ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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ユニット対抗戦に続き、Aqours4thライブのキービジュアルが公開されましたねー。まさか雲の上とは。
それはそうと俺の推しの子(渡辺曜)が角度的にほぼ裸にしか見えないんですがそれは。
キービジュアルになるくらいだし、当然しゅかしゅーもあれ着るんですよね? 超不安なんだが。

まあ、それはそうと本編どうぞ。サブタイあんなんですが超古代の戦士は出てきません。




九十一話 もっと上へ ~TAKE ME HIGHER~

 

 

 

 ラブライブ予選にて、Aqoursが最も不利な立場にあると分かったその夜。

 陸はこの状況を覆すためのヒントを求め、とある人物への相談を試みていた。

 その人物とは―――、

 

『―――もしもし?』

 

 数回のコールの後、目的の人物と電話が繋がる。

 

『・・・貴方から掛けてくるとは珍しいですね。仙道さん』

 

「・・・いや、ちょいと相談したいことがありましてね・・・」

 

 通話相手は鹿角聖良。今日話題にも出た北海道のスクールアイドル、Saint Snowのリーダー。

 東京でヤプールに襲われたあの日以降、向こうからの申し出でたまに連絡を取り合うようになったのだ。

 

『あら、さっき千歌さんからも相談があると電話を貰いましたが・・・・・・、もしかして同じ内容でしょうか?』

 

「ああ、そうだったんすか?」

 

 そういえば千歌に言われて聖良の番号を教えてあげたなと思い出す陸。

 

「で? アイツは何と?」

 

『・・・何でも、投票のルール上出場グループの中で圧倒的に不利、との事でしたが』

 

「・・・・・・質問しようとしてた事が全く持って同じだったのでちょっと悲しくなってきました俺」

 

 いくら幼馴染とはいえそこまで思考が似るものなのだろうか。・・・・・・いや、今回の場合はAqours全員千歌と同じ事を考えているだろう。

 

『・・・私は、圧倒的なパフォーマンスを見せつけて生徒数のハンデを逆転するしかない、と千歌さんには伝えました』

 

「・・・・・・他校の生徒も味方につけろと・・・」

 

 方法としては単純だが、途方もなく難しい事だ。その理由は言わずもがな。

 

『・・・圧倒的なパフォーマンスというのは、上手さだけではないと思います。むしろ今の出演者の多くは、先輩達に引けを取らない、歌とダンスのレベルにある』

 

 それは東京のイベントで痛い程痛感した。スクールアイドルのレベルは今も発展途上にあり、昔王座に君臨したグループでも、現在のスクールアイドル競争に放り出されたら生き残れるか難しいのだ。

 

『・・・ですが、肩を並べたとは、誰も思っていません』

 

「・・・・・・と言うと?」

 

『ラブライブが始まって、その人気を形作った先駆者たちの輝き。・・・・・・決して、手の届かない光。我々今のスクールアイドルは、その先輩方の作った基盤の上にいる訳ですから。独自に自分達の道を進んでいった彼女達と同じ輝きを掴むことは出来ませんよ。・・・・・けど、今我々に求められているのも確かにソレなんです』

 

「・・・・・・なるほど・・・」

 

 確かにそうだ。先駆者、つまりμ‘sやA-RISEの輝きがあったからこそ今のスクールアイドルがある。彼女達が自分達の道を歩み、自分達の輝きを見つけたからこそ、より多くの人を惹きつけることが出来た。

 

「・・・・・・つまり、今のスクールアイドルも、先代の模倣じゃない自分達の輝きを見つけなきゃいけない・・・・・・って事ですか?」

 

『・・・・・・はい。少なくとも、私はそう思います』

 

 それは聖良なりに考え抜いて出した答えでもあり、今のAqoursが目標として掲げているものだ。

 

『・・・・・・まあ、私がそう思えたのは、貴方のおかげですけどね。いつも相談に乗って頂きありがとうございます』

 

 今回相談を持ち掛けたのは陸の方だというのに、聖良側から丁寧なお礼をされてしまう。

 まあ、最近よく電話越しに聖良の相談に乗っていたのは事実だが、今回ばかりは陸がお礼を言う番だ。

 

「・・・いや、こっちこそ当たり前の事聞いてすみません。そっちも忙しいだろうに」

 

『これくらいなら別に構いませんよ。普段のお礼という事で。・・・・・・それでは』

 

 通話を終了させ、携帯をベッドの上に放り投げて自身もそこに転がる。

 Aqoursの輝き・・・・・・、一体どんなものなのやら。

 

