やっぱ運ゲーだよあれ。大人しくオニゴーリ(犯罪者)使いますわ。
ポケモンよく知らない人には訳の分からない愚痴零してすみません。本編どうぞ。
「っ・・・っ・・・っ・・・・・・!」
突如として何者かに襲撃されてから数十分。
陸の乱入により何とか危機を脱した二人は、善子の家の付近まで辿り着いていた。
「何なのよ・・・! さっきの奴は・・・!」
「分かんないっ・・・仙道君大丈夫かな・・・・・・?」
普段から走り込んでいるとは言え、沼津まで全力疾走は流石に辛い。
「・・・にしても、この子・・・」
善子の手の中から漏れ出る小さな鳴き声。
先程の銃撃者はこのカプセルに入った小動物を狙っているようだった。
「・・・見た事ないわね・・・。地球の生物なのかしら?」
選択肢に地球外生物が含まれることなど普通の女子高生ならまずありえないだろう。
だが喜んでいいのか悪いのか、やたら宇宙人やら宇宙怪獣やらと関わるAqoursメンバーはこういう事に敏感なのだ。
『わ・・・・・・は、ギャ・・・ュ・・・』
「「ん?」」
不意に高い声が耳に入り込み、二人は互いの顔を見合わせた。
「善子ちゃん、何か言った?」
「う、ううん・・・。梨子こそ・・・・・・」
『わた・・・は・・・ギャ・・・シュ・・・・・・』
「「え・・・」」
その声が善子の手元から発せられている事に気が付き、同時に手の中のカプセルに目を落とす。
「え? 何? もしかしてこの子が?」
「・・・ホントに宇宙生物だったの・・・?」
少なくとも地球上に人間以外で人語を話す生物はいない。そうなればもう確定だろう。
『私はギャビッシュ・・・・・・、私を助けて・・・・・・』
良心の最奥をついてくるような弱々しい響き。
それによって警戒心は薄まり、逆に守らなくてはという使命感すらも湧いてくるような感じがする。
「さっきの奴、この子の事殺そうとしてたんじゃ・・・・・・」
特に先程のあんことの一件があった善子は傷心を癒やされたらしく、すっかりその宇宙生物―――ギャビッシュの味方となっていた。
「大丈夫。貴方はヨハネが守るわ・・・」
「で、でも大丈夫なの? 狙われたら危ないし・・・、仙道君とゼロちゃんに相談した方がいいんじゃ・・・・・・」
「ふふ・・・、私を誰だと思っているの? この堕天使ヨハネの翼の加護がある限り、必ずや安泰を約束するわ・・・・・・とうっ!」
それだけ言い残すと、善子はギャビッシュが入ったカプセルを抱えたまま自分の家の方へと走り去って行ってしまった。
「ウァンワン!」
「ふやぁぁっ⁉」
早速通りすがった散歩中の犬に吠えられている善子を見て溜息をついた後、胸の中で蟠っている違和感と向き合った。
どうしてあのギャビッシュとか言う宇宙生物に心を開き切れないのか。
なにかこう、危険本能というか、それこそ六年前スカルゴモラが出現した時のような感覚がある。
そしてそれに加え・・・、
(敵と味方を見分ける不思議な力か・・・・・・)
ギャビッシュを保護した瞬間に犬に吠えられるようになった善子を見て、ますます梨子の疑念は深まるのであった。
「あーもう! どこ行ったアイツ等!」
ゼロとダイス星人シンの間で勝手に話が進み、身体の主導権が戻ってきた頃にはそのギャビッシュとやらの捜索をする羽目に遭っていた。
奴が入っているカプセルを持っていたのは梨子と善子だが、どんな速度で走り去って行ったのか全く見つかる気配がない。
〈AIBの連中が探してるって事はそれなりに厄介な奴なはずだ。さっさと見つけろ〉
「他力本願だなテメー。つか何なんだよその、えーあいびー? ってのは」
陸は見た事も聞いた事もない組織だが、ゼロは知っている感じの雰囲気だったので問うてみる。
〈AIBってのは犯罪行為を行った異星人の取り締まりをしている宇宙規模の連合組織の事だ。元々はクライシス・インパクト後にサイドアースで結成された組織なんだが、最近は別宇宙でも仕事をしてるらしい〉
「・・・それがどうして宇宙怪獣の駆除を執行してる訳?」
〈確かにな。確かにたまに宇宙怪獣の駆除や保護をしているのは知っていたが・・・・・・、んな凶悪な宇宙生物の輸送を担うか・・・? それに文明に干渉し過ぎだ〉
いまいちシンの事も信用しきれない。その星の文明に影響を与える事を良しとしない組織ならば、原住民を脅してまで任務を執行するだろうか。
