ゼロライブ! サンシャイン!!   作:がじゃまる

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実はまだ鞠莉さん回のシナリオが完全に固まってはいないというピンチ。一応アニメ七話の話が終わったら書こうと思ってるんですけどね、どーしよ。

鞠莉「・・・まさか善子回を超える低クオリティになったりしないでしょうね?」

俺「あれは奴の不幸体質が招いたものです。証拠に善子回以外はそれなりのクオリティで書けてるでしょうが!」

善子「・・・責任擦り付けた上に堂々とディスるの止めてもらえないかしら?」


ほんと、ホント善子には悪い事したなと反省しております・・・・・・。



九十五話 足掻いた末

 

 

 

 鞠莉の父の尽力によって統廃合の期限が延ばされてから、既に四時間が経った。

 時計の時刻は一時を回り、理事長室もお通夜ムードである。

 

「あれから、全然増えない・・・・・・」

 

 床に座り込んだルビィの言う通り、だいぶ前に八十七人になってから数字は微動だにしてくれない。

 

「っ・・・! やっぱりパソコンがおかしいんじゃないの⁉」

 

 痺れを切らした善子がぶんぶんとパソコンを上下に振るが、やはりピクリとも動きはしなかった。

 

「Stop。壊れてないわ」

 

 穏やかな笑顔に疲れの色を滲ませた鞠莉がその手を止めさせ、それに他の三年生が続く。

 

「これが現実なのですわ。・・・これだけの人が、浦の星の名前を知っても・・・」

 

「例え町が綺麗で、人が優しくても、わざわざここまで通おうとは思わない・・・」

 

 紛れもない事実である果南の言葉が刺さる。

 いくらAqoursが魅力的で、人気があっても、浦の星女学院の魅力がそれに劣ってしまう。

 恐らくほとんどの人にとってメインはAqoursで、立地の悪い学校は飾りでしかないという事だ。

 

「・・・・・・」

 

 重い沈黙が室内を包む。

 そんな空気に、ぐぅ~、という乾いた音が水を差した。

 

「そういえば! お昼食べた後、何も食べてないわね⁉」

 

 音の発生源である梨子が誤魔化すべく必死に弁明をする。

 緊迫の糸が切れ、微かながらも笑いが理事長室に溶け込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハアァァァ・・・!』

 

 圧倒的な殺意をその身から醸すゼロダークネスが月面上空を舞う。

 

『ッ――――――!』

 

 殺到するミサイルを尽く回避し、Uキラーザウルスへと突進していくその姿はまるで鬼。

 

『ズザラァァァァァァァァァァァァァァ‼』

 

 眩い闇を抱いた漆黒のゼロツインソードが振り抜かれ、初使用時の何倍にも膨れ上がったデスシウムスライサーが轟音と共に炸裂。

 

『ッ――――――――――――‼』

 

 胸部に深々と斬撃を刻み込まれ、悲鳴と憤怒の混じった慟哭が上がった。

 

『何だあれ・・・・・・』

 

 よろよろと起き上がったギンガが、黒と赤に染め上がったゼロの肉体を見てそう零す。

 

『・・・本当にあのゼロなのか・・・?』

 

 ビクトリーも驚きを隠せないでいる一方で、ゼロダークネスの暴れっぷりを目の当たりにしたヤプールから焦りの声が漏れる。

 

『なんだ・・・・・・なんだその闇の力は・・・・・・⁉』

 

 Uキラーザウルスはウルトラ戦士を倒すために作られた、いわば対ウルトラ戦士専用のキリングマシーン。

 そんな傑作が、たった一人のウルトラマンに圧倒されているというのだから。

 

『この・・・・・・、認めるものか・・・! 貴様などにィィィィィィ‼』

 

 ヤプールの怒号に同調するようにUキラーザウルスが咆哮を上げ、ミサイルにレーザー、破壊光線と、奴がその身に搭載したありったけの攻撃がゼロへと押し寄せる。

 

『ジュアァ‼』

 

 だが黒き戦士には何一つ命中しない。

 繰り返される急旋回を前に破壊光線とレーザーはものの見事に全回避され、ミサイルもデスシウムショットによって次々と打ち落とされていく。

 

〈おい陸落ち着け! 闇に飲まれるな!〉

 

 ゼロダークネスの中。身体を動かせないでいるゼロは激しい焦燥と責任感に襲われていた。

 

