ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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今更ですけどルーブの「さよならイカロス」神回でしたね。
前書きだけじゃ語りつくせないのがホントに悲しい。
とりあえず個人的には
・イサミとユウハの距離。
・話の主軸は王道を行きつつも覆すことのできない現実という苦みを含ませた俺好みの展開(サンシャインにも言える事)
・そして何より田口監督ならではの圧倒的な戦闘シーン。あれは凄すぎ。
ってとこかなん?実際まだまだある。

あと愛染社長のキャラマジですこ。現状ジャグジャグ並みの好感度。



八十二話 ダイヤらしいダイヤ

 

 

 

「いやー! ほんっっっとにありがとね! 陸ちゃん曜ちゃん!」

 

 沼津の公園で行ったフリーマーケットから数日。

 全体での集合時間より少し早めに集合した陸と曜は、両手を合わせる若い女性に頭を下げられていた。

 

「まー、丁度バイト探してたとこなんで至れり尽くせりですけどね」

 

「あんまり時間も取れない状況だったので、一日だけの手伝いはこっちとしても助かります」

 

「そう? ならよかった~・・・。・・・・・・それより陸ちゃ~ん。どうして君以外皆女の子なのかなぁ~? 千歌ちゃんと果南ちゃんはギリギリ知ってるけど、それ以外は皆知らない子だぞぉ~? お~?」

 

 にやけながらウリウリと肘で小突いてくる。この人は初めて漁協や観光課の定例会で会った日からずっとこんな感じだ。

 一応あの場には親に連れてこられた多くの子供がいたはずなのだが、陸と曜は何故だか気に入られてしまい、こうして今でもたまに絡んでくるのだ。

 まあ、今回はそのおかげでバイトにありつけたのだし、旧縁というのも案外捨てたものではない。

 

「別にそんなじゃないっすよ。これで用終わりなら俺等もう行きますよ?」

 

「おーおー照れちゃって~! まーでも、陸ちゃんには曜ちゃんがいるもんね~?」

 

「んなっ・・・!」

 

 普通ならスルーすべきなのに、過剰反応してしまうのが色恋沙汰の話が苦手な渡辺曜である。

 ついうっかり合わせてしまった曜の顔には目に見てハッキリ分かるほど赤みが差しており、次に何が起こるのかは容易に想像できた。

 

「あー・・・・・・」

 

 悪い事したなー、と表情で語る彼女の視線の先。

 そこには、曜全力のグーパンを右頬で受けた陸の姿があった。

 

(・・・・・・ホント、何で毎回俺なんだ・・・・・・・・・ぐふっ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ痛むんだが・・・・・・」

 

〈・・・まあ、今回ばかりは同情する・・・〉

 

「何その普段は俺が悪いみたいな言い方・・・・・・」

 

 ぶつぶつ文句を言いながら、シーパラの出入り口を見渡す。

 他の学年は皆来たのだが、三年生がまだ一人も顔を出さないのだ。

 普通に考えてあのメンバーが何も言わずに遅刻するなんてことはあり得ないので、こうして探しに来た訳だ。

 

「「フフフ・・・・・・♪」」

 

 聞き覚えのある、悪意丸出しの笑い声が耳朶に触れ、自然とそちらの方にいた人物達を視

界に捉える。

 そこにいたのは三年生組のダイヤ、果南、鞠莉の三人。どうやらここで何か話をしていたらしい。

 

「まさかダイヤが・・・・・・」

 

「ダイヤちゃんって呼ばれたいなんて・・・・・・」

 

 建物の影に隠れて三人の会話に聞き耳を立てていると、先日ゼロが出した仮説と同じ様な事が聞き取れた。

 

(・・・・・・姉ちゃん達も同じ結論に・・・)

 

〈多分、あの様子から察するにダイヤが自分から言ったんだろ〉

 

 となると必然的にゼロの推測が正しかった事になる。

 ダイヤの真意も気になるのでこのまま盗み聞きさせてもらお―――――、

 

「誰ッ⁉」

 

 とか思った瞬間に果南の顔が一瞬にして引き締まり、陸が隠れている場所目掛けて声を張り上げた。

 

(・・・なんで気付かれた?)

