μ’sは個人的にヤンデレ合わないなぁって思う子が多いんですけど、Aqoursって善子を除いてヤンデレ似合いますよね。
しかし俺にヤンデレを書く力はない。俺に書けるのはゼロライブと陽光日和くらいです。
本編どうぞ。
ラブライブの決勝に出場するかどうか。
その話が持ち上がった翌日、Aqoursは全員、心の整理がついたような顔で浦女の屋上に集まっていた。
「やっぱり、皆ここに来たね」
「結局、皆同じ気持ちって事でしょう?」
悩みを抱えた時、その事を誰かに話したい時。自然と足がここに向かう。
町が一望できて、海や富士山が見えて、何より、今まで練習をしてきた、大好きな学校の一部であるここに。
「・・・出た方がいいって言うのは分かる・・・」
「・・・・・・でも、学校は救えなかった」
「なのに、決勝に出て、歌って・・・・・・」
「例えそれで優勝したって・・・・・・」
それが、全員が悩み抜いた末に出した答え。
この九人でラブライブに出場した理由は、学校を救うため。だが統廃合を防ぐという目的を防ぐことは出来なかった。
だからこそ、もう決勝で歌う意味もない・・・と。
「確かに、そうですわね・・・・・・」
ダイヤが横目にある一点を映す。
皆が自信で出した意見を伝えていく中、千歌は一人背を向けて塀に寄りかかっていた。
「でも、千歌達は学校を救う為にスクールアイドルを始めた訳じゃない」
そんな彼女を見て果南が零した。
「・・・輝きを探すため」
それに原点の一人である曜が答える。
スクールアイドルを始めたいと思った時、まだ千歌は浦女が廃校になる未来など知るよしもなかった。
彼女にそう思わせたのは、もっと別なもの。
「皆それぞれ、自分達だけの輝きを見つけるため・・・・・・」
千歌を突き動かしていたのは、純粋な欲。
輝きという形もなければ概念もあやふやなものに恋い焦がれ、自らもそれを掴み取りたいと願ったから。
でも―――、
「見つからない」
自分の心情の答えであるはずの鞠莉の言葉を、千歌は遮る形で否定した。
「・・・だって、これで優勝しても学校は無くなっちゃうんだよ?」
千歌は確かに、輝きを見つけるためにスクールアイドルを始めた。
「奇跡を起こして、学校を救って、だから輝けたんだ。輝きを見つけられたんだ・・・! 学校が救えなかったのに、輝きが見つかるなんて思えないっ‼」
だが、スクールアイドルを続けていく内に統廃合の話が持ち上がり、今自分達のいる学校が如何に大切なものなのかを理解した。
そしていつの間にか、奇跡を起こして学校を救うことこそが、スクールアイドルを続けてラブライブで歌う目的になっていたのだ。
「私ね、今はラブライブなんてどうでもよくなってる」
学校を救うためにラブライブへ出場した。けどそれは果たせなかった。奇跡は起こせなかった。
だから、もう輝きなんて見つかるはずがない。千歌はそう語る。
「私達の輝きなんてどうでもいい・・・!」
千歌の中にはまだ、学校を救いたいという気持ちが残っている。
もう叶うはずもないその想いは、統廃合を実感する度に募り募っていき、やがては膨大な負の感情となってその身から溢れ出す。
「学校を救いたい!」
抑えきれなくなったそれは、もはや抗えない現実に対するワガママに過ぎない。
言葉にすればするほど増幅していく願いが切実に震え、マイナスエネルギーの塊となって口から飛び出す。
「皆と一緒に頑張ってきたここを―――」
その時―――、
『うぬの祈りは届かぬ。現状にも、未来にも・・・・・・誰の心にもな』
「え・・・」
低い声音がどこからともなく耳に滑り込む。
