ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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サンシャイン二期BD四巻買いました。
ジャケイラの曜ちゃんが可愛すぎて余裕で死ねる。


三話 陸とゼロ

『おい、お前』

 

 声がする。

 

『聞いてんのか? おい』

 

 自分を呼ぶ声が。

 陸がその声に反応し目を開けると、何もない闇の空間の中にいた。

 上も下も分からない闇の中を、陸はフワフワと漂っている。

 終わりがまるで見えない、底なしの闇。

 死の淵を連想させるその空間の中、陸は目の前に現れた人影に気が付いた。

 

『見てたぞ。お前は少女達を助けようとしたな。度胸あんじゃねーか』

 

 いきなり現れたそいつは、先程見た巨人の様に見えた。

 

(・・・はは・・・、こんなのが見えるとか、俺もう死ぬのかね・・・・・・)

 

そいつが自分に向かって倒れこんでくるのを見て、陸は目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が目に入った。

 

「っ・・・」

 

 その光に導かれるように目を開いた陸の目に移ったのは、白い天井。どうやら横になっているらしい。

 

(あれ・・・、どこだここ・・・)

 

 気を失う前の記憶を辿ろうとするが、激しい頭痛に遮られて思い出せない。

 

「・・・っと、ご家族には連絡したの?」

 

「それがまだ・・・・・・、彼の両親海外にいるらしくて・・・‥」

 

「早くしなさいよ!」

 

 近くで人が言い争っているのが聞こえる。

 声のする方に視線を移すと、ナース服を着た二人の女性が見えた。

 

(病・・・・・・院・・・?)

 

 それを見てようやく思い出した。六年前の様にまた怪獣が現れた事。それに続く形で謎の巨人が出現した事。その後は・・・・・・、

 その後が思い出せないが、代わりに幼馴染と交わした約束を思い出した。

 

(そうだ千歌達は・・・)

 

 壁に掛けてあった時計に目を移すと五時半。そろそろ曜の部活も終わる時間だ。

 

「っ! ヤベェッ!」

 

 錯乱している陸は、自分が恐らく大怪我を負っているだろうという事も失念して飛び起きた。口や腕についていたマスクや点滴の針を体から外し、寝転がっていたベッドから降りる。

 だがそんな陸を見て悲鳴が上がった。

 

「えぇっ!?」

 

「何でっ!?」

 

 先ほどまで言い争っていた女性二人が、急に起き上がった陸を見て騒ぎ出したのだ。

 だが陸は今錯乱中である。全くその事に気付くこともないまま走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁ・・・・・・」

 

 陸が色々と大事な事を忘れながら病院を飛び出そうとして一時間。

 当然看護師の人に止められ、体の検査と飛び出そうとした事への説教を終えた陸がとぼとぼと病院から出てきた。

 柱に寄りかかって溜息をつく陸に、声が掛かった。

 

〈何でしょげてんだ?〉

 

「看護師の人にな」

 

〈うん・・・〉

 

「怒られた・・・」

 

 素直に答えた陸だが、直後に周囲に誰もいない事に気付いた。

 

「え?」

 

〈え?〉

 

 再びきょろきょろと辺りを見渡すが、やはり誰もいない。

 

「ん・・・? は・・・?」

 

 一体誰が話しかけているのだろうと錯乱する陸に、再び声が掛かる。

 

〈あー、ワリィ。自己紹介が遅れたな。俺はゼロだ〉

 

「え? なんだこの声? え?」

 

〈いきなりで悪いが、命を助けるにはこれしかなかった。俺とお前の体を一体化させて傷を癒している〉

 

「・・・・・・え? 耳塞いでも聞こえる!」

 

〈そーだよ〉

 

「何コレ怖っ!」

 

〈いや怖いって・・・・・・、何か前にもあったなこのやり取り・・・・・・。まあいい。この一体化には俺にも利点がある。さっきのベロクロンとの戦いで結構なダメージを負っちまってな。お前の体に入らないと、今の俺はこの惑星で長時間の活動が出来ないんだ。あー・・・、だからそうつまり・・・‥・、ウィンウィンの関係だな〉

