仮面ライダーディケイド 旅の続き   作:島田正二

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マクスウェルの力を借りるためモーリア坑道に潜ったチェスター達、チェスターは妹アミィの死をまだ受け止めきれておらず苦悩する。
そんな最中、かつて共に旅をしたある人物と出会うことになった。


原子の精霊マクスウェル

「おい君達、ここは簡単に立ち入っては行けない場所だというのを知っているだろう?」

 

モーリア坑道の入り口には、許可なく立ち入る者がいないようアルヴァニスタ王国の衛兵がいる。

調査のためにはアルヴァニスタの冒険者ギルドの発行する許可証が必要になってくる。

 

「一応許可証は持っていますよ、ほら」

 

この許可証は100年前にクレス達がモーリア坑道を調査した時に発行されたもの、クラースも一応持っているのだが、彼の没後にアーチェが形見分けという形で譲り受けたものである。

 

「確かにこれは許可証だ、100年前となると…かなりの年代物だな、そんなものどこから引っ張り出してきたんだ?」

 

「まあ…内緒ですよ」

 

「まあいいか、通って大丈夫だ、ただし調査隊の妨げにならないようにな」

 

チェスターは100年前の許可証で通れて内心ホッとした。

チェスター達は坑道を奥へと進んでいく。

しかしその途中で、普通より大きいコウモリが現れてメルに襲いかかろうとした。

 

「きゃぁっ!?」

 

「アミィ!」

 

チェスターは弓矢でそのコウモリを狙い射った。

しかし一撃で仕留めるには至らず間一髪ディオの剣の一撃でようやく倒した。

 

「アミィ?」

 

「あ…ありがとうございます…」

 

「ははっ、悪い…名前違ってたな、メルだったよな?」

 

「いっ…いえ?」

 

明らかに少し動揺している様子だったが、そんな事を見せまいとしていた。

 

「あんまり無理はするなよ、いざって時は俺達に任せときな」

 

「嬉しいけど、オレらだって結構やれるんだぜ」

 

ディオがチェスターに対して答えた。

 

「中々言うな、まあアテにさせてもらおうか」

 

神敬介が感心しながら言う。

一行は更に奥に向かう、その途中メルでメルはディオに耳打ちしていた。

 

「ねぇディオ…アミィって誰の事かな?」

 

「えっと、チェスターの妹だったと思う、確かダオス戦役でのトーティス襲撃で亡くなったって…」

 

「私の事その子の名前で…」

 

その話を少し前で聞いていた敬介は少し悲しげな顔をしていた。

一方でチェスターは先程の事を少し引きずっていた。

 

「俺がアミィと間違えるなんてな…」

 

そんなチェスターに敬介は声をかける。

 

「チェスター、さっきの事なんだがアミィというのは?」

 

「あぁ、俺の妹の事です」

 

「妹さんだったのか…それで今は?」

 

「…2年前のあの事件の時に…」

 

「そうか」

 

「俺は…もしも、今ぐらい強かったらあの事件を防げたんじゃないか…なんて時々考えてしまうんですよ」

 

それは偽らざるチェスターの本心でもある。

 

「チェスター、君の気持ちは分かる…だがいつまでも縛られていたら君の妹も浮かばれないんじゃないか?」

 

「神さん…」

 

「俺も昔、大事な人を戦いで亡くしているから…分かるんだよ」

 

「えっ?」

 

「この話はいずれかしよう、今は彼らを守らないといけないしな」

 

「確かにそうですよね…」

 

チェスターは内心驚いていた。

神敬介はあまり自分について話したがらないのもあったが、自分のように大事な人を亡くしていながらも表に出さずに耐えていることにもだ。

 

(本当にどんな人生を送ってきた人だ?)

 

しかしチェスターが敬介の素性を知ることになるのは、大分後になるとはまだ知らない。

さてモーリア坑道は、クレス達が探索する前までは途中の階層で多くの冒険者が行き詰まっていた。

それは何故か、仕掛けの多さにあったのだ。

当燭台に仕込まれたスイッチ、更に離れた壁にあるスイッチなど思考を凝らした様々な仕掛け、それが冒険者を悩ませていた。

現代(4306年)から100年前に踏破されたモーリア坑道には50年後(4354年)、更に魔界に近いドワーフ達の神殿が発見されるのだがこれは別の話。

とにかく一行は、更に奥へと潜って行く。

目指すはマクスウェルの待つ10階である。

3階で少しの休息を取っていた時、チェスターはディオとメルに話しかけた。

 

「そういえば…アーチェに会ったって言ってたけど」

 

「はい、クラースさんの時代のアーチェさんには会えませんでしたが、私たちの時代のアーチェさんになら会いました」

 

「そうか、あいつ元気だったか?」

 

「元気も元気で、色々町の人にイタズラしてるんだぜ」

 