「悪いゼロ・・・。アイツだけは俺が・・・・・・!」

 

〈っ・・・⁉ お前意識が・・・!〉

 

 聞こえていないものかと思っていた呼びかけに対しての返答。

 まさかの事に気後れこそしたが、同時に違和感も覚え改めて今の状況を整理する。

 

〈・・・・・・目は紅い。ベリアルの力が発動している事は間違いないな〉

 

 引っ掛かるのはそこではない。そのベリアルの力の増大具合と、それでもなお陸が自我を保っている事だ。

 これ程までの闇。陸のような人間どころか、ウルトラマンでも正気を保っていられるものではない。

 だというのに、陸は会話できるレベルまでの意識を持ち続けている。

 

〈・・・・・・おかしい〉

 

 それだけではない。以前ゼロダークネスとしてキングジョーブラックと戦った際、陸は慣れない空中飛行に苦戦していた。

 なのに、今彼はゆうに百は超えているであろうミサイルの群衆を一つたりともヒットさせることなくかわし続けている。あれからまだ一、二ヶ月しか経っていないというのに。

 

〈・・・・・・いくら何でも、成長速度が速すぎる〉

 

『ザアァァ‼』

 

 ゼロがそんな疑問を抱いている間にも、頭部にドロップキックをもらったUキラーザウルスは派手に転倒する。

 

『ショウ、俺達も』

 

『ああ』

 

『貴様等は引っ込んでいろ‼』

 

 ゼロ一人に任せっきりにする訳にも行かないとギンガとビクトリーが地を蹴るが、今はゼロダークネスの撃滅しか考えていないヤプール。

その命令に従ったUキラーザウルスが伸ばした二本の触手が二人を捕らえてしまった。

 

『う・・・ぐぅ・・・・・・!』

 

『外れん・・・・・・!』

 

 首根っこを掴まれ、その細さからは考えられない剛力が足を地面から引き剥がす。

 神経が圧迫され、徐々に黒ずんでいく視界と意識。

 身体に力が入らなくなったギンガが、するりとその手を落としかけ―――、

 

 

『ストリウム! 光線‼』

 

 

 瞬間、背後から駆け抜けた七色の光線が触手を焼き切った。

 

『ふぅっ・・・』

 

『おい、しっかりしろヒカル!』

 

 辛うじて気絶せずに済んだギンガを支えるビクトリー。

 続いて何が起こったのだろうと光線の発生源である宇宙空間見上げるとそこには。

 

『フゥゥン・・・・・・』

 

二本角が特徴の真紅の巨人―――ウルトラマンタロウが両腕をT字に構えた状態でこちらを見下ろしていた。

 

『タロウ・・・・・・』

 

『大丈夫か? ヒカル、ショウ』

 

 地上に降り立ち、彼もまた心配するように二人へ駆け寄る。

 

『どうしてここに?』

 

『あのウルトラサインが偽造だと分かった。それで罠だと判断し、君達を引き留めに来たのだが・・・・・・、もう既に遅かったようだな』

 

 眼前で猛るUキラーザウルスを視界に捉え、悔しそうに呟くタロウ。

 が、それと戦う暗黒の戦士の存在に気が付いた瞬間に顔色が変わった。

 

『っ・・・⁉ あれがゼロなのか⁉』

 

 ギンガとビクトリー以上に驚いた様子を見せる。

 それに対し二人はこくりと頷いた。

 

『ああ、何でかは分かんないけど、いきなり』

 

『ヤプールの言葉が一体化してる奴の逆鱗に触れたらしくてな。その後は見ての通りだ』

 

『・・・・・・オーブが言っていたものとはこれだったのか・・・』

 

 まさかこれ程とはなと続け、ギンガへと顔を向ける。

 

『とにかく、今はヤプールの事が最優先だ。ヒカル!』

 

 光の粒子へと変わったタロウがカラータイマーを介してギンガの体内へ入り込み、その力を彼へと授けた。

 

『久しぶりに行くぞ。準備はいいな?』

 

 その問に、懐かしさを感じつつも頷く。

 

『っ・・・、ああ! ショウ!』

 

『ふっ・・・、任せろ!』

 

 次の瞬間、二大戦士のクリスタルから閃光が溢れた。

 

[今こそ、一つになる時! ウルトラマンタロウ!]

