ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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Aqoursの生配信番組で爆笑して終了した夏休み最後の夜。カブトムシ狩りとウルフェス以外ロクな思い出がねぇ。まあ去年よか充実してましたけど、高校生の夏休みってこんなもん?

そんな疑問を抱いている自分のこの夏一番の思い出、と言うか衝撃はアニメポケモンの放送時間が日曜夕方に移る事です。完全にちびまる子ちゃんを潰しに掛かってやがるぜテレ東。

とまあこんな感じで平成最後の夏を過ごしたがじゃまるは今日から元気三%位で学校行ってきます。

本編どーぞー。


九十話 超えるべき壁

 

 

「「「「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」」」」

 

 浦の星女学院スクールアイドル部部室は、不気味な程静寂に包まれていた。

 三年生組を除くAqoursは、固唾を飲んでパソコンの画面を見つめている。

 

〈・・・何だよアイツ等のあの剣幕は・・・〉

 

(予選の会場、今日発表になるらしい)

 

 そう。この日はラブライブ本戦へと進むための最後の砦、地区予選大会の会場が発表される日なのだ。

 前回の地区予選大会といえば、夏休みの―――、

 

「来ました!」

 

 パソコンが鳴らしたピロン! というメロディの後、声を上げたルビィに続いて五人の視線が一斉に画面へと集中する。

 

「見た事あるずら!」

 

「ここは・・・、前回ラグナロクが行われた約束の場所」

 

「私達が突破できなかった、地区大会」

 

 前に梨子が言っていた見えない力とやらに引き寄せられたのか、数奇な事に以前Aqoursが破れた会場が予選の舞台となったのだ。

 まあ、同じ東海地区予選なので当たり前といえば当たり前だが。

 

「リベンジだね」

 

「・・・・・・うん」

 

「・・・・・・」

 

 Aqours一二年生が前回の雪辱を晴らすことに燃える中、陸は一人浮かない顔でその光景を眺めていた。

 

〈・・・そういや、あの事知ったのもあの場所だったな〉

 

(・・・・・・ああ)

 

 Aqoursにとっては以前力及ばずに敗退した、ある意味いい原点回帰のきっかけとなった場所。

 だが陸にとっては、知らなければいけないが、知りたくなかった事実を知った場所でもある。

 

―――――・・・・・・じゃあ、あの時のネクサスは・・・・・・

 

―――――・・・・・・・・・千歌・・・?

 

 かつてこの宇宙を崩壊の危機から救った伝説の超人、ウルトラマンノア。

 そのノアの光が、ウルトラマンネクサスという形でAqoursのリーダーである高海千歌には宿っているのだ。

 

(・・・正直、まだ信じたくねーってのはあるけどよ)

 

 オウガにその話を聞いた時はそれこそ半信半疑だった。

 だが前にネクサスが降臨した時の状況、千歌のデュナミストとしての素質、そして何より実際にその光を目の当たりにした新学期の朝の事。

 これらはオウガの話に確証を持たせる材料としては十分過ぎた。

 

〈・・・もうそれが紛れもない真実な事に変わりはないんだが・・・・・・、如何せん、最近ネクサスの光がウンともスンともしねーからな〉

 

 千歌に宿る光は、ベリアルを打ち破る希望であり、同時に絶望を呼び起こす鍵でもある。

 後者にさせないための絶対条件としてこちらが先にその光を完全に発現させなければいけないのだが・・・、ゼロの言葉の通りあの日以降何も音沙汰が無いのだ。

 

(・・・・・・千歌を支える仲間との絆が鍵・・・)

 

〈ああ? んだそりゃ?〉

 

(・・・前にオウガが言ってた事だ。千歌が心に秘めてる影がアイツ自身の成長を妨げてるってな)

 

 そしてその影が光―――ここではその千歌を支える仲間との絆の事を差すのだろう―――によって照らされた時に見せる輝きが楽しみだと、オウガはそう言っていた。

 

〈・・・なるほどな。まあ確かに心の影ってのはデュナミストの特色ではあるが・・・・・・、アイツの影・・・一体なんだ・・・?〉

 

 傍から見れば、というか親しい者から見ても千歌にそんなものがあるようには思えない。

 ・・・心当たりはないといったら嘘になるが。

 

「・・・・・・・・・普通怪獣・・・」

 

