ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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アグル出したい(唐突)

もうなんとなくだけどなんの話でどのウルトラマン出すか決めちゃってるからな~・・・。
一応ニュージェネは全員出す気でおりまする(出す気があるだけ、保証はない)

まあいいや。本編どうぞです。



七十四話 九人九色

 

 

 

 

「「「「仲良くなる?」」」」

 

 ダイヤの提案を聞いた果南と鞠莉、そして善子と花丸が声を揃えて仏頂面を同じ方向に向けた。

 

「そうですわ。まずはそこからです」

 

「曲作りには信頼関係が大事だし」

 

「このままじゃ今後の活動に支障をきたしかねないし」

 

 黒澤姉妹とその姉の方に強制的に残された陸がそう言うと、若干表情が柔らかくなった花丸が首を傾げる。

 

「でも、どうすればいいずら?」

 

 一言に「仲良くなる」と言っても、ここまでタイプが違う連中を仲良くさせるなんて簡単に出来るものではない。

 ダイヤも具体的な案を挙げないまま事を実行に移してしまったので、この後何をするかは何も決まっていない。流石はいざという時にポンコツ化する生徒会長と言ったところか。

 

「ふふっ・・・、任せて」

 

 やけに自信たっぷりに立ちあがった果南に全員の視線が集中する。

 

「なんかあんの?」

 

「うん! 陸も昔やったでしょ? 知らない子と仲良くなるには―――――」

 

 

 

 

 

 

「―――――一緒に遊ぶ事‼」

 

 ひゅう、と風を切る音と共に果南の投げた剛速球が善子と花丸の間を駆け抜けた。

 場所は浦の星女学院の校庭に移っており、一年生と三年生の六人は体育着に着替えていた。

 

「ナイスボール!」

 

 鞠莉は顔色一つ変えずにそれを受け止め、サムズアップを果南に向ける。

 これでまだ肩慣らしだというのだから彼女達は恐ろしい。

 

『・・・・・・何でドッジボールなんだよ。善子と花丸の顔完全に引き攣ってんじゃねーか』

 

「・・・まあ、体力バカの姉ちゃんらしいつったららしいけどな」

 

 そう言えば果南と初めて会った日もこんな感じで無理矢理一緒に遊ばされた記憶がある。当時は確か三歳だったか。

 あの時やったのもドッジボールだった。

 その頃から化け物染みた身体能力を誇っていた果南に初エンカウントの陸と曜はおろか、それよりも前から果南と付き合いがあった千歌ですら手も足も出ずにボコボコにされたが。

 まあ、それがあったからこそこうして今も付き合いがある訳だし、一概に果南の言ってる事も間違いではない。

 ・・・もっとも、それが通用するのは小学生くらいまでだと思うが。

 

「さあ! いっくよぉ! マリ・シャイニング~~・・・・・・」

 

「ずらぁ⁉」

 

「任せて!」

 

 花丸を庇う形で前に出た善子が、両腕を広げながら何かの詠唱を開始した。

 

「力を吸収するのが闇。光を消し、無力化して、深淵の後方に引きずり込む! ・・・それこそ!」

 

「トルネェード‼」

 

 詠唱の途中で、果南のものに負けず劣らずの速度と威力を誇った剛速球が鞠莉の腕から放たれる。

 

「黒時・・・・・・喰炎――――――なあぁぅ⁉」

 

 ギリギリで呪文は唱え終わるも時すでに遅し。

 ボールは善子の顔面にクリーンヒットし、情けない悲鳴と共に後方に倒れ込んでしまう。

 そしてさらに、

 

「ずらっ⁉」

 

「ピギィ⁉」

 

 善子の顔面で跳ね上がったボールが花丸、ルビィの脳天を連続で直撃し、一年生ズは仲良く全員地面を転がった。

 

「ルビィ⁉ 大丈夫ですか⁉ しっかりなさい!」

 

「・・・・・・あり?」

 

「・・・・・・スペックに差があり過ぎる・・・」

 

 このまま続行。という訳にもいかないので、ドッジボールで仲良くなるという果南の作戦はここで潰えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~・・・、やっぱりここが一番落ち着くずら~・・・」

 

「そうだよね~」

 

 制服に着替え直して図書室へと向かった一行は、各々適当な本を手に取っていた。

 Aqoursに入る前まではここに引き籠っていた花丸とルビィは勿論の事、一学期の頭は引き籠りだった善子もこういう静かな空間は落ち着くようだ。

 

