相変わらずグラブルのアニメコラボは破天荒ですよね。ウルトラマンとコラボさせてるお前が言うなって話だけど。
まあ、コナンで何とかなったから行けるか。グラブルのコラボストーリーは質が高いしね。
期待してるぜサイゲームズ。
さて、本編行きますか。今回はちかっち視点が多いですね。
「くあぁ・・・・・・」
「・・・犬かお前は」
手で覆いもせずに大欠伸をかく千歌に陸がジト目で突っ込む。
「それで千歌ちゃん。どこかにいい所あった?」
「う~ん・・・、なかなか無いんだよね~・・・」
バス停へのアクセスが良く、沼津方面で、尚且つ九人でダンスの練習が出来る場所となると・・・、かなり限られてくる。
よってそう簡単には見つからないのだ。
「ずら丸ん家お寺でしょ? 大広間とか無いの?」
「やめとけ。コイツん家バス停まで結構あるぞ」
「ずら」
それで結局バスに乗り遅れてしまっては元も子もない。
「なら、善子ちゃんの家の方で・・・・・・」
「どこにそんなスペースがあるのよ!」
「・・・・・・よくわからん物が錯乱してるもんな、お前の部屋」
そもそも誰かの家に上がり込んで練習するという事自体があまり良くない気がする。
「・・・ていうか陸ちゃん。何でそんな事知ってんの?」
「何でって・・・、休日コイツ等に付き合わされる事多いから・・・・・・、何その蔑みの意しか込められてない目?」
正直に答えたはずなのに、何故か冷たい視線を注がれる。
「・・・陸。もしかして皆の家行ったことある?」
「・・・・・・鞠莉さん家以外なら」
またしても正直に答えたら、今度は視線どころか室内の気温すら冷えたような気がしてきた。
「・・・・・・もう陸ちゃんに皆の事送り迎えさせたらいいんじゃないかな? 皆の家知ってるんだし」
「・・・そだねー」
「いや何でだよっ⁉」
幼馴染二人の理不尽な攻撃に思わず立ち上がった陸を尻目に、ゼロはブレスレットの中から部室内を見渡していた。
『・・・・・・そういや、ダイヤ達はどこ行った?』
ゼロの一言で一旦攻撃が止まり、全員で今部室の中にいる人間を確認する。
今いるのは一年生と二年生のみ。確かに三年生達の姿は見当たらない。
「さっきまでいたのに・・・・・・」
「鞠莉さんは電話かかってきたみたいだけど・・・・・・」
「だとしたら理事長室か。・・・理事長様も大変だねぇ・・・・・・」
呑気に笑い飛ばしながらそんな事を言う陸だったが、まだこの時は知る余地もなかった。
この談笑の裏で、全く笑えない話が進行している事に。
「っ・・・・・・!」
理事長室。
静寂が満たしている世界の中で、鞠莉が苦悶の表情で受話器を置く。
「・・・もう、覆しようが無いんだね?」
それを傍らで見守っていた果南の言葉を聞き、鞠莉は置いた受話器を再び手に取った。
「いえ・・・、まだ・・・!」
だが、果南がそれを止める。
「・・・果南?」
「ダイヤは知ってるの?」
「・・・・・・言える訳ない・・・」
鞠莉が肩を落としながら呟いたその瞬間、ガチャリと部屋のドアが開かれた。
「だったらちゃんと隠しなさい」
「・・・ダイヤ?」
「この前からコソコソコソコソと・・・・・・本当にぶっぶーですわ」
「「「わぁぁ~~~~・・・・・・!」」」
「広ぉ―――い‼」
「すごーい・・・」
Aqoursは浦女の体育館並みにだだっ広いスタジオの中にいた。
本物のアイドルが使っていそうな程立派な内装に一年生と二年生は大興奮中である。
