ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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思ってみれば全然サンシャインのストーリー進めてなかった。
一応今回の話でサンシャインのあの人出します。


四話 ストリートファイターゼロ

〈ふぅ・・・あれが噂に聞いていた高校という奴か。中々に賑やかな場所だった〉

 

 内浦にベロクロンが出現した翌日。

 復旧作業が進む沿道を自転車で進む陸に、ゼロが唐突にそんな事を言い出した。

 

「お前のいた場所には学校なかったのか?」

 

〈あるにはあったが・・・・・・、ほとんど戦闘訓練みたいなもんだったからな〉

 

 光の国とは戦闘民族の集まりなのだろうか。

 

「なるほど、だからお前そんなに礼儀がなっちゃいないのか。納得したわ」

 

〈はあ? 言っとくけど俺のが全然お前より年上だからな〉

 

「何歳なんだお前?」

 

〈大体五千九百歳くらいだ〉

 

「何? おじいちゃんだったの?」

 

〈馬鹿言うな。地球人の年齢で換算したら大体お前くらいだよ〉

 

 約六千歳で大体高校生位とは、ウルトラマンと言うのはどれだけ長生きする存在なのだろう。

 

〈しかし、この星も破壊の後が見当たらないな・・・・・・〉

 

 ゼロの呟きを陸が訝しく思う。

 

「は? 昨日の跡まだ全然残ってるぞ?」

 

 辺りを見渡せば昨日のベロクロンが放ったミサイルによって破壊された町が、幸いミサイルが着弾したのは道路や砂浜ばかりだったので死人は出ていない。それは不幸中の幸いだっただろう。

 

〈いや、そうじゃなくてだな。アナザークライシスの跡だよ〉

 

「アナザークライシス?」

 

 聞いたこともない単語だ。

 

〈ああわり、クライシスインパクトって言った方が分かりやすいか〉

 

「・・・・・・スマン。そっちも知らん」

 

 ゼロが改めて言った単語もやはり聞き覚えがない。

 

〈何・・・? こっちの宇宙では記録が残っていないのか。道理でお前らがウルトラマンを知らない訳だ〉

 

 ウルトラマンの事は知っていて当たり前、みたいな口調で話すゼロ。それほどまでに名が知れた存在なのだろうか、ウルトラマンと言うものは。

 

〈それに突然修復されていた事と言い、一体全体この宇宙で何が・・・〉

 

「・・・・・・何言ってんのお前?」

 

 どうやらこのウルトラマンは人に話を理解させない事が得意らしい。

 

〈あー、えっとだな・・・・・・、どの辺から説明した方がいいのやら・・・・・・〉

 

 ゼロはしばらく唸った後、

 

〈よし、まずはウルトラマンベリアルって奴の話からするか〉

 

「何だそのいかにも悪そうな名前は・・・・・・」

 

〈まあ、実際悪い奴なんだがな。そいつは光の国唯一の悪のウルトラマンなんだ。あいつのやった事と言ったらそれはもう・・・・・・〉

 

 ゼロはウルトラマンベリアルの事と、ベリアルと自身の関係を陸に話してくれた。

 ベリアルは光の国の禁忌、プラズマスパークに手を出した結果光の国を追放されたウルトラマンだという事。後に変わり果てた姿で光の国に降臨し、ベリアルの乱と呼ばれる大反乱を起こした事。その後封印されたのにも拘らず数万年後に復活して再び光の国に進行してきた事。その際にプラズマスパークを奪い去って光の国を凍らせてしまった事。それを同じくプラズマスパークに手を出して追放されていたゼロがベリアルを倒すことで解決し、ゼロが晴れて光の国に戻れた事。

 その後も何度も生き返ったベリアルと別宇宙で大戦争を起こしたり、体を乗っ取られたりと色々あったらしい。

 

「・・・・・・結構ハードな人生送ってきたんだなお前」

 

 下手なSFよりよっぽどハードな内容に陸はもうお腹一杯だった。

 

〈だが、ベリアルの悪事はこれだけじゃ終わらなかった〉

 

「まだあんのかよ・・・・・・」

 

 陸がもうやめてくれと言った雰囲気を醸し出すが、ゼロはそんなこと一切気にせずに話を続ける。

 

〈・・・・・・数十年前、ベリアルがオメガ・アーマゲドンっつー戦争を起こしてだな〉

 

