込まれる事を望んでいただろうか。

 ・・・・・・答えはNOだ。

 彼女達はただ純粋に輝きに魅せられ、それを目指しがむしゃらに走っているだけ。

 リトルスター関連の場合は明確にリトルスターと言う目的があったが、今回ダークネスファイブがAqoursを攫って行った事はリトルスターとは関係がない。それはついに矛先が六人に向いたという事を如実に物語っている。

 それは恐らく、陸が彼女達と共に居続ける限り終わる事はないだろう。

 

「・・・俺が、Aqoursから離れるべき・・・・・・」

 

「・・・・・・陸ちゃん・・・?」

 

 天を仰ぎながら陸がそう呟くと、真横から慣れ親しんだ声が聞こえた。

 その声に反応して身体を向きなおすと、最近はもう見慣れた練習着に身を包んだ千歌がいた。

 夜間に電車を乗り継いで向かうと言っていた為、別にこの時間に陸がここにいても何ら不思議ではないはずなのに。

 千歌は、いつになく不安そうに陸を見ていた。

 

「・・・・・・なんだ・・・、もう来てたんだ・・・」

 

 態度もどこかぎこちない。

 

「・・・まあな。居ても立っても居られなくてよ・・・」

 

 嘘は言っていない。

 実際彼女達が心配で、前日から東京に留まっていたのは事実だ。

 

「・・・お前は・・・、練習か?」

 

当たり障りのない質問を投げかける。

 

「・・・うん。まあ、そんな感じ・・・」

 

 声にいつもの張りがない。

 普段の千歌ではない事は、幼馴染の陸でなくともわかるだろう。

 

「・・・・・・そ」

 

 なんとなく目を合わせているのが辛くなり、そっと目を逸らす。

 都会特有の強いビル風が吹き、少しジメジメしていた辺りの空気を吹き飛ばし、ボソッと呟いた陸の返答も風に乗って流されていく。

 だが次に千歌が零した言葉までは、風は乗せていってはくれなかった。

 

「・・・・・・陸ちゃんさ・・・、何か隠してる・・・?」

 

「っ・・・・・・!?」

 

 心臓が飛び出して行ったかと思った。

 どうしてこのタイミングでそんな事を聞いてくるのか、思い当たる節を頭の中で探りまわる。

 結果一人の宇宙人の名前が出てきた。

 

(・・・・・・スライ・・・)

 

 千歌達はスライに何か言われたのだろうか。

 

「・・・どうした、急に?」

 

 努めて平静に普段と何一つ変わらない態度を心掛け、焦る内心を露呈させない様に振舞う。

 

「・・・・・・何か、陸ちゃんが遠くに行っちゃうような気がして・・・・・・」

 

「っ・・・・・・!」

 

 隠すことが出来なかった。

 今の内心を見透かされたような千歌の言葉に対する動揺を。

 

「・・・・・・ねえ、陸ちゃん。私達に隠れて、何か危ない事とかやってないよね・・・?」

 

 ・・・・・・もう打ち明けるべきなのだろうか。

 自分が、ウルトラマンゼロだという事を。

 そしてそれが故に、千歌達はダークネスファイブに狙われている事を。

 

「・・・・・・なあ、千歌・・・」

 

 だからもう、陸とは関わらない方がいいという事を。

 ・・・・・・伝えなくちゃ、いけないんだ。

 

「・・・実は・・・、俺な・・・」

 

 陸がまだ残っていた躊躇いを振り払い、千歌に真実を伝えようとするのと、何も映っていなかったモニターから映像と音楽が流れるのは同時だった。

 弾かれた様に、陸も千歌もそちらに視線を移す。

 そこに書かれていたのは、ラブライブと言う文字だった。

 

「ラブ・・・ライブ・・・」

 

「今年のラブライブ。遂に発表されたね!」

 

 背後から快活な声がし、二人同時に振り向くと、残りのAqoursのメンバーが練習着に身を包んで並んでいた。

 陸を見る目が、ちょっとばかし憂わし気に染まっているのが気になるが。

 

「・・・どうするの?」

 

 だが皆、陸と千歌がどんな話をしていたかは聞かなかった。

 こんなところでそんな質問をするのは、野暮だと分かっているのだろう。だからこそ何も聞かない。

 その代わりに、別の問いを投げかけて。

 

「勿論出るよ! μ‘sがそうだったように、さあ行こう! 今、全力で輝こう‼」

 