「・・・・・・なあゼロ。Aqoursが自分達の輝きを見つけるのってさ・・・・・・・・・」

 

『・・・・・・ああ』

 

 

 

「『・・・・・・俺等、見守るぐらいしか出来る事なくね?」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Aqoursらしさ?」

 

 次の日の屋上。

 練習前の準備体操中だった皆に対し、千歌は話したい事があると言った。

 

「うん・・・。昨日、聖良さんと話してみて思ったの。私達だけの道を歩くってどういう事だろう・・・。私達の輝きって何なんだろう・・・。それを見つける事が大事だって、ラブライブに出て分かったのに・・・、それが何なのか、まだ言葉になってない。・・・まだ形になってない」

 

 昨日の陸同様、千歌もその事について考えていたらしい。頭弱いくせにらしくないことをする。

 だが陸と聖良が導き出した結論と同じものに辿り着いたようで、こうして頭を悩ませていた。

 

「だから、形にしたい。形に‥・・・」

 

 とは言っても、輝きという姿の見えない曖昧なものを形にし、尚且つステージ上で表現するとなると難しい。

 当然皆もそれは分かっているので、答えは出せずに静寂を生み出してしまう。

 

「このタイミングでこんな話が千歌さんから出るなんて、奇跡ですわ」

 

 それを打ち破ったのはダイヤの一声だった。

 やる気を出したダイヤは大体地雷なのだが、今回は彼女の纏っている雰囲気も違うので自然と期待を抱いてしまう。

 

「あれ、話しますわね」

 

「えっ・・・・・! でもあれは・・・・・・」

 

 ダイヤが横に流した言葉と視線に、珍しく果南が狼狽える。

 

「何? それ何の話⁉」

 

 その反面千歌は興味津々といった様子で視線と共に彼女達へと詰め寄っていった。

 

「二年前、わたくし達三人がラブライブ決勝に進むために作ったフォーメーションがありますの」

 

 二年前と言うと・・・今の三年生が一年生だった頃に結成していた元祖Aqoursの事だ。

 

「フォーメーション?」

 

「フォーリンエンジェルズ?」

 

「ずら?」

 

「ら、ら、ら~・・・?」

 

「しりとりじゃないから」

 

「そんなのがあったんだ! すごい! 教えて!」

 

 背後で謎の漫才をするメンバーを全く意に介さずに興奮する千歌。

 だがそのフォーメーションを考案したであろう果南の表情は険しいものだ。

 

「・・・でも、それをやろうとして鞠莉は足を痛めた。それに、皆の負担も大きいの。・・・・・・今、そこまでしてやる意味があるの?」

 

 果南の態度からは、どうしてもやらせたくないというのがひしひしと伝わってくる。

 だが、

 

「なんで?」

 

 閉ざした彼女の瞳を、千歌の屈託のない瞳が捉えた。

 

「果南ちゃん。今そこまでしなくていつするの? 最初に約束したよね⁉ 精一杯足掻こうよ! ラブライブはすぐそこなんだよ⁉ 今こそ足掻いて、やれることは全部やりたいんだよ!」

 

 精一杯足掻く、やれることは全部やる。廃校の決定を覆すと誓ったあの日に皆で決めた事。当然その場には果南もいた。

 

「・・・でも! これはセンターを務める人の負担が大きいの! あの時は、私だったけど・・・・・・千歌にそれが出来るの⁉」

 

 人間離れした身体能力を持つ果南がこう言うのだ。言葉の通りそのフォーメーションにはかなりの負担と危険が伴うのだろう。

 そして彼女の性格上、そんな事は絶対に望まない。

 

「・・・大丈夫。やるよ、私」

 

 突き放し、話を終わらせようとする果南の腕を千歌は掴み、確かな決意をもってそう言った。

 

「決まりですわね。あのノートは渡しましょう。果南さん」

 

「今のAqoursをBreak Throughするためには、必ず超えなくちゃならないWallがありマース!」

 

「今が、その時かもしれませんわね」

 

 ダイヤと鞠莉に押され、果南は渋々守るように抱えていたノートを千歌に手渡した。

 

「言っとくけど、危ないと判断したら・・・私はラブライブを棄権してでも千歌を止めるからね」

 

 そう、忠告を残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ・・・・・・ととわあぁっ⁉」

 

 その日の夜。

十千万前の砂浜には、起き上がっては転ぶ千歌の姿が確認できた。

 

「・・・・・・ちょっと様子見に来たらこれか・・・」

 

『・・・まあ、確かに心配だよな・・・』

 

 変に顔を出して邪魔をするのも悪かったので、少し離れた場所にある物陰に隠れながらそれを眺める陸。

 そして、

 

