ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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サブタイ・・・・・・、何も浮かびませんでした。


五話 ハグと謝罪と再会と

 

 地球近くの宇宙空間。

 空間の歪みに覆われてカモフラージュされた宇宙船の中、五人の声が反響している。

 

『ぬぐぅ・・・まさかウルトラマンがこの地球に現れるとは・・・・・・』

 

『ほーんと。しかもよりによってゼロっていうな』

 

『ォォォォォォォォォ』

 

『・・・ゼロめ。我をブサイクと呼んだ恨み、忘れはせんぞ・・・・・・』

 

『落ち着きなさい。奴が現れても我々が計画を実行するという事は変わりませんよ』

 

『しかしゼロは吾輩たちの計画にとって障害となる存在だぞ』

 

『安心なさい・・・』

 

 光る眼が映す先には、レゾリューム光線を喰らった後のゼロの映像が映し出されている。

 

『念の為ベロクロンにレゾリューム砲を積んでおいて正解でした。ゼロは今レゾリューム光線を喰らって体を維持できない状態です。恐らく適当な地球人と一体化しているのでしょう』

 

『つまりそいつを見つけ出そうと』

 

『そういう事です。再び怪獣が現れれば、ゼロは変身して戦うでしょう。その時に一体化した地球人を割り出して』

 

『始末しようという事か』

 

『ええ、次はもう少し強力な怪獣を送り出しましょうか』

 

 しばらくの沈黙の後、

 

『・・・・・・いや、あのベロクロンも十分ヤバくなかったか? レゾリューム光線て・・・』

 

『ゥゥゥゥゥゥゥゥゥ』

 

 そのツッコミに返ってきたのは、喋れない奴の唸り声だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈おい陸。起きろ〉

 

「ん・・・、あ・・・・・・」

 

 数日経って日曜日の朝。

 学校も休みなので昼間まで惰眠を貪っていようとしていた陸だが、唐突にゼロによって起こされた。

 

〈携帯鳴ってるぞ〉

 

「え・・・マジ・・・?」

 

 ゼロに言われて体を起こしてスマホを見ると、確かにバイブレーションで小刻みに揺れていた。

 画面には渡辺曜の名前が。

 

「・・・・・・もしもし・・・?」

 

 寝ぼけ半分で電話に出ると、慣れ親しんだ快活な声が聞こえた。

 

『ああ陸? おはよー。ひょっとして寝てた?』

 

「ひょっとしなくても寝てたわ。何だ日曜の朝から・・・・・・。俺もうちょっと寝てたいんだけど」

 

『もう十一時だよ? いい加減起きなって』

 

「俺の勝手だろ・・・。で、何の用だ?」

 

 起こされてちょっとイライラしている陸はそれを隠しもしない。

 だが幼馴染である曜はこれがいつもの事だと知っているので気にせず話を続けた。

 

『いやー、さっき千歌ちゃんに果南ちゃんの所のダイビングショップに来てって言われてさー』

 

「・・・・・・果南姉ちゃんの所か? 何でまた?」

 

『さー? 私もよく分かんない。けど陸も誘って来てって言われたから』

 

「・・・お前、千歌の言う事に無条件で乗るの辞めようぜ?」

 

『いいじゃん別に。じゃあ私そっち行くから、それまでに準備しといてねー』

 

 曜はそう言うと通話を切ってしまった。

 

「なあゼロ。無視して寝てもいいかな?」

 

〈ダメに決まってんだろ。いつ怪獣が出るかも分かんねぇのに〉

 

「ですよね・・・・・・。まあ、無視したら殴られそうだしさっさと着替えるか・・・」

 

 陸は渋々ベッドから降りてクローゼットを物色した後適当な服に着替え、リビングに降りると食パンを齧って軽い朝食を済ませた。

 

〈別にそこまで急ぐ事無いんじゃねぇの?〉

 

「アイツ家隣なんだよ・・・・・・」

 

 隣に住んでる起きた直後の幼馴染に、家に着くまでに準備を終えろとは中々に鬼畜な注文な事で。

 

〈ところで陸。お前姉がいるのか?〉

 

「あ? どした急に。この前も説明したけど俺一人っ子だぞ」

 

〈さっき姉ちゃんがどうのこうのとか言ってなかったか?〉

 

「ああ、果南姉ちゃんの事? その人は一つ年上の幼馴染だよ」

 

〈姉ちゃんって呼んでるのかお前。可愛いな〉

 

「ホントに姉みたいな人だからな。それに先輩とか言うと怒るし」

 

〈大変だな〉

 