それと同時に空の色が禍々しものに切り替わり、その中に一つの巨大な影が浮かび上がる。
『クハハ・・・・・・、貴様等のマイナスエネルギー、大変美味であったぞ』
甲殻類を彷彿とさせる真紅の外殻と、三日月状の鎌などで武装された人型の身体。
以前東京で卑劣な手を尽くした異次元人ヤプール人の集合体―――巨大ヤプールだ。
『・・・もう叶いもしない事をいつまでもいつまでも引き摺る・・・、本当に人間とは愚かな存在だ』
千歌を見下ろしながら、ヤプールは嘲笑を漏らす。
『いつの時代も、どこの世界でも変わらぬ。希望だの未来など宣いながら、いざそれが潰えれば絶える事なく負の感情を漏らし続け・・・・・・、我等を幾度となく蘇らせる!』
両腕を広げた奴の肉体からは、以前とは比べ物にならない程の力が漲っているように見える。
統廃合が決まり、学校全体を包み込んだ負の感情は、ヤプールの絶好のエネルギーとなってしまった訳だ。
『・・・貴様は、この学校とか言う場所を守りたいと願っていたな・・・・・・』
顎に手を当てて考えるような仕草を見せた後、何かを弾き出して表情を邪悪に彩る。
『ならば、形もろとも無くなってしまえば・・・・・・更なる絶望を我等に見せてくれるのだろう?』
ヤプールが手を掲げた刹那、音を立てて空が砕けた。
ガラスのように割れた空の奥には、ヤプール人の拠点である異次元空間が見える。
そしてその中から、大勢の何かがこちらに向かって進行して来ており―――、
『『『『『『『『『――――――――――――ッ‼』』』』』』』』』
ベロクロン、アリブンタ、バキシム、ドラゴリー、バラバ、ルナチクス、カメレキング、サボテンダー、ブラックピジョン。
過去に出現した超獣に加え、ハンザギランやジャンボキングなどの強力な超獣達が浦の星女学院目掛けて侵攻を開始したのだ。
「「「わあぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉」」」
「・・・・・・」
他のメンバーが避難行動に移ろうとしても、千歌だけはただ一人立ち止まったままヤプール軍を見上げていた。
「千歌ちゃん!」
恐怖で動けないでいるのか、諦めてしまったのか。
今の千歌ならばどちらもあり得る話だ。
「千歌!」
曜や果南の声にも応じないその姿は、自身や学校が壊される瞬間を待っているようにも見えた。
いや、正しくは度重なる災厄や理不尽を前に、考える事を放棄してしまったのだろう。
『・・・逃げないのならば丁度いい。ウルトラマンゼロや仙道陸の前で、無残に己が亡骸を晒すといいわ‼』
ヤプールの振り下ろした斧が千歌へと迫る。
同時にAqoursが目を覆い――――――光が迸った。
[ウルトラ―――イブ! ウルトラマン! ギンガ‼]
[ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー‼ ビクトリー ビクトリー・・・・・・]
『ショウラァ!』『ツィヤ!』
『グオオォぉぉぉ・・・⁉』
閃光の中から突き出てきた二つの拳によって大きく後方へと殴り飛ばされるヤプール。
『ぬう・・・・・・、貴様等ァ・・・!』
『・・・ヤプール・・・』
『顔を合わせるのはジュダの一件以来だな・・・・・・』
一撃を繰り出したウルトラマンギンガとウルトラマンビクトリーは、声音に微かな怒りを含ませながら校舎を守るように超獣軍団の前に立ち塞がった。
『おい、そこのお前』
ファイティングポーズを取りながら、声だけを千歌に向けてくるビクトリー。
『お前も守るべきものの為に戦ってきたのは陸とゼロから聞いた。だからそれが失われた今、心が折れてしまったのも分からなくもない』