〈とにかく、俺達が誰よりも早くギャビッシュを回収した方がいい事に変わりはない。急げ〉
「了解」
シンがギャビッシュを使って何かを企んでいる可能性も無きにしも非ずだし、そうでなくても梨子と善子に危険が及ぶかもしれない。
どっちにしろ急ぐ以外の選択肢は無いのだ。
「っ・・・! 桜内!」
ウルトラマンの力を借りて走ること数分。善子の家付近のバス停にいた梨子を見つけた。
「あ・・・、仙道君! 大丈夫だった⁉」
「こっちは問題ない。それより善子は⁉」
梨子はギャビッシュの入ったカプセルを持っているようには見えない。となると今奴は十中八九善子と共にいるだろう。
「・・・善子ちゃんならさっきあの子を連れて家に帰っちゃったけど・・・」
「・・・あの馬鹿面倒くさい事を・・・・・・」
不幸体質だと常々ぼやいているが、実際自分の行動が不幸を招いているだけなのではないだろうか。
「どうしたのそんなに焦って?」
「・・・お前等が回収したあのちっこいの、実は結構ヤバい感じの怪獣らしい」
「え・・・・・・」
梨子の顔が幾分か青ざめたのが見て伺えた。先程までともにいたという事もあるのだろうが、そんな危険な生物を後輩に渡してしまった事もあるのだろう。
「じゃあ、あの助けてっていうのは・・・・・・」
『助けて・・・・・・何の事だ?』
「さっきその怪獣が、私と善子ちゃんに向かって助けてって言ってきたの!」
『何・・・・・?』
どうやら高い知能を有した狡猾な性格、というのは間違いではなかったらしい。
そうなると、今一人でギャビッシュと共にいる善子が危ない。
「・・・ごめんなさい。私が善子ちゃんを一人にしたから・・・・・・」
「いや、むしろお前が無事でよかったよ。とりあえず今日はもう帰ってろ。後は俺が何とかする」
感じる義務もない自責の念に駆られる梨子に優しく言葉を投げかけると、踵を返して善子の住むマンションへと向かう。
「私も行く。こんな事になったのに放っておけないよ」
危険を承知で、梨子は陸の後に付いて来た。
自身を顧みずに友達のために行動できるとは、今のAqoursメンバーの絆は揺るぎないもののようだ。
「・・・・・・危なくなったら逃げろよ」
無下にするわけにも行かないのでそれだけ伝えると、大急ぎで堕天使の住まう居城へと速度を上げた。
パッと証明がつき、窓がカーテンに覆われて真っ暗だった部屋の中が明るく照らされる。
そんな部屋に急ぎ気味に入った善子は、水晶やらロザリオやらで散らかっている机の上を手短に片付ける。
「・・・流石にここまでは追ってこれないでしょ・・・」
そこにギャビッシュが入ったカプセルを置き、まずはふぅと息をついた。
「あんなのに狙われるって、アンタもつくづく不幸ね。でも安心しなさい。この堕天使ヨハネと共にある限り、貴方の安全は私が保証するわ」
人語を喋る不思議な生物を前に、善子のテンションも少し上がっている。
そのテンションのままに堕天使芸に突入するが、ギャビッシュから帰って来るのはくぐもった鳴き声のみ。
「・・・ずっとこの狭い場所に入れておくのも可哀想よね」
とりあえずこのカプセルから解放してあげようと手を掛けるが、蓋が硬くて中々開けることが出来ない。
「こんなものっ・・・・・・我が・・・・・・闇の波動でっ・・・・・・!」
渾身の力を込めてようやく蓋が緩んだ時、ポケットに入れていたスマホが着信音を鳴らした。
「こんな時に・・・!」
とりあえず電話対応はカプセルを開けてからにしようと思い、ラストスパートだと言わんばかりに細い二の腕へと力を籠める。
「ふぬぬ・・・・・・わぁっ⁉」
カッポーンと勢いよく蓋が外れ、勢い余って盛大に尻餅を付いてしまう善子。
痛みに顔を顰めながらもカプセルが開いた事を確認し、先程からうるさい携帯を手に取った。
「もしもし?」
『あ、やっと出た。おい善子! 今お前ギャビッシュと一緒か⁉』
電話の向こう側にいるのは陸。ついさっき襲撃者から自分達を助けて交戦状態になっていたはずだが、元気そうで何よりだ。
「陸ね? 無事でよかったわ。・・・それよりなんでこの子の名前知ってるのよ?」
『やっぱ一緒にいるのか・・・、いいか⁉ ギャビッシュの入ったカプセルは絶対開けるんじゃねーぞ!』
「ええ⁉ そんな事言われてももう――――――」
『グキュゥゥウゥゥゥッ‼』
「わあぁぁッ⁉」