 ゼロの話によると、そのオメガ・アーマゲドンと言うのはゼロが所属している宇宙警備隊と、ベリアル率いるテラー・ザ・ベリアルと言う軍団の全面戦争の事を言うらしい。何でもその戦争は複数の宇宙を跨いで行われたとか。

 

〈ここでベリアルがまた大それたことをやりやがってだな。超時空消滅爆弾を使ってとある宇宙を消し飛ばそうとしたんだ。・・・・・・ベリアルのその計画は成功。地球で俺達宇宙警備隊と戦いながら発動させた超時空消滅爆弾で地球を崩壊させた。それがクライシスインパクトだ。そこで起こった時空の歪みでその宇宙は危機的な状況になったんだが、ウルトラマンキングっつー最強のお爺ちゃんがその宇宙と一体化することで崩壊は免れた〉

 

 宇宙とも一体化できるのかウルトラマンは。何でもありな存在過ぎて頭が痛くなってくる。

 

「・・・・・・それが、この宇宙って事か?」

 

 気付いたらゼロの話を聞き入っていた陸がゼロに問う。

 

〈いんや、こっちで起きたクライシスインパクトはそれとはまた別個だ〉

 

 なんとそのクライシスインパクトと言うのは二回起こったという。

 

〈ベリアルがその宇宙でクライシスインパクトを引き起こす少し前、俺はこの地球に来ていた〉

 

 ゼロが衝撃の事実を口にする。ゼロは前にもこの地球に来た事があるという。

 

「え? 何で・・・」

 

〈ベリアルを追っていたんだ〉

 

「はぁ? でもベリアルは・・・・・・」

 

〈ああ、別宇宙にいた。俺が追って来ていたのはベリアルに化けていた宇宙人だったんだ〉

 

「あ、宇宙人ってホントにいるのか・・・・・・」

 

 さらりととんでもないカミングアウトである。

 

〈そもそも俺が宇宙人だろうが〉

 

 言われてみれば。

 

〈それでこっちの地球でも超時空消滅爆弾が起動した。奴らどうやら俺をこの地球ごと消し飛ばしたかったらしい〉

 

「それで・・・・・・どうなったんだ?」

 

〈・・・・・・当然、俺一人でそんなモン止められるはずもない。俺は時空を移動して事なきを得たが、超時空消滅爆弾はそのままドンだ〉

 

 ゼロの声音が重苦しくなる。

 つまり、この地球は消滅したという事。

 

〈悪いな。お前らが生まれる前とは言え、地球ぶっ壊しちまって・・・・・・〉

 

 そう言ったゼロは、酷く責任を感じているようだった。

 そんな奴を責め立てるほど陸は落ちぶれてはいない。

 

「別に、お前も必死にやった上での結果だったんだろ? 流石にそれを責める気にはなれねぇよ」

 

〈陸・・・〉

 

「それに今この地球があるって事は、そのウルトラマンキング? がやったみたいに誰かが直してくれたんだろ?」

 

〈それが・・・、分からねぇんだ〉

 

「は?」

 

〈確かに俺は超時空消滅爆弾が爆発するのを見た。だが、数日前にこの宇宙に戻ってきたら何事もなかったように全部修復されていたんだ〉

 

「それって・・・・・・」

 

〈ああ、キングの爺さんとは別の誰かがこの宇宙を修復したという事になる。しかもこの宇宙にはその記録が残っていないときた。何か人為的な側面を感じるな・・・。それに昨日のベロクロンは改造されてやがった。確実に何者かが一枚噛んでやがると見て間違いない〉

 

 何者かによって修復され、また別の誰かによってこの地球は怪獣が差し向けられたと言う。

 そういえば、六年前のあの怪獣災害。

 あの怪獣も、何者かが差し向けたものなのだろうか。

 

「なあ、ゼロ。六年前に日本で起きた怪獣災害の事。何か分かるか?」

 

〈は? 怪獣災害? ここでそんなこと起きてたのか?〉

 

 ゼロなら何か知っているのかと思ったのだが、情報は得られなかった。

 

〈詳しく聞かせてくれ〉

 

 ゼロにそう言われ、陸は十年前に起きた怪獣災害の事を自分の知りうる限りすべて話した。

 

〈なるほど・・・・・・、そんな事が。・・・悪いが心当たりはないな・・・・・・〉

 

 しかしゼロの返答は変わらなかった。

 

〈アナザークライシス以来、この宇宙は消滅したものと思われていたからな。その怪獣災害が観測されなかったのも、この宇宙に監視の目が届いていなかったからだ〉

 