「ここ、開けると鏡もありますし!」
ルビィが壁の一面を覆うカーテンを開くと、そこに立て付けられていた鏡が姿を現す。
「いざ! 鏡面世界へ!」
「やめんか」
「やめるずら」
田舎では物珍しいものに更にテンションが上がったのか、鏡の中に飛び込もうとする善子を花丸と共に止める陸。このまま突っ込んだ場合善子が行くのは鏡面世界ではなく病院だ。
「・・・だがしかし、よくこんなとこ見つけたな、曜」
「パパの知り合いが借りてる場所なんだけど、しばらく使わないからって」
流石に曜の父親がそこまでの人脈を持っているとは思わなかった。
「流石船長!」
「いや・・・、関係と思う」
一応陸の父親も船長のはずなのだが・・・・・・、まあ、漁船では無理か。
「それに! ここなら帰りにお店もたくさんあるし!」
「本屋もあるずら!」
「・・・・・・?」
楽し気に談笑する集団から意識を外すと、何故か俯いている三年生の姿が目に入った。
特に鞠莉は、後輩の会話が弾みを増す度に表情が暗いものへと変わっていく。
『・・・‥どうかしたのか?』
「え・・・・・・っと、その・・・」
それを訝しく思ったゼロが問いかけると、鞠莉は口籠ってしまう。
そんな彼女を見かねたのか、意を決したように果南が後輩たちに切り出した。
「ちょっと待って。その前に・・・・・・話があるんだ」
「・・・姉ちゃん・・・?」
何やらおかしな雰囲気を纏う果南を見て、陸はふと嫌な予感を感じた。
昔から彼女がこんな表情をする時は、決まって何か良くない事が起こっている時なのだ。
「実は・・・・・・さ、鞠莉」
そしてその予感は、的中する事となる。
次の瞬間鞠莉が発した、衝撃的な一言によって。
「実はっ! 学校説明会は・・・・・・・・・中止になるの・・・」
一瞬にして話し声は止み、重く、苦しい沈黙が舞い降りる。
皆しばらくは、言葉の意味を理解できずに立ち尽くしていた。
「・・・中止・・・?」
呆然と千歌が呟いた後、少し遅れて梨子が前に出る。
「どういう意味・・・・・・?」
「言葉の通りだよ。説明会は中止。浦の星は、正式に来年度の募集を辞める」
これまでのAqoursの努力を嘲笑うかのように、残酷な現実が襲いかかってくる。
「・・・そんな・・・」
「いきなり過ぎない⁉」
「そうずら! まだ二学期始まったばかりで・・・・・・」
「うん」
「生徒からすればそうかもしれませんが、学校側は既に二年前から統合を模索していたのですわ」
必死に異議を申し立てる後輩達に、ダイヤは自分自身にも言い聞かせるように言った。
「鞠莉が頑張って、お父さんを説得して、今まで先延ばしにしてたの」
「・・・でも入学希望者は確かに増えてるんだろ? 今十人になったって」
自分で言っておいてなんだが、十人じゃ全然足りないことぐらいすぐに理解できた。
十人。始めはゼロ人だった事を考えると、今こうして十人になった事は大きい。
あくまでも、彼女達にとってはの話だが。
二年も前から統合を模索していた学校側が、ただか十人で納得するはずがないのだ。
けど・・・、
「これから、これからもっと増えるって・・・・・」
全員が思っていた事をルビィが口にするが、それでも鞠莉の表情は変わらなかった。
「それはもちろん言ったわ。けれど、それだけで決定を覆す理由には―――――」
「鞠莉ちゃん‼」
抑えこんでいたものが一気に噴火したように飛び出した千歌が、鞠莉の肩に掴みかかる。
「・・・・・・どこ?」