 

〈野生かよ。尽く人間離れしてんなアイツ・・・〉

 

 どうやらアグルに変身して以降元々の野生の勘に更なる磨きが掛かったらしい。

 逃げるのも手だが、何故か捕まりそうな気がしてならないので大人しく出頭するとしよう。

 

 両腕を掲げ、降参のポーズを取りながら三人に顔を見せる。

 

「・・・陸」

 

「あー・・・・・・、その・・・、すんません偶然通りかかったもんで・・・」

 

「・・・・・・もしかして、聞いてましたの?」

 

 プルプルと震えながらそう問うてくるダイヤの目は、明らかに笑っていない。

 「はい」と答えたら何をされるか分かったものではないが、嘘をつくのもそれはそれで怖い。一体どうしたもんか。

 

「大丈夫よ。りくっちもダイヤの様子がおかしい事には勘付いてたから」

 

「・・・そんなに分かりやすかったですの? わたくし・・・」

 

「「「『うん。すっごく」」」』

 

 迷いのない四人同時返答にがくりと頭を垂れるダイヤ。

 

『最初は信じ難かったけどな。まさかお前がちゃん付けで呼ばれたがってるたーな』

 

「別に呼ばれたい訳ではありません! ・・・・・・ただわたくしだけ違うのは・・・」

 

「そんなのどうだっていいじゃん」

 

「よくありませんわ! こんな形でメンバー間に距離があるのは、今後のためにもよくなくなく無いというか・・・」

 

 羨ましがっているのは目に見えていた。ここまで分かりやすい子もそうはいるまい。

 

「まあまあ、とにかく皆で一緒に一日アルバイトだからさ♪」

 

「距離を縮めて、ダイヤちゃんって呼ばれるチャンスだよ?」

 

「ダイヤ・・・・・・ちゃん・・・!」

 

 キラキラと翡翠色の瞳を輝かせながらダイヤは虚空を望む。恐らくその眼にはダイヤちゃんと呼ばれている自分の姿が映っているのであろう。

 そしてそんな事は果南と鞠莉も分かり切っているので、それを見て意地悪く笑っている。

 

「・・・べ、別にそんなの求めている訳ではありませんから~~」

 

「・・・・・・説得力ねぇ~」

 

『フリマの日のあの妄想を見る限りじゃな・・・・・・』

 

「っ⁉」

 

 何気なく零したゼロのその言葉に、表情筋ぶっ壊れたのではないかと思ってしまうくらいに顔を弛緩されていたダイヤが急に目を見開いた。

 そしてぎぎぎ・・・、と油の切れたロボットが如し動きで陸の方を向いてくる。

 

「・・・・・・見たんですの? ・・・・・・あれを・・・?」

 

「ヒィ・・・・・・ッ⁉」

 

 蒼白になった顔色。瞳孔が開いたり閉じたり忙しい瞳。ヒクヒクと痙攣する口元。

 一言で簡潔に言うと滅茶苦茶怖い。

 

『え・・・っとまあ、偶然というか、成り行きというか・・・・・・』

 

 なんとなく事を察したらしいゼロが慌てて言い訳に移るが時すでに遅し。

 次の瞬間にはダイヤの顔は真っ赤に染まり、戒めの強烈な平手打ちが叩き込まれていた。

 

「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

「何故俺ッ⁉」

 

 ただし、陸の左頬に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 くっきりと手形が残った左頬はそのままに、気を取り直して仕事だ。

 

「きつねうどん! お待たせしましたー‼」

 

 元気な千歌の声が反響するお昼時の売店とフードコート。配属されたのは千歌、花丸、ダイヤ、陸の四人。

 

「うどん! もう一丁!」

 

「まるは麺苦手ずら・・・・・・」

 

『見るのもダメなのか・・・?』

 

「ほら、のんびりしてる暇はありませんわよ!」

 

 ダイヤ一人ではいささか不安だったので一応同じ仕事についてみたが、今のところは特に変わった事はしていない。しっかり者の、いつもの彼女だ。

 先程の果南と鞠莉のアドバイスをもう忘れたのだろうか。

 

「はぁ~い・・・」

 

「ずらぁ~・・・」

 

「っ・・・・・・!」

 

 いや、忘れていたというよりは日常の条件反射で行動してしまったようだった。

 二人からもらったアドバイスは、いつもダイヤは硬すぎなので、まずは話しやすい話題を振って親しみやすくなれ、との事。

 

「ち、千歌さん・・・」

 

「はい?」

 