「そっか・・・」

 

 落胆する陸に、ゼロが続ける。

 

〈だが、これで地球は狙われている事が明らかになった。まだ何者かは分からないが、警戒するに越したことはないな〉

 

 ゼロが告げ、陸は初めて今地球と人類に迫っている危機を実感した。

 つまりは、昨日のベロクロンの様な事がまた起きる可能性があるという事だ。

 

〈陸〉

 

 厳かなゼロの声音。

 

〈今の俺はレゾリューム光線のせいで後天的に得た力をほとんど失っている。その上体のダメージも酷い。お前の体を介して変身しないと戦えないんだ。お前を巻き込むことは本当にすまないと思っているが、それでも俺に力を貸してくれないか?〉

 

 ゼロと共に戦うという事は、陸自身も戦いの渦中に身を投じるという事。当然危険は付きまとうし、もしかしたら千歌や曜にも迷惑が掛かってしまうかもしれない。

 

「・・・・・・なあ、ゼロ」

 

 それでも―――

 

〈ん?〉

 

「お前ってさ、その、強いの?」

 

 陸の問いに、ゼロがフンッと鼻を鳴らした。

 

〈あったり前だろ。今は力を失っちゃいるが、俺の強さはいつでもビックバンだぜ!〉

 

 ちょっと何言ってるか分からないが、とにかくゼロは強いらしい。

 そうだ、強ければ。

 六年前や、昨日のベロクロンの時の様な思いをしなくて済む。

 千歌達を、守れる。

 

「・・・・・・まあ、その時が来たら協力してやる。一応命助けてもらったしな」

 

〈陸・・・、いいのか?〉

 

「先に頼んできたのはお前だろうが。それに」

 

〈それに?〉

 

「お前と一緒に戦ってるうちに六年前の事。何か分かるかもしれないだろ。それさえあれば理由は十分だ」

 

〈はっ・・・、おもしれーなお前。気に入ったぜ。これからよろしく頼む〉

 

「おうよ」

 

 ゼロにはそんな事を言ったが、正直恐怖が無いわけじゃない。いきなり命が危機にさらされるような戦いに身を投じることになって不安がない奴なんていないだろう。

 でもそれ以上に、このまま無力なままでいるのが嫌だ。

 陸だって、大事なものは全部守れるくらい強くなりたいのだ。

 地球が狙われているかもしれないのだ。これ以上このままではいられない。

 

〈ところでよ、陸〉

 

 一人決意を固めた陸の耳朶にゼロの声が触れる。

 

「どうした?」

 

〈何か聞こえる。怯えてる声だな。近いぞ〉

 

「何っ? いきなりか?」

 

 まさかもう地球を狙う者が現れたというのか。しかもゼロのセリフから察するに、既に人を襲っている感じだ。

 

「どの辺からだ。詳しい場所が分かるなら案内してくれ」

 

 気を引き締めて、自転車のハンドルを改めて握った。

 

〈そんなまどろっこしい真似しなくてもいい。陸、体借りるぞ〉

 

「は? お前何・・・・・・」

 

 陸がそこまで言った辺りで、急に体が動かなくなった。いや、正確には自分の意志で動かせなくなったと言った方がいいだろう。

 何故なら、今陸の体は陸の意志に反し、猛スピードで自転車を漕いでいるからだ。

 

(おいゼロ? 一体俺の体に何しやがった?)

 

『ああわり。体借りたわ』

 

 声も出せない陸に、恐らくゼロの声だと思われるそれがあっけらかんと答えた。

 

(お前・・・体も乗っ取れるのかよ。ずりーぞ)

 

『だから悪いって言ってるだろ。ウルティメイトブレスレットが壊れてなければ体と意識を切り離した一体化も可能だったんだがな。さっきも言った通り壊れちまったから』

 

(ふざけんな! 体返せ!)