「ちかっち・・・?」
「私が話す!」
爆ぜるように床を蹴ると、千歌はそのまま部屋を出て行ってしまった。
「千歌ちゃん!」
「待って! アメリカよ⁉ 鞠莉さんのお父さんはアメリカなのよ⁉ そうですよね⁉」
「・・・・・・Yes・・・」
アメリカ。行くだけでいくらかかるか・・・。とても一介の高校生が捻出できるようなものではない。
それに、仮にもし行けたところで話を聞いてもらえるか・・・・・・。
「美渡姉や志満姉やお母さん。あと、お小遣い前借りして、前借りしまくって・・・・・・! アメリカ行って・・・そして・・・! もう少しだけ待って欲しいって話す!」
ここまで来てしまうともう子供のワガママだ。
気持ちは分からなくはない。だが、そんな方法で到底敵うはずなど無いのだ。
そんな中声を出したのは、ゼロだった。
『だったら俺が行く』
「ゼロさん⁉」
『・・・・・・精一杯足掻いたうえで結果が実を結ばなかったのならまだ仕方ねぇ。・・・・・・だが、足掻く機会も与えられなかった奴が淘汰されるなんざ、納得できる訳ねーだろっ‼』
そう言ってブレスから取り出したゼロアイを装着しようとするゼロを、梨子が制止する。
「・・・出来ると思う?」
『出来るか出来ないかの問題じゃねぇ! 俺はそんなの認め―――』
(辞めろっ‼)
『ぐおっ・・・・・・!』
闇を開放して身体の主導権を取り返し、陸はゼロアイをブレスに戻した。
「・・・・・・俺達がいくら言ったところで無駄だ・・・」
『・・・・・・。くっ・・・!』
皆ゼロと気持ちは同じだ。唐突に今までの努力を否定されたら誰だって反感は抱く。
「こうなったら私の能力で!」
いつもなら誰かしらが冷やかすはずの善子のジョークにも、誰も反応しない。
ただただ空しく、寂寥感に支配されたスタジオの中に霧散していくだけだ。
「鞠莉はさ・・・、この学校が大好きで、この場所が大好きで、留学より、自分の将来よりこの学校を優先させてきた」
「今までどれだけ頑張って学校を存続させようとしてきたか。わたくし達が知らないところで、理事長として頑張ってきたか」
「そんな鞠莉が、今度は、もうどうしようもないって言うんだよ」
「でも・・・! でもっ・・・・・・!」
嫌になるほど辛辣な現実が冷たく刺さる。
言葉も、夢も、努力も、全てを奪い去っていくように残酷で。
生き心地すら失われていく感覚の中で、鞠莉は無理に作った笑みを千歌に向けた。
「ちかっち・・・ゴメンね。てへぺろっ」
「っ・・・! ・・・違う。そんなんじゃない・・・・・・そんなんじゃ・・・・・・」
悪者なんてどこにもいない。
三年生も、学校側も、決して今の状況など望んでいなかったはずだ。
そして誰一人、今の状況に納得している者もいない。
ゼロの言葉通り、まだ足掻いていないのだ。
だがそんな抗うことすらも否定するように現実が、運命が辛く、重くのしかかってきて。
これがAqoursや、浦の星女学院に課せられた宿命なのだと言わんばかりに女神は微笑みを消した。
この日は練習する気力すらも奪われ、何もすることなく今日は解散となった。
〈・・・・・・明らかに元気が無いな〉
(・・・多分、鞠莉さんが伝えたんだろ・・・・・・、説明会の事)
翌日の放課後。
曜を迎えに浦女の校門前までやってきた陸は、そこから流れ出てくる生徒達の顔を見て思わず目を逸らした。
(・・・そういや、なんでお前今日は姉ちゃんのとこ行かなかったんだ?)