[ウルトランス! EXレッドキング! ナックル‼]
かつて戦いの中で友を失った彼は、腕を燃え盛る巨大な拳に変化させ、ギンガに先んじ前へと飛び出した。
『気落ちするぐらいならば何も言うまい・・・・・・だが戦うのを辞めるだと⁉ 諦めるのが早すぎだ馬鹿どもが!』
『グアァグルルルルッ⁉』
感情を剥き出しにした咆哮と共に、肥大化した拳でドラゴリーを横薙ぎに殴打する。
『守るべきものが無くなったから戦う意味がない⁉ もうどうでもいい⁉ 失う覚悟もしていない奴がよくも奇跡を起こすだのと大口を叩いたものだな‼』
回し蹴りの要領で右足を振るい、踝に備わったクリスタルから放つ鏃型の光線―――ビクトリウムスラッシュをベロクロンとアリブンタに叩き込む。
『その程度の覚悟しかないのなら、最初から守るなどと抜かすな‼』
これがビクトリーの―――ショウの想い。
如何なる絶望の中からも這い上がってきた彼だからこそ言える言葉。
『ビクトリウムシュート‼』
V字を描いて形成したエネルギーを右腕のクリスタルに吸収し、L字に組んだ両腕から発射された光線がルナチクスを爆散させた。
『確かに失う事は怖い。・・・けど、形を残すことが未来に受け継がれる事じゃ・・・絆を繋げる事じゃない!』
続きギンガがバラバの腹部を正拳突きで強襲する。
『前に、生命の時間を止める事で永遠の命をもたらそうとしていた奴がいた。けどそんなものは永遠じゃないだろ? 一つの命が次の命へ続いていく! だから命は永遠に輝くんだ‼』
カメレキングの頭部を抑えこみ、下段のキックでサボテンダーを牽制しつつ目線だけはしっかりと九人の少女に固定。
『お前等が守ろうとしていたのも、ある意味学校の命だろ? 確かに学校を存続させられたら一番良かったんだろうけど、それだけが学校を残すってことだけじゃないだろ!』
右腕から伸ばしたギンガセイバーを駆使しバキシムに連続で斬撃を浴びせ、更に刺突でその巨体を横転させる。
『形に残すことだけが永遠じゃない・・・・・・。想いが、絆が! 未来へ受け継がれていくのが・・・・・・、永遠の命だ‼』
それがギンガ―――ヒカルの想い。
命への葛藤に触れ、未来の可能性を信じた彼だからこそ言える言葉。
『ギンガクロスシュート‼』
全身のクリスタルを青色に発行させ、立てた右腕の肘に左拳を当てる構えで放った光線がハンザギランを背中から打ち抜いた。
「・・・・・・諦めるのが早い・・・」
「・・・未来へ受け継がれていく・・・」
ルビィと花丸が二人の気持ちを復唱する。
まるで、まだAqoursには浦の星女学院のために何かできる事があるかのような口ぶりだった。
『確かにお前達が思い描いていた形の夢は潰えた。だが、勝手に全てが終わったと決めつけるな!』
『俺の友達にも、夢に挑戦して何度も失敗した奴等がいる。夢に破れた瞬間にアイツ等が悔しさの中で流した涙は今でも覚えてるよ。一度は夢を捨てようとしていた事もあった!』
ヒカルとショウの言葉は続く。
『でも、それでもそいつ等は、例え思い通りにならなくても自分らしくあった。迷わずに生きるために・・・・・・強くあったんだ!』
ラブライブ出場を諦めるという結論は、廃校という現実に屈し、輝きを追い求めるという自分達らしさを捨てた結論だった。
ヒカルの友人とは逆に、弱かったという事だ。
『テイヤァ!』
『ヅォリャ‼』
ギンガファイヤーボール超至近距離発射でバキシムを爆散させ、黒煙の中からビクトリーのキングジョーランチャーによる弾幕が飛び出しベロクロンに連続ヒット。