「ふふっ・・・、光で穢された心が、闇に浄化されていきます!」

 

 すっかり調子を取り戻した善子がいつも通り一人堕天芝居に突入する。彼女の顔にはくっきりとボールの跡が残っており、余計に痛々しく見えた。

 

「「あははは! その顔―!」」

 

『くくっ・・・、傑作だな・・・!』

 

「何よ! 聖痕よ! スティグマよ!」

 

 先程までとは打って変わって笑い合う一年生ズ。

 だが別の机では先程まで笑顔だった二人の少女から笑みは消え、つまらなそうに本のページに羅列された文字を眺めていた。

 

「ん~・・・、退屈・・・」

 

「そーだよ~・・・、海行こう海~・・・」

 

「・・・何? 中毒症状? 姉ちゃんにとって海って何なの・・・」

 

 う~み~・・・、とゾンビのように呻く果南は、麻薬を求める中毒者に見えなくもない。

 

「私は身体を動かしてないと死んじゃう病気なんだよ~・・・・・・」

 

「回遊魚か」

 

 あながち間違っていないというのが困るところだが。

 小学四年生の頃だっただろうか。風邪をひいて学校を休んだ果南の見舞いに行ったら、おとなしくベッドに寝そべる事に限界が来た彼女が軽い禁断症状を起こしていて怖かった記憶がある。

 

〈果南でも風邪ひくんだな〉

 

(お前姉ちゃんのことなんだと思ってんの?)

 

「読書と言うのは、一人でも勿論楽しいずら。でも、皆で読めば、本の感想が聞けて――――」

 

「「ZZZ・・・・・・」」

 

 もはや聞く気もないのか、花丸が一人語る中、いつの間にか果南と鞠莉は夢の世界に誘われてしまっていた。

 

「寝てるの?」

 

「・・・二人は長い話が苦手ですから・・・・・」

 

 一応自分で選んだ本を手に取っておいてこの有り様とは。一体普段の授業ではどんな体たらくになってしまっているのだろうか。

 

「・・・ほんと、本能だけで生きてるよなこの二人・・・」

 

 行動パターンが小学生の姉とその親友に呆れた視線を送った後、陸は早くも心労のため息をつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 果南と鞠莉を叩き起こし、陸達はバスへと乗り込んだ。

 だがここでも一年生と三年生が一緒になる事はなく、通路を境に果南と鞠莉、善子と花丸は別の席に座っていた。

 

「・・・さっきから運動にしろ読書にしろ、どちらか片方だけの趣味を押し付けてるのがいけないと思うんですよね」

 

「ええ、それはわたくしも薄々分かってきましたわ。・・・・・・このメンバー・・・」

 

 そもそもあの四人は根本的にタイプが違うのだ。

 ダイヤの隣に腰かけた陸は彼女と共に通路を挟んでの左側、果南と鞠莉が座っている席に目を移す。

 

「わあぁ~・・・、今日は絶好のダイビング日和だね!」

 

「また一緒にTogetherしまショーウ!」

 

「と言うアウトドアな三年生と・・・」

 

 とにかく動いてないと生きていけない悲しき宿命を背負った二人を一瞥し、その反対側の座席に座っている者達を見る。

 花丸は読書、善子はよく分からない事をぶつぶつと呟いていた。

 

「ほぉう・・・」

 

「新たなリトルデーモンをここに召喚せしめよ・・・」

 

「と言うインドアな一年生に分かれている。という訳ですね」

 

「どうすればいいの・・・?」

 

 ルビィの言う通り、正直どうしたらいいのか分からない。

 あの四人、何か共通した趣味を持っている訳でもないので、何かするにしろどうしても行き違いが発生してしまう。まさしく八方塞がりと言ったところか。

 だがダイヤには何か考えがあるようで。

 

「仕方ないですわね・・・」

 

「? 何かあるんすか?」

 

 深く息を吐き出すと共に発せられた彼女の言葉に聞き返す陸。

 

「ええ、こうなったらお互いの姿を・・・・・・」

 

 ダイヤは妙に自信ありげに目を見開き、腕を突き出してから強く言い放った。

 

「曝け出すしかありません!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・で、温泉か」

 