 

 ヘドバンの様に頭を振ったり頭を掻きむしったりしながらまだなお混乱する陸に、謎の声が全く状況を読まずに謎の説明をする。

 多分混乱していなくても理解出来ないだろうその説明に陸は、

 

「は? 何言ってのこいつ?」

 

 当然、こんな事しか言えない。

 

「っ! そうだ。こんなことしてる場合じゃねぇ!」

 

〈こんな事ってお前・・・〉

 

 いまいち、と言うか全く状況は飲み込めないが、早く浦女に行かなければ。

 あの後あの怪獣はどうなったのか、千歌達は、町の人々は無事なのか。

 避難所である浦女に行けばきっと何かが分かるだろう。

 

「おい、悪いけど話は後だ。今は行かなくちゃいけない所がある」

 

〈・・・こっちの話も結構重要な事なんだけどな・・・・・・。まあいい。用が済んだら話を聞いてくれるんだな?〉

 

「ああ」

 

〈だったらいい。さっさと済ませて来い〉

 

 まだ状況を理解していないという事もあるが、驚異の順応力で謎の声と話をつけた陸は浦女に向かって走り出した。

 しばらく走った辺りで、三度謎の声が話しかけてきた。

 

〈おいお前。急いでるんなら力を貸してやろうか?〉

 

「は? 何言ってのお前?」

 

〈いいからいいから。そんじゃ行くぜ!〉

 

 謎の声がそう言った途端、陸の走る速度が異常なまでに上がった。それだけじゃない。全身から力が溢れてくる様である。

 

「おお? なんだこれ? 早ぇぇ!」

 

〈な? 俺との一体化も悪くないだろ?〉

 

「よく分かんねぇ・・・・・・、何なんだこいつ・・・」

 

 色々と疑問はあるが、今はありがたくこの力を使わせてもらおうと決めた陸はそのまま浦の星女学院に向かって更にその速度を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「陸ちゃん遅い!」

 

「そーだよ。今の今までどこ行ってたの!」

 

 浦女についた陸は、病院と同じように説教を受けていた。

 さっきと変わった点を挙げるならお医者様が幼馴染に変わった事と、その幼馴染がポカボカと陸を殴りながら今にも泣きそうな目で睨みつけてきているという事。

 

「・・・心配したんだよ?」

 

「また六年前みたいになったら・・・・・・」

 

 陸を殴るその手が止まり、二人そろって俯いてしまう。

 

「えっとだな・・・、その・・・・・・ゴメン・・・」

 

 途端に申し訳なさが込み上げてきた陸は事の詳細を説明しようとしたが、そういえば自分自身の身に何が起こったのかまだ把握していなかったことを思い出した。

 

(おい、ゼロって言ったか、一体あの後何があったんだ? つかあの巨人は何なんだよ)

 

 千歌達の話によると怪獣はあの巨人によって倒されたらしいが、陸はその前からの記憶がない。

 ゼロとか言う謎の声は何か知っていそうな口ぶりだった。そこで何か得られる情報はないかと脳内で問いかける。自分と一体化したと言っていたし、そもそもさっき陸の脳内に直接話しかけてきたし、多分これでも会話できるだろう。

 そして陸の予想通り、ゼロから返答が返ってきた。

 

〈あー、その巨人が俺だ〉

 

「はあっ!?」

 

「うわっ!」

 

「陸? どうかしたの?」

 

 衝撃の事実に陸が思わず大声を上げる。

 

「え? 何? お前があの巨人なのか?」

 

〈ああ、つかさっきも言ったろ。俺はゼロ。ウルトラマンゼロだ。M78星雲、光の国から来た〉

 

「ウルトラマン・・・・・・?」

 

 そういえば怪獣騒ぎの時にあの巨人をウルトラマンと呼んでいる人がいた気がする。まさかこの声がそのウルトラマンだったとは。

 

「陸ちゃん? どうしたの急に独り言言い出して?」

 

 心配そうに俺の顔を覗く千歌と曜。

 当たり前と言えば当たり前だが、この声は陸にしか聞こえていないらしい。

 

「どうしたの陸、ウルトラマンって何?」

 

「ああ、えーっと、その・・・・・・」

 

(おいゼロ! 何とかしろ!)