『俺達は成長する・・・・・・昨日までの自分を、超えていく‼』
成長。
今、二人のウルトラマンの想いを受け取ったAqoursならば、何か別の、学校を救う形が導き出せると。
ヒカルとショウは、そう言っているように思えた。
『どんな絶望の中でも、絶対に希望を持つことを止めちゃいけない!』
『そしてそれが、未来へ導く光になる!』
[ウルトランス! シェパードン! セイバー‼]
地中から出現した青い刀身の剣―――シェパードンセイバーがビクトリーの腕に握られ、剣線がアリブンタの胴を切り裂く。
『『だから!』』
二人が大空に浮かぶ太陽目掛けて指さした。
つられて見上げた先には、こちらに向かって急降下してくる一体の影。それは―――、
『全身全霊、最後の最後まで・・・・・・』
「諦めるな‼」
『ぬっ・・・がぁぁ⁉』
炎を纏った飛び蹴りでヤプールを襲ったのはウルトラマンゼロと仙道陸。
Aqoursを結成当初から見守って来た、友であり。ある意味恩人のような存在。
「・・・・・・諦めるな・・・」
千歌の脳裏にとある記憶が過る。
新学期が始まったばかりの時に見た夢―――ウルトラマンネクサスが、自身に伝えてきた事と同じだ。
「陸⁉ 学校は⁉」
「サボった!」
全く褒められたものではない回答。
堂々と陸にサボり宣言をさせた後、ゼロツインシュートを駆使してジャンボキングを粉砕するゼロ。
「思い出してみろよ! 東京のライブで再スタートを切ってからずっと何を掲げてきたかを!」
『ぐうぅ・・・!』
陸の弁を宇宙拳法のラッシュに乗せ、上体を起こしたヤプールへと立て続けに殺到させる。
[ネオ・フュージョンライズ!]
「―――ゼロから」
『イチへ―――』
[ウルトラマン! ゼロビヨンド!]
限界の概念から解き放たれたゼロが雄々しく吠える。
『今もまたゼロに戻って、イチから歩み出す時じゃないのかよ⁉』
『あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉』
絶大なエネルギーを纏った右拳が奴の顔面へとめり込み、空間を揺らす程の余波と共に赤い身体を大地に叩きつけた。
『人間には、何度転んでも立ち上がる力がある!』
『今こそ立ち上がれ! これまでに紡いだ絆を糧に‼』
『『見せてやるぜ! 俺達の絆‼』』
『ギンガァァ!』『ビクトリィィィ!』
ギンガとビクトリー。二人のウルトラマンの姿が融合し、新たな一人の戦士として現出する。
『『ギンガビクトリー‼』』
新たな巨人の出現に反応した超獣軍が押し寄せてくるのに対し、落ち着き払った様子で左腕のブレスレットに手を掛けた。
[ウルトラマンゼロの力よ!]
かつて敗北を前にしても、諦めなかったヒカルとショウに託された力。
ウルトラ十勇士と呼ばれる十人のウルトラマンの能力を併せ持った究極の巨人―――ウルトラマンギンガビクトリーだ。
『『ワイドゼロショット‼』』
ゼロの姿と重なったギンガビクトリーの光線が空を舞うブラックピジョンを打ち抜く。
「大体出場辞退とか、予選突破できなかったグループに失礼だと思わねーのかよ!」
ラブライブの決勝に進出するという事は、Aqoursや浦の星女学院想いだけを背負うだけじゃない。
これまでに敗れていった、他のスクールアイドルの想いも胸に秘めて歌うという事。
『どっちにせよ、出場しなきゃいけないってこった! そして優勝することでお前等の愛した学校を救え‼』
眩く輝くゼロツインソードがドラゴリーの身体を両断する。続きサボテンダーとカメレキングを蹴り飛ばした先にいたのはギンガビクトリー。
[ウルトラマンネクサスの力よ!]
