ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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オリジナル展開。
しばらくサンシャイン要素が消えますがご了承ください。


八話 リトルスター

仙道陸は今訳あって光の国の戦士、ウルトラマンゼロと一体化している。

それ以前は何の力も持たないただの平凡な高校生であった。

そんな彼に今、忍び寄る影が一つ。

 

「・・・・・・・・・」

 

その影は息を殺し、眠っている陸へと近づいていく。

悪戯に目を光らせ、ワキワキと指を動かすその姿は、まるでこの状況を楽しんでいるようである。

そしてその影が遂に横たわる陸の隣に立ち、愉快そうに笑みを深めたその瞬間であった。

 

『誰だっ!』

 

「ふえっ?」

 

 眠っていた陸が突如目を開け、人間離れした速度でその影の背後を取ると、一瞬でその影を押さえつけてしまった。

 当然、こんな事陸にできるはずもない。やったのは陸と一体化しているウルトラマンゼロだ。陸と肉体を共有しているゼロは、自由に陸と人格の入れ替えが出来る。

 接近するその気配に気付いたゼロが体の主導権を奪い、瞬時に対応したのである。

 

「いだだだだだだだっ!」

 

 腕を捻られ背後に回されたその影は、たまらず悲鳴を上げる。

 ゼロはその声に聞き覚えがあった。確か陸の幼馴染の・・・・・・。

 

『・・・渡辺曜、だったか。何故陸の家に・・・・・・』

 

「ちょっと陸! 痛い! 痛いってば!」

 

『ッ・・・! と、スマン・・・・・・』

 

 ゼロが慌てて手を離すと、その少女、渡辺曜は目尻に涙を溜めながら起き上がった。

 

「もー、いきなり何するのさー」

 

『スマンスマン・・・・・・、てか、お前もここで何やってんだ?』

 

 ゼロが聞き返すと、曜は「何言ってんだこいつ?」とでも言いたげな顔で首を傾げた。

 

「何でって・・・・・・、いつも通り起こしに来ただけだよ?」

 

『え?』

 

「え?」

 

『ッ! ああ、そうだったな。ワリィワリィ寝ぼけてて・・・・・・』

 

〈こいついつも起こしてもらってやがったのか・・・・・・〉

 

「? どうしたの陸? 何かいつもと声も雰囲気も違うような・・・・・・」

 

『とにかく! 着替えるから部屋の外で待っててくれ。な?』

 

「変な陸?」

 

 ゼロは曜を部屋の外へ追い出すと、全力でウルトラ念力を掛けて陸を叩き起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・・・なあゼロ。何か曜が俺の事避けてる気がするんだが、お前一体何やった?)

 

〈何も知らん〉

 

 陸がゼロに叩き起こされてから数十分。いつも通り曜を千歌の家の近くのバス停まで送ってきたのだが・・・・・・先程から曜の態度がどこかよそよそしい。

 

〈つかお前、その年になってまだ起こしてもらってんのか。いい加減自分の力で起きられるようになれよ〉

 

(なっ・・・、何故それを・・・・・・)

 

〈今朝曜が起こしに来てな。敵かと思ってうっかり関節技決めた時にポロリと〉

 

(やっぱ原因お前か)

 

 陸は絶望的に朝が弱いので、自力で八時前に起きるのは基本的に不可能である。

 ゼロと一体化してからは怪獣騒動で学校が休校になったり、曜が部活の朝練があったりとで起こしに来ていなかった為ゼロには知られていなかったのだが・・・・・・、遂にバレてしまった。

 

〈そもそも何であいつお前ん家普通に入ってこれるんだよ。鍵かけてねぇのか?〉

 

(うちの両親が俺の面倒見と言う名目で曜にウチの合鍵渡してやがるんだよ)

 

〈どんだけ親に信用されてねーんだお前〉

 

 陸の親は共に漁船に乗って世界を飛び回っているので基本的に家にはいない。なので陸の面倒見兼お目付け役として曜が抜擢された訳だ。

 両親の曜、というか渡辺家への信頼が絶大過ぎて陸も少し困っている。小さい時からずっとこんな感じなので、陸は自分の両親より曜の両親と一緒にいた時間の方が長い。

 

〈お互い大変だな。変な親を持つと・・・・・・〉

 

 ゼロに同情された。

 

(ゼロの親ってどんな人なんだ?)

