大ゲンカするメルとディオが出会った男とは?
ここからなりきりダンジョンX本編とも関わってきます。
もしも神敬介がこんなキャラじゃなねぇと思った方がいたら遠慮なく言ってください…
突然の訪問者であったディオとメルと共に家の中に入ったチェスターは2人の話を聞いていた。
彼らは100年後の4408年からこの時空に来たというのだ。
なりきり士であるディオとメル、彼らがどうして過去であるアセリア暦4306年に来たか。
4408年、つまりこの時代から100年後のヴァルハラ町でメルの使った魔法が暴走し、連鎖的にマナを喰らい尽くす嵐「虹輪(プリズムリング)」という現象を引き起こしてしまったのだ。
彼らは東大陸の南に位置する砂漠、フレイランドのオリーブヴィレッジからヴァルハラ町にやってきた魔術師の助言を受けて、悪名高い魔女「ブライトローズ」の住まうという煌めきの塔へと向かった。
そこで待ち受けていたもの、それはなんとあのダオス戦役の英雄の時空戦士の1人「アーチェ・クライン」だったのである。
ハーフエルフで長命であるため、この地に移り住んだのである。
プリズムリングを解決するであろう手段を手に入れるために彼らは、アーチェから託された太陽の絵でクラースの時代、アセリア暦4203年に遡ったのだ。
そこで色々あったが、クラースの協力を得ることに成功した。
クラースの悪友でバジルという魔法の使えない特異体質のレスネスのエルフから、精霊の分身とも言えるアドミスムコアを手に入れるための道具エレメンツポッドを受け取り、地水火風の自然を司る四大精霊イフリート(火)、シルフ(風)、ノーム(地)、ウンディーネ(水)のアドミスムコアを手に入れて元の時代へと戻った。
しかし、ディオとメルの魔術の素質不足によってプリズムリングの浄化は失敗しオリーブヴィレッジの魔術師も尋ねるが、手掛かりも得られずに自宅であるエトスハウスへ戻って行った。
そこに突如謎の男が現れて、2人を殺そうと立ちはだかる。
すると、そこにエトスにディオとメルを育てるように頼んだ希望のひとしずくの精霊のノルンが守った。
話の中、ノルンは男の名を口にする。
襲ってきた男はなんと50年前に倒された筈の魔王ダオスその人だったのだ。
ダオスはどこかへ去っていき、ノルンにプリズムリングの顛末を話すと四大精霊を統括する原子の精霊マクスウェルの力を借りなければならないと言われて、アーチェの描いた二枚目の絵、星の絵でこの時空に飛んできたのだ。
彼らがトーティスについたのは、士がチェスター達の家を訪問した少し後であった。
「マジでこんな田舎に英雄が住んでんのか?」
ディオはもう少し煌びやかな場所だと期待していたのだが、トーティスは田舎、例えるなら旅行先を期待してたらそうでもなかったような気持ちである。
「クラースさんが住んでたユークリッドもこんな感じだったでしょ」
「クラースさんも確かに時空戦士だけど、クレスは違うんだぜ」
ディオはメルに思いきり近づく。
「違うって何が?」
するとディオは大げさな手振りで話し始めた。
「クレスは時空戦士の筆頭剣士なんだぞ!エターナルソード持って先頭に立って魔王ダオスに立ち向かったんだ!ダオス戦役の後トーティス遊撃隊の隊長やってユークリッド騎士団やアルヴァニスタや世界中で活躍したんだぜ!」
ディオは小さい時から、図鑑や本などよく読んでいたのもあり時空戦士は憧れの的であった。
「ふーん…詳しいんだね」
メルは冷静な感想を言った。
それを見かねて、親代わりの妖精エトスが2人に本来の目的について話した。
「まあそれはいいとして、クレスさんを探すんでしょう?」
「マクスウェルの手がかりも見つけないと…」
ディオは喜びを隠せず走り出し、メルは不安げに歩き出した。
教会の前で長蛇の列を見かけて、疑問を持った。
「何並んでんだこれ?」
すると並んでいたおばさんが急に話しかけてきた。
「あら僕ちゃん達、横入りはダメよ?」
「これは何の行列なんですか?」
メルは疑問に思っておばさんに話しかけて。
「ミント様に診察してもらう順番を待ってるのよ」
「ミントって…時空戦士の?」
「そうよここが最後尾、9時間待ち」
「くっ、9時間!?」