 ダイヤの提案で露天風呂のある温泉まで移動し、いろんな少女に振り回されまくって疲弊した心身をいやす陸。

 ちなみにあの一行で野郎は陸だけだったので、必然的に男風呂に来たのは陸だけである。

 

〈・・・・・・何で風呂なんだよ〉

 

「・・・裸の付き合いだとよ」

 

 何でもお互いの一糸纏わぬ姿を晒し合う事で信頼関係を深めるとかダイヤは言っていたが、どうせもう肝心の果南と鞠莉は風呂に飽きている頃であろう。

 

〈しかし、地球人は不思議な文化を持ってるよな。湯に浸かる文化とか他の星じゃまず見ねーぞ〉

 

「そーか? 俺等にとっちゃ小さい頃から当たり前なんだが・・・。光の国には風呂ないのか?」

 

〈ない。そもそも風呂に入るウルトラマンなんてオーブぐらいだ〉

 

「・・・ガイさんは・・・、きっと日本人より風呂を愛してるよ」

 

 今もどこかで風呂上がりのラムネを楽しんでいるのだろうか。

 

〈それより。ホントにどうすんだよ作詞。このままじゃ絶対完成しねーぞ〉

 

「うむ・・・」

 

 今まで何度か千歌の全く進まない作詞風景を見てきたが、今回はそれの比ではない。

 千歌はともに作詞をするメンバーが曜や梨子と言う比較的距離の近いメンバーだったのに対し、一年生と三年生は日頃からの関りも少ない。

 ルビィの言葉を信じるのならば曲作りは信頼関係が大事との事。

 よってあのメンバーが仲良くならない限りは一向に前に進めないのだが・・・。

 

「・・・こればっかりは俺一人じゃどうにもならん。・・・・・・こりゃあの六人の問題だからな」

 

〈・・・・・・と言うと〉

 

「・・・誰かと仲良くなるってさ、なんかこう、人に言われたからそうするって事じゃないだろ?」

 

〈・・・どういう事だ?〉

 

「・・・ちょっと説明が悪かったか。そうだな・・・・・・。例えば、親とかに友達と仲良くしなさいって言われても、あんまり乗り気にはならないだろ?」

 

〈当たり前だ。俺は人の指図は受けねぇ〉

 

「・・・・・・多分、今の状況ってそれと似たような事だと思うんだよな。鞠莉さんは知らんけど、姉ちゃんああ見えて人見知りな部分あるし。善子と花丸は積極的に話す方じゃないし。そんな連中に第三者が仲良くしろって口挟んだところで無理だ」

 

〈・・・・・・なるほど。つまり自発的に仲良くなれるような行動に移らなきゃいけないと〉

 

「ああ。何かきっかけさえあればいいんだが・・・」

 

 その時、冷たい何かがぽつりと陸の鼻先に触れた。

 

「・・・・・・雨か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 唐突に振り出した雨を凌ぐべく、一時的に近くのバス停へと避難した。

 

「せっかくお風呂入ったのに、雨なんてね・・・」

 

 先程まで快晴だったというのに、何がどうしてこうなったのやら。

 

「おい善子。変なところで不運発揮してんじゃねーよ」

 

「何で私のせいなのよ⁉」

 

「冗談だ」

 

 誰のせいかは置いておいて、空模様を見る限りではまだまだ雨は止みそうもない。

 

「結局何だったんですの?」

 

「確かに何しに行ったんだか」

 

「まるはご満悦ずら」

 

「ルビィも」

 

 楽しかった分にはまあ良かったのだろうが、そもそも本来の目的はドッジボールや読書、入浴を楽しむことじゃない。作詞だ。

 

「あちらを立てればこちらが立たず・・・・・・全く」

 

「より違いがハッキリしただけかも」

 

 陸の予想通り果南と鞠莉は早々に風呂に飽きていたらしいし、ご満悦だった一年生との違いはより明瞭になってしまった。

 重い空気に雨がもたらした湿気が流れ込み、少し息苦しくなった雰囲気の中ゼロが口を開いた。

 

『・・・・・・いいんじゃねーの? バラバラで』

 

「え?」

 

「どういうことですの?」

 

『あー・‥。そうだな―――――』

 

 返答を掻き消すように、ざあぁと、より強く雨がアスファルトの道路を打ち付けた。

 

「どうしよう。傘持ってきてない」

 

「どうするのよ? さっきのとこに戻る?」

 