 

〈ウルトラセブンっつー宇宙警備隊の・・・、役職言っても分かんねーか。まあ、結構なお偉いさんだよ。ま、プラズマスパーク騒動まで親だって事知らなかったんだけどな〉

 

(うちより数倍複雑じゃねぇか)

 

 これ以上自分達の複雑な家庭環境を話し合っても頭が痛くなるだけなので、この話は早く切り上げることにしよう。

 

「桜内さん、大丈夫かな・・・・・・」

 

「うん・・・・・・、昨日のあの様子じゃあね・・・」

 

 千歌達の会話に聞き耳を立てると、話題は桜内梨子の事だった。

 昨日彼女の胸から発生した光。まるで波動の様なものでエレキングの尻尾を動かした謎の力。

 船から降りてきた彼女の表情を見れば、誰だって心配になる。

 

「そういや昨日お前らが送って行った後どうなったんだ?」

 

「・・・家まで送っていくって言ったのに、大丈夫だって言って一人で帰っちゃって・・・」

「いや食い下がれよ。一人にするなよ」

 

「私たちにケガさせない様にって・・・・・・」

 

「・・・・・・それは、まあ・・・」

 

 確かにそれを言われたら何も返せまい。

 

「まあ、学校でも様子見てみるよ」

 

「おう。頼むわ・・・」

 

 バスが来たので千歌達が乗り込んでいった。ちなみに曜は陸が会話に入ってから一言も言葉を発していない。本当にゼロは余計な事をしてくれた。

 

〈陸。桜内梨子の事なんだが・・・・・・、少し見張っておいた方がいいかもしれないな・・・〉

 

 千歌達を乗せたバスが走り去って行ったのを見て、何かを警戒するような声音のゼロが呟いた。

 

(お前も心配なのか?)

 

〈それも無きにしも非ずだが・・・、昨日の彼女の光、リトルスターと見て間違いないな〉

 

(何だ? そのリトルスターってのは・・・?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後、陸達は千歌の部屋に来ていた。

 スクールアイドル活動の事で話したいことがあると言っていた。何でも曜の衣装案を披露するとか。

 

「それで曜ちゃん。衣装の件は・・・」

 

「描いてきたよ!」

 

 描かれてなかったらここに来た意味がないので、描いてもらっていないと困る。

 

「最初はこれ!」

 

 曜は制服とか衣装とかその辺の類が好きなので、いつもに比べてちょっとテンションが高い。今朝陸に見せていたよそよそしい態度などどこへやらで自身が書いた衣装のイラストを見せてきた。

 そのイラストは車掌だった。千歌だと思われる少女が車掌服を着て敬礼をしている。

 

「・・・衣装と言うより制服だね」

 

「恋の特急列車、出発進行―♪とか言ってそうだな」

 

「そう言われると思って女性バージョンも描いて来ました!」

 

 曜の言う通り、次に見せてきたイラストは女性警察官だったが・・・・・・、

 

「スカートになっただけ・・・・・・」

 

「応援しないと逮捕しちゃうぞ☆ってか。つか制服から離れろアホ」

 

「ならばこれはどうだ!」

 

 三度目。果たして正直となるか。

 

「武器持っちゃったよ・・・」

 

 ならなかった。今度は迷彩柄の衣装に身を包んだ千歌が銃を構えているイラスト。さながらサバゲーや特殊部隊のようである。

 

「あなたのハートを狙い撃ち♡とか言うの?」

 

〈お前さっきからキモいぞ。何でいちいち声を裏返す〉

 

(気分だ)

 

〈あっそ・・・〉

 

「もっとこう、スクールアイドルっぽいのはないの?」

 

「あるよー」

 

 四度目。いい加減疲れてきた。

 

「おぉー・・・」

 

 今度は今までと違った。ホントにアイドルが着ているような華やかな衣装。これならスクールアイドルだと言われても違和感ない。しかし着ているのはまたもや千歌。

 

(千歌ばっかだなこいつのイラスト・・・・・・)

 

〈ああ、闇を感じるぜ・・・・・・〉

 

「凄い! キラキラしてる!」

 

「何でハナからこれを出さなかった・・・」

 

「よーし。これで決定!」

 

「無視すんなー」

 

 ぱたんと曜がスケッチブックを閉じ、千歌が勢いよく立ち上がった。

 

「後は作曲さえできれば、ダイヤさんもきっと認めてくれるよ!」

 

「いや、それはどうだろう・・・・・・」

 

 盛り上がる千歌に、曜が冷静にツッコむ。

 

「そういや桜内はどうだったんだ?」

 

 作曲という単語で、陸は千歌が梨子をスクールアイドルに誘っていた事を思い出した。

 千歌は今朝梨子の様子を見てみると言っていたが、どうだったのだろうか。

 

