まあ、作者も実際そう思ってますが。
どんだけ信用ねーんだウチのオリ主は。・・・・・・これは主役降板かな?(今更無理です)
「「「わあぁぁ~~・・・・・・・・・!」」」
『マジか・・・』
小原家の正面玄関から足を踏み入れた一年生三人から感嘆の声が上がる。
幼子のようにキラキラと輝かせている瞳の先にはホテルのロビー然とした開放的な空間が広がっており、その中には床一面を覆う大理石やそこに並べられた巨大なソファーが複数。そして作った意味が皆目見当もつかない鞠莉を模った銅像。
とてもここが人の居住地だとは思えない。
「すご~い! きれ~い!」
「なんか気持ちいいずら~!」
「心の闇が・・・・・・、晴れていく・・・! あぁっ・・・!」
「そんなに?」
ぱたりと倒れてしまった善子を半目で見下ろす果南。
「初めて来た時は貴方だってこんな感じでしたわよ」
「そうだっけ・・・?」
何でも幼き日の果南はここに住むと断言したそうな。
誤魔化すようそっぽを向いた彼女を一瞥すると、ダイヤはゴホンと咳づいて全員の意識を自分に向けさせる。
「それよりも、ここに来たのは曲を作る為ですわよ! さあ!」
場所は変わり、来客スペース。
「お待たせ―、AfternoonTeaの時間よー!」
部屋着?に着替えた鞠莉がティースタンドに乗せて運んできたのは、人数分の紅茶のカップと大量の洋菓子だった。
「「「わあぁぁ・・・・・・!」」」
物珍しい菓子類を前に、ルビィ、花丸、善子の三人は更にそのテンションを上げていた。
「超、未来ずら・・・・・・」
「好きなだけ食べてね♪」
鞠莉の言葉に、三人同時にティースタンドへとへと伸ばす。
「ナニコレ⁉」
「このマカロン可愛い!」
「ほっぺがとろけるずら~~・・・・・・」
マカロンを口の中へと放り込み、表情筋が力を失ったかのように顔を弛緩させるルビィと花丸。
「ダメよヨハネ! こんなものに心を奪われたら浄化される! 浄化されてしまう! 堕天使の黒で塗り固められたプライドが・・・・・・!」
そんな二人を見たからか、奇妙な堕天使劇と共に一人理性を保とうとする善子だが・・・、
「あ~ん」
「ギラン! ・・・昇・・・天・・・・・・」
花丸が口の中に放り込んできたマカロンにより、幸せそうな顔でソファーへと倒れ込んでしまった。
『おいダイヤ。さっきのお前の一喝は何だったんだ?』
敢無く高級菓子の前に撃沈した一年生ズを目の当たりにし、呆れ気味のゼロがダイヤに声を掛ける。
「・・・さあ、何なんでしょうね?」
「ダイヤ達もどうぞ♪」
高級菓子の魔力に犯されていなかった果南とダイヤにも、鞠莉によるマカロンの誘惑が迫る。
魔の手を伸ばしまくっている鞠莉に自覚が無いようなので、ここは自分がハッキリと言わなければダメだろう。
『あー、おいお前等。このままだと菓子だけじゃなくて作詞の時間まで食い潰すことになるぞ』
そう思いやんわりと注意を促したゼロだが、
「「・・・・・・」」
果南とダイヤが喉を鳴らして生唾を飲み込む音を聞き逃さなかった。
とても幸せそうな一年生の様子を見てしまっているからか、二人の手は徐々にマカロンの山へと伸びていき―――、
『ちょ・・・、お前等まで堕ちてどうすんだ!』
咄嗟に果南の身体から主導権を奪い取って制止しようとするが、マカロンへの強い好奇心故か、主導権を握るどころか弾かれてしまう。
『何ぃぃぃッ⁉』
結局果南とダイヤもマカロンを口にしてしまい、その魔力の虜となってしまった。
その後、小一時間ほど菓子と怠惰を貪っても彼女達の手が止まる事はなく、ただただ無駄に時間が過ぎ去っていく。
「ほわぁぁ・・・・・・、幸せずら・・・・・・止まらないずら・・・・・・」
「このチョコ味がまた堪らないんだよね~・・・」
新たに出されたチョコレートポップコーンに花丸と善子はご満悦である。
「あ! ゾウさん!」
