仮面ライダービルドのエボルトはブラックホールを吹き荒らしたり、俺に限界はない発言。ゼロ様かな?
もう円谷と東映絶対組んでるだろ。このままウルトラマンと仮面ライダーでコラボしてくれ。
あ、ちなみにAqours4thライブの先行抽選一次は見事外れました~・・・・・・。
気を取り直して、大学のオープンキャンパス行こう。
「・・・ノクターン・・・」
「・・・ライラプス・・・」
全く同じ表情で、木の枝を駆使しグラウンドにあんこの絵を描く梨子と善子。
挙動のタイミングも寸分も違っておらず、二人で意識を共有しているようだ。
まあ実際、とある感情は共有しているのだろうが。
迷い犬だったあんこを飼い主の下に戻した翌日。
久々にAqoursの練習に顔を出した陸は、校庭で謎のシンクロ劇を見せる梨子と善子を半目で眺めていた。
「「うう・・・取ってこい・・・」」
すっかりドッグロスになってしまった二人が、またもや同時に木の枝を放った。枝の軌道すらも一致しているとかもはや奇跡ではないだろうか。
「・・・シンクロ?」
「でもどうして二人が・・・・・・」
陸だけでなく、二人を除くAqoursメンバーも不可解な光景に疑念を覚えていた。
「まさか・・・・・・悪霊に憑りつかれたずら・・・?」
「なんかちょっと善子ちゃんっぽいね、花丸ちゃん」
「ずらん・・・!」
花丸の堕天使芝居は置いておき、この中で唯一二人がこうなっている原因を知っている陸はどうしたものかと首を捻る。
(・・・皆にも言うべきなのか・・・?)
〈・・・どーだか、変に話したところで状況が悪化するようにしか思えないけどな〉
確かにゼロの言う通り、迂闊な事は言えない。どうやら本人たちが立ち直ることに期待するしかないらしい。
「善子ちゃん・・・・・・」
「・・・ヨハネ・・・」
とりあえず今は様子を見る事にしたその時、体育座りを決め込んでいた梨子がすくっと立ち上がった。
「・・・練習・・・しよ?」
決意したような表情で零した、何の変哲もない誘い。それに対し善子も立ちあがり、
「そうね。思いっきり身体を動かして、このもやもやした気持ちを全部吹っ飛ば―――――」
「――――――せない・・・」
秋と共に紅く染まった木々に彩られた坂道で項垂れる梨子と善子。
思い立ったが吉日と思う存分身体を動かしたはいいが、やはりその程度で払拭できるようなものではなく。
結局気持ちが晴れる事もないまま、今日の練習は終わってしまった。
「はぁ・・・、飼い主の元に戻ったのはよかったんだけど・・・・・・」
「やっぱりこんなの間違ってる!」
「え?」
唐突な堕天使モードの突入と頓珍漢な発言に、若干引き気味に聞き返す。
「よく考えてみれば、あの人が飼い主だって証拠はないはずよ! 仮に飼っていたとしても、本当に飼っていたのがライラプスだとは限らない。そっくりの違う犬だったという可能性も・・・」
「そんな無茶苦茶な・・・・・・」
あまりにも方向違いな暴論だった。寂しいのは分かるが、いくらなんでも滅茶苦茶だ。
「取り戻しに行くわよ!」
「はいぃ? ちょ、待って!」
一応持ってきていたドッグゲージを手に取り階段を駆け下りようとする善子を慌てて呼び止める。
「言ったでしょ? あの子と私は、上級契約の関係。Destinyで結ばれているの・・・・・・」
「無茶よ! 迷惑でしょ? そんなことしたら!」
普通に考えればそんな事はすぐにわかる。
だが善子が聞く耳を持たないのを見る限り、完全に冷静な思考は失われているのは理解できた。
「だったらいい! 私一人で行くから!」
そう言い残し、善子は階段を下って行ってしまった。
そんな姿を一瞥した後、梨子はポケットを漁って犬用のビスケットを取り出す。
あんこが一番好きだったもの。梨子の家で預かっている間は、毎日これをおやつに与えていた。
「・・・・・・」
これを見ていると、あんこを預かっていた間の日々を思い出してしまう。
「・・・・・・はぁ・・・」
もうそうなってしまっては梨子も歯止めが利かず、気付けば善子の後を追っていた。
『・・・・・・どうするよ、あれ』
「・・・取り戻しに行くとか、普通に犯罪だからなお前等・・・・・」
強化された視覚と聴覚を駆使し、遠巻きから二人の様子を眺めていた陸とゼロ。
梨子にしろ善子にしろ、たった数日であんこに入れ込み過ぎだ。
「・・・・・・とりあえず後つけるぞ。何仕出かすか分かんねーし」