「・・・・・・」

 

 陸がその質問を口にした瞬間、千歌と曜の表情が重苦しくなる。まるで梨子の話題をあえて遠ざけていたような感じだ。

 

「それが・・・、桜内さん。今日学校に来なかったんだよね・・・」

 

「は・・・?」

 

「休む理由も言ってないらしいし、やっぱり昨日の事が・・・・・・」

 

〈まあ、いきなりウルトラマンの力を得たんだ。無理もない。中には力をひけらかす奴もいるが・・・、彼女の反応が普通だ〉

 

(リトルスター・・・・・・)

 

 今朝のゼロの話によると、梨子の体にはリトルスターという物質が生成されているらしい。

 そのリトルスターというのは宿主に何かしらの特殊な能力を授ける効果があり、昨日のあの現象もリトルスターによるものとの事。

 判別する方法としては昨日の様に胸が発光したり、手が異様に熱かったりするらしい。思えば始めて梨子と会った時に握った梨子の手が熱かった。もしかしたらあの時から発現の予兆があったのかもしれない。

 ゼロは様々な宇宙人がこのリトルスターを狙っていて、梨子にも何かしらの危険が及ぶ可能性を示唆していた。

 

〈恐らく力が発動して周りの人間に危害が及ぶことを避けたんだろうが・・・・・・、今学校を休ませるのはかえって危険かもしれないな。周りに人が少なければ宇宙人はより大胆に動く。それに・・・・・・〉

 

(それに?)

 

〈リトルスターはカレラン分子という物質が宇宙を循環している幼年期放射を蓄積させて出来る物質なんだが・・・、カレラン分子は本来この宇宙には存在しないものなんだ〉

 

(は?)

 

〈別の宇宙で発生したリトルスターは、人為的に散布されたカレラン分子が原因で引き起こされている。それと同じ事が起きてるとしたら――――〉

 

(・・・・・・この地球にも、誰かが意図的に散布したって事か?)

 

〈ああ、そういう事になる。事実として桜内梨子はリトルスターを発現させた。もう既に狙われていることは確かだろうよ〉

 

(仮に・・・、桜内がリトルスターを狙ってる宇宙人に捕まったらどうなる?)

 

〈ハッキリとどうなるか断言はできないが・・・・・・、少なくとも命の保証はないな・・・〉

 

(っ・・・・・・)

 

 ただか数日前、偶然不良から(ゼロが)助けた少女だ。自分とは何の関係もない。

 そのはずなのに、何故梨子の命が危険にさらされるのがこんなにも辛く感じるのか。

 陸自身にも分からない。が、リトルスターが発現し、何が何なのかもわからず怯える彼女の顔を見てしまったら。

 

(放っておけるはずないよな・・・)

 

〈その通りだ。陸。桜内梨子の家はどこか分かるか?〉

 

(知らん。最近知り合ったばっかだし、多分千歌達も知らないと思う)

 

 一応微かな希望に望みをかけて聞いては見たが、千歌も曜も梨子の家がどこかは知らなかった。

 

〈まずいな。こうしてる間にも桜内――――〉

 

「きゃぁっ‼」

 

 ゼロが何かを言いかけた瞬間、どこかで聞き覚えのある悲鳴が聞こえた。

 

(フラグ回収早いな!?)

 

〈いや、まだ桜内梨子だと決まった訳では・・・・・・、とにかく行くぞ〉

 

 声がしたのは千歌の部屋を出て右に曲がった方向。恐らくは隣の住民の悲鳴だろう。

 悲鳴を聞いた陸が飛び出すと、それに続いて千歌と曜も部屋を飛び出す。

 そこで陸達の目に映った者は―――

 

「やっぱ桜内じゃねーか‼」

 

〈なん・・・だと・・・〉

 

「桜内さん?」

 

「嘘!? お隣さんだったの?」

 

 確かに千歌の家のお隣さんだったことも驚きだが、もっと驚くべきことが他にある。

 注目すべきは梨子のいる部屋の中。

 

「あ・・・・・・ぁぁ・・・」

 

「ダァ・・・ダァ・・・」

 

 怯える梨子の視線の先、黒いニット帽に黒いマスクといかにも怪しい男が梨子に向けて銃を構えていたのだ。

 

(おいゼロ。あれも宇宙人なのか?)