「心配?」

 

「・・・やっぱり、こうなっちゃうんだなぁって・・・・・・」

 

 陸より先にこの物陰から千歌を見守っていた果南と鞠莉。

 二人共淡島住まいだというのにこんな時間まで千歌を気遣ってくれているとは、この二人らしいと言ったららしいが。

 

『つかあんな振り付け、お前等前はどんだけ激しい曲で踊ってたんだよ・・・・・・』

 

 果南のノートに記されていたフォーメーションというのは、他メンバーのドルフィンの後、センターの者がロンダートからのバク転を披露すると言うもの。確かに危険だ。

 

「・・・鞠莉さんが怪我した理由って、あれが原因だったんですね」

 

「まーね。ちょこーっとヘマしちゃって。てへぺろ♪」

 

 軽く笑っているが、当時センターで無かった鞠莉でも怪我をする程なのだ。

 全員の負傷の可能性が増えるこのフォーメーション。

 確かに、果南が頑なにこれを取り入れる事を拒んでいたのも頷ける。

 

「あれ・・・・・・やりたかったね、私達で」

 

 かつての失敗を悔やみ、そして懐かしむように鞠莉が言う。

 

「それなら、何で千歌達にやらせるの? まるで押し付けるみたいに」

 

「ちかっちなら出来るって信じてるから。・・・・・・今のAqoursなら、必ず成功する。果南だって、そう信じてるんでしょ?」

 

「・・・・・・」

 

 鞠莉のその言葉に、果南は前にどこかで見せた仏頂面を保ったまま何も答えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は千歌の奮闘と共に流れ、気付けばラブライブ予選まで残すところ二週間となっていた。

 

「行きまぁ―――――す‼」

 

「千歌ぁ――! 頑張ってぇ―――!」

 

 練習中である他の部活の生徒の声を受け、体育館のステージ上に立つ千歌は目の前に敷かれたマット目掛けて駆け出す。

 ドン! と床を踏みしめ、次の瞬間身体を翻し―――、

 

「うあぁぁっ⁉」

 

 バランスを崩し、派手に頭から落下。いくら柔らかいマットが衝撃を和らげてくれるとは言え、見ていて不安にならない訳ではない。

 

「おい、大丈夫か?」

 

 いつも通り放課後に顔を出した陸が倒れる千歌に手を伸ばす。

 

「・・・だ、だいじょうぶ・・・大丈夫・・・・・・もう一回!」

 

 その手を掴んで立ち上がった千歌は、なおも練習を続けようと荒い息を整えようとする。

 

「少し休もう? 五日もこんな調子じゃ、身体壊しちゃうよ?」

 

「ううん。まだ大丈夫。もうちょっとで、掴めそうで」

 

「地区大会まであと、二週間なんだよ? ここで無理して怪我したら・・・・・・」

 

「うん。分かってる。・・・でも、やってみたいんだ」

 

 梨子と曜が心配そうに声を掛けても、千歌は止まろうとしなかった。

 その真っ直ぐな瞳には、一体何を映しているのか―――。

 

「私ね・・・、一番最初にここで歌った時に思ったの、皆がいなければ何も出来なかったって。ラブライブ地区予選大会の時も、この前の予備予選の時も、皆が一緒だったから頑張れた。学校の皆にも、町の人にも助けてもらって、だから・・・・・・一つくらい恩返ししたい」

 

「・・・・・・」

 

 どこか引っ掛かるものがあった。

 千歌の吐露したその心情に、本心に。

千歌自身が、まるで支えられているだけでここまで来たと言っているような言葉に。

確かに、影を感じたのだ。

 

「怪我しないように注意するから、もう少しやらせて!」

 

 そう言ってスタート地点に戻り、未だ成功の気配を見せない練習へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 水平線に沈む夕日がオレンジ色に染め上げる砂浜。

 普段は静けさに包まれている場所に、ドサ、ドサと、砂に映る影が何度も倒れる。

 

「大丈夫――⁉」

 

「へーきだよ――‼」

 

 Aqoursとしての練習が終わった後も、千歌はずっとこうして自身の練習を続けていた。

 その小さな身体に、幾つもの傷を作りながら。

 

「・・・気持ちは分かるけど・・・・・・、やっぱり心配」

 

「・・・だよね・・・・・・」

 

 逆さにして不法投棄されていたボートに腰かけ、そんな千歌を見守る陸、曜、梨子、果南の四人。

 

「じゃあ、二人で止めたら? 私が言うより、二人が言った方が聞くと思うよ? 千歌」

 

「う~ん・・・」

 