「〈え?」〉

 

 ついうっかり口に出してしまい、ゼロだけでなく千歌まで反応してしまった。

 

「・・・陸ちゃん、なんか言った?」

 

 上手くは聞き取れなかったのか、不思議そうな顔で問いかけてくる千歌に対し陸は。

 

「・・・いや・・・、何でもない・・・・・・」

 

 今のところは、そう誤魔化しておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃。

 

「五十七人⁉」

 

 生徒会室にて鞠莉、果南と共に仕事をしていたダイヤが、とある数字を見て声を上げた。

 

「そう。今日現在、入学希望者は五十七人」

 

「そんな・・・・・・この一ヶ月で十人も増えていないと言うのですか⁉」

 

 鞠莉のスマホを手に取りダイヤが確認していたのは、今現在の浦の星女学院の入学希望者の総数。

 統廃合を止める条件として課された入学希望者数百人までとは程遠い。

 

「鞠莉のお父さんに言われた期限まで、あと一ヶ月もないよね・・・」

 

「・・・ラブライブ地区予選大会の行われる日の夜。そこまでに百人を突破しなければ・・・・・・今度こそ、後はNothingデス」

 

 入学希望者数を増やすための奮闘を始めてから早数ヶ月。それでたった五十七人しか集まらなかったというのに、あと一ヶ月でその人数と大差ない四十三人を集めるのは困難を極めるだろう。

 

「つまり、次の地区予選が・・・・・・」

 

「Yes・・・。LastChance・・・・・・」

 

 薄れゆく希望に、室内は重苦しい空気に包まれる。

 

「そこに掛けるしかないという事ですわね・・・・・・」

 

 ダイヤの零した言葉にうんと言える者は、この場にはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ほう・・・、それは面白い事を聞きましたね・・・・・・』

 

 ダークネスファイブの潜む宇宙船内。

 諜報員を媒介に三年生組の会話を聞いていた魔導のスライは、IQ一万とも呼ばれる頭脳を駆使して不穏な策を企てていた。

 

『・・・なあ、何か最近アイツ一人だけで作戦進行してる気がしね? 俺達影薄くね?』

 

『グウゥゥゥ・・・・・・』

 

『あやつが参謀役なのだから仕方ないが・・・・・・、これ我等は必要なのか?』

 

『む・・・、ここらで一つ吾輩達も行動を・・・・・・』

 

『駄目です』

 

 団欒を組んでひそひそと話し合うグロッケン、デスローグ、ジャタール、ヴィラニアスの四人に速攻で釘をさすスライ。

 

『どこぞのブロンズ野郎のように単独行動に走って死なれては困るのですよ。我々には一人一人役割がありますから』

 

『ぬぐぅ・・・・・・』

 

 痛いところを突かれて押し黙るジャタール。

 

『のうスライ。お前今度は何をやろうとしてるのだ?』

 

『別に・・・・・・』

 

 問いかけるヴィラニアスに、スライは邪悪な色を滲ませながら笑う。

 

『・・・・・・ただ、奴を利用してみようと思っただけですよ』

 

 紅い双眸が見据える先の空間ウィンドウには、かつてウルトラマンゼロに倒された赤い悪魔の姿が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワンツースリーフォーワンツースリーフォー! ここで変わって‼」

 

 沼津の練習スタジオ。

 壁に備え付けられた鏡を前に、振付やフォーメーションの練習をするAqours一同。

 

「Changeしてー! Up! Up!」

 

 リズムを刻んでいた鞠莉の手拍子が止まり、各々最後の決めポーズを取りながら止まる。

 

「Oh~Good! ここの腕の角度を合わせたいねー。花丸はもうちょい上げて」

 

「むうぅ~~・・・・・・」

 

「そうそう♪ その角度を忘れないでね。じゃあInterval後、各個人で練習ね」

 

「「「ふぅ~~・・・」」」

 

 その一言で休憩入り。

 やはり前回突破できなかった予選を控えている事だけあり、練習量は上がってきている。

 

「疲れたずら~・・・・・・!」

 

「お疲れー」

 

『なんもやってねー俺等が言うのも変な感じだがな』

 

 Aqours筆頭で体力のない花丸が床に倒れ込む。まあ、この練習メニューは体力のある人でも辛いものがあるだろうが。

 

