ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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次回の仮面ライダービルドが気になって仕方ない。
戦兎に何があったんだよ・・・・・・。



三十四話 気持ち裏腹

 

 

「・・・・・・全員で来る必要あったか?」

 

「だって・・・・・・、皆っ・・・、来たいって言うし・・・・・・」

 

 早朝。

 千歌の提案で、この日は日課のランニングをしている果南を尾行することになった。

 目の前には、気持ちよさそうに走る果南の姿が。

 

「ま、まるっ・・・・・・、もうダメずら・・・」

 

「ル・・・・・・、ルビィも・・・・・・」

 

「ヨハネ・・・・・・、昇天・・・」

 

「っ・・・、っ・・・、っ・・・」

 

 死にかけている花丸、ルビィ、善子、梨子とは大違いだ。全員顔から血の気が引いており、梨子に至ってはしゃべる余裕すらもない様だ。

 

「・・・・・・こいつ等連れてきたの失敗だったな・・・」

 

 ゼロと一体化して体力のパラメータがカンストしている陸、この場だと陸に次いで体力のある曜。そして言い出しっぺの千歌がいるのは分かるが、さして体力もない上に果南とそれほど関わりのないこの四人が何故ついてきたのか。

 正直言って完全に足手まといである。

 

「陸先輩~~・・・」

 

「却下だ」

 

 懇願する花丸を突き放し、陸は少し離れた所で走る果南に再び目を向けた。

 もう既にかなりの距離を走っているが、息切れしている様子は全く見受けられない。

 

「相変わらず化け物みてーな体力してるな、それにめっちゃはえーし」

 

「陸が言う・・・・・・?」

 

「・・・でも、何か気持ちよさそうだね・・・・・・」

 

「・・・まあ、な」

 

 千歌の言う通り、走る果南の顔はとても輝いて見える。

 小さい頃からずっと、果南が陸達に向ける顔はずっとあんな感じの曇り一つない笑顔だった。

 

(・・・・・・姉ちゃん)

 

 ダイヤの話によれば、鞠莉にグループの解散を提案したのは果南なのだそうだ。

 留学を控えていた鞠莉がそう言うのなら分かるが、鞠莉はむしろまだスクールアイドルでいようとしていたらしい。

 その反対を果南は押し切り、スクールアイドルの道から離れたという。

 何故果南が。理由として考えられるのはやはり東京のイベントで歌えなかった事だが、前に千歌言っていた様にそんな事で辞めてしまう果南ではない。

 果南は裏表のない人だと思っていたし、陸が最も信頼を置いている人物の一人なのでこうして疑うのは心苦しいのだが、今回ばかりは疑いの目で見ざるを得ない。

 

「・・・・・・逃げた訳じゃない・・・、か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で? いきなり呼び戻して何の用だい?」

 

 ダークネスファイブが潜む宇宙船。

 

『・・・・・・あなたの言った通り、高海千歌から例の光が観測されました』

 

 ゼロに破壊された船体を修復し終わった宇宙船の中で、オウガは自分を呼び戻したスライの顔を見上げた。

 

「やっぱり? さっすがボク。・・・・・・って事は、そろそろ作戦を実行に移すって事かい?」

 

『もうしばらくは様子を見ますがね。高海千歌の監視をしろと、地球に滞在しているマグマ星人に伝えておいてください』

 

「はいはい。・・・・・・はぁ、そんな理由で呼び出されたと思うと悲しーね」

 

『まあまあ、偉大なる陛下が御復活になられるのです。その礎になれると思えば光栄でしょう?』

 

「・・・・・・まあ、どっちかと言えば楽しみかな? ボクは彼に会った事はないから。・・・‥それで、ボクにその作戦の概要を教えてくれるつもりは無いのかな?」

 

『物事には役割分担と言うものがあります。あなたは与えられた仕事だけこなしていなさい』

 

「・・・・・・」

 

 オウガが少しだけ不愉快そうに眉を顰める。

 ダークネスファイブの陣営に就いてからそれなりに経つ。スライに言われた仕事も、自分なりには忠実にこなしているつもりだ。

 だが、スライに限らずダークネスファイブの面々が作戦の詳しい概要をオウガに教えてくれることはなかった。

 仕方なくやっている任務とは言え、ちょっとは楽しめる要素が欲しいものだ。

 