ディオが驚く一方、メルは黙っている。
ディオはすかさず説明する。
「あぁ…ミントは時空剣士の法術士で、結社を作って、世界中に法術を広めた人なんだ」
「そうなんだ、詳しいんだね…」
メルは少し怒っていたようだった 。
エトスも少し心配そうに話しかけた。
「ディオ、今はクレスさんに会うんでしょう?」
「あ、そうだった…」
少し落ち着いたようだった。
まあ歴史上の偉人の名前を聞いて、興味のある人なら興奮してしまうのも無理は無い。
それを聞いておばさんは、ハッとなった様子だった。
「あら、道場の入門者なの、僕ちゃんたち」
「え!?いや…あの」
「クレス様の道場なら、その橋渡ったところにあるわよ」
「おばさん、ありがとうございます!」
メルが礼儀正しく感謝の言葉を言った。
「はい、ご丁寧に」
そして、橋を渡った先の家は2軒あり、2軒のうち大きめの家の方に行ってみる事にした。
家の門の辺りから掛け声が聞こえてくる、おそらく剣術道場の稽古だろう。
門の前に年は17、18ぐらいだろうと思われる若い男の人が立っていた。
「あのすいません!」
話しかけたのはメルであった。
「おや、この道場の入門希望者…にしては小さいなぁ」
「実はクレスさんに会いにきたんです、緊急の用事で…」
「クレスにか、今あの人出払ってんだよな…」
男は頭を抱えて困っていた。
「じゃあ今いないのか?」
「ちょっとディオ…」
エトスがディオを注意した。
「態度はともかくとして、その通りクレスは今ユークリッド騎士団の特別顧問を務めてて軍事行動のためヴァルハラ村に昨日出発したばかりなんだ」
「どうしてなんですか?」
「シグルドって暴力集団が、人質篭城事件を引き起こしててね…ブレイナーって奴がリーダーになってから更に厄介になってる」
(ヴァルハラっていやぁ…)
ディオは、4203年で出会ったバジルについて思い返していた。
あの真っ直ぐな姿勢と何にでもなれるという言葉を思い出した。
「ヴァルハラ村は紅の月って鉱石を巡って、採掘者と元の住民が揉めて住民が追い出されたって事件があったのもあるしな」
「それ本当なんですか?」
「本当も何も広報とかで大分取り上げられていたよ、とにかく今ヴァルハラ村に近づかない方が良いよ」
「どうするメル、クレスさん帰ってくるまで待つか?」
ディオがメルに話しかける。
しかしメルはとうとう我慢の限界に来たのか、不快だという顔をした。
「ディオ…もしかして時空戦士に会おうって考えてない?」
「…別にそうとは言ってないじゃないか」
「もう!時空戦士に会うのなんて後でも出来るじゃない、それに今私たちがやらなきゃならないのマクスウェルについての話を聞くことだよ!!」
「そんなこと分かってるよ!!」
すると男が不意に話しかける。
「ちょっと良いかい、マクスウェルって…あの精霊の?」
「えっ!?そうですけど…?」
ディオとメルはいきなり話しかけられて、驚いた。
「どうかしたんですか?」
「精霊についてか…一応1人適任者はいるんだけど、会ってくれるかな…ちょっと待っててくれ!」
男は家の中に入っていった。
そしてしばらくしてから家の入り口の前に行くとドアが開いた。
すると青い髪を後ろに束ねた男がいた。
「すまないな、今クレスはある事情で出払っててミントも手が離せないんだ、代わりに俺が話を聞くよ」
メルが先に答えた。
「一応クレスさんとミントさんについて話は聞いてます」
ディオは不審に思ったのか尋ねた。
「クレスさんじゃないとしたら…あんたは一体誰なんだ?」
「ちょっとディオ…!」
青い髪の男は苦笑いしながらその質問に答えた。
「まあ無理もないよな、俺はチェスター・バークライト、クレスとは幼馴染だ」
ディオのは目を輝かせて、声を張り上げた。
「チェスターって、あの時空戦士の!?」
「誰が呼んだか分からないが、まあそういう事」
チェスター・バークライト、同じく時空戦士のクレスの親友にして百発百中の弓矢の名手と語り継がれている。
「クルールゥ?」
しまった!とメルは驚き、自己紹介をした。
「あぁすいません!、自己紹介がまだでした、私はメルって言います」
「オレはディオ!でこっちがクルールって言います」
「クルール!」