「わっ! 全国大会が有力視されてるグループだって!」

 

「ずら?」

 

「なになに? そんなのあるの?」

 

 曜が鞄から取り出したスマホに皆の視線が集まり、羅列されたスクールアイドル達の名前を閲覧していく。

 

「ラブライブ人気あるから、そういうの予想する人も多いみたい」

 

「どんなグループがあるの?」

 

「えっと・・・・・・」

 

 聞いた事はあるグループ名もチラホラ見受けられる。とは言っても前年度全国大会に出場したグループの名が多いが。

 そう例えば、

 

「「「「「あっ」」」」」

 

 画面をスクロールしていた曜がAqoursには一番馴染みのある名前をタップし、それについてのまとめ記事を表示する。

 グループ名は、Saint Snow。

 

「前回、地区予選をトップで通過し、決勝では八位入賞したSaint Snow。姉、聖良は今年三年生。ラストチャンスに優勝を目指す」

 

「・・・やっぱ出てくるか」

 

 以前聖良本人が言っていた事だが、やはりどこのスクールアイドルもレベルが上が上がってきている。誰だって努力しているのだ。

 

「二人共気合入ってるだろうな~」

 

「あとは・・・、あっ! Aqours!」

 

「えっ⁉」

 

「ほら!」

 

「まる達ずら~!」

 

「Hey! なんて書いてあるの?」

 

 数ある実力の高いグループ等の中に自分達の名前を見つけ、衝撃を覚えながらも改めてそれに目を通す。

 

「前回は地区大会で涙をのんだAqoursだが、本大会予備予選の内容は、全国大会出場者に引けを取らない見事なパフォーマンスだった。今後の成長に期待したい」

 

「・・・・・・期待・・・」

 

 期待。浦の星や、地域の皆からのものでなく、純粋にAqoursの実力を見たスクールアイドルファン達からの期待。

 今までAqoursが背負ってこなかったものも、ここでズシリと圧し掛かってくるのを感じた。

 

「ふっふっふ・・・・・・、この堕天使ヨハネの闇能力をもってすれば、その程度造作もない事です!」

 

「そう! 造作もない事です!」

 

「あ?」

 

 普段は全員にガンスルーされるか花丸のツッコミが襲いかかる善子の堕天使芸だが、今回はそれに乗る声が一つ。

 しかも、意外過ぎる人物が。

 

「・・・・・・梨子? どうしたお前」

 

「・・・はっ⁉」

 

 陸の一声で無事こちら側に帰還する梨子。

 何だろうか。地獄の底から這いあがってきた堕天使っぽい何かに憑りつかれでもしてしまったのだろうか。

 

「さっすが我と契約を結んだだけの事はあるぞ、リトルデーモンリリーよ!」

 

「っ! 無礼な! 我はそのような契約、交わしておらぬわ!」

 

 一瞬バグっただけかと思ったが、善子に呼応してすぐに堕天してしまう。

 

「どうしたの?」

 

「リリー・・・?」

 

「これが堕天ずら」

 

「うゆ・・・!」

 

 流石の豹変具合に他のメンバーも戸惑い気味である。

 梨子と善子はあんことギャビッシュの騒動以降妙に仲良くなり、二人で行動したり話すことも増えてきたのだが・・・・・・、どうやら変なところで影響されてしまったらしい。

 

「まあ、なんつーか・・・・・・お疲れ様」

 

「ちょっと待って陸君違う! これは違くて-!」

 

 滑った善子を慰める時と同じ目で見てやると必死に否定はしてくるが、

 

「Welcome to Hell Zone♪」

 

「待てぇぇい!」

 

 見ての通りこの有り様なのでご愁傷様としか言いようがない。遅るべし堕天ウイルス。

 

「なんか楽しそうで良かった~」

 

「千歌ちゃんまで―」

 

 まあ、仲良くなったならそれはそれでよしである。それより問題は予選の方だ。

 

「今回の地区予選は、会場とネットの投票で決勝進出者を決めるって・・・・・・」

 

 つまり今までのように結果発表に時間はかからず、全グループのパフォーマンスが終わったその日の内に発表されるという事だ。

 

「会場の投票ね~・・・・・・」

 

 ルビィの言葉に、ちょっとした懸念が頭を過る。

 

「良かったじゃん。結果出るまで何日も待つより―――」

 