『・・・だな』
数時間後。
「・・・・・・雨か」
青色が広がっていた空は灰色に支配され、曇天から冷たい雨がもたらされ始めた。
傘は持ってきていないが、今帰る訳には行かないので我慢だ。ゼロと一体化しているのでこれくらい屁でもない。
〈・・・・・・アイツいつまでいるつもりだよ〉
帰れない理由は、パーキングエリアの精算機に立て付けられた雨避けの下にいる善子。
ここはあんこの飼い主が住む家のすぐ近くで、何でもあんこが出てくるまでここで粘るそうな。
時間も時間だったので梨子はもう帰ってしまったが、彼女は根気強く粘っている。
あの堕天使が何を仕出かすか分からない以上、この場を離れる訳には行かないのだ。
「・・・・・・」
何が彼女をあそこまでさせるのだろうか。
ただ拾った犬を可愛がっただけにしては執着し過ぎている。
善子は普段の言動こそおかしいものの、理由もなしに人の迷惑になるような事をするような子ではない。
運命。先程善子はあんこを取り戻すと意気込んでいた際にこう言っていた。
一体、何が・・・・・・、
〈・・・! おい陸〉
(・・・・・・桜内・・・)
雨避けの下でしゃがみ込む善子の前に現れたのは、先程帰宅したはずの梨子だった。
「梨子・・・・・・」
「風邪・・・引くわよ? あと・・・、これ」
雨の中一人でいる善子を気に掛けたのか、恐らく兵糧が入っているであろうレジ袋を彼女に突き出す。
「・・・・・・いらない」
「・・・はい」
そっぽを向かれても、それだけ言って袋の中の鰻お握りを改めて突き出す。
一度は断った善子だが、空腹と梨子の優しさに折れたのか、静かにそれを受け取って食べ始めた。
(・・・・・・俺も腹減ってきた)
〈我慢しろ〉
陸も少し空腹を感じ始めてきた頃なのに、人が美味しく食事をしているところを見ていろとか何の拷問だろうか。
「・・・どうして戻ってきたの?」
「考えてみたら、帰っちゃったら本当に出てきた時に、会えないなって・・・・・・」
乾いた音を鳴らす腹を押さえていると、しばらく黙っていた二人の会話に進展が見えた。
「私が先に出会ったんだからね?」
「それは分かってるけど・・・・・・」
(・・・・・・本来の飼い主の方が先だぞ)
大事な事だから一応内心で突っ込んでおく陸。
そこからはまた無言の時間が続いた。
アスファルトの道路を打ち付ける雨音だけが耳に飛び込み、無音ではないがどこか心地の良い空気が舞い降りる。
それを打ち破ったのは、不意に口を開いた梨子の口から紡がれた言葉だった。
「・・・・・・どうして、運命なの?」
「・・・何が?」
「・・・犬」
丁度陸が気になっていた事を梨子が聞いてくれた。
善子があんこに固執しているのは、偏にこの運命という言葉に由来する。
如何にも善子が好みそうな言葉ではあるが、あの場面で口にしたという事は何か意味があるという事だ。
「DestinyはDestinyよ」
「・・・? そうかもしれないけど・・・」
だが答えは素っ気ないもので、陸は勿論問いかけた梨子も納得していない。
「・・・・・・・堕天使って、いると思う?」
「え?」
それに対する説明なのか、善子が演じている設定自体にツッコむ話題を振ってきた。
「私さ、小さい頃からすっごい運が悪かったの・・・」
立ち上がって昔話を始める。今だって十分運は悪いだろとは梨子も傍目で見てた陸もツッコまなかった。
「外に出れば雨に降られるし、転ぶし、何しても自分だけうまくいかないし。・・・・・・それで思ったの。きっと、私が特別だから、見えない力が働いてるんだって」
「・・・・・・それで、堕天使?」
「勿論、堕天使なんているはずないって、それはもうなんとなく感じてる。クラスじゃ言わない様にしてるし。・・・・・・でもさ」
自動販売機の前まで移動すると。ポケットから取り出した小銭を投入しながらなおも話を続ける。
「本当に、そういうの全く無いのかなって。人智なんて明らかに超越してる陸とかゼロとか見てると、運命とか、見えない力とか、ホントはあるんじゃないのかなって。・・・・・・そんな時、出会ったの・・・」
「・・・・・・ノクターンに?」
「ライラプスよ! ・・・ええ、何か見えない力で、引き寄せられているようだった。これは絶対、偶然じゃなくて、何かに導かれてるんだって・・・。そう思った。不思議な力が働いてるんだって」