「ぼくは、エトスって言います」
「ディオにメル、クルールにエトスか、ここで話すのも難だし、中に入ってからだな...しかし士達をどうするか」
すると奥からまた別の声が聞こえてくる。
「俺たちなら大丈夫だ、急ぐ用でもないからな」
「ならここの宿屋に泊まって、待っててくれ」
「チェスター君、俺が宿屋に案内するが大丈夫か?」
「あぁ、名義はアルベイン流剣術道場でお願いします」
家の中から、ジャケットを着た黒い髪の男性が、男性2人と女性を連れて宿屋やすらぎに向かった。
そして家の中に入って、これまでの経緯を聞いて今に当たるわけである。
「なるほどな…それでマクスウェルの力を必要としてたわけか」
「はい、それでどこにいるか分かりますか?」
「マクスウェルって事は…モーリア坑道だな」
「モーリア坑道って…?」
ディオが説明した。
「ドワーフ族が居たって鉱山の跡、アルヴァニスタがその調査をしてて、その管轄下にあるんだ、クレス達は月の精霊ルナの契約の指輪を探して潜ったって聞くけど…」
「へぇ、詳しいんだな…俺は行ってないから、過去で何があったかわかないんだ」
「あぁそうだった…」
チェスターはダオス戦役の地下墓地での過去への時間転移の時、術の発動の時間稼ぎのためにこの時代に残ったので過去で何があったか知らないのだ。
「まあ良いよ、子供だけじゃ危ないから俺もついていく」
「え!?でも…忙しいんじゃ」
「大丈夫だよ、クレスやミントと違って『暇』だからな、言い方がキツくてやな奴だって思われてるのもあるし」
「でも子供達から慕われてるじゃないですか、チェスターさん」
後ろから女性の声が聞こえてきた。
金髪でピンクのエプロンドレスの綺麗な女性であった、頭の包帯が痛々しかったが。
「リリスさん、そりゃそうだけどさ」
「子供…?」
メルとディオは首を傾げた。
それにリリスとチェスターが答えた。
「ジョン、ミリー、グリットっていう名前です」
「戦争で親を亡くした子供を引き取って面倒を見てるんだ、自分と重ねちまってな…」
「どういうことなんですか?」
「おいメル!」
ディオがメルに注意し、小声で話す。
「どうしたのディオ?」
「チェスターさんは父さんを亡くして、その後母さんも心労とかで亡くなって、その時の雑貨屋の店主に後見人になってもらってたんだよ、だから身寄りのない子供にその時の自分と重ねて見てるんだ」
「そんな事があったなんて…」
「おいおい…未来だとそこまで書いてある本まであるのかよ」
今の話の内容、どうやらチェスターに聞こえていたみたいであった。
メルは慌ててチェスターに謝った。
「あ…ごめんなさい、こんなこと聞いて!」
「いや良いよ、でも世が世ならクレスと出会うこともなかったろうな」
「え?」
ディオとメルはその言葉に少し引っかかった。
しかしチェスターは話を切り上げて身仕度を始めようとした。
「さてこれから出かける支度をしないとな、先外で待っててくれないか?」
「分かった!」
「じゃあ先に外で待ってます」
ディオ達は先に家の外に出ていた。
「じゃあリリスさん、またグリット達の事お願いしますよ」
「任せて下さい!」
「士達にも言わないとな…神さんに頼むか」
すると先程の黒い髪の男性、神敬介が戻ってきた。
「どうしたんだチェスター?」
「あぁ、あの2人と一緒にちょっとアルヴァニスタ方面に」
「そうか…なら俺も連れて行って欲しいんだが大丈夫か?」
「えっ?しかしどうして…」
「人を探してるんだ…実は俺は」
「分かってるよ、さっきの士達との話聞いてたんだ」
「そうだったのか…すまなかった今まで隠していて」
「でも最初から言って欲しかったですよ、別の世界から来たって」
チェスターは少し寂しげであった。
「言い訳がましく聞こえるかもしれないが、もし俺が別の世界の人間だって言って直ぐには信じられないだろうな、それこそ気が狂ったとでも思われかねない」
「分かってる、ついてくなら早く行きましょう」
「確かにあんまり待たせちゃな、リリスさん、士達に俺も出払うと伝えて欲しいんですが大丈夫ですか?これも渡してほしいんだ」
敬介はリリスに畳まれている紙を手渡した。
「大丈夫ですよ、2人とも気をつけてくださいね」