すると少し口元を緩ませ、でも悲しそうな顔をしてチェスターは呟いた。

 

「イタズラか…そうか」

 

メルが慌てて訂正する。

 

「でも、罪のないことばっかりで…本当に大迷惑になることまではやっていないんです!」

 

「分かってるよ、そんな事素面で出来るような奴じゃないからな…でも必要以上にはしゃいでるってのは寂しい時なんだよな…あいつ、明るく振舞っているけど寂しがりやでな」(200年後か…あの馬鹿)

 

「そういえば、この時代のアーチェさんは?」

 

メルが何気なく尋ねると、少し気難しい顔をした。

 

「この時代のか?あの野郎、何処ほっつき歩いてるんだか」

 

「チェスター?」

 

ディオも少し気になっていた。

 

「実を言うと、今ある事件を調べてるところなんだ、最近巷を騒がせている法術士や魔術士を狙った吸血鬼騒動を独自にな」

 

敬介が説明した。

 

「あいつ…手紙だけ残して行きやがって、人が心配してるってのに」

 

そう言うチェスターの顔には、心配する気持ちとなんの相談もなく1人で出かけたことへの悔しさが滲み出ていた。

 

「…すまないな取り乱しちまって、そういえばクラースには会ったのか?」

 

「あぁ、それとロディにも会ったぜ」

 

「ロディに?」

 

「ダオスを倒したいって言ってどこか行っちゃったけど」

 

「過去に戻ったみたいです」とメルが言葉を継ぐ。

チェスターがハッとした顔をする。

 

「まさか歴史を変えるつもりか?」

 

しかしエトスは少し複雑そうな顔をして「でも…そんな事シて意味あるのかな?」と言った。

 

「さあ…あいつダオスを倒すことに拘ってたみたいでな、何を思ってたのか中々はなしてくれなかったし」

 

「私もよく分からなかったです…」

 

「でも面白い姉ちゃんだったぜ?」

 

「まあそうだよな」

 

ディオの言葉に思わずチェスターも苦笑いする。

するとクルールが鳴き声をあげた。

 

「クールル!」

 

「まあボチボチ休憩出来たところで、先に進もうか」

 

4人と1匹は先に進むことにした。

するときゃあぁっ!?と悲鳴が聞こえてきた。

 

「なんだ今のは!」

 

ディオが驚く。

 

「誰かの悲鳴かな…?」

 

「そうだろうな、気をつけて進もう」

 

敬介は少し警戒をする。

 

「今の悲鳴まさか…」

 

チェスターには心当たりがあったようであった。

そして更に進んでいくと、悲鳴の主と思しき女性がいた。

ラフな格好をして腰に二刀の剣を差したチェスターと同じくらいの歳の女性であった。

 

「いてて…またやられたよ、あいつ…」

 

どうやら何処かぶつけたのか痛がっていた。

 

「やっぱりか、噂をすれば影ってこの事だな」

 

どうやらチェスターとは面識があるようだった。

 

「おぉチェスター、久しぶりね」

 

「お前の方こそ相変わらずだなロディ?」

 

この女性こそがロディであった。

 

「ロディさん!」

 

「ロディ、しばらくだな!」

 

「クルーール!」

 

どうやらディオ達も面識があるようだった。

 

「お!君たちにも会えるなんて、今日はついてるね♪」

 

「チェスター、この子がさっき話してたロディか?」

 

「ええ」

 

「チェスター、その人は?」

 

ロディが敬介の事を尋ねる。

この2人は初対面であったのを、チェスターは少し忘れていた。

 

「ああ、この人は神(じん)さんだ」

 

「神敬介だ、どうも初めまして」

 

「神敬介か…すずちゃんみたいな感じの名前ね、私はロンドリーネ・E・エッフェンベルグ、長ったらしいからロディでも大丈夫よ」

 

「分かった、よろしくなロディ」

 

2人は握手を交わす。

 

「ところでチェスター…ここどこの洞窟かな?」

 

「アセリア暦4306年のモーリア坑道だよ、この2人がマクスウェルに用があってな…しかしその様子だとまたやられたみたいだな」

 

「ははは…まあね」

 

苦笑いするロディに敬介は疑問をぶつける。

 

「そういえば、さっきディオが過去で会ったと聞いたんだが過去の人間が歳をとらずにというのはどういう事なんだ?」

 

「あぁ、それはこいつで時間転移してるから」

 

ロディは胸元のネックレスを手に取る。

 

「この指輪にマナを貯めて、自分の行きたい時空に飛んでるの、ただしいっぺんに多量のマナを蓄積した場合には自分で制御できなくてね…」

 

「なるほどな、それでダオスのところからここに飛ばされてきたのか」

 

「そういう事、チェスター私もここ抜けるまで同行したいんだけどいいかな?」

 