 

 そのエネルギーが太陽を模ったような光の輪を現出させ、ギンガとタロウ、そして他のウルトラ六兄弟の姿が重なっていく。

 

[ギンガに力を! ギンガストリウム‼]

 

 輝きが収束し、新たなギンガがその姿を現す。

 シルエット自体に変化はないが、額のビープランプや胸部のプロテクターなど、ところどころに六兄弟の面影を匂わせていた。

 

[ウルトランス! ウルトラマンヒカリ!]

 

 一方ビクトリー。先程までとはまた別のウルトランスを披露するが、今度は腕に特に変わった変化は見受けられない。

 

[ナイトティンバー‼]

 

 代わりに出現したのは青い笛のような形をしたアイテム―――ナイトティンバー。

 ビクトリーはそれを手に取ると吹口部に自らの口をあてがい、演奏でもするように高いメロディを奏で始める。

 

『~~~~~♪』

 

 そのリズムに同調し、どこからともなく湧き出た青いオーラがビクトリーを包み込んだ。

 

『フッ! ハァ!』

 

 ナイトティンバーを横笛型のティンバーモードから片手剣型のソードモードに移行させ、天に掲げる。

 すると周囲のオーラが青い結晶体へと変化。展開された刃から放たれた蒼い光が続々とその結晶体を反射し、V字型のカラータイマーに注ぎ込まれていく。

 

[放て! 聖なる力!]

 

『ツィヤ・・・』

 

 こちらもギンガ同様シルエットこそ変わっていないが、カラーリングが大きく異なるものとなっている。

 蒼を基調とした身体に白のラインが走り、紅く変化したクリスタルとの色補強もいい姿だ。

 

『ショウラァ‼』

 

『ヅォリヤッ‼』

 

 強化変身を終えたウルトラマンギンガストリウム。そしてウルトラマンビクトリーナイトが地を蹴り上げ、未だUキラーザウルスとの攻防を続けるゼロダークネスの元へと飛翔していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 梨子のみでなく、全員が空腹を感じ始めたので、仕方なく一年生三人が買い出しに。

 

「全く・・・世話が焼けるったらありゃしない。私はリトルデーモンの事で手一杯なのに」

 

「仕方ないずら」

 

「今のAqoursを作ったのは千歌ちゃん達二年生。元のAqoursを作ったのはお姉ちゃん達三年生。責任感じてるんだよ」

 

 どうして自分なんだと文句を垂れる善子を花丸とルビィが諭す。

 不満は漏らしつつも、薄々勘付いてはいたらしい彼女は今の返答に若干顔を陰らせる。

 

「・・・そんなもん、感じなくていいのに・・・・・・・・・少なくとも私は、感謝しか・・・・・・」

 

 そんな謝辞を述べている途中で違和感を覚え、振り返ると二人は足を止めて娘の成長を見守るような眼差しを向けてきていた。

 

「リ、リトルデーモンを増やすために、Aqoursに入っただけだし!」

 

 素直に心情を吐露した事が恥ずかしくなり、顔に朱を差しながら今更苦しい言い訳をひり出す。

 そんな善子を見て、幼馴染である花丸は更に朗らかな笑みを作った。

 

「だからまる達が面倒見るずら。それが仲間ずら!」

 

 春までは本さえあれば十分だと言っていた花丸。

 善子だけじゃない、花丸だってAqoursとの出会いで変わることが出来たから。

 

「ふふっ…、なんかいいな、そういうの。支え合ってる気がする♪」

 

 ルビィだって勇気をもらった一人。

 こんな時だからこそ、普段は聞けないそれぞれの思いを口にできる。

 

「・・・・・・そうずらね」

 

「ふん・・・♪ いいこと言ったご褒美に特別に餅巾着あげる!」

 

「えぇ~、出来たら黒はんぺんがいいずら~」

 

「うぇっ⁉ それは駄目‼」

 

「ルビィはたまご!」

 

「うっ⁉ それも駄目‼」

 

 上級生の待つ学校へ足を進めながら、いつも通りじゃれ合う三人。

 今しかないこの瞬間を噛み締めるように笑う彼女達を、夜空に灯る星々が温かく見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[ウルトラマンの力よ!]