「それはちょっとなぁ・・・・・・」

 

「くしっ・・・! 結局、何も進んでないかも・・・」

 

 ルビィがそう零したのを皮切りに、暗い沈黙が舞い降りる。

 それを打ち破ったのは、不意に花丸が漏らした呟きだった。

 

「近くに、知り合いのお寺があるにはあるずらが・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「入っていいずら」

 

「「えっ・・・」」

 

「ここ、ですの・・・?」

 

 ぎぎぃ・・・と、錆びれた寺の門が開く。

音や門自体の風格もあり、さながらゲームのラスボスが潜んでいる城にでも乗り込む瞬間のようである。

 

「いいの?」

 

「連絡したら、好きに使っていいって」

 

「すげぇな。流石寺の子・・・」

 

 陸が集団より前に出て、塀に囲まれた敷地の中の様子を伺う。

 太陽光の差さない曇天模様の下でこういう小さめの寺はかなり不穏に映り、所々に鎮座している墓石が余計に不気味さを増長させている。

 

「住職の人は?」

 

「ここに住んでる訳じゃないから・・・・・・・・・いないずらぁ・・・」

 

「「ひゃあぅ・・・!」」

 

「あーはい。怖い怖い」

 

 懐中電灯で自身の顔を下から照らして驚かせようとしてくる花丸を適当に流し、敷地の中央部に位置する本堂らしき建物を見据えた。

 

「となると・・・・・・」

 

「とりあえずあそこ使わせてもらうか」

 

「「ふぇっ・・・・・・⁉」」

 

 誰かの発言にいちいち肩を震わせる果南とルビィ。

 恐らく寺の雰囲気に気圧されてすっかり怯えてしまっているのであろうが、生憎他に雨を凌げそうな場所がないので我慢してもらう他ない。

 

 

「ふっふっふっ・・・・・・、暗黒の力を・・・、リトルデーモンの力を、感じ―――」

 

「仏教ずら」

 

「知ってるわよ!」

 

 善子と花丸のいつものノリを見届けた後、震える果南とルビィを引き摺って本堂の中へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すげー・・・。こんな間近で仏像見たの初めてかもしんねー」

 

 宇宙規模で神と呼ばれている存在から預かったブレスを懐中電灯代わりに使い、地球の一部の人間に崇められている仏の像を照らす陸。ノアにしろ仏教にしろ罰当たりもいいところだろう。

 ウルティメイトブレスレット以外で光を発しているのは仏壇に供えられた蝋燭のみで、本堂の中は薄暗く、外より更に不気味である。

 

「で、電気は?」

 

「無いずら」

 

「Really⁉」

 

 近くに電線は見当たらなかったし、もしやとは思ったが、まさか本当に通っていなかったとは。

 まあ、こんな歩く度にぎしぎしと床が軋むような古い寺に文明の利器を求めるだけ無駄だとは思うが。

 作曲するには最悪の環境に皆が戸惑っていると、先程から震えっぱなしだった果南が上擦り気味の声を発した。

 

「どどどどうする? 私は平気だけど――――――はぐぅ‼」

 

「むぐっ・・・姉ちゃん、苦しい・・・」

 

 だが言葉の途中で雷鳴が轟き、恐らく彼女固有の悲鳴らしきものを上げながら陸に飛びついてきた。

 そんな果南に冷たい視線を注いだ後、鞠莉が全員に対し提案する。

 

「・・・とりあえずやる事もないし・・・、曲作り?」

 

「でも、また喧嘩になっちゃったりしない・・・?」

 

「き、曲が必要なのは確かなんだし、とにかくやれるだけやってみようよ!」

 

「そうですわね」

 

 皆がダイヤの言葉に賛同して動き出そうとした直後に床が音を鳴らし、果南は再び豊満な何かと一緒にその身体を陸に押し付けてくる。

 

「はぐぅ!」

 

「ぐえっ・・・!」

 

 とりあえず使えそうもない果南と彼女に拘束された陸は無視し、鞠莉は話を進めていく。

 

「意外とパーッと出来るかも!」

 

「だといいずらね」

 

「歌詞は進んでるんですの?」

 

 まあ、まず問題になってくるのはそこだろう。

 前に梨子が言っていたのだが、曲のメロディは歌詞のイメージが重要になってくるので、これがなければ何も始まらないのだ。

 

「善子ちゃんがちょっと書いてるの・・・・・・この前見たずら」

 