突然謎の咆哮と共に部屋が揺れ、善子は再び床に転倒してしまう。
「いてて・・・、なんな・・・・・・」
原因を探ろうと視線を上げてから、言葉は続かなかった。
今の今まで存在していなかったソレに紅い双眸で見つめられ、硬直してしまった身体は言う事を聞いてくれない。
『グゥゥゥゥゥゥ・・・・・・』
「え・・・? 何・・・?」
今自分の目の前にいるのはギャビッシュだという事はすぐに理解できた。
だが、カプセルに入っていた時とは何もかもが違う。愛嬌ある小動物は影も形もなく、悪魔のように醜悪な姿をした青い獣となっており、体長もゆうに善子の四倍はある。
『グキュゥゥウゥゥゥゥッ‼』
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ⁉」
変わり果てたギャビッシュの瞳から赤い光が放たれ、それを浴びた善子は光線の発生源である目の中へと取り込まれてしまう。
『ッ⁉ おい! 善子⁉ 善――――――』
『グキュゥゥウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ‼』
陸の声のみが発せられる善子のスマホを踏みつぶすと。ギャビッシュは咆哮と共にテレポートでその姿を消した。
悲鳴を機に、携帯から通話相手の声が聞こえなくなる。
「善子⁉ おい! 善子‼」
必死に呼びかけるが返答はなく、何かが砕けたような音の後通話は途切れた。
『・・・こりゃちょっとヤベェかもな・・・・・・』
「ギャビッシュ・・・・・・!」
どうやらダイス星人シンの話は本当だったらしい。
善子はどうなった? 狡猾な性格をしているという話からしてすぐに殺したというのはなさそうだが、どっちにしろ危険が及んでいるという事に変わりはなさそうだ。
「・・仙道君・・・、善子ちゃんは・・・?」
「無事な保証はないな」
不安気な梨子の問いに返したのは、陸のものでもゼロのものでもない低い声。
「どうやら、ギャビッシュが動き出したようだな」
その主は白い防護服のようなものに身を包んだ男。つまりはダイス星人のシンだった。
「ひ・・・・・・」
梨子が陸の背後に隠れる。そういえばダイス星人についての誤解はまだ解いていなかった。まあ、陸も完全に彼の事を信用していた訳ではないが。
『大丈夫だ梨子。コイツは敵じゃねぇ』
ゼロは梨子に弁明を入れた後、音もなく登場したダイス星人に言葉を向けた。
『ギャビッシュは今どこだ』
「レーダーにはちゃんと捉えられている。あの娘の生命反応も一緒だ」
『・・・・・・無事なんだろうな』
「ああ、性格上ギャビッシュは簡単に人間を殺しはしないが・・・、急いだほうがいい事に変わりはない」
淡々とそう延べ、今度は何故か梨子に目線を合わせる。
「・・・お前、名は何という」
「ふえっ⁉ ・・・あ、さ、桜内梨子です・・・・・・」
先程の事もあってまだ警戒しているのか、陸の背後から少しだけ顔を覗かせながらシンに自身の名を明かした。
「そうか・・・・・・。ゼロ、行くぞ」
それを聞いたシンにこれといったリアクションはなく、銃を構えなおすとそのレーダーとやらで捕捉したらしいギャビッシュの居場所に向けて足を進め出す。
こっちにはギャビッシュの所在地を特定する手段はないので、アイツについていくほかないようだ。
「・・・何なんだアイツ。・・・・・・桜内。後は俺等がやるから、もう帰れ」
流石に着いてこさせるわけにはいかないので、ちょっと強めに帰宅を促す。
「・・・・・・」
梨子からの返事はなかったが、それを確認する時間もない。
善子のみならず、そんなものを野放しにしては関係のない人々にも危害が及ぶ。とにかく今は時間が惜しいのだ。
「じゃあな!」
挨拶もほどほどに梨子と別れ、大地を蹴ってシンの後を追う。
あまりに急いでいたものだから、梨子がどうしたかを確認する事は出来なかった。
「ここだ」
「ここって・・・」
ダイス星人が持つレーダーの反応通りにギャビッシュの跡を追ってみれば、辿り着いたのは善子の住むマンションのゴミ捨て場だった。
「・・・・・・そんな遠くには行ってなかったのな・・・。つかくせぇ・・・」
ゴミ捨て場なのだしゴミの臭いがするのは当たり前だが、だとしても臭すぎる。確実に何かがあった証拠だ。
「っ・・・! いたぞ」
シンの指示で物陰に隠れ、生ゴミの収集箱に頭を突っ込んでいる青い獣を視界に捉えた。