「そんな簡単な問題ではございませんわ」

 

 楽観的な千歌の言葉を遮ったのはダイヤのその一声だった。

 そして彼女に続く形で隣にいた鞠莉が口を開く。

 

「会場には、出場グループの学校の生徒が応援に来てるのよ?」

 

「っ・・・! ネット投票もあるとは言え、生徒数が多い方が有利・・・!」

 

「じゃあもしかすると・・・・・・」

 

 普通に考えれば、自分の学校のグループに投票するのは当たり前だとすると・・・・・・、

 

「そう・・・、生徒数で言えば、浦の星が一番不利ですわね」

 

 と、言う事になってしまう。

 なんともまあ、世知辛い現実だ。

 

「俺、グレン、ミラーナイト、ルイズ・・・・・・あとオウガの奴も来るだろうから票は入れられるが・・・・・・、五票じゃ弱いよな・・・・・・」

 

 少しは重い空気を払拭できるかと微か過ぎる希望を口にして見たものの、余計に空しくなっただけなので迂闊だったと反省する。

 

『・・・・・・なあ、試したい事があるんだが、ちょっといいか?』

 

 そんな雰囲気にいい意味で水を差したのはゼロだった。

 

「・・・・・・地球の法に触れないなら・・・」

 

 ゼロは以前地鳴らしでUFOキャッチャーの景品を不法ゲットした前科があるヤンキーだ。そんな奴に頼るのはちょっと心許無い気もするが藁にも縋る思いでもあるのだ。

 

『おー、それじゃちょっと身体抜けるぜ』

 

 そう言って陸の身体から光の筋が幾筋も伸び、ウルティメイトブレスレットが消失する。

 集約した光は人の形を作り、目つきの悪い一人の青年となった。

 さりげなく陸は始めて見る、ウルトラマンゼロの人間態だ。前に果南から話は聞いていたがこんな感じだったのか。

 

「で? それでどうすんの?」

 

「ふっ・・・、見てやがれ」

 

 ゼロが自信満々かつ不敵に笑った次の瞬間、いきなりゼロの輪郭が覚束なくなる。

 

「え?」

 

 いや、正確には輪郭が幾つも重なっているように見えると言うべきか。

 何故なら今ゼロは・・・、

 

「「「「「「「「「「ははははははッ! どーよ!」」」」」」」」」」

 

 大体三十人くらいに分身し、陸とAqoursを全力でドン引かせているから。

 

「お前こんなのも出来るのな・・・・・・」

 

「「「「「「「「「「ああ、前にマックスに習ったんだよ」」」」」」」」」」

 

 三十人の分身が一寸違わぬ動きでこちらに笑いかけてくる。

 何だろう。頭にフォッフォッフォッフォとか言ってる蝉みたいな両腕ハサミの生命体が浮かび上がってくるのは何故なんだろう。そして顔がうるさい。

 

「「「「「「「「「「どうだ? これなら人数稼げるだろ?」」」」」」」」」」

 

「気持ち悪いからお止めなさい」

 

「「「「「「「「「「あ? そう?」」」」」」」」」」

 

 三十人の分身を相手に一切臆する様子もないダイヤにスッパリ切り捨てられ、ちょっとしょんぼりしながら戻ってくるゼロ。

 

『上手くいかねーもんだな』

 

「どっちにしろ不審がられて終わりだっての」

 

 とにかくAqoursが不利だという状況は覆しようが無いようだ。

 本当に問題や試練ばかりが押し寄せてくるグループで飽きさせてくれない。全く喜べないが。

 

「・・・・・・生徒数の差ねぇ・・・・・・」

 

 今更愚痴を言ったところでどうにもならない事をぼやきながら、陸は再び練習に戻っていく少女達の姿を眺めるのであった。

 

 

 

 




さりげなく二期の話に入ってからは初登場のスライさんを除くダークネスファイブの四人。
もう二期六話の話まで来てるのに誰一人倒してないってヤバイのでは・・・。これちゃんと全員相手取れるか?

ま、作者がダークネスファイブを倒すシナリオを何一つ考えていない事はさておき、序盤で久々に触れた千歌とネクサスの話。
ここで持ち上げた事から察せると思いますが、六話の話は遂に千歌とネクサスに進展があります。お楽しみに。


それでは次回で!
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