「何勝手に見てんのよ!」

 

 花丸の口から意外な名前が挙がり、全員の視線が善子に集中する。

 

「へえ、やるじゃん」

 

「すご~い」

 

「Great!」

 

 初めはあまり乗り気でなかったような善子だが、皆の称賛の声を受けて徐々に調子に乗り始める。

 

「ふっふっ・・・、いいだろう。だがお前達に見つけられるかな⁉ このヨハネ様のアークを――――」

 

「あったずら」

 

「こらぁー!」

 

 善子の荷物を勝手にまさぐった花丸がノートを取り出し、皆でそれを囲む。

 が、全員そこに記されていた善子語に顔を顰めた。

 

「なんだこれ・・・」

 

「う、うらはなれせいきし・・・?」

 

「りりせいきしだん・・・?」

 

裏離聖騎士団(りゅうせいきしだん) !」

 

 そんな斬新すぎる当て字誰も読めるはずがなかった。

 

「この黒く塗りつぶされているところは何ですの?」

 

「ブラック・ブランク!」

 

 読む読めない以前の問題個所もあったようで。そもそもこれをどうやって歌にするというのだろうか。

 

「・・・読めませんわ」

 

 よってダイヤの事の言葉は全員の気持ちを代弁しているのである。

 

「ふん! お前にはそう見えているのだろうな! お前には!」

 

「誰にでも読めなきゃ意味ないずら・・・」

 

「うっさい! 陸! アンタなら読めるわよね⁉ この堕天使ヨハネと暗黒の契りを交わしたリトルデーモンのアンタなら!」

 

「うん。無理」

 

「何でよぉー⁉」

 

 こんな歌詞では予備予選の突破・・・、いや、曲にする事も無理だろう。

 善子には悪いがボツにさせてもらうしかない。

 

「そういえばこのブラックブランク? 動きますわ」

 

 善子のノートを眺めていたダイヤが首を傾げ、妹のルビイが姉の視線を追う。

 するとそこには。

 

「っ⁉ お姉ちゃん⁉ それ、虫‼」

 

「「ピギャァァァァァァァァァァァァ⁉」」

 

 黒澤姉妹が身を寄せ合いながら同時に飛び上がり、耳を劈く悲鳴を上げる。

 

「ちょ・・・、落ち着きなさ――――――え?」

 

「ずら?」

 

 突如として世界が暗転する。

 ゼロとの一体化で強化された視覚で辺りを確認すると、今黒澤姉妹が起こした風圧で蝋燭の火が消えていた。

 

「「「「「きゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ⁉」」」」」

 

「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ⁉」

 

 瞬間、花丸以外の女子が上げた悲鳴と、果南にとんでもない力で抱き付かれた陸の絶叫が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達、どうなっちゃうの・・・?」

 

 混乱の中何とか蝋燭に火を灯し、すっかり脱力しきった善子が床に身を預けながらそう零す。

 彼女だけでなく皆も疲弊しており、メンバーを分けて作曲をすると決めた時の元気を保っている者は一人もいない。

 

「全然噛み合わないずら・・・・・・」

 

「このまんまだと、曲なんてできっこないね・・・・・・」

 

「そう、ですわね・・・」

 

「So Bad・・・・・・」

 

「そんなに違うのかな・・・、ルビィ達・・・」

 

 暗い言葉の後には湿っぽい沈黙だけが残り、蝋燭の炎だけが虚しく揺れる。

 

『・・・・・・違くていいじゃんか』

 

 そんな静寂を打ち破ったのはゼロだった。

 

『他人に合わせる必要なんざねーんだよ。各々が思うように、それぞれの色を出せばいい。ほら、十人十色って言うだろ? 個性なんか人それぞれなんだからよ。ハナから他人に合わせろって方が無理な話だ』

 

「・・・しかし、それでは・・・」

 

『確かに時には他人に合わせる事だって大切だ。けど、構成員の個性を消した集団に未来はねーよ。皆それぞれの色を思ったように発揮するから、強くなれる。・・・千歌っぽく言うと、輝ける。か?』

 

 どこか確信の籠った声音でゼロは続ける。

 

『ウルティメイトフォースゼロだってそうだ。いきなり殴りかかってきた暑苦しい奴もいるわ、いじけて引き籠った先で体育座りしてた奴もいるわ、頭の固い姫様第一主義の奴もいるわ、有機生命体を全部抹殺しようとしてた奴もいるわ。あれでも最初は今のお前等以上に噛みあってなかったんだぜ?』