 

『スペシウム光線‼』

 

 ウルトラ六兄弟の力を宿したギンガの放つ光線がUキラーザウルスを強襲する。

 

『貴様等・・・! 邪魔をするな‼』

 

 横槍を入れられて頭に来たらしいヤプールの命令で、ゼロダークネスに向けられていたミサイルの群衆が二人に押し寄せてくる。

 

[ワン! ナイトビクトリウムフラッシュ!]

 

『ナイトビクトリウムフラッシュ‼』

 

 自らの力を開放したビクトリーがナイトティンバーのポンプアクションを一回行い、蒼い軌跡を描きながら回転切りを繰り出す。

 プロペラのように宙を駆け巡り、全てのミサイルを切り伏せた。

 

『よう。陸とか言ったか』

 

 ビクトリーは爆発で生じた黒煙の世界から抜け出し、Uキラーザウルスの上を取っていたゼロダークネスの隣に並ぶ。

 

『そんだけの力を扱えるなんてスゲーじゃねーか。けど、一人じゃ限界がある。・・・・・・一緒にコイツ倒そうぜ』

 

 続くギンガがそっと肩に手を置いた。

 以前オーブやジードに精神的に助けられた事もあってか、先輩戦士の声には半暴走状態でも身体は自然と聞きに入る。

 

「・・・・・・はい」

 

 ほんの少しだが落ち着きを取り戻した陸は、紅く輝かせた目はそのままにビクトリーと並んでUキラーザウルスへと切り込んでいく。

 

『この・・・・・・虫ケラ共がぁぁぁぁぁぁ!』

 

 ヤプールの焦りと怒りの感情が乗り移りでもしたかのようなUキラーザウルスが先程ビクトリーを飲み込んだ光筋の束をぶっ放してくる。

 

『ヒカル‼』

 

『ああ、任せとけ!』

 

 サポートとして二人の後ろに回っていたギンガが、左腕に装着されたストリウムブレスに手を掛けた。

 

[ウルトラマンエースの力よ!]

 

『メタリウム光線‼』

 

 L字に組まれた両腕から青、桃色、白の三色が映える光線が放たれ、Uキラーザウルスのものとの押し合いを制し奴の本体に直撃。

 

[ツー! ナイトビクトリウムブレイク‼]

 

 刹那、ゼロの構えた黒剣とビクトリーの構えた群青の剣が刃に鈍い光を宿す。

 

『ナイトビクトリウムブレイク‼』

 

『ザラァァァァァァァ‼』

 

 蒼の剣閃が横薙ぎに迸った後、立て続けに抉り込まれるゼロ距離発射のデスシウムスライサー。

 同じ部位に三連撃を喰らい、Uキラーザウルスは月全体を揺らすけたたましい悲鳴を轟かせた。

 

『あとは任せろ。決めるぞショウ‼』

 

 ギンガの指示で二大戦士が月面に並び立つ。

 ポージングを繰り返して力を高める者。基本形態に戻って全身のクリスタルにエネルギーを集中させる者。

 そして、これら二つの波長が重なった時。

 

『『コスモミラクルエスペシャリー‼』』

 

 誕生した小銀河から虹色の光が幕を伸ばし、疾走するV字のエネルギー弾と融合する。

 

『ッ―――――――――――――――――‼』

 

 やがて一つとなった光線が地表を抉りながら突き進んでゆき、Uキラーザウルスの全身を木端微塵に消し飛ばした。

 

『ぬぐぅぅ・・・・・・ウルトラ兄弟でもない貴様等などにィ・・・・・・‼』

 

 最強の超獣兵器を亡き者とされ、募り募ったぶつけどころのない怒りを声音に乗せたヤプールの気配が消える。どうやらどこかに逃げ込んだらしい。

 

『グ・・・ァァァァ・・・・・・』

 

 異次元の悪意が遠ざかり、糸が切れたようにゼロダークネスがその場で膝を付く。

 体内から漏れだしていた闇のオーラが霧散し、元の赤と青の姿に戻る。

 

『お、おい・・・大丈夫か?』

 

『・・・ああ・・・、問題ない・・・・・・』

 

 ようやく身体の主導権が戻ってきたゼロは強がって見せるが、肩を大きく揺らし、カラータイマーは点滅を始めてしまっている。

 

〈ゼロ〉

 

 ビクトリーの肩を借りるゼロに、ギンガから分離したタロウは他の者に聞こえないようにテレパシーで直接脳内に語り掛けてきた。

 