いつの間にか電源が入れられていたテレビにゾウが映し出され、同じくチョコレートポップコーンを口に運んでいるルビィが反応する。
果南とダイヤも本来の目的を忘れて菓子を食い、全ての元凶である鞠莉は何食わぬ顔で優雅に紅茶のカップを傾けていた。
『・・・・・・・・・』
そしていい加減、この状況に耐えかねた者が一人。
もぐもぐとマカロンを咀嚼する果南の身体から幾筋の光の線が伸び、少し離れた場所で人型を形どっていく。
丹念に鍛え上げた逞しい肉体に、不良のようにも思えてしまう程に悪い目つき。
この地球に来てからは初披露である、ウルトラマンゼロの人間態だった。
「いい加減にしやがれテメェ等ァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼」
テレビの音と咀嚼音のみが支配していた部屋の中に、堪忍袋の緒が切れたゼロの怒号が響き渡った。
さらに場所は移って黒澤家。
「おっほん! やはり、鞠莉さんの家では全く作業になりませんわ! 全く‼」
「お前が言うな」
自分の事は棚に上げて説教をかますダイヤに対し冷静にツッコむゼロ。
「あっちがいいずら~~!」
「もっとポップコーン食べたかったのに!」
「あ˝ぁん?」
窓枠に肘をついて文句を垂れる花丸と善子の間に割って入る目つきの悪い青年が一人。
「十分食っただろ」
「「・・・・・・・・・へい」」
ドスと凄みが滲んだゼロの声音に、二人はずるずると作詞に引き戻されるのであった。
迷走を重ね、ようやく本来の目的である作詞会議に突入する。
「では、まず詩のコンセプトから。ラブライブの予選を突破するには―――」
「はい!」
ダイヤの言葉を途中で遮り、先程まで文句を垂れていた花丸が元気よく手を挙げた。
「ずばり、無、ずら!」
いつの間にか手にとっていたスケッチブックにいつの間にか書かれていた「無」という文字を皆に見せつてくる。
「・・・・・・無?」
しばらくの沈黙の後、半目で問いかけた果南に花丸は立ち上がって答えた。
「そうずら~。即ち無というのは全てがないのではなく、無という状態がそこにあるという事ずら! それこそまさに無!」
「は?」
「What?」
「なにそれ・・・・・・」
周りが難しい顔をしている中、ただ一人善子がゆらりと立ち上がる。
「カッコイイ!」
無という響きに厨二心を擽られたのか、堕天しながら賛成の意を秘めた瞳を花丸に向けた。
「善子さん。その無という事があるという事こそ、私達が到達できる究極の境地ずら」
「ヨハネ。無、・・・つまり漆黒の闇。そこから出でる力・・・・・・」
花丸も変なスイッチが入ったのか、普段はツッコミを入れる善子の堕天使モードに乗っかり、息ピッタリなタイミングで腕を交差した。
「そうずら―!」
「凄い! 二人共!」
ルビィは感心したように目を輝かせるが、残念ながらそんな反応を示しているのは彼女のみ。
「そんな境地一生かかっても到達しないでいいわ」
「それに、それでラブライブを突破できるんですの?」
「テーマが難しすぎるし・・・・・・」
「Off Course! もっとHappyなのがいいよ~」
ゼロ、そして三年生達は真っ向からそれを否定する。
「理解できないとは・・・・・・」
「不幸ずら・・・・・・」
「そう言う鞠莉さんは、何かアイディアがありますの?」
不貞腐れる花丸と善子を尻目にダイヤが流した質問に、鞠莉はスマホを取り出しながら答えた。
「まっかせなさーい! 前から温めてた、とびっきり斬新で、Happyな曲がありまーす‼」
流水の様な動きでスマホをスタンドにセットする。
「はぅ・・・、皆に曲を聞いてもらうこの感覚、二年ブゥーリですネー!」
「未来ずら~」
「どんな曲?」
「ふふっ、聞いてみる」
皆が期待を表情に含ませたのを見て、鞠莉が微笑みながら再生ボタンを押したその瞬間――――、
ズン!