 

『用が済んだら元に戻すからよ。今は我慢してくれ』

 

(何でもありすぎるだろ・・・・・・ウルトラマン)

 

 その内もっとヤバい事も明らかになるんじゃないかと思い、想像するだけで頭が痛い陸だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いたぞ。って、なんだ人間同士か・・・』

 

 ゼロが自転車を止めて視線を映した先にいたのは、一人の少女と、それを取り囲む三人の男だった。二人が少女の腕を掴んで逃げられ無くし、あと一人が少女の正面に立っている。

 

「・・・・・・な、何ですか・・・」

 

 陸の耳に届くは少女の怯えた声。腕を掴んでいる男のせいで顔がよく見えないが、その表情を見て男達が楽しんでいるのはよく分かる。

 

『何だあれ。平和的な雰囲気じゃなさそうだが』

 

(ああ、ナンパだよナンパ。あんな感じで声かけて女の子と遊ぼうとしてんだよ。一応警察呼んどくから体返せ)

 

『おいお前ら!』

 

(何やってんのお前っ!?)

 

 陸の体を使ってゼロが発した声に、男三人が反応した。

 

「何だお前?」

 

 少女の前で仁王立ちしていた恐らくリーダー格の男が陸、およびゼロを睨む。

 デカい。縦ではなく横に。漫画とかでよく見るガキ大将みたいな体型だ。他の二人はメガネをかけた中肉中背の男と、いかにもリーダー格の男に胡麻を擦っていそうな小さな男。

 恐らくこれが陸なら「ご、ご、ごめんなさいっ」とか言って逃げ出していただろうが、ゼロは男の視線に怯むことなく傲然と言い放つ。

 

『そいつを放しな。なんかナンパとか言うらしいが見てて胸くそワリィ。力づくでやって何が楽しいんだ。自分の魅力で勝負しやがれ!』

 

 陸の体で恥ずかしい事を堂々と言うゼロ。そういえば、陸の体で喋っているのに声がゼロなのはどういう事なのだろう。

 そんな陸inゼロを見て、男達が笑いだす。

 

「ははっ、何言ってんだこいつ」

 

「正義の味方か? かっこいいねー」

 

「わー、こわーい」

 

『うるせぇブサイク共』

 

「んだとゴラァ‼」

 

 ゼロがそう言った瞬間、リーダー格の男が憤慨して殴りかかってきた。初対面の人間にいきなりブサイクと言われたらそりゃ怒るだろう。

 

『おっと』

 

 しかしゼロはそれを軽々と回避し、逆にその男の腹に拳を叩き込む。

 

「ごあっ・・・」

 

 肺から空気が全て抜けた様な呻き声の後、男はその場に倒れ伏してしまった。そしてそれを見た二人が少女を放してゼロに向かってくる。

 

『ふっ! おらぁっ!』

 

 ゼロがメガネの顎を強烈に蹴り飛ばし、振り返りざまの裏拳でチビの方も殴り飛ばす。

 ものの数秒で少女に絡んでいた男達を倒したゼロは、最後にリーダー格の男の腕を踏みつける。

 

「いだだだだだだだっ‼」

 

 悲鳴を上げる男に対し、ゼロは勝ち誇った笑みを浮かべ、

 

『俺に喧嘩売るのはなぁ、二万年早いぜ!』

 

 裏ピースを決めてそう言った。

 

(・・・・・・喧嘩売ったのお前じゃねえの?)

 

『まあどっちでもいい。終わったし体返すぜ』

 

(え? ちょ、おい! この状況で戻されても)「困るんだが!?」

 

 ゼロへのツッコミの最中で主導権が陸に戻り、傍から見たらいきなり困り出した人になってしまった。

 まあ実際困っている陸は、とりあえず絡まれていた少女に声を掛けようと少女の方に寄る。

 

「ひぃぃ・・・」

 

「ごめんなさいっ」

 

 すると地を舐めていた男達に謝られてしまった。やったのは陸ではなくゼロだと言うのに。

 その光景にぽかんとしている陸をよそに、男たちは走り去って行った。

 

「あー・・・、えっと、その、大丈夫だったか?」

 

 男達が逃げていったので、今度こそ陸は少女に話しかける。

 

「・・・・・・は、はい」

 

 少女は陸に頭を下げてくる。だからやったのは陸ではなくゼロだと言うのに。

 再び彼女が顔を上げ、陸は初めて彼女の顔を見る。

その少女は、一言で言うと美人だった。まあ、美人じゃなきゃあの不良達も声を掛けていないだろうが。

 千歌や曜とは違ったイメージを抱かせる美人。活発な千歌と曜に対して、こちらはおしとやかで誠実そうな雰囲気で、釣り目気味の黄色い瞳が更にその雰囲気を増長させている。

 彼女はそんな瞳を揺らしながら、その場にへたり込んでしまった。

 

「お、おい。ホントに大丈夫か?」

 