 同情された。そう言えばゼロにも兄弟とかいるのだろうか。

 

〈いないぞ〉

 

「心を読むな」

 

 やはり考えている事が筒抜けと言うのは気持ちのいいものではない。

 

「陸ー。おっはヨーソロー!」

 

 家を出ると既に曜がいた。ビシッと敬礼を決める彼女のポーズも、小さい頃から随分と見たものだ。白い歯を見せて笑う曜の笑顔を見ていると、やはり美人だなと思ってしまう。

 まあ、安眠を妨害された陸にとってはその笑顔も殴りたい対象でしかないのだが。

 

「ん、おはよ」

 

 陸はそれに素っ気なく返すと、止めてあった自転車に跨った。曜もそれに続いて荷台に腰かける。

 

「全速前進! ヨーソロー!」

 

 曜の本日二回目のヨーソローを聞いて、陸は重いペダルを踏んで自転車を漕ぎ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 淡島にあるダイビングショップに着くと、件の「果南姉ちゃん」が待っていた。

 この人が松浦果南。陸、千歌、曜の幼馴染兼お姉さん的存在である。

 

「陸ー、曜ー、久しぶりだね」

 

「ホントに。果南姉ちゃんも元気にしてた?」

 

「まあね。そっちも元気そうで何よりだよ。・・・・・・で、曜に何があったの?」

 

 ポニーテールに束ねた青い髪と青紫色の瞳を揺らしながら、果南が涙目で震える曜に視線を向ける。

 

「陸がぁ・・・、陸がぁ・・・」

 

 今朝の事でちょっとイライラしていた陸は、少し曜に痛い目を見せてやろうとゼロの力を借り、とんでもない速度で自転車を漕いだりウィリー走行をしたりと散々やったのだが・・・。

 少しやり過ぎたらしく、泣かしてしまう結果になってしまった。ゼロと一体化している陸はともかく、一般人の曜には辛いものがあるだろう。

 

「へー、そんな事が・・・」

 

恐怖で軽く幼児退行を起こしている曜の代わりに陸が果南に事の詳細を伝えると、果南は穏やかな眼差しを曜に向け、逆に陸の頭に手刀を入れた。

 

「今回は陸が悪い」

 

 そうきっぱり告げて、今度は陸と曜の二人を自分の胸に抱き寄せた。

 むにゅっとした触感が陸の顔面を包む。

 

(やっぱとんでもないむn・・・、戦闘力だなこの人)

 

〈煩悩〉

 

 ゼロはそんなこと言ってくるが、考えるなって方が無理がある。

 

「だから陸が謝ってそれで終わり。ね?」

 

 果南は抱き寄せた二人の頭を撫でると、慰めてるようにも咎めているようにも聞こえる声音でそう言った。

 果南は昔から陸達が喧嘩するとこうしてなだめてくれる。

 単純な手法ながらもその効果は絶大で、小さい頃から何度もやられているにも関わらず陸は未だにこのハグには抗えない。

 

「・・・・・・ゴメン・・・」

 

「・・・・・・ん・・・」

 

「よろしい♪」

 

 陸が謝り、曜がそれを許したのを見ると、果南は二人から体を離した。

 

「変わらないねー、二人共。今でもこんなに仲良しでさ。たまにはここに遊びに来てくれると嬉しいんだけど。陸なんて学校すぐそこじゃん」

 

「クラスの連中に何言われるか分かったもんじゃないしね」

 

 果南は今、怪我をしている父親の代わりに家業であるダイビングショップの仕事を手伝っている。

 その影響で今は休学中であり、ここ最近はあまり会っていなかった。そのせいか少し寂しそうである。

 新学期になっても休学したままとは、父親の怪我はそこまで酷いものなのだろうか。

 

「親父さんの怪我はどうなの?」

 

「まあ、順調に治ってきてるよ。この分なら夏あたりには学校戻れるかなー」

 

「それでも夏までかかるのか・・・・・・」

 

 ますます果南の父親の怪我が心配になる陸。ふとここである事を思い出す。

 

(なあゼロ。お前が一体化して親父さんの怪我直す事とか出来ないのか?)