サイズは始めて見た時の百倍以上は巨大化しており、第一印象は痩せた青いネズミ、といった感じだ。
顔面も禍々しく歪んでおり、もう可愛さなど微塵もない。
『・・・食事中か?』
「ずっとカプセルの中にいたからな。腹が減っているのも頷ける」
この臭いの原因は奴が生ゴミをそこら中に錯乱させていたかららしい。
『・・・善子は?』
「・・・大丈夫だ。生命反応に変化はない」
ギャビッシュに食われた、という最悪の事態は起こっていなくてひとまず安心する。
だがだとしたら善子は今どこに。シンの話からしてギャビッシュと共にいるようだが・・・。
「・・・・・・とにかく捕獲だ。行くぞ」
「ああ」
身体の主導権がゼロに切り替わる。
奴は今生ゴミの中の食べ物を貪るのに夢中、奇襲を仕掛けるなら今が最大のチャンスだ。
シンがタイミングを伺い、腕を下げて攻撃の合図を出したその瞬間、
『デェェェヤ!』
『グキュゥゥウゥゥゥ⁉』
無防備に晒していた首元にゼロランスによる強烈な一撃が叩き込まれ、生ゴミを巻き散らしながら悲鳴を上げるギャビッシュ。
反撃に振るわれた尻尾を前宙で回避。そして回転の勢いのままに槍を縦に一閃。
『オウラァ!』
着地から更にブレイクダンスの要領で身を翻し、奴の下腹部を思いきり蹴り飛ばした。
「ギャビッシュッ‼」
とんでもない剣幕で吹き飛んだ青い獣を睨みつけたシンは、腕のブレスレットから縄状の光線を放つ。
それはカウボーイの投擲した投げ縄のような動きで青い身体を絡めとり、見事ギャビッシュを拘束してみせた。
と、思ったのだが、
『グキュゥゥぅウゥゥゥ‼』
『ッ⁉ 何⁉』
苦し紛れに遠吠えをしたと思った次の瞬間、捕縛光線の中からギャビッシュは消えていた。
『テレポート⁉ そんな芸当までできるってのか⁉』
「クソッ・・・・・・」
隣からターゲットを取り逃がしてしまったシンの声が聞こえる。
だがそれは単純な失敗への悔しさや不甲斐無い自分への叱咤ではなく、むしろギャビッシュへと向けられた憎悪や怒りのようにも思えた。
「とにかく追うぞ! まだそう遠くへは言っていないはずだ‼」
『お・・・おう・・・』
先程までの冷静さが塵ほども無くなったシンに若干気圧されつつも、ゼロは床を蹴ってギャビッシュの追跡へと出でた。
テレポーテーション能力を備えているとなると、かなり捕獲は難しくなる。
シンの当初の目的のようにその場で殺処分できればいいのだが、奴に襲われた善子の安否が分からない以上今は殺すことが出来ない。
とにかくあんなものを町に野放しにする訳にはいかない。早急に奴を捉えねば―――、
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ⁉」
ゴミ置き場を出た瞬間、聞き覚えのある声音が悲鳴となって耳に届く。
シンと共に悲鳴の発生源へと向かうと、そこには睨んだ通りギャビッシュと、それを前に腰が抜けてしまった浦女の制服を着た紫檀髪の少女がいた。
『梨子⁉』
(あの馬鹿・・・‥何で付いて来た・・・)
友達が心配なのは分かるが、だからと言って危険な事に首を突っ込んでいい訳ではない。
「その娘に手を出すな!」
ゼロが何かするより早く前に出たシンが、光線中を構えて突撃していく。
『キュゥゥ!』
「がはっ・・・!」
だが銃弾はものの見事に全て回避され、逆に長い尻尾による攻撃をもろに受けて吹っ飛ばされてしまった。
『キュキュゥ・・・・・・』
シンが梨子を助けようとしたのを見て何か巧妙な策が浮かんだのか、意地悪そうに唸り声を漏らしたギャビッシュは梨子にその双眸を向けた。
そして、
『グキュゥゥウゥゥゥゥゥ‼』
「きゃあぁぁぁぁぁぁ⁉」
『ッ‼ 梨子‼』
紅い光が煌いた後、梨子までもが人質として瞳の中に囚われてしまった。
完全にオリジナル回になってて草。
一応知らない人のために解説しておくと、ギャビッシュとダイス星人はウルトラマンダイナ第七話「箱の中のともだち」に登場した怪獣と宇宙人です。前回解説入れ忘れてたので。
後はどうにかしてティガ産とガイア産とコスモス産の怪獣を出せれば・・・。
ジョーニアス?USA?グレート?パワード?ゼアス?ナイス?ネオス?平成セブン?
・・・・・・知らない子ですね。
パワードはほとんど初代の怪獣なんだから別にいいじゃん。
それでは次回で!