敬介とチェスターは準備を整えると、外へ出た。
「2人とも待たせたな」
「いえいえ大丈夫ですよ、準備は時間がかかりますし」
エトスが心配させまいと答えた。
「目指すはモーリア坑道か…いやぁワクワクするな!」
「ディオ、遠足に行くわけじゃないんだよ?」
「分かってるよ」
ディオとメルのやりとりを見て、思わず2人は微笑んだ。
「本当に2人とも仲良いんだな」
「仲が良いってのは良いことだ」
エトスが敬介に気がつくと、声をかけた。
「そう言えば...貴方は?」
「あぁ自己紹介がまだだったな、俺は神敬介、故あってここで居候させてもらってる者だ」
「ジンケイスケ?変わった名前なんですね」
「よく言われるよ珍しい名前だって、さて行くとしよう」
トーティスを出て、先ずは西大陸のはるか北の港町ベネツィアへと向かう事になった。
その途中、ユークリッドの宿屋での事である。
ディオは少しチェスターについて驚いていたみたいであった。
「チェスターさんって、あんなに気さくな人なんだな…」
「どうして?」
「いや…目つきが悪くて性格捻じ曲がってて意地悪で、文句ばっか言ってる人で…」
チェスターが驚いて、ディオとメルに声をかける。
「おいおい、誰のことだよそれ」
「チェスターさんの事だよ…あぁぁぁ!」
「酷いな…誰が言ってんだよ、そんな事」
「えっと、本に書いてあったんです、おいタンス野郎出てこい!」
そう言うと、メルの服のポケットからタンスが出てきた。
ただのタンスでなく目がついて喋るタンス、アルベルトだ。
「おい小僧、誰がタンス野郎だコラ!いい加減、どつきまわしてひいひい言わせて…おわっ!急に何すっだ、そこくすぐってぇよ、急に体ん中をまさぐるでねぇ!」
「確かこの辺にあの本閉まった筈なんだよな…あったあったこの本」
ディオはアルベルトの引き出しの中から、よく読んでいた絵本を取り出した。
チェスターの出自についても書かれている。
「えっと…作者はA・クラインか」
チェスターはその名前を聞いて急に怒り出した。
「アーチェじゃねえか!あの野郎、今度帰ってきたらただじゃおかねえぞ!」
「ちょっとチェスターさん…これ出版されたのが4388年って書いてあるから、この時代のアーチェさん怒るのはちょっと酷いよ」
ディオがチェスターを思わず宥めた。
「えっ?……ああ本当だ、しかしなんでこんな事書くんだろうな」
「好きだから…とか?」
「それは絶対ないだろうな、あと俺の事気軽にチェスターって呼んでいいぜ?」
「本当に…!?」
それを聞いて2人は思わず驚いた。
「もちろんだ」
「分かったぜ!チェスター」
それをベッドで寝たフリをしながら聞いていた敬介は、思わず微笑んだ。
(憧れの英雄に、気軽に呼んでいいって言われるのはそりゃ嬉しいよな)
翌日ユークリッドの都から更に北上し、西大陸最北の港町ベネツィアにたどり着きそこから船でアルヴァニスタの都へと向かう。
「いやぁ…浸食洞に向かった時も乗ったけど、あの時とはまた違った景色だなぁ!」
「そりゃ海域が変われば海の景色も変わるさ、あの時の海も…綺麗だったな」
ディオとチェスターは思わず、身を乗り出して海を見ていた。
メルはあまり慣れておらず船酔いで船室にいた。
一方で敬介は少し複雑な気分で、海を見ていた。
(親父...俺は、人間でないことを誇れる男になれたかな?)
とそれを見ていたチェスターは
「神さん、海にあまり良い思い出が無いんですか?」
「ん?あぁチェスター君か、まあそんな感じかな」
チェスターと敬介は並んで語り合っていた。
「どうしても親父を思い出しちまってな」
「神さんの親父さんか…どういう人だったんですか?」
「不器用でも優しく、厳しい人だったよ」
「そうだったんですか…」
「あぁ…ただケンカしてばかりだったけどな、勝手に一人で決めることが多かったんだ」
「でも、少し羨ましいです...親と口をきけたってのは、幼い頃に両親が死んじまったからなおさら...」
船の船長が大声を上げる。
「もう少しでアルヴァニスタの都に着きます、荷物のある方は忘れ物がないかどうかの確認をしっかりとお願いします!」
少ししてアルヴァニスタの都に到着し、そこから陸路でモーリア坑道へと行く。