 

「えぇ・・・?」

 

「考えられないずら・・・」

 

『それでも今はこうして信頼関係を築けてる。互いの個性を尊重し合ったからこそ、今のウルティメイトフォースゼロがあるんだよ。・・・・・・別に難しい事じゃねえ。お前等なら、出来ない事じゃないはずだぜ』

 

「「ゼロさ――――――ピギィ⁉」」

 

 背中合わせに座っていた黒澤姉妹の首筋に滴り落ちた水滴が落ち、またしても姉妹同時に短い悲鳴を上げる。

 

「な、何⁉」

 

「雨漏りずら」

 

 花丸の言葉通り、黒澤姉妹が座っていた場所を見上げてみると天井から水滴が染み出していた。

 見た目からしてかなり古そうな寺だったので雨漏りしていても不思議ではないが・・・、

 

「って、いくら何でも雨漏りし過ぎだろ。何カ所あんだよ」

 

 しばらく手入れをされていなかったのか、雨宿りをしている意味があまりない程度には至るところで水が漏れ出している。

 

「どうするの?」

 

「こっちにお皿あった」

 

 仏壇の近くの置いてあった皿を手に、水が滴る箇所へと急ぐ果南。

 

「今度はこっち! ええっと・・・」

 

「鞠莉さん。こちらにお茶碗がありましたわ」

 

「こっちもお皿ちょうだい!」

 

「OK」

 

「こっちも欲しいずら」

 

「お姉ちゃん。桶、桶」

 

 少し前に陸が口にしたきっかけは唐突に訪れた。

 雨漏りと言う不測のアクシデントに、先程までなんのまとまりのなかった六人が見事な連携を見せ始めたのだ。

 

 

 

 しばらくは、水滴を受け止める皿やお椀の奏でる音に耳を傾けていた。

 チン、コツン、チリン。器の大きさがそれぞれ違うので、奏でる音もそれぞれ違う。

 まるで、噛みあっていなかった自分達を現すかのように。

 確かにそれぞれ違うのだ。ただ、聞いている内にそれは、一つのメロディーとなって耳に滑り込んでくる。

 

「・・・・・・ゼロさんの言う通りかもしれませんわね。・・・テンポも音色も、大きさも」

 

「一つ一つ、全部違ってバラバラだけど」

 

「一つ一つが重なって」

 

「一つ一つが調和して!」

 

「一つの曲になっていく」

 

「まる達もずら!」

 

 言葉を並べながら彼女達は自然と肩を組み、自分達の顔を見合わせた。

 本当に些細なきっかけだった。

 一度一つになってしまえば、あとは簡単だ。

 あとはそれぞれの個性をどう組み合わせて曲にしていくかだろう。

 

「よーし! 今夜はここで合宿ずら―――‼」

 

「「「「「ええっ⁉」」」」」

 

「え? 俺も?」

 

「Off Course!」

 

 結局は鞠莉の持ち前の強引さに押され、今夜は徹夜で作曲する事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千歌――――――ッ!」

 

 翌朝。

 二年生達が作詞をしている十千万に足を運んだ七人。

 屋根に上って朝日を眺めていた千歌の名を果南が呼ぶ。

 

「あっ! 皆! 曲は出来たー⁉」

 

 何故そんなところにいるんだという陸の視線は無視し、大声でそう問うてくる。

 それに対し六人の少女は自信たっぷりの笑みで返す。

 

「ばっちりですわ!」

 

「「「「「じゃーん!」」」」」

 

 六人同時のポージングと共に掲げた歌詞ノートを見て千歌と、彼女を窓から見つめていた梨子と曜の目が輝き出す。

 

「本当⁉」

 

「さあ! じゃあ練習しなくちゃ!」

 

「学校とラブライブに向けて!」

 

 リーダーの宣言に、皆の心が重なった丁度その時。

 

鞠莉の鞄から顔を覗かせていた彼女の携帯が、不穏な着信音を鳴らした。

 

 

 

 




原作パートは平和だなー・・・。オリジナルパートが混沌を極めてるから余計にそう感じる。しばらくは原作パートを続ける気でいるけど、もしかしたらオリジナル挟むかもです。


それでは次回で! 
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