(・・・・・・肝心なところはいっつもお茶を濁されちゃうんだよなー。面白くなーい)

 

 なんて文句をスライに聞かれる訳にもいかないので、心の内に留めながらオウガは部屋を出る。

 そして懐からライザーと、二つの黒いカプセルを取り出した。

 

「・・・こんなものもらっちゃったからには、もうしばらくは従ってないとね。あいつ等にペコペコするのはちょっと癪に障るけど」

 

 正直、スライの言う陛下とやらの復活はオウガにとって問題ではない。彼が宇宙を支配しても、誰かに倒されても、どっちになろうがオウガにとっては好都合だから。

 ・・・・・・その復活作戦の全貌を教えてもらえないのは、少し不都合だが。

 その陛下が復活すれば、オウガがダークネスファイブに仕える理由もなくなる。そうなったらさっさとトンズラをこくつもりだ。

 彼なら、協力者の自分を殺す事にも躊躇はないだろう。

 それではここまで使えてきた意味が無くなる。

 

「・・・・・・生きる為にわざわざこんな事しないといけないなんてね。ホント、ウルトラマンジードが羨ましいよ」

 

 オウガはライザーとカプセルを懐にしまうと、誰にも見せた事のない悲し気な表情で呟いた。

 

「ベリアルの息子なのに、正義の味方として生まれてこれてさ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 果南を追いかけ続けた陸達は、最終的に弁天島にまで来ていた。

 果南の圧倒的な体力を前に、Aqoursは一人残らず撃沈。果南にバレない様にと隠れた茂みの中で全員へたり込んでしまっている。

 

「えっ・・・?」

 

 そんな六人を一瞥し、果南の方を向いた陸は、思わず目を見開く。

 

「~~~♪」

 

 果南は、踊っていた。

 陸達には一度も見せた事のない華麗なダンスを、本当にいい笑顔で踊っている。

 

「綺麗・・・・・・」

 

 千歌もそれに気付いたらしく、何の飾り気もない素直な感想を紡いでいた。

 陸の感想も綺麗の一言だ。果南の踊るバレエの様な舞は、シンプルながらも精錬された美しさを感じる。

 とても、失敗が原因でスクールアイドルを辞めた人間の踊りとは思えない。

 その割には、鍛錬されすぎているのだ。

 

「ふふ・・・・・・」

 

 そんな果南に、微笑みと共に拍手を送る人影が一つ。

 

「復学届、提出したのね」

 

 それは浦の星女学院理事長兼生徒の、小原鞠莉だった。

 どうやら鞠莉も、陸達同様果南を尾行、と言うよりは、待ち伏せしていたらしい。

 鞠莉が姿を見せた瞬間、果南は踊るのを辞めて露骨に眉を寄せた。

 

「まあね」

 

「やっと逃げるのを辞めた?」

 

「勘違いしないで、休んでたのは父さんの怪我が元で、それに復学してもスクールアイドルはやらない」

 

 険悪な雰囲気が漂う中で、鞠莉はなおも余裕の表情を保っている。

 

「私の知ってる果南は、どんな失敗をしても、笑顔で次に向かって走り出していた。成功するまで諦めなかった」

 

 立ち去ろうとする果南を引き留める様に、鞠莉は言葉を連ねていく。

 そんな鞠莉に対して、果南は足を止めて振り返った。

 

「卒業まで、あと一年もないんだよ?」

 

「一年あれば十分。それに、今は後輩たちもいる」

 

 鞠莉の言葉に、隠れていた陸とAqours一行がビクンと肩を震わせる。

 

(・・・・・・隠れてるのバレてる・・・?)

 

〈いや。二人もこっちに一度も視線を向けていない。単純に果南をスクールアイドルに勧誘するための売り文句だろ。Aqoursには千歌も曜もいるしな〉

 

 とりあえず尾行がバレなかった事に安堵し、ほぅっと安堵の息をつく陸。

 

「だったら、千歌達に任せればいい」

 

「果南・・・」

 

 頑なに再びスクールアイドルを始める事を拒む果南。何故だかは分からないが、鞠莉に対する果南の態度は、陸が今までに見たことがない程に辛辣だ。

 

「どうして戻ってきたの? 私は・・・・・・、戻ってきてほしくなかった・・・」

 

「っ・・・・・・!」

 