「・・・きょ、今日はいい天気ですわね~・・・」

 

(嘘だろあの人・・・)

 

 ベタ過ぎて思わず両手で持っていた皿を落としかけてしまう。

 よほどこういう事に慣れていないのか、頭はいいのにその手の発想は貧相らしい。

 

「・・・? はぁ・・・」

 

 千歌の反応も微妙だ。

 

「花丸さん。うどんはお嫌い・・・・・・?」

 

「うえぇぇ・・・・・?」

 

 花丸に至っては軽く怯えていた。

 ダイヤとしては命一杯優しく話題を振ったらしいので、この状況が理解出来ずに視線で陸に救援を求めてきた。

 

(すみません仙道さん⁉ 思っていた反応と違うのですが⁉)

 

(何で自然な流れでテレパシー使ってんだアンタ⁉ と、とりあえず二人共困惑してるので何か対処を・・・・・・)

 

(わ、分かりましたわ!)

 

 謎の超常現象に衝撃こそ受けたが、陸まで態度に出すと二人に怪しまれるので何とか堪える。

 

「何? 何かあった? あったずら?」

 

「分からないずら・・・・・・けど多分・・・あれは・・・」

 

 あれが思いつく限りの最善の対処法だったのか、ダイヤは今の状況では不気味としか捉えられない笑顔を作り・・・・・・、

 

「うふっ・・・♪」

 

「「すっごい怒ってるずら~~~~~~~⁉」」

 

 結果、ダブルで誤解を植え付ける事となった。

 

「・・・・・・ダメだこりゃ」

 

〈アイツどんだけ友達作り向いてねーんだ・・・〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 休憩時間。陸を連れて海を眺めることが出来る場所に来たダイヤ。

 

「・・・・・・上手くいきませんわ」

 

 そんなこんなしている内に時間はどんどん過ぎてゆき、バイト時間が残り僅かになると共にダイヤの「皆と親睦を深めよう大作戦」も終わりを告げようとしていた。

 あの後もダイヤの奇行は酷くなる一方で、時に梨子とルビィの前で調教用の笛を駆使しアシカを操って見せ、時にちゃん付けで名前を呼んで曜と善子を戦慄させ、時に千歌と花丸の失敗を咎めなかった事で二人を余計に怯えさせ、時にetc・・・。

 とまあ怪しすぎる行動で後輩たちにはすっかり不信感を抱かれ、状況はダイヤが望んでいたものとはかけ離れたものとなってしまった。

 今頃果南と鞠莉が誤解を解くと共に真実を伝えている頃だろう。

 

「・・・・・・わたくしとは、一体何なのでしょうね?」

 

 消え入りそうなダイヤの声は、海風に流されて霧散していく。

 

「・・・どうしました? 急に」

 

「・・・昔から周囲のわたくしに対する印象は、真面目でちゃんとしていて、頭が良くてお嬢様で・・・・・・といったものでしてね」

 

 その言葉が真実なのは日頃の千歌達の話を聞いていれば分かる。実際にそういう噂を耳にした経験もあるので殊更に。

 浦女での肩書や生徒への印象もそうなのだろう。生徒会長で。規律に厳しく、成績もいい、おまけにスクールアイドルも出来る雲の上の存在。ダイヤもその期待に応えるためにそうあるように振舞ってきた。

 けれどもそれはいつしか脅迫のようなものに変わっていき、そうならなくてはいけないという思いに縛られ、いつの間にか周りとの距離が生まれていた・・・とダイヤは続けた。

 

「・・・・・・本当は、これでも結構寂しがり屋なんですの・・・」

 

 知ってる、皆知ってる、と喉まで出掛かったがぐっと飲み込む。

 

「結局、数多くこなしている習い事も、生徒会長も、スクールアイドルですらも、わたくしの弱い部分を誤魔化すためのハリボテに過ぎなかったということでしょうか」

 

「そりゃ違いますよ」

 

 即座にダイヤの言葉を否定し、真っ直ぐに彼女の瞳を見返す。

 

「・・・ハリボテなんかじゃないですよ。例え周りからの期待に応えるためのものだとしても、それに対するアンタの気持ちはハリボテなんかじゃなかったはずでしょ? 習い事も、生徒会長も、スクールアイドルも、全部自分が好きだったから今までやってきた。違いますか?」

 