 ラブライブの開催に奮起されたのか、先程陸に見せた悲し気な表情など微塵も感じさせず、五人に向かって手の甲を差し出す。

 それに従い、その上に五人の掌が重なった。

 

「陸ちゃんは?」

 

「・・・・・・いや、俺はいいや・・・」

 

 本当の事を千歌に打ち明けて、今の関係が壊れなかった事に安堵している自分がいる事に気付いた陸。

 もう既に巻き込んでおきながら、それでもまだこの関係に甘えようとしている。

 傲慢もいい所だろう。

 そんな陸は、この輪の中に入る資格はないから。

 

「「「「「「Aqours! サーン・・・シャイ――――ンッ‼」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ランキング?」

 

「ええ。会場のお客さんの投票で、出場するスクールアイドルのランキングを決める事になったの!」

 

 会場入りしたAqoursは、スタッフの人にイベントについての説明を受けている最中だった。

 

(ランキング・・・・・・)

 

 人間は何かと競争したがる生き物だ。少女達の純粋な思いがぶつかるこのスクールアイドルは、まさにピッタリの競技と言える。

 

「Aqoursの出番は二番目! 元気にはっちゃけちゃってねー!」

 

 やたらとテンションの高い女性スタッフが去っていき、千歌達は顔を見合わせた。

 

「二番目?」

 

「前座って事ね・・・」

 

「仕方ないですよ。周りは全部ラブライブの決勝に出た事のあるグループばかりなんですから」

 

「でも、チャンスなんだ。頑張らないと」

 

 力のあるグループばかりがそろっているこの大会に呼ばれたという事は、Aqoursもそれなりには世間の認知度が上がり、スクールアイドルとして認められてきたという事だろう。

 そんな大会で上位にランクインした時に得られる人気は計り知れない。発足して間もないAqoursが更にはばたく、またとないチャンスだ。

 

「・・・・・・ま、気張らず行ってこい。いつも通りのお前等でな」

 

「うん!」

 

 陸のエールを胸に、千歌達は控室へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 客席へと移動した陸は、会場のあまりの熱気に圧倒されていた。

 さながら、それこそテレビに出ているようなアイドルを待ち望むような佇まいの人々。

 スクールアイドルが如何に人気を博しているのか、改めて実感させられる。

 

〈・・・・・・陸・・・〉

 

(・・・・・・どうした・・・?)

 

〈・・・・・・大丈夫なのか?〉

 

(・・・・・・どうだか。あいつ等、こんな大勢の前で歌うの初めてだしな・・・)

 

〈・・・いや、確かにそれも心配だが・・・、お前は―――〉

 

『ではーっ! トップバッターはこのグループッ! Saint Snow!』

 

 ゼロが何か言いかけたところで司会者の声が会場に響き渡り、沸き上がった観客の熱気が音の塊と化し、ビリビリと陸の身体を貫く。

 

「・・・・・・Saint Snow・・・」

 

緊張した面持ちで、陸はステージ上に現れた二人の少女を見据えた。

 

 

――――――SELF CONTROL‼

 

 

 パフォーマンスを終え、照明に照らされた彼女達の姿は、今までAqoursしか見てこなかった陸の目には全く別物の様に映った。

 派手さに欠ける二人と言う人数を、まるで感じさせない圧倒感。

 雰囲気と言うか、覚悟が違う。そう感じざるを得ない様なライブ。

 Aqoursのパフォーマンスはまだだというのに、もう、打ちのめされた気がしてならない。

 

〈・・・・・・すげぇ・・・〉

 

 ライブ中一言も声を発さなかったゼロが、喋り方を思い出したように感嘆の声を漏らす。

 それが飾り気などない、純粋にSaint Snowのライブへの感想だと察するのに、そう時間はかからなかった。

 

『続いてー! 人気急上昇中のフレッシュなスクールアイドル! Aqoursの皆さんです!』

 

「・・・・・・」

 

〈・・・・・・〉

 

 もはや何も言うまい。

 今のSaint Snowのライブに圧巻されたのは、ステージの袖でそれを見ていた六人も同じだろうから。

 今はただ、彼女達を信じるだけだ。

 

 




六年前のスカルゴモラは、可愛そうな人こと伏井出ケイだった事が判明しました。
彼の持っていたライザーはオウガの手に渡った訳ですね。

ルビィ「・・・・・・でも、ライザーってウルトラマンの力を持つ人しか使えないんじゃ・・・」

俺「・・・・・・」



考え無しにライザーを持たせた訳ではないので安心してください。
それでは次回で!
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