 不安げに少女の顔を覗く陸に、彼女は弱々しい笑みを浮かべた。

 

「はは・・・・・・、安心したら腰抜かしちゃったみたいで・・・」

 

 何だ。怪我とかしてないようで安心した。

 

「どうするか・・・・・・、このままってのもな・・・」

 

〈お前が家まで送って行ってやったらどうだ?〉

 

「まあ、それが一番か。初めてまともな事言ったなお前」

 

〈・・・・・・お前喧嘩売ってんのか? 俺に喧嘩売るのは――――〉

 

「二万年早いんだろ?」

 

〈ぐ・・・〉

 

 セリフを予測して先に言ってやったらゼロが悔しそうに呻いた。

 

「あの・・・誰と話してるんですか?」

 

 事情を知らない人間から見たらぶつぶつと独り言を言っている様にしか見えない陸に、彼女が不思議そうに視線を向ける。

 どうやらまた声に出していたらしい。

 

「ああいや、何でもない。それより君家どこ? 送ってくよ」

 

「ええ? いいですよ。そんなに助けてもらう訳には・・・」

 

「じゃあこのままでいる気か?」

 

「それは・・・・・・、その・・・」

 

「・・・・・・。ほら、行くぞ」

 

 多少強引な気もするが、このままここで渋られ続けるよりマシだ。

 陸が手を伸ばすと、彼女は渋々その手を取った。その手がやたらと熱いのは緊張しているからなのだろうか。

 陸は彼女を立ち上がらせると、とりあえず自転車の所まで連れて行こうと自分の背中に背負った。ゼロが力を貸してくれているのか、人を背負っているとは思えないくらいに軽い。

 いや、それよりも・・・。

 

(背中に妙な感触が・・・)

 

〈煩悩だぞ。振り払え〉

 

 彼女を自転車のサドルに座らせ、家までの道を教えてもらうと、そこに向かって足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ニ十分ほど歩いた辺りで、彼女がもう大丈夫だと言って自転車のサドルから腰を下ろした。

 もう彼女の家も近いらしいのでここらで別れることになったが、二人はその前に少し会話に花を咲かせていた。

 彼女は今高校二年生で、ここ最近内浦に引っ越して来たらしく、さっきも転校先の学校から帰宅していたらあの不良達に絡まれてしまったらしい。

 千歌達と同じ制服を着ているので、学校は浦の星女学院で間違いないだろう。

 

「・・・・・・引っ越してきたばっかで災難続きだったな・・・」

 

 ただでさえ新しい生活で不安が多いだろうに、その上怪獣騒ぎとナンパだ。立て続けにこんな事が起こったら彼女も気が滅入るだろう。ちょっとナンパの小物感がすごいが。

 

「引っ越してきたって、前はどこに住んでたの?」

 

「東京です。東京の秋葉原」

 

「秋葉原・・・・・・」

 

 あらゆるニーズに答える。オタクやマニアの聖地。普通はそういうイメージだろうが、六年前にあの事を体験している陸には、まず先に怪獣災害の事が思いつく。

 

「・・・・・・どうかしました?」

 

 急に険しい表情になった陸の顔を彼女が覗き込んでくる。

 長く伸びた紫檀色の髪が揺れて、女の子特有の甘い香りが陸の鼻腔を擽った。

 

「ああ、ごめんごめん。なあ、今更だけど、同い年なんだし敬語は辞めない? なんかムズムズするんだけど」

 

「え・・・。同い年だったの?」

 

 彼女にそう言われ、そういえばこっちはまだ何の情報も明かしていなかった事を思い出した。

 

「そういや言ってなかったな。俺は陸。仙道陸。君と同じ高二で、浦女からもうちょっと行った方にある高校に通ってる」

 

 彼女の明かしてくれた情報に対してこっちの情報が少なすぎる気がしないでもないが、特にこれ以上明かす情報がないのも事実だ。

 

「そういえば私も、名前教えてなかったね」

 

 陸のお願い通り敬語ではなく、ちゃんと友達口調になった彼女は朗らかに笑った。

 それは普段幼馴染位としか女子と関りがない陸には新鮮なもので、思わずドキッとしてしまう。

 

「私は梨子。桜内梨子です」

 

 




サブタイの割にはゼロがストリートファイトってるの一瞬だけっていう。
梨子との出会い方だけど、ゼロと一体化してるならこっちの方がいいかなって。
次回はちゃんとサンシャインの話進めます。
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