 

〈やってもいいが・・・・・・、今俺が出て行ったらお前死ぬぞ〉

 

(スマン。聞かなかったことにしてくれ)

 

 あくまでも傷が塞がっているのはゼロが体内にいるかららしい。

 

「ところで、今日は何の用で来たの? なんか千歌はダイビングさせてとしか言ってなかったし」

 

「そもそも俺等はダイビングする事自体初耳なんだけど・・・」

 

「千歌ちゃん。その辺は何も言ってこなかったよ?」

 

「なんか友達連れてくるとは言ってたよ? 千歌」

 

 一体何が目的で皆を呼び出したのやら。千歌の突拍子のない行動はいつもの事だが、今回は色々と謎だ。まずダイビングをすることに何の意味があるのか。

 

「おーい! 陸ちゃーん、曜ちゃーん、果南ちゃーん」

 

 噂をすれば何とやら。高海千歌の登場である。

 丁度いい。本人に聞けば分かるだろう。

 

「おー千歌。呼び出した本人が一番遅いってどう言う事だって・・・・・・、ん?」

 

 文句を言いながら千歌の方を向いた陸。だが千歌と一緒にいる少女の姿を見て目を細める。

 何故ならそこにいたのは。

 

「あれ、桜内?」

 

「え・・・、仙道君・・・?」

 

 長い紫檀色の髪と、釣り目気味の黄色い瞳。間違いなく数日前に陸、ではなくゼロが助けた桜内梨子だった。この前着ていた制服から浦女だという事は知っていたが、まさか千歌の知り合いだったとは。

 向こうも陸の存在に気が付いたらしい。

 そんな陸と梨子の様子を見て千歌が首を傾げる。

 

「二人共、知り合いだったの?」

 

「ああうん。ちょっと前に不良に絡まれてたところを助けてもらって」

 

「へー、陸ちゃんやるじゃん」

 

「ふっ、まあな」

 

〈俺の力だろ〉

 

「なあ千歌。何でまた今日はダイビングしたいだなんて言いだしたんだ?」

 

 ゼロのツッコミは無視して、今回のダイビングを計画したという千歌に気になっていた事を問いかける。

 

「それがね、桜内さんが海の音が聴きたいって」

 

「海の音?」

 

 海の音と言うと、水に潜った時に耳がごぼごぼ言うあれだろうか。

 

「桜内さん、小さい頃からずっとピアノやってるらしいんだけど、今スランプ中で弾けなくなってるらしいんだ。それで海の音が聴けたら何か変わるんじゃないかなって」

 

「・・・・・・それでウチで潜ろうって事になったの?」

 

「そう。前に潜ろうとしていた時は私が止めちゃってさー」

 

 何か今聞き捨てならないセリフが聞こえた気がする。

 

「おい千歌。潜ろうとしてたってどういうことだオイ」

 

 陸のツッコミに梨子が一瞬体を強張らせるが、千歌はそんなこと気にせずに何があったかを説明してくれた。

 

「私が初めて桜内さんに会った時なんだけどね。桜内さん。海に飛び込もうとしてて・・・」

 

「おいマジか・・・」

 

 陸が梨子に視線を移すと、梨子は恥ずかしそうに俯いてしまった。

 もう四月だし、とか思っている人もいるだろうが、内浦、と言うか海全体を通してそうだが、春先の海水温は世間の人々が思っている以上に低い。きちんとした装備で潜らないと低体温症になる事もあると言うのに。

 おしとやかそうに見える梨子がそんなクレイジーな行動に走っていたとは。

 でもまあ、また飛び込もうとする前に千歌がダイビングに誘ったのは賢明な判断だろう。

 

「ところで桜内さん。もし海の音が聞こえたらスクールアイドルに・・・・・・」

 

「ならないわよ」

 

 きっぱりと梨子が拒否の意思を伝え、千歌ががくりと項垂れる。どうやら千歌は梨子にもスクールアイドルの勧誘をしていたらしい。

 

「千歌ちゃん。ああやってずっと桜内さんの事誘ってるんだよね」

 

「迷惑な奴だな。でもなんで?」

 

「ほら、さっきピアノがどうとか言ってたでしょ? スクールアイドルって曲も自分達で作らないといけないから、作曲できる人がどうしても必要で」

 

「ああ、そういう事」

 

 確かに、音楽の事を全く知らない千歌達が一から作曲を学ぼうとしたらやってるうちに高校生活が終わってしまう。

 だから作曲の出来る梨子は千歌にとっても確保しておきたい貴重な人材なのだろう。

 梨子の態度を見る限りでは、入ってくれそうもないが。

 

(ん・・・?)

 

 ふと果南の顔を見た陸は、果南の表情が険しくなっていることに気が付く。

 が、そう思ったのもつかの間、果南はすぐに柔和な笑みを浮かべて千歌達に声を掛けた。

 

「じゃあ全員揃ったし行こうか。皆は船の中で着替えて」

 

「「「はーい」」」

 




一応ファーストライブの所までは既に書いてあるので、変身シーンがある次話も続けて投稿します。
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