「嫌なの?」

 

「聞くのは話だけだよ。どうせ何言っても恩返しだの頑張らないとだの一点張りして止めやしねーし」

 

 こうなると言ったところで止まらないのは皆知っている。その強引さに押され、今のAqoursがあるから。

 だが、千歌は・・・・・・、

 

「言ったでしょ? 気持ちは分かるって」

 

 両手に顎を乗せ、何度も転ぶ千歌を眺める果南に梨子は続けた。

 

「千歌ちゃん、普通怪獣だったんです」

 

「怪獣?」

 

『レッドファ―――』

 

「黙ってろ」

 

 真面目な場面で赤い通り魔を降臨させる訳にもいかないので言い切らせる前に遮る。

 

「普通怪獣ちかちー。何でも普通で、いつもキラキラ輝いている光を遠くから眺めてて・・・・・・、ホントは凄い力があるのに・・・・・・」

 

「自分は普通だって、いつも一歩引いて・・・・・・」

 

そう。

 

「だから、自分の力で何とかしたいと思ってる。ただ見てるんじゃなくて、自分の手で・・・・・・」

 

 これが、高海千歌の影。

 幼い事から抱いてきた周りとの劣等感の故に誕生した、彼女を縛り付ける負の鎖。

 本当は普通など、とうに超えているくせに。彼女はそれを知らない・・・、いや、無意識の内に認めていないと言った方が正しいだろう。

 

〈・・・・・・オウガの野郎が言ってたのはこれか・・・〉

 

 千歌は自分の心に強く、深い影を秘めていて、それが千歌自身の成長を妨げていると。オウガはそう言っていた。

 

(・・・・・・千歌を支える、仲間との絆・・・・・・)

 

 その影を晴らすために必要な鍵。そしてそれによって心の影が晴らされた時に見せる千歌の輝き。

 

(・・・普通怪獣ね・・・・・・)

 

 砂浜に座り込み、夕日に手を伸ばす千歌は今、何を想い、その瞳に何を映しているのか。

 そんなものは彼女以外には分からない。だが、確かに言える事は。

 

今回のパフォーマンス。千歌が自分自身を普通だと思いこむ事から脱却しない限り、成功はない。

 

「・・・・・・」

 

 陸がその結論に至ったその時、隣で座っていた果南が不意に腰を上げた。

 

「・・・・・・姉ちゃん?」

 

 陸に声に答える事のないまま前へと進み、千歌の前で立ち止まる。

 

「千歌」

 

「・・・・・・果南ちゃん?」

 

 きょとんとした視線を向けてくる千歌に対し、果南はゆっくりと口を開いた。

 

「・・・約束して。明日の朝までに出来なかったら、諦めるって」

 

「っ・・・・・・!」

 

 まさかの言葉に目を見開いたのは千歌だけではない。その様子を目にした梨子達も同じ表情だ。

 

「よくやったよ千歌。・・・・・・もう限界でしょ?」

 

「果南ちゃん・・・・・・」

 

 きっとその言葉には千歌を思う気持ち、そして果南自身の怖れが秘められている。

 かつて、このフォーメーションが切っ掛けで関係は綻び、元祖Aqoursはすれ違ってしまったから。

 

(・・・・・・姉ちゃん・・・)

 

 勿論ラブライブには出場したい。学校は救いたい。

 けれども、それでも彼女の内に秘めた臆病さが。

 これでもし千歌が怪我を負い、それが友情関係に響き、かつての自分達と同じ道を辿らせてしまう事を何よりも恐れている。

 

「・・・・・・・・・っ‼」

 

 静かに、強く拳を握りしめ、千歌は背を向けて歩き去っていく果南に悔しそうな視線を向ける。

 

『・・・翌朝まで・・・・・・か・・・・・・』

 

 ハードルは高い。

 バク転も、千歌自身の心の問題も。簡単に解決するようなものではない。

 

 

 けれども必ず、超えなくてはいけない壁なんだ。

 

 




課せられた試練。告げられたタイムリミット。そして明らかとなった千歌の影。オウガの言葉が意味するものとは一体? 全ては次回で明かされる!(かもしれない)

三年生が件のフォーメーションが記されたノートを千歌達に手渡すまでのやり取りは割愛させてもらいました。詳しく知りたい方はアニメか他の方の作品でご確認下さい。
大雑把な流れだと、ノートを前に葛藤する果南先輩を鞠莉さんとダイヤ様が説得しに行った感じですかね(雑)。果南先輩全然納得しているようには見えませんが。


それでは次回で! 光は・・・絆だ。誰かに受け継がれ、再び輝く。
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