・・・・・・善子の奇行の原因の一端は陸とゼロにもあったらしい。
見えない力が働き、導かれるように出会った。
一年前の陸なら一蹴していただろうが、今となっては分かる気がする。
ゼロとの出会いは、偶然の一言で片づけられるものではない。この出会いがあったからこそ、それが連鎖するように今のAqoursとの出会いがあったから。
だから善子の言っている事は一理ある。
「ほい、ライラプス」
いつの間にか雨は止み、善子は鰻お握りのお礼なのか今自販機で購入した代物を梨子にトスする。
「む・・・、ノクターン!」
缶のパッケージは「あんこたっぷりぜんざい」。完全に狙ったとしか思えない。
自分の考案した名前のみ省かれた事に梨子が反論したその時、遂に待ち望んでいた者達が現れた。
ライラプスでもノクターンでもなくあんこと、その飼い主の少女である。
「止んだねー」
どうやら雨が止んだので散歩に出かけるらしい。
だったら先回りして偶然の体を装うとしたが、母親の呼びかけで少女は一旦家の中へと戻ってしまった。
だが、あんこは首輪のリードを家の策に繋がれたままだ。
「善子ちゃん」
予定は狂ったものの、今ならあんこと触れ合い放題である。
一応先に出会っているという事で梨子は先手を譲るが、何故か善子はあんこの元に行こうとしない。
代わりに数歩前に歩み出て缶を持った腕を突き出すと、何やら念力でも送っているかのような動きと呪文の詠唱を始めた。
「むむむ・・・・・・気付いて・・・!」
傍から見れば何ともまあシュールな光景だろう。
空き缶片手にポーズを取る少女が、一匹の犬に向かって念を送っている。
〈・・・・・・そんなんで向くわけ・・・・・・〉
「クゥ・・・・・・?」
向いた。
〈うそーん・・・・・・〉
流石はフラグ建設のスペシャリスト、ウルトラマンゼロさんだ。陸達にできない事を平然とやってのける。ただしそこに痺れもしないし憧れもしない。
「私よ、分かる⁉」
犬は頭のいい動物だ。そう簡単に人の事を忘れはしない。数日間とは言えいう事を聞くほど懐いていた善子の事を忘れるはずが・・・・・・と思っていたのだが、当のあんこは善子を見ても首を傾げるだけである。
「ごめんね~、雨あがったばかりだから、まだお散歩駄目だって~」
それどころか女の子が戻ってくると一瞬で善子への興味を失くし、そちらの方へと駆け寄ってしまった。
バタンとドアが閉じられ、何とも言えない寂寥感がこの場を支配した。
「は・・・・・・ははは・・・・・・」
これにはさすがの善子も苦笑いだった。
結局あんこと触れ合う事は出来ず、傷心の帰り道。
「・・・・・・ふふ・・・、やはり偶然だったようね。この堕天使ヨハネに気付かないなんて・・・‥」
『キュゥ・・・・・・』
「・・・ん?」
善子の足元から何かの鳴き声がした。
くぐもっている高い響き声で、自然と音のする足元に視線が流れる。
「・・・・・・何? これ・・・?」
善子が拾い上げたそれはカプセル状の形をしており、中には猫のような愛嬌のある生き物が閉じ込められていた。
『キュゥ・・・キュ・・・』
か弱いその表情に加え、消え入りそうな小さい鳴き声には悲壮感を禁じ得ない。
「・・・・・・捨てられたって事かしら?」
「こんな狭いところに入れるなんて・・・、酷い」
大方飼いきれなくなって捨てたという感じだろう。
それだけでも無責任で酷いのに、その上こんなガシャポンのカプセルのようなものに閉じ込めるなど飼い主は本当に人間なのだろうか。
「とりあえず、まずはここから出してあげないと・・・・・・」
「見つけたぞ・・・・・・」
梨子がその生き物を解放してあげようとカプセルに手を駆けたその時、突如として低い声音が二人に投げかけられた。
「えっ・・・⁉」
「ちょ・・・! 何よアン・・・・・・」
身構えた善子だが、その影が自分達に向けている銃を見て思わず硬直してしまう。
「そいつをこっちに渡せ」
襲撃者は短くそう要求した。視線は良子でも梨子でもなくカプセル内の生き物に向けられており、底の知れない殺意を感じ取れた。
「っ・・・! 何しようってのよ!」
硬直が解けた善子が即座に言い返すが、襲撃者は微塵も態度を崩すことなく続けた。
「お前達には関係のない事だ。痛い目に遭いたくなければすぐにそいつをよこせ」
「理由もなしにそんな事言われても・・・。こんな可哀想なのに・・・・・・」
「はっ・・・、何を言うか。そいつは・・・・・・!」