 あまりの物言いに、流石の鞠莉も引きつる。それでも何とか表情を保ち、再度果南に笑いかけた。

 

「相変わらず、果南は頑固‥・・・」

 

「もうやめて」

 

 鞠莉の言葉を、果南が途中で遮る。

 

「もう見たくないの。・・・・・・あなたの顔」

 

「ッ・・・・・・‼」

 

〈なっ・・・・・・‼〉

 

 果南が果南とは思えない程に冷たい声音で吐き捨てた。

ゼロが驚きに声を上げ、陸が思わず前へ身を乗り出す。

 果南にその言葉を吐かれた鞠莉の表情が、苦しそうに崩れたからではない。

 陸とゼロの視線の先は、果南の胸。

 自分で鞠莉を突き放しておいて少し悲しそうな顔をする果南の胸は、強く光り輝いていた。

 

 そしてその刹那だった。

 

『ハアァァァァッ‼』

 

 突如現れた右手に巨大なサーベルを装備した黒い影が、果南目掛けてそのサーベルを振り下ろしたのは。

 

「えっ・・・?」

 

『ぐっ・・・!』

 

 咄嗟に人格を入れ替えたゼロが迎撃をしようと飛び出るが、間に合わない。

 

「果南ッ‼」

 

 そしてそのサーベルが果南を貫こうとした瞬間、

 

『がはぁっ‼』

 

 果南とは別方向で何かが煌いた後、X字の炎がその影、マグマ星人を直撃したのだ。

 炎に包み込まれたマグマ星人は、かつてゼロがやったように地面を転がって火を消化しようとしている。

 

『ッ!? 何!?』

 

 炎が飛んできた方に目をやると、果南同様に胸を光らせた鞠莉が。

 

『ぐ・・・、貴様もか・・・・・・』

 

 マグマ星人は身体に纏わりついた炎を振り払い、今度はそのサーベルを鞠莉に向けて地面を蹴った。

 

『ならば貴様から――――』

 

『オォウラァ‼』

 

『がびっ・・・・・・!』

 

 ゼロが弾丸の如し速度で繰り出した蹴りが、マグマ星人の顔面を捉える。

 

「陸っ!?」

 

 突然の陸の登場に驚く果南の前でゼロは足を振り抜く。

 するとマグマ星人は砕けた鉄のマスクを辺りに撒き散らしながら吹き飛び、派手な音を立てて大木に激突した。

 鉄が砕けるほどの衝撃、マスクがなければ顔面がどんな悲惨な状態になっていただろうか。

 

『っ・・・・・・、クソッ・・・!』

 

 よほど素顔を見られたくないのか、マグマ星人はサーベルのない方の手で顔面を覆いながら森の中に消えていった。

 

『ったく・・・。またあいつかよ・・・』

 

 マグマ星人が消えていった方に唾を吐き捨てると、果南と鞠莉の方を向いて陸に人格を戻す。

 鞠莉は今も光っている胸に目もくれる事もなく、心配そうに果南の元へと駆け寄っていた。

 

「果南っ・・・・・・」

 

「っ・・・・・・、来ないで!」

 

 だが果南は鞠莉の腕を振り払うと、そのまま走り去って行ってしまった。

 ひどく歪む鞠莉の顔は、あまりにも不憫で見ていられない。

 

「・・・・・・陸。ありがとね」

 

 それだけ言い残した果南の胸の光は、一層輝きを増していた。

 そのお礼が、果南を助けた事に対するものではない事を、陸はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 果南が立ち去り、鞠莉ももう行っていいよとの事だったので、陸達は弁天島を後にした。

 よもやあんな光景を目撃してしまうとは。

 

「ひどい・・・‥」

 

「可哀想ずら・・・」

 

 ―――もう見たくないの。あなたの顔。

 

 そう言い放った後、果南はどうして陸がここにいたのかも聞かずに立ち去ってしまった。

 鞠莉と一緒にいるのを避ける様に。

 Aqoursの話題はそれで持ち切りだ。

 

「・・・・・・何であんなところに宇宙人がいたんだろう」

 

 そう言って曜は、電柱に凭れ掛かって考え込む陸に視線を向けた。

 Aqours六人はゼロが飛び出す直前に後ろに下げたので、果南と鞠莉のリトルスターの事は知らない。

 それでも二人の会話は聞こえていたらしい。

 

(・・・何であんなに早く宇宙人が出てきたんだ・・・・・・?)