『『オーバーレイシュトローム‼』』
以前千歌が発現したウルトラマンネクサス―――ジュネッスの力。
二体の超獣を撃破した後も猛攻は続き、ヤプールの兵は瞬く間にその数を減らしていく。
『あっ・・・がぁぁ・・・・・・!』
そして遂には一人だけとなったヤプールの下腹部にゼロとギンガビクトリーの掌底が炸裂する。
『未来へ繋げる形は一つじゃない!』
『歩みを止めるな! 自分達らしく進んだ先に光はある!』
『限界を超えろ! 諦めるなんざ・・・・・・二万年早いんだよ!』
「だってまだ終わってねーしな‼」
「『『『だから――――――」』』』
「「「―――――――――救ってよ‼」」」
Aqoursの閉ざされた世界を照らす一片の願い。
九人は咄嗟に駆け出し、塀の真下にある校庭を見下ろした。
「だったら救って! ラブライブに出て・・・! 優勝して‼」
決して広くはない校庭に集った数十人の少女達―――浦の星女学院の全生徒。
「皆・・・・・・」
「出来る事ならそうしたい! 諦めたくない! 皆ともっともっと足掻いて! ・・・・・・そして!」
ずっと応援し続けてきてくれた皆の声を受け、千歌は複雑に織り交ざった感情を表情に出しながら返す。
「そして⁉」
「・・・・・・そして・・・・・・学校を、存続させられたら・・・・・・!」
言っている途中で俯いてしまった千歌。少しの静寂が世界を満たす。
それを切り裂いたのは、Aqoursに思いを託そうとする皆の言葉だった。
「それだけが学校を救うって事⁉」
はっと目を見開いて上げた顔で、二体のウルトラマンを見上げる。
最初からこうなることが分かっていた様子の彼等は、それが答えだと言わんばかりに頷いた。
『さっきも言ったろ? 形に残すことだけが永遠じゃない。未来に受け継がれていくのが永遠だって』
「私達、皆に聞いたよ! 千歌達にどうして欲しいか! どうなったら嬉しいか!」
ギンガビクトリーに次ぎ、浦女の皆は訴える。
「皆一緒だった! ラブライブで優勝して欲しい! 千歌達のためだけじゃない! 私達のために! 学校のために!」
「この学校の名前を残してきて欲しい‼」
「学校の・・・・・・」
予想だにしなかったその結論に、一同唖然とするAqours。
「千歌達しかいないの! 千歌達にしか出来ないの‼」
無名だったAqoursが地区予選を突破し、決勝に進出するという奇跡を成し遂げたからこそ、皆は千歌達に思いを託すことが出来る。
一番近くでAqoursを見てきた彼女達は、他の誰よりもAqoursに勇気をもらってきたから。
「浦の星女学院、スクールアイドル! Aqours! その名前を、ラブライブの歴史に・・・・・・あの舞台に! 永遠に残してきて欲しい‼」
未来に受け継がれていくのが永遠。ヒカルの言葉が反芻する。
「Aqoursと共に、浦の星女学院の名前を‼」
廃校を防げなくってもいい。多くの人の心に残るラブライブと言う大きな舞台に、これから空っぽになる学校の名前を刻み込んできて欲しい。
それが、受け取った勇気を返そうとする学校の皆の想い。
「「「だから―――――輝いて‼」」」
Aqoursがラブライブで優勝し、輝く事。
それこそが、形のなくなる学校を、皆の思いを未来へ受け継ぐ方法なのだと、皆は言った。
「優勝して・・・学校の名前を・・・!」
「ラブライブに・・・・・・!」
浦の星女学院が学校として存続し得なくなり、一つの目標を失った彼女達に、その言葉は新たな心火を灯す種となった。
『・・・なっ、なぁ・・・・・・、マイナスエネルギーが・・・・・・消えて・・・』
表情に光が戻っていくAqoursの面々を前に、狼狽えて後退し始めるヤプール。