 

〈何で俺のせいみたいになってんだ・・・? 勝手に大声上げたのはお前だろうが〉

 

(うっ・・・、まあそこはいいや。そもそもなんでお前俺の中に入ってるんだ? 傷を癒したとか言ったよな。一体俺の体に何があった? なんか気付いたら病院にいたし)

 

〈ん? いや、だってお前一回死んだし〉

 

「はあああああああああああああっ!?」

 

「うわっ!」

 

「またっ!?」

 

〈おい、声〉

 

 そんなこと言われても、これを驚かずしてどうしろと言うのだ。

 陸は一回死んだ。確かにゼロはそう言った。

 

(は? え? え? 死んだ? 死んだって何?)

 

〈そりゃーお前、人間があんなもん受けて無事な訳ねーだろ〉

 

 あっけらかんとゼロに告げられ、そういえばと陸は意識が無くなる直前にミサイルで吹き飛ばされた事を思い出した。

 言われてみれば確かにそうだ。地面を抉るような威力を持っているミサイルを喰らって無事で済むはずがない。

 

〈まー正確には死ぬ一歩手前だったんだよ。俺達ウルトラマンは一体化することで相手の傷を癒すことが出来る。それで瀕死の重傷を負ったお前をこの俺ゼロ様が助けてやった訳だ〉

 

(はあ・・・)

 

 そうは言われても実感がない、と言うのが本音だろうか。

 身体はどこも痛む場所は無いし、問題なく動く。

 とてもついさっきまで瀕死の重傷を負っていたとは思えない。仮にそうだったして、それほどの傷をこの短時間で治すとは、一体化によるウルトラマンの治癒能力はどれだけ凄いのだろうか。

 しかしそれなら陸が起き上がった時に看護師の人が悲鳴を上げたのも納得がいく。瀕死の重傷を負っていた少年の傷がいきなり消えて起き上がったらそりゃ驚くだろう。

 それに検査を終えた後のお医者様の顔と言ったら・・・・・・。

 

(じゃあ何? よく分かんないけどゼロが助けてくれたって事?)

 

〈ああ、そういう解釈でいい。感謝しろよお前~~~〉

 

 恩着せがましいウルトラマンな事で。

 

〈まあとにかく。俺の傷はしばらく治りそうにもないしな。当分このままだ・・・えっと、お前、名前なんて言うんだ?〉

 

(今更かよ。千歌達の会話聞いてなかったのか?)

 

〈俺ぁ興味のない話は聞かない主義だからな〉

 

(随分とアバウトな自分ルールなこって・・・。あー、陸だ。仙道陸)

 

〈何っ!? リクだとっ!?〉

 

(うわびっくりした・・・・・・。なんだ急に・・・‥)

 

〈ああいや、スマンスマン。ちょっと前にもそんな名前の奴がいてな・・・、まあ、気にし

なくていい。これからよろしくな! 陸!〉

 

(マジで何なんだこいつ・・・・・・)

 

 マイペースと言うか自分勝手と言うか、お気楽な奴と一体化してしまったようだ。

 独り言や唐突に叫んだ事で、千歌と曜には完全に頭がおかしくなったと思われてしまったようだし。

 これからの生活に、不安を感じざるを得ない陸だった。

 

 




ジードでのゼロとレイトが如し出会い方。
前回陸が助けた子についてはまだ触れないでください。
質問等ございましたら気軽に感想でどうぞ。
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