 

〈分からん。前々から果南のリトルスターに感づいていたか、あるいはたまたまあそこにいたか・・・・・・〉

 

(どっちにしろ、対策しないといけないよな。・・・・・・二人分)

 

 今回は一人じゃない。果南と鞠莉、この二人が同時にリトルスターを発現している。

 

〈まあ、果南が復学するのは幸いだったな。学校にいる間は俺が監視できる〉

 

(ああ、頼む)

 

 学校にいる間に連中が襲いかかってきた事はないので、そこまでの心配はしなくていいだろうが念の為だ。

 それにしても・・・、

 

(・・・・・・なあゼロ。リトルスターは、宿主の感情に呼応するんだよな? 守りたい、自分自身のままでいたいとか)

 

〈・・・そうだが・・・、今更どうした?〉

 

(・・・・・・そうなら、姉ちゃんのリトルスターは何で発現したのかと思ってな)

 

 梨子はピアノ。ルビィはスクールアイドル。善子は堕天使ヨハネ。花丸は無尽蔵の優しさ。鞠莉のリトルスターも、果南を思いやる気持ち故だったのだろう。

 各人とも、それぞれの思いが形になって発現していた。

 だったら、果南のリトルスターは何なのか。

 

〈単純に、鞠莉と関わりたくないからじゃないのか?〉

 

(そうは・・・・・・、思えないんだよな‥・・・)

 

 鞠莉に向かって顔を見たくないといった時の果南の表情は、そう言われた鞠莉と同じくらいに悲しげだった。

 とてもそれが本心からの言葉だったとは思えない。

 

(・・・・・・姉ちゃん。昔から滅茶苦茶優しくてさ。人が傷つく様な事は絶対に言わない人だったから)

 

 果たしてそんな果南が、顔も見たくなくなる程に友人を嫌うだろうか。仮にそうだったとしてもそれをわざわざ口にするだろうか。

 それにダイヤの鞠莉へ対する態度も気になる。

 果南ほど辛辣な態度はとっていなかったものの、他の人に比べると厳しく接している事には変わりはない。

 

〈・・・・・・つーこた。歌えなかったこと以外にも理由があるのは間違いなさそうだな〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「果南ちゃんが?」

 

「うん。今日から、学校に来るって」

 

「それで、鞠莉さんは?」

 

「まだ・・・、分からないけど・・・」

 

 教室のベランダで話していた千歌、曜、梨子の二年生三人が、不安げな表情で一つ上の階にある三年生の教室の方を見上げた。

 果南は今日から復学するとの話だ。鞠莉と果南のあんな会話を聞いてしまった手前、どうしても不安になってしまう三人。

 

〈また喧嘩してんのかね・・・・・・。流石に学校来てまで言い争う程子供じゃないとは思うが・・・・・・〉

 

 今日は梨子に憑依したゼロも、それは同じだった。

 本当なら三年生の誰かに憑依できれば良かったのだが、前回善子のリトルスターに身体から追い出された事もあるので、今回は少し距離を置いての監視だ。

 この状態でも上の階の会話ぐらいは聞こえる。何かあったなら、上にいる誰かに乗り移って戦うつもりだ。

 

〈・・・って、それはウルトラマンとして如何なるものなんだ・・・?〉

 

 これではやっている事が悪質な宇宙人と大差ないじゃないかと、ゼロが葛藤に苛まれたその瞬間、

 

「・・・ん?」

 

 上の階から、舞うように一枚の布が落ちてきた。

 

「くんくん・・・・・・」

 

 何を思ったか、曜がひくひくと鼻を動かしながら前へのめり出していき、

 

「制服ぅ‼」

 

「だめぇっ!」

 

『ッ! オイッ‼』

 

 あろうことかその布をキャッチすべくベランダからダイブしようとしたのだ。

 ゼロはもう四の五の言ってられないと梨子の身体の主導権を握り、落下するギリギリのところで曜を抱える事に成功した。もう少し遅ければ地面に向かって真っ逆さまだったろう。

 こんな事で曜に怪我をされては、陸に何を言われるか分かったものではない。

 

『あっぶねー・・・』

 