梨子の反論にもすぐに返したが、何故か彼女の顔を見た瞬間から言葉は続かなかった。
信じられないものを見たかのような表情で、梨子へと視線を注いでいる。
「あの・・・、なにか・・・?」
「梨子! 逃げるわよ!」
それを不審に思った梨子が問いかけようとするが、襲撃者の隙を突いた善子に手を取られる。
「っ・・・! 待て!」
「デェェェヤ!」
一瞬遅れて二人を追いかけようとした襲撃者を襲撃する者が一人。
「陸⁉」
「仙道君⁉」
「いいから逃げろ! こいつは俺が何とかしとくから!」
ゼロランスを構えた陸が襲撃者と交戦するのを一瞥し、二人はカプセルを手に前へと走った。
「ぐ・・・、誰だ貴様は!」
『そいつはこっちのセリフだコノヤロー!』
銃と槍を構え、互いに睨み合う二つの人影。
人格を表に出したゼロは、ゼロランスを突き付けながら梨子と善子を襲撃した男を睨みつけていた。
見た目は地球人の男性と変わらないが、防護服のような装備と銃を見ればそうでないのは一目瞭然だ。
「邪魔をするな!」
『ハァ!』
男が左腕のブレスレットから放った光線をランスで弾き、一気に懐まで潜り込む。
続けて斬撃を迸らせるがそれはあっさりと回避され、反撃にと迫る回し蹴り。
『チ・・・・・・』
即座にランスをゼロディフェンダーに変形させて防御し、力任せに足を男の身体ごと押し返した。
「・・・貴様その動き・・・、この星の原住民ではないな・・・。名は?」
『ウルトラマンゼロ。M78星雲光の国から来た宇宙警備隊だ』
「何・・・⁉」
ゼロが名乗りを上げると男は意外そうな顔をしながらも戦闘態勢を解き、銃を下した。
『・・・? どうした?』
「・・・武器を下せ。今ここでお前と争う事に意味はない」
今の今まで纏っていた殺気も一瞬の内に霧散し、表情も幾分か穏やかになった。決して柔和なものではないが。
「なるほど・・・、お前が噂のウルトラマンゼロか・・・・・・」
全身を舐め回すような視線でまじまじと見つめられる。見た目完全に中年な奴にやられると精神的にキツイ。
『っ・・・、何なんだよお前・・・・・・』
引き気味に上体を仰け反らせる。流石のゼロもこれはキツイらしい。
「・・・だったら話は早い。ウルトラマンゼロ、私に協力してくれ」
『はぁ?』
突然の申し出。態度の軟化が急降下過ぎて頭がついて行かない。
何やらゼロの事も知っているようだし、余計に頭がついて行かない。
「見たところお前はさっきの娘たちと親交があるようだからな。私が警戒されてしまった以上、お前の協力が不可欠だ」
『ちょ・・・! ちょっと待て! まず誰なんだよお前!』
これ以上は混乱するばかりなので一方的に進む話を強引に遮る。
「っ・・・! ああすまない。私はダイス星人のシン。AIBのエージェントだ」
『AIBだと? それがアイツ等に何の用だってんだ』
そのAIBとやらを知らない陸は完全に置いて行かれたが、実際に会話している二人の間でコミュニケーションが成立しているので良しとする。陸は完全に蚊帳の外だが。大事な事なので二回言った。
「厳密に言うと用があるのはあの二人ではない。彼女達が拾ったあの生物だ」
『・・・拾ったっつーと、さっきのカプセルに入ったあのちっこいのか?』
「ああ。あれをブラックホールに輸送している最中に逃走されてな。そうして奴が辿り着いたのがこの星だった」
『ブラックホール・・・・・・駆除対象って事か? あんな可愛げのある奴が・・・』
「可愛げか・・・・・・、奴に可愛げと言うものがあればどれほど良かったものか・・・・・・」
ダイス星人シンは深く深く溜息をついた後、目の色を変えてゼロと真っ直ぐに顔を合わせた。
「・・・奴の名はギャビッシュ。高い知能と醜悪な狡猾さを持つ・・・・・・凶悪な宇宙怪獣だ」
二十一年前のウルトラマンから怪獣と宇宙人を拝借。当時自分生まれてませんけど。
名前を出したので今回はAIBについてちょろっと解説。
AIBとは「ウルトラマンジード」の作中で登場し、基本的には地球で禁止行為を行った異星人を取り締まっている組織です。
公式ではサイドアースでの活躍しか描かれておらず、別宇宙にも派生しているかは分かりませんが今作では派生している事にします。
それでも地球外の事に干渉するのはちょっと異例ですがね。
それでは次回で! ・・・・・・いい加減ウルフェス行きたい(まだ行ってないんかい)