「・・・それはまあ・・・、そうですが・・・・・・」

 

「じゃあいいじゃないっすか。今までアンタが積み上げてきた黒澤ダイヤは、紛れもないアンタ自身だ。弱さのない人間なんざこの世にいない。しっかり者っていう強さも、寂しがり屋っていう弱さも、全部ひっくるめて黒澤ダイヤでしょ? だから今の自分を否定しないでください」

 

 我ながららしくない事を言っているなとはつくづく思う。

 でも、こうやって自分の在り方に悩んでいる人は何故か放っておけないのだ。

 ・・・少し前までの自分がそうだったから。

 

「そういう・・・、ものなのですか?」

 

「そういうもんですよ。・・・・・・それに呼び方がダイヤさんだからって、他の連中に距離を取られてる訳じゃないと思いますけどね」

 

「え・・・?」

 

「俺はダイヤさんは今のままでいいと思いますよ。厳しくて、頭硬くて、シスコンで、でもその中に確かに優しさもある。いっつも皆の事を大切に思ってくれている。・・・・・・そんなアンタだから皆も尊敬してるし、頼りにしてる。・・・勿論俺も」

 

 自分で言ってて恥ずかしくなってきたので目を逸らす。ダイヤの視線が妙にキラキラしてるのが余計に気恥ずかしい。

 

「だからその・・・・・・無理に変わろうとする必要はないと思いますよ?」

 

 最後の方は不格好になってしまったが、言いたいことは伝えられたし良しとしよう。

 

「・・・いいのでしょうか、今のわたくしのままで・・・・・・」

 

「まあ、少なくとも俺は――――――」

 

『果たして、それで本当にいいのでしょうかね?』

 

「「『っ⁉」」』

 

 突如会話に割って入った声に思わず身構える。

 邪悪に染まった貫禄があり、聞くだけで苛立ちが募っていくのが分かる。こんな奴陸の知る限りじゃ一人しかいない。

 

「・・・スライ・・・」

 

『久しいですね。仙道陸』

 

 ダイヤを後ろに下げ、ブレスから取り出したゼロランスをメフィラス星人魔導のスライに向けて構える。

 

『ラッキョウ野郎・・・・・・、一体何の用だ!』

 

『まあまあ、そう身構えなさらず。今回用があるのは貴方達ではありませんから』

 

 そう言った刹那、スライの姿が一瞬にして消えた。

 

『何⁉』

 

「ピギャァァァ⁉」

 

 瞬間背後から聞こえる悲鳴。振り返ればスライは陸の後ろに回り込み、そこにいたダイヤの肩を掴んでいた。

 

『少し、利用させて頂きますよ』

 

「え・・・」

 

『ダイヤッ‼ そいつの目を見るな‼』

 

 ゼロの忠告も僅かに遅い。紅く煌く奴の双眸と目を合わせてしまったダイヤの瞳は徐々に赤く染まっていく。

 

「あ・・・・・・うぁ・・・・・・」

 

「ダイヤさん‼」

 

『安心なさい。そこまで深い催眠を掛けてはいません』

 

 またしても一瞬。

 視界一杯に白い甲冑を身に纏った宇宙人の姿が映ったと思うと、胸部に走った強烈な衝撃によって大きく吹き飛ばされてしまう。

 

「があっ・・・・・・!」

 

『それでは、失礼いたします♪』

 

 スライが消えると奴の催眠に掛かったダイヤはゆっくりと顔を上げ、いつの間にか手に持っていたリモコンらしき物のスイッチを入れる。

 

『○△□―――!』

 

 それによって操作されているものは海中に潜んでいたらしい。

 巨大な水柱を立てながら巨大なランチャー砲を備えた漆黒のロボット――――キングジョーブラックがその姿を現した。

 

 




今回はちょっと陸のセリフが臭くなっちゃったのが反省点かなん? まあ、アニメ版ラブライブがそういう特色あるからどうしてもそうなっちゃうのは否めないけど。
ラブライブシリーズのアニメって結構特殊な部類ですよね。雰囲気が何と言うか特撮っぽい。ポエム染みたセリフとか特に。
・・・・・・だから特撮とクロスオーバーさせやすいんですけどね。

最後に、最近これの息抜き感覚で書いてたサンシャインの日常系小説を投稿してみたんで良ければそっちも読んでみて下さい。

それでは次回で! 
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