低く力強い爆音が轟き、空気が震えた。
「うおぉ・・・・・・?」
「イィェーイ♪」
ゼロですら思わず上体を仰け反らせて顔を顰める反面、鞠莉はノリノリで簡単なダンスを披露している。
「なんかいいね♪ 身体を動かしたくなるって言うか」
「まあ、確かに、今までやってこなかったジャンルではありますわね」
「・・・・・・何で平気なんだよお前等・・・」
この様子を見るあたりだと、以前この三人でAqoursをやっていた時はこんな曲で踊っていたとでも言うのだろうか。
鞠莉とほぼ同類みたいな果南はまだいいとして、厳格そうなダイヤがこの音楽を受け入れていたとは予想外だ。
「音楽に合わせて、身体を動かせば、Happyになれますネ♪」
「そうだね! ラブライブだもん! 勢い付けていかなきゃ!」
「・・・・・・この有り様じゃ無理だろ」
音楽を止めたゼロが目を向ける先。
そこには、爆音に耐えかねて死屍累々と化した一年生達の姿があった。
「ルビィ・・・、こういうの苦手・・・・・・」
「耳がキーンしてる・・・・・・」
「・・・単なる騒音ずら・・・・・・」
パタリと頭を落とした三人を見て、ゼロは頭が痛くなるのを感じながら蟀谷を押さえた。
一方その頃、二年生組のいる十千万。
「うぅ・・・・・・」
浦女組三人が囲むテーブルに、千歌が唸りながら突っ伏していた。
「浮かびそうもない?」
「うーん・・・・・・、輝きって事がキーワードだと思うんだけどね・・・・・・」
「輝きねぇ・・・」
三人寄れば文殊の知恵というが実際全くそんな事はなく、歌詞ノートは依然真っ白なままである。
「そっちの三人はなにかいいのない?」
曜が首を回し、離れた場所でそれを見守っていた男三人衆にアイディアを求める。
一人は当然陸。もう二人は陸が呼び出したグレンファイヤーとミラーナイトだ。
ゼロと共にウルティメイトブレスレットまで果南のところに行ってしまった為、今の陸には千歌達の防衛手段が限られてくる。そんな訳で呼び出したという事だ。
「あん? そんなん熱くて燃えるモンに決まってんだろうが! ファイヤァァァ‼ ってな」
マジで炎でも噴出させそうな勢いで叫ぶグレンに、曜は若干引き気味に苦笑いをする。
「・・・・・・例えがよく分からない・・・。陸は?」
「俺に歌詞の事を聞くな。音楽の評定1だぞ」
今だこの方作詞作曲方面でのAqoursへの貢献度は0%である。
とまあ微々とも力になれない二人に、ミラーナイトまでもが苦笑いで肩を竦めた。
「全く使えませんね貴方達・・・。そうですね、私も歌詞についてはからきしですが・・・・・・千歌。貴方達は未来を変えるべく、新たなスタートを切ったのでしょう? だったら、その気持ちを歌詞に乗せてみたらいかがでしょうか」
「おぉ~・・・いいかも!」
「二人より頼りになるー!」
「「悪かったな!」」
頼りにならない二人は無視し、千歌はミラーナイトからもらったヒントから発想を広げようと弱い頭を働かせ始める。
「あー・・・、早くしないと果南ちゃん達に先越されちゃうよね~・・・・・・」
「だよn――――」
『その心配はないと思うぞ』
「うおぉっ⁉」
突然ゼロが帰還し、驚きの声をあげる陸。
更にそれと同時に千歌のケータイが着信音を鳴らし、全員の視線がそちらに移る。
「ルビィちゃん・・・?」
『お前等。今すぐ黒澤家に行け』
ルビィからのメールもゼロの言葉と同様の内容で、いざ今から作詞を始めようとしていた千歌達の表情が焦りと衝撃に染め上げられた。