 

〈多分な。変身能力を持っている宇宙人も多い〉

 

「ちょっと、あれヤバいんじゃない?」

 

「桜内さん!」

 

 三人がこんなことしている間にも、男は一歩、また一歩と梨子に近づいていく。

 

「っ! 来ないで!」

 

「うおっ!」

 

 叫んだ梨子が両手を突き出すと胸が光り出し、波動の様な物が男を吹き飛ばした。

 

「あれが・・・」

 

〈ああ、間違いねぇ、リトルスターだ!〉

 

「ぐ、おぉ・・・・・・」

 

 吹き飛ばされた男は壁に激突し、更にその衝撃で棚の上から落ちてきた辞書で頭を強打してその場に倒れ伏してしまった。

 

〈あの力、サイコキネシスか?〉

 

『何て力・・・・・・、これがリトルスターか・・・・・・』

 

 起き上がった男はもう人間の姿をしていなかった。

 バランスの悪そうな大きい釣鐘状の頭、幅の広い唇、大きい頭とは不釣合いな縞模様の細い体。

 一言でいうと気持ち悪い。夢に出てきそうだ。

 

〈あれはダダ。三面怪人ダダだ〉

 

「うわっ、顔三つある。気持ち悪っ!」

 

〈言ってる場合か! あいつは前に人間を捕らえて標本を作ろうとしたことがある宇宙人だぞ〉

 

「何? そんなヤバイ奴だったのか?」

 

『その力は厄介だな。少し眠っててもらおうか』

 

 ダダはそう言うと銃口を梨子に向け、青白い光弾を放った。

 

「きゃぁっ! ・・・うぅ・・・」

 

「桜内さん!」

 

 光弾を受けた梨子が気を失うとダダは別の銃を取り出し、青白い光を照射した。すると今度は梨子が小さくなり、そのままカプセルに閉じ込められてしまった。

 

『待ちやがれっ!』

 

『ッ!』

 

 陸の体を乗っ取ったゼロがベランダを飛び越えて梨子の部屋へと侵入する。

 それを見たダダは慌てて逃げだし、壁をすり抜けて走り去って行ってしまった。

 

「陸ちゃん!」

 

「陸!」

 

『お前らはそこにいろ!』

 

 心配する二人にゼロは強く言い放った後、ダダの後を追うために梨子の部屋を飛び出した。

 ゼロが階段を降りると、梨子に似た女性が倒れていた。恐らく梨子の母親で、ダダのあの光弾を食らったのだろう。

 

『クソッ、どこ行きやがった』

 

 玄関を飛び出し、辺りを見渡すがダダはどこにもいない。

 

『そういえばアイツ透明化能力もあったな・・・・・・』

 

(はぁ? そんな奴どうやって探すんだよ?)

 

『ちょっと待て・・・・・・』

 

 ゼロはウルトラ念力の応用で周辺を探知し、カプセルの様な物を抱えて走っている人影を見つけた。

 

『あっちだ。行くぞ!』

 

『おっと、させるか』

 

『ッ!? シェァ!』

 

 謎の声と共に飛んできた光弾をゼロが身軽にかわす。

 振り向きざまに声の主をゼロが一蹴すると、そいつも大きく飛びのいてそれをかわした。

 一応人型をしているが人間ではない。黒い頭部に赤い目。肩から胸にかけてふさふさとした体毛が生え、白い体の中に赤い斑点がいくつもある。

 陸には宇宙人だという事しか分からないが、ゼロには見覚えがあるようで。

 

『ナックル星人・・・・・・、まためんどくせーのが・・・』

 

『奴を追いたくばまず俺を倒すことだな』

 

『あぁったくもうめんどくせー・・・・・・。セリフが安っぽいんだよ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロとナックル星人が戦い始めた一方、高海家。陸にそこにいろと言われた千歌達だが・・・、

 

「曜ちゃん・・・、どうしよう、桜内さんが・・・・・・」

 

「あれって、間違いなく宇宙人だよね・・・、陸も大丈夫かな・・・?」

 

 二人はしばらくの間不安げに互いの顔を見合わせた後、

 

「行こう! 桜内さんを助けなきゃ!」

 

「うん!」

 

 陸及びゼロに待っていろと言われたにも関わらず、ダダの後を追うために部屋を飛び出した。

 




書き終わってから思った。陸(ゼロ)は靴を履かずに外に飛び出していると‥‥。気にしたら負けか。
さあさあ、個人的に書きたかったところに突入しましたよ。
梨子を捕らえてしまったダダ。それを追うゼロに襲いかかるナックル星人。梨子を助けに飛び出した千歌と曜。これらの運命や如何に?
それではまた次回。
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