〈・・・・・・流石に、ついていける雰囲気じゃなかったからな〉
(・・・そっか・・・)
「あっ、仙道君」
聞き覚えのある声に視線を戻すと、Aqoursではない三人の少女が自分に近寄ってくるのが見えた。
むつ、いつき、よしみ。千歌のクラスメート達だ。
「・・・仙道君は知ってるの? 説明会の事・・・」
「・・・・・・昨日、鞠莉さんから聞いた」
彼女達の落胆具合を見れば、如何に今回の事がショックだったのかが分かる。
「・・・本当にどうしようもないのかな?」
「こればかりは、私達だけじゃね・・・・・・」
「もしどうにかなるんだったら、千歌達が、とっくに動いてるよ」
何も言えなかった。
彼女達は、自分達の学校が無くなってしまう事を本当に悲しんでいる。
それに対し陸は自身の学校が無くなると分かった時、特に悲しむこともなくすんなり受け入れてしまったから。
学校に愛着も何もない自分が、今の彼女達に何か言う資格はない。
ただ黙ったまま、皆の悲しむ様を見ている事しか出来ないのだ。
「・・・ただいま・・・・・・」
曜を家に送り届けた後、陸もまた自身の家に戻った。
いつもはこの「ただいま」に返事など帰っては来ないが、今は返してくれる者が二人いるのだ。
「よー。遅かったな陸ちゃんよぉ」
「お帰りなさいませ。・・・と、我々が言う事かどうかは分かりませんがね」
粗暴な声と凛とした声が同時に奥から聞こえてくる。
人間態となったグレンファイヤーとミラーナイト。彼等は宇宙警備隊から直々に任務を受け、ゼロと共に地球に滞在する事になったらしい。
ごく普通に仙道家を拠点としている件については文句しかないが。
ちなみにジャン兄弟は巨大ロボット故、流石に残れなかったそうだ。
「そんで? どうだったんだよ、千歌達は」
グレンとミラーナイトには昨日の事を話した。
今後は共に彼女達を守っていく以上、情報は共有しておいた方がいいと思ったからだ。
口にして答える代わりに首を横に振ると、二人共顔を曇らせた。
「・・・やはりそうでしたか」
「・・・まあ、すぐに受け入れられるモンでもねーわな」
これまでの努力が一瞬にして否定される虚しさは、宇宙人である彼等にも分かるらしい。
「・・・続けるでしょうか? その、スクールアイドルというものは?」
「さぁな・・・。俺にも分からん」
学校を救うという明確な目標が無くなった今、Aqoursには活動を続ける意味がないといってもいい。
千歌がスクールアイドルを始めた切っ掛け、輝きたいという願いも、学校があってこそ成し得るものだ。
今彼女達がスクールアイドルを辞めると言っても、何も不思議ではないのだ。
「・・・・・・今は信じるしかねーんじゃねーのか? アイツ等の事」
「・・・かもな」
今まで通り、陸にできる事は見守る事だけ。
進むのは彼女たち自身なのだ。それが再スタートを切った際にAqoursが決めた事だから。
それが、浦女の希望となる事を信じて。
水平線に沈みゆく夕日が、内浦の海を橙色に塗り上げていく。
その手前、紅に染まる砂浜の上で、千歌は制服姿のまま座り込んでいた。
「綺麗な夕日・・・・・・」
そんな彼女を背後で見つめていた梨子が、不意にそう零す。
だが千歌はうんともすんとも言わず、ただ黙って夕日に視線を注いでいた。
「・・・私ね、こうなったのはもちろん残念だけど、ここまで頑張って来れて良かったと思ってる」
やはり口を開かない千歌の前に歩み出ながら梨子は続ける。
「東京とは違って、こんな小さな海辺の町の私達が、ここまでよくやって来れたなって」
「・・・・・・それ、本気で言ってる?」
妙に晴れやかな表情でそう語る梨子に対し、千歌はようやく口を開いた。
「・・・・・・」
「・・・それ、本気で言ってるんだったら私。梨子ちゃんの事・・・・・・・・・軽蔑する」
冷たく、刺々しい声音でそう吐き出した後、千歌は唇と手を強く引き結んだ。
いくら前を向こうとしても、悔しさとやるせなさがそれの邪魔をする。
「がおぉー‼」