「うそ⁉ 本当に先越された⁉」
メールの内容を改めて確認し間違いがない事を理解した後、六人は爆ぜるように部屋から飛び出して行った。
「それではラブライブは突破できません!」
「その曲だったら突破できるって言うの⁉」
「花丸の作詞よりはマシデース!」
「むぅ・・・・・・」
「でも、あの曲はAqoursには合わないような・・・・・・」
「新たなChallengeこそ、新たなFutureを切り開くのデース!」
「さらにそこにお琴を!」
「無の境地ずら!」
「・・・・・・え~・・・・・・っと・・・?」
黒澤家の階段を駆け上がった先で陸達を待ち受けていたのは、二組に分かれて対立しあう一年生と三年生だった。
先程別れた際の一致団結はどこへ消えたのか、今は犬猿の仲をそのまま絵に映したかのような状態と化していた。
『・・・・・・面目ない、俺がついていながら・・・・・・』
「あ、あはは・・・・・・」
「やはり、一緒に曲を作るのは、無理かもしれませんわね・・・・・・」
口論する鞠莉達を宥めた後、二年生四人や妹のルビィを連れて一度外に出たダイヤは溜息混じりの声音で言った。
「趣味が違い過ぎて・・・・・・」
「そっか・・・」
「いいアイデアだと思ったんだけどな・・・・・・」
あの様子を見る限りでは、とても作詞どころではないだろう。
何とかこれ以上対立が発展する事は防いだが、部屋に残してきた果南と鞠莉、花丸と善子は互いにへそを曲げて口を聞こうとしなくなってしまった。
「もう少しちゃんと話し合ってみたら?」
「もう既に散々話し合いましたわ。ただ・・・思ったより好みがバラバラで・・・」
「バラバラかぁ・・・・・・」
まあでも、三年生と一年生では全くと言っていい程タイプが違うので仕方ないとも言えるだろう。
互いに絡んでいる姿もあまり見た事が無いし、原因はそこにもあるのかもしれない。
「でも、いつまでもバラバラって訳にもいかないし・・・・・」
「・・・確かに、その通りですわね。私達は、決定的にコミュニケーションが不足しているのかもしれません」
「まあ、一年生と三年生の主なコミュニケーションつったらこの前の姉ちゃんと善子の柔軟と、黒澤家姉妹コントぐらいだしな」
「コントゆーな! ですが、実際それぐらいしか絡みが無かったのも事実ですわ」
とは言ってももう過去に戻る事は出来ないし、何か別な方法を検討しなければいけない。
これは作詞以前に、今後のAqoursにも関わる問題なので真剣に考えなければなるまい。
「となると、アレしかありませんわね」
ふと何か思いついたようにダイヤが笑みを浮かべ、ポンと手を叩いた。
「アレ?」
「ええ。まずは互いに親睦を深めるところから始めようかと・・・・・。あ、仙道さん借りますわよ」
「え?」
鞠莉さん家俺も行ってみたい。モデルになったホテルも淡島にあるんでしたっけ?
まあ、スゲー高いというのは風の噂で聞きましたがね。
今回の解説は割と好き放題やってるウルトラマンゼロさんについて。
ブレスレットから声を出せたり、序盤でやってた魂だけ他人に憑依させるって言う芸当はオリジナル設定です。
実はまだ物語冒頭でレゾリューム光線によって負った傷は治っておらず、失っていた能力が戻った程度。人間態にはなれるけど、単体での実体化はまだ厳しい状態にあります。
戦うには誰かと一体化する必要があるという事ですね。
解説し忘れがあったら後々日を追って解説します。
それでは次回で!