〈・・・彼のその力、君自身の身体も蝕む程のものなのか?〉

 

〈・・・・・・アンタも気付いたか〉

 

 宇宙警備隊筆頭教官の慧眼には猿芝居が通用しない。

 力の危険性を鑑みたのか、ゼロの身を案じているのか、適当なはぐらかしは通用しなさそうな雰囲気を醸し出している。

 

〈・・・ここ最近、戦闘に関する成長速度が恐ろしく早い。それにベリアルの力も増幅する一方だ〉

 

〈・・・・・・そうか〉

 

 ゼロのインナースペースの中では陸もまた肩を大きく上下させている。人間があれ程の闇をコントロールしたのだ。むしろ疲弊するだけで済んでいる方がおかしい。

 

〈・・・タロウ教官はどう見る?〉

 

〈・・・・・・今のところ、私にはまだ何も言えない。この一件は一度本部に持って帰るとしよう〉

 

〈・・・了解した。頼みます〉

 

 ゼロにしては珍しい敬語を受けた後、会話を切り上げてギンガとビクトリーに顔を向けた。

 

『ヒカル、ショウ。私は本部に戻る。悪いが君達は地球までゼロにつき添ってあげてくれないか? 流石にこの様子では一人に出来ない』

 

『おう、任せとけ』

 

 ギンガが二つ返事で快く承諾し、ビクトリーもそれに同意して頷いた。

 

『トァアァァァ‼』

 

 二人の答えを聞いたタロウはゆっくり頷くと、両腕を広げて宇宙空間の彼方へと飛び去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あと三人!」

 

 入学希望者の募集締め切り時刻まで、あと十分を切った。

 現在の人数は九十七人。条件として提示された百人まで本当にあと少しだ。

 あと、本当に一押しで学校が救われる。

 

「でも・・・時間はもう・・・・・・」

 

「お願い・・・! お願い・・・!」

 

 唸るように喉奥から出でた願いが室内に浸透する。

 しかし時間とは残酷に過ぎゆくもの。彼女達の懸命な祈りとは裏腹に、時計の分針は一分、また一分と終わりの時へ近づいて行く。

 

「九十八!」

 

 一つ繰り上がった数字を千歌が口に出す。

 

「・・・・・・時計は・・・」

 

「だいじょぶ!」

 

 残り一分になった時刻には目を向けず、ただひたすらにパソコンの画面に表示された九十八に視線と全意識を注げる。

 

「大丈夫・・・・・・絶対に届く!」

 

 あと二人、あとたった二人で今までの努力が報われる。皆が笑えるというのに。

 

「だいじょぶ・・・・・・届く・・・!」

 

 千歌一人しか言葉にしていないものの、考えている事は皆一緒。

 救いたい。共に学び、成長してきたこの学校を。皆が愛した浦の星女学院を。

 

「届く・・・・・・!」

 

 もっとこの学校を愛していたい。もっともっとこの場所で皆といたい。

 届く。その言葉を信じ、その言葉に全ての想いを乗せ、ただひたすらに数字が百に届く事を祈る。

 

「・・・届く・・・・・・!」

 

 

 カタン。

 

 何十分にも感じられた長い長い一分が過ぎ、時刻が五時になった事を時計の針の音が示す。

 その瞬間、無情に、冷酷に全ての願いと努力を無に帰す神の嘲笑が吹き荒び、九十八が募集終了の四文字へと切り替わる。

 

 

 

 

 

 ――――――浦の星女学院の統廃合が、正式に決定した瞬間だった。

 

 

 




みら僕のOP映像から廃校ルートは薄々察してはいましたけど、実際そうなられるとくるものがありますよね。放送当時は廃校が決定する瞬間のシチュエーションに震えた記憶。

ハナから廃校が決まっていて、皆それを割り切っているG’sマガジン設定とは異なる廃校の受け止め方。次回から話が暗いとだけ言っておきます。

そして何やらウチの主人公君にタロウとゼロが疑念を抱き始めたようですが・・・・・・。
ネタバレにならない程度に予告しておくと、第二部終盤の話の重さは第一部の比じゃないのでご注意を。多分ネクサスレベル(一人でハードルを上げてくスタイル)
ま、俺の拙い文章でどこまで表現できるかは不明ですが。

それでは次回で!
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