そんな千歌に蟠ったものを吹き飛ばすように、梨子はずいっと顔を寄せてそう鳴き声を上げた。
「ふふ・・・♪ ピー! どっかーん! 普通怪獣りこっぴーだぞー! 喰らえ! 梨子ちゃんビーム‼」
ひとしきり訳の分からない行動をした後、天に向かって拳を突き出した。
「・・・・・・こんなんだっけ? 普通怪獣ちかちー」
「ふ・・・・・・」
自分の自虐ネタを使われ、固いままだった千歌の表情が少しだけ綻ぶ。
「やっと笑った・・・・・・」
「っ・・・・・・」
「・・・私だって、Aqoursのメンバーよ・・・」
穏やかな表情を千歌に向けた後、梨子は水平線に視線を移した。
明るく振舞って見せていた彼女の心情を現すように、紫檀色の長い髪が風に靡く。
「・・・皆とこれから一緒に歌っていこうって、曲も、いっぱい作ろうって思ってた。・・・いいなんて思う訳ない。これでいいなんて・・・・・・」
「梨子ちゃん・・・・・・」
千歌の声と共に振り向いた梨子の顔は、とても、今まで見た事ないくらい悲し気で。
「どうすればいいか分からないの・・・・・・、どうすれば・・・・・・」
しゃがみ込んで俯いてしまった彼女に掛ける言葉も見つからず、千歌はただ、海風に揺られながらその哀愁漂う背中を見つめる事しか出来なかった。
その日の夜。
千歌は自室に閉じ籠り、制服のままベッドの上で横になっていた。
「千歌―! ご飯いらないのー⁉」
姉の声にも返事せず、沈んだ気持ちそのままに自分もベッドに沈みこんでいく。
寝返りを打って虚空を見上げる瞳には、天井ではなくラブライブの予選で歌っている時の自分達の姿が映されている。
もし、あの時。
ラブライブの予選に勝って、本大会に出場出来ていたら、未来は変わっていたのだろうか。
――――――学校説明会は・・・・・・・・・中止になるの・・・。
誰よりも学校のために尽力してきた鞠莉に、あんな事を言わせずに済んだのだろうか。
――――――どうすればいいか・・・。
梨子に、あんな物悲しい表情をさせずに済んだのだろうか。
「・・・・・・」
部屋に飾られた千羽鶴に視線を流す。
あれは先日、浦女の皆がAqoursの応援のために折ってきてくれたものらしい。
予選を突破できていれば、自分達を応援し続けてくれた学校の皆の期待に、応える事が出来たのだろうか。
「・・・・・・」
後悔は消えない。
千羽鶴から逃げるように反対側に寝返りを打った千歌は、そのまま意識を手放した。
暗い場所に一人で立ち尽くしていた私を、空から差した力強い輝きが照らす。
きっとあれは、あの場所で、ラブライブの予選で私達が届かなかった輝き。
「・・・・・・」
どうして今それを見せてくるのか。
今見せられても、手が届かなかったという事と、学校を救えなかったという事実が蘇ってくるだけなのに。
そう思っていた時、一迅の風が吹き抜けた。
優しく、包み込むように暖かい風が、私の心の中を駆け抜けていく。
「っ・・・・・・」
ふと、空から紙飛行機が舞い降りた。
それは風に乗って再び空へと舞い上がり、私を照らす輝きへと向かっていく。
まるで何度打ちのめされても、前を向いて這い上がるように。
私に、何かを伝えるかのように。
そう思った時、私は自然とその紙飛行機に触れていた。
「わあっ⁉」
すると紙飛行機を輝きから放たれた光が包み込み、その形状を変えていく。
一言で言い現すならば、石造りの翼、だろうか。
だがそれが見えたのも一瞬で、最終的には鞘に納まった白い短剣のようなものが私の手の中で握られていた。
「え・・・?」
突如目の前に、胸にY字の発光体を備えた銀色の巨人の姿が浮かんだ。
巨人はゆっくりと頷いた後、私の中に溶け込むようにして消えていく。
諦めるな。
そんな声が、聞こえた気がした。
運命が何だ。
宿命が何だ。
何回だって抗ってやる。何回だって祈ってやる。
願いこそが、未来を変えるから。
ひっくり返してやるんだ。
ジーっとしてても、ドーにもならないから‼
「がおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――ッ‼」
早朝の浦の星女学院のグラウンドに、一人の少女が上げた咆哮が響く。
「起こして見せる! 奇跡を絶対に! それまで泣かない・・・・・・泣くもんか‼」
目尻に溜まった涙を決して流すことなく、千歌は自分自身にそう言い聞かせる。
「やっぱり来た」
不意に背後から掛かった聞き馴染みのある声音に引き寄せられるようにして振り向く。
「・・・・・・曜ちゃん・・・・・・どうして?」
「分かんない・・・・・・でも、ほら」
敬礼と共に曜が視線を送った先には、他のAqoursのメンバー。そして何故か他校であるはずの陸もいる。
「皆・・・・・・」
「気づいたら来てた」
「気づいたらここまで送らされてた」
笑いかけてくる梨子と、無愛想に答える陸。
『・・・・・・仲間ってのはめんどくせーよな。普段はバラバラなくせに、こんな時ばっか考えてる事が伝わっちまうんだからよ』
「俺は普通に叩き起こされただけだけどな」
『おい、ちょっとカッコよく決めたんだから乗れよ』
ゼロと陸が揉め始めたのを尻目に、千歌は自分を見る八人の少女達を見据えた。
共に支え合うこの仲間たちの笑顔こそが、何よりの力になる。
だからこそ、これまでも強くなって来れた。
「・・・きっと、諦めたくないんだよ・・・・・・諦めたくないんだよ・・・! 鞠莉ちゃんが頑張ってきたのは分かる。でも私も、皆も何もしてない!」
「そうね」
誰かに明日は、未来は求めない。
それを照らすのは太陽でも星でもなく、自分達の胸の中で芽生えた閃光だから。
「無駄かもしれない。けど、最後まで頑張りたい! 足掻きたい! ・・・・・・ほんの少しだけど見えた輝きを探したい。・・・・・・見つけたい!」
挫けたって、また立ち上がればいい。
その痛みこそが新たなる運命を描くから。
「諦めが悪いからね。千歌は昔から」
「それは果南さんもでしょう?」
「お姉ちゃんも」
『全員そうだろ』
「お前もな」
「・・・・・・皆はどう?」
微笑む千歌の先では、皆無言で笑みを浮かべ、賛成の意を表明していた。
「ちかっち・・・・・・、皆・・・」
鞠莉が、その手の中のスマホを握る手に力を込める。
「いいんじゃない? 足掻くだけ足掻きまくろうよ」
「そうね。やるからには・・・・・・奇跡を!」
ダイヤがそう言ったのを皮切りに、皆次々に「奇跡を」と口にしてく。
そう。統廃合こそがAqoursに課せられた宿命なのならば、それをひっくり返してやればいい。
宿命を塗り替える事こそが、Aqoursの使命なのだから。
――――――光に認められし原初の絆―――アンファンス
「っ・・・!」
〈・・・光が・・・〉
重なり合った皆の心を表すかのように、千歌の胸から眩い光が溢れる。
(・・・・・・絆・・・、ネクサスの光か・・・)
絆の光に導かれるように、雲の切れ間から差し込んだ太陽の光が少女達を照らす。
それに焚きつけられたのか、千歌は唐突にグラウンドに設置された鉄棒へと向かい、盛大にスカートを翻しながら逆上がりを決めた。
「「千歌ちゃん⁉」」
「白か」
「起こそう奇跡を! 足掻こう精一杯! 全身全霊! 最後の最後まで! 皆で・・・・・・、輝こぉ――――うっ‼」
ここからはネクストステージだ。
Aqoursはまた羽ばたく。
明日に向かって、進み続けるために。
何このネクサスとジードが混ざった混沌の世界。終盤文章があの曲になってるし。
一応ちかっちはジードこと麻倉リクから「ジーっとしててもドーにもならない」は伝授されてるし、あそこで使ってても違和感はないはず・・・・・・(不安)
ネクサスがちかっちに諦めるなと伝えた際の描写は、一応ネクサス本編を踏襲したつもり。
ちかっちがエボルトラスターを手に取ったけど、一体化したかどうかはまだぼやかしてもらいます。
ブラストショットとストーンフリューゲルをちかっちに使わせるつもりは今のところありませんわ。
それでは次回で!