負の感情などもうここにはない。ここにあるのは未来への希望に満ちた想いだけだ。
『何故だ・・・・・・、何故だぁぁ・・・・・・! あれ程のマイナスエネルギーが何故一瞬にして・・・・・・』
『分かんねぇのか?』
『確かに、一人一人の力は弱いかもしれない。壁にぶつかり、絶望を知る事だってあるだろうよ』
『それでも俺達には仲間がいる。その支えが、いつも俺達を前へと進ませてくれる‼』
堂々と言い放ち、爆発的なエネルギーを自身へ集約させていく。
『『『それが人間の力だ‼』』』
人間の心を侮ったヤプール。
『『ウルトラフュージョンシュート‼』』
『バルキーコーラス‼』
その邪念を、人間の心を信じたウルトラマン達の光線が貫く。
『馬鹿なぁ・・・・・・、こんな事が・・・・・・こんな事がァァァァァァァァァァッッ‼』
人間の陽の気を、ウルトラマンの光を全身に受け、ヤプールは断末魔を掻き消す程の大爆発を起こして消滅した。
『おい千歌! まさかここまでされて、ラブライブに出ないだなんて言うつもりはねーよな?』
「いい返事を期待してるぜ? リーダーさんよぉ!」
敵の撃破を確認した後、振り向いた陸とゼロがそういう。
「・・・だってさ、千歌ちゃん」
「「や・め・る?」」
二人に口調に乗り、揃ってにやけ面で訪ねてくる曜と梨子。
そんな二人に対し、千歌は先程とは沸き立つ感情を抑えきれずに何度も床を踏み鳴らした。
「・・・やめるわけないじゃん。・・・決まってんじゃん・・・! 決まってんじゃん決まってんじゃん‼」
ばっと上げた千歌の顔は、つい先程までの落胆が嘘のように晴れやかで、やる気に満ち溢れていた。
「優勝する! ぶっちぎりで優勝する! 相手なんか関係ない! アキバドームも・・・決勝も関係ない! 優勝する! ・・・・・・優勝して、この学校の名前を・・・! 一生消えない思い出を作ろう‼」
絶望を乗り越え、新たな誓いを立てた千歌の胸には―――、
―――――自分の光を走り抜き、未来へ羽ばたく群青の翼―――ジュネッスブルー
―――羽のように広がる、蒼い光が灯っていた。
「色々お世話になりました」
ヤプールの脅威を退け、合体を解除したギンガとビクトリーにインナースペースの中で頭を下げる陸。
『俺達は大したことはしてねーよ』
『ああ、ただ背中を押したに過ぎないからな』
謙遜こそするが、二人がいなければ陸もあの結論には辿りつけなかったし、物理的に浦女を守る事が出来なかった。
そして何より、千歌達に大事な事を思い出させてくれたのは紛れもなく浦女の皆と、この二人だ。
『もう帰るんだろ? 送ってってやるよ』
そう言ったゼロの左腕にあるウルティメイトブレスレットから光が広がり、鈍色の鎧となってその身に装着される。
『ラブライブ・・・だったっけ? 優勝できるといいな』
不意にギンガが千歌達を見下ろし、握った拳を千歌達に向ける。
『俺達は、この空で繋がってる。住んでる世界は違うけど、お前達の成功を祈ってるぜ』
『今のお前達なら、きっと出来る。頑張れよ』
「はい!」
力強く返答した千歌に、もう影は感じられない。
それを見た二人は何も言わずに頷くと、大空に空いた次元の穴にゼロと一緒に飛び込んで行った。
久々に八千字超えたな・・・。
それはともかく、絶望の中で新たな光を見つけたAqoursは再び未来へ向かって進み出しました。
その希望を象徴するように千歌が発現したのは青の光―――ジュネッスブルー。
これは短命故に自分の命を厭わずに戦っていた千樹憐が仲間に触れて未来で生きる希望を見出した事と掛けています。丁度色もラストシーンで千歌の頭上を舞った羽と同じ色だったし。
それでは次回で! シャイニー!