 曜をベランダに戻すと、梨子の身体のまま男らしく額の汗を拭う。普段はおしとやかな梨子がやっている思うとギャップがすごい。

 

「・・・梨子ちゃん・・・、そんな低い声出るんだ・・・」

 

 曜の奇行と梨子の豹変で混乱している千歌を一瞥し、梨子に支配権を戻す。

 

「・・・わ、分かんない・・・、身体が勝手に・・・」

 

 千歌同様混乱する梨子。そんな二人を尻目に、曜は掴み取った布をまじまじと見つめていた。

 

「これって・・・、スクールアイドルの・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 曜がキャッチしたのは、スクールアイドルの衣装らしきものだった。

 これが一体何なのか、持ち主は誰なのか、そもそも上で何が起こっているのか、それらを確かめるべく三年生の階に上がった千歌達の目に映ったのは、教室の出入り口付近に群がる大勢の生徒。

 その中には本来このフロアにはいないルビィ達一年生の姿もある。

 

「放して! 放せって言ってるの!」

 

「いいと言うまで放さない!」

 

 そして教室の中から聞こえる言い争いの声。

 人混みを掻き分けて進むと、鞠莉が果南にしがみつき、果南がそれを引き剥がそうとしているという子供の喧嘩の様な光景があった。

 

〈案の定かよ・・・・・・〉

 

 高校生にもなって掴み合いの喧嘩をする姉の姿を見たら、陸はどんな顔をするだろうか。

 

「強情も大概にしておきなさい! たった一度失敗したくらいでいつまでもネガティブに!」

 

「うるさい! いつまでもはどっち! もう二年前の話だよ!? 大体今更スクールアイドルなんて! 私達もう三年生なんだよ!?」

 

 呆然するギャラリーの視線を浴びながら、果南が荒げた声を教室に響かせる。状況が昨日よりも悪化しているのは言うまでもない。

 

「二人ともおやめなさい! 皆見てますわよ!」

 

 そんな二人を諫めるダイヤ。

 

「ダイヤもそう思うでしょ?」

 

「お辞めなさい! いくら粘っても果南さんが再びスクールアイドルを始める事はありません!」

 

 どうやらダイヤは果南の味方らしい。

 

「どうして! あの時の失敗をそんなに引きずる事!? ちかっち達だって再スタートを切ろうとしてるのに何で!?」

 

「千歌達とは違うの!」

 

〈あーあー・・・。リトルスターが・・・・・・〉

 

 掴みあう果南と鞠莉の胸は、弁天島の時よりも強く輝いていた。今は白熱する口論に皆の注意が向いているので気付かれてはいないが、それも時間の問題だろう。

 

〈仕方ない・・・。やっぱり俺が・・・・・・〉

 

 ゼロが再び梨子の身体を借りて二人に説教でもかまそうとしたその時、不意に千歌が教室の中に入って行った。

 

〈千歌・・・?〉

 

 果南達の前に立った千歌に、自然とギャラリーの視線も集まる。

 

「千歌・・・・・・?」

 

 果南、鞠莉、ダイヤの三人に対し。千歌は強く床を踏んで息を吸い込む。

 

「いい加減に・・・・・・・・・・・・・・・・・・しろ――――――――ッ!」

 

 次の瞬間、廊下の窓がガタガタと音を立てて揺れる程の声量で三人を怒鳴りつけた。

 

「もう! なんかよく分かんない事をいつまでもずーっと。ずーっと。ずーっと! 隠してないでちゃんと話しなさい‼」

 

「・・・・・・千歌には関係―――」

 

「あるよ‼」

 

「いや・・・・・・、ですが・・・」

 

「ダイヤさんも、鞠莉さんも、果南ちゃんも、三人そろって放課後、部室に来てください!」

 

「いや・・・でも・・・」

 

「いいですね⁉」

 

「「「は・・・、はい・・・」」」

 

 千歌が強引に押し切った後、三人のせいで失われていた静寂がこの場を支配した。

 

「千歌ちゃん・・・、凄い。三年生相手に・・・・・・」

 

「・・・・・・あ」

 

 




桜内梨子CV――宮野真守(笑)、ちょっと見てみたい気もする。
前に善子でもやったけど、ゼロを陸以外の人間に憑依させるの他の意外と楽しい。
二話前のシリアスどこ行ったって話ですよね。

それでは次回で!
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