「大丈夫だ、旅は人数多いほうが良いもんな」

 

「そうと決まれば早く行こうぜ!」

 

というわけでロディもモーリア坑道を抜けるまで同行する事になった。

そして、ようやく10階へとたどり着いた。

しかし魔法陣が二つあった。

 

「行き止まり?」

 

「いや、魔法陣の二つのうちどっちかがマクスウェルの下に行く奴なんだよ、確か左だったと思う」

 

行き止まりだと不審がるチェスターにディオが説明する。

ディオの言う通り、左の魔法陣に乗ると石板のある部屋に飛ぶ。

 

「なんだこの石板は…?」

 

「何か模様が刻まれてるみたいだけど、文字みたいにも見えるし」

 

「これは流石にお手上げだな…」

 

「どこかで見た事あるような文字なんだけどなぁ…」

 

チェスターとロディ、敬介は石板の文字を読めなかった。

するとエトスが、石板の文字を確認すると。

 

「死を暗示する方位には破壊を司る者を招くがよい…」

 

「エトス?」

 

「この石板に書かレている文字の意味だよ」

 

「そうか、頼む続けてくれ」

 

敬介がエトスに言った。

エトスがゆっくりと石板の文字を読み上げていく。

 

「死を暗示する方位には破壊を司る者を招くがよい、生命の息吹を感じたなラばそこは誕生を司る者の場所である、逝く者に涙する乙女は死を左手に感ずる場に招かレよ、風は乙女と向かい時の流れのように皆に吹き抜ける…って書かレているミたい」

 

メルはこの言葉の意味に頭を抱える。

 

「エト…つまりどういう意味なんだろう」

 

「きっと何かのヒントじゃないかな?」

 

「エト、どうしてこの文字が読めるんだ?」

 

ディオは少し疑問に思っている事があるようだ。

 

「え?」

 

「思い出したんだけど、この石板に書かれている文字はプライマルエルヴンロアーっていう古代エルフ族の使っていた文字だったんだ、エルフ族は生まれながらに読み方を知っているんだけど人間には余程の博学な人でも解読に手こずる程の古代語だったんだ、どうして読めたのか…気になって」

 

「見ただけでフッと浮かんできたんだ…本当に」

 

チェスターが少し気まずくなったのを察して、話を切り替える。

 

「まあこの話は今は後回しにしようぜ、確かさっきの部屋にもう一つ魔法陣があったしそっちを調べれば何かわかるかもしれないな」

 

「確かにそうだよな、じゃあ行ってみよう」

 

もう一つの魔法陣に乗ると、東西南北にそれぞれ祭壇のある部屋があった。

 

「これは…もしかしてさっきのヒント通りに精霊を召喚するって事か!」

 

「アドミスムコアで代用できるかな…」

 

「とにかく試してみようぜ!」

 

先ずデタラメに四大精霊に並べてみるが何も起こらなかった。

 

「何も起きないな…」

 

「並び順を少し変えてみようか」

 

「少し待ってくれ」

 

行こうとするが敬介が待ったをかける。

 

「さっきのヒントだが三つ目の逝く者に涙する乙女は死を左手に感ずる場に…というのはウンディーネのコアを西に置くことじゃないか?西というのは仏教の思想で極楽浄土があるという方角だというのを聞いたことがあるんだ」

 

チェスターがそれを聞いて閃く。

 

「そうか、それだと四つ目の風は乙女と向かい…は乙女がウンディーネを指すなら東にシルフのコアを置くのか!」

 

メルも何か思い出したようだった。

 

「そういえばトーティスで北は死を暗示する不吉な方角だと聞きました、死を暗示する方位には破壊を司る者を招くがよいっていうのは北にイフリートですね」

 

「最後は南にノーム…すげえ!」

 

「それでやってみよう!」

 

とにかく北にイフリート、南にノーム、西にウンディーネ、東にシルフのアドミスムコアを置いた。

するとどこからともなく、しわがれた老人の声が聞こえてくる。

 

「誰じゃ、わしを呼ぶのは!?我が石板の下に来るのじゃ!」

 

その言葉通りに先程の石板の部屋に向かう。

すると石板の前に学者のような格好をした老人が立っていた。

 

「お主らか、わしを呼び出したのは?」

 

「マクスウェルって、この爺さんが?」

 

ディオは少しがっかりしているようだった。

 

「ほっほっほっほ、そうじゃこのジジイこそがマクスウェルじゃ」

 

気にしないといった感じにマクスウェルは笑い飛ばす。

チェスターもマクスウェルに戦友として話しかける。

 

「爺さん、元気だったか?」

 

「おぉ、お主は確かダオスとの戦いでおった男だったな、お主も元気そうで何より、今回わしを訪れたのは何用じゃ?」

 

「実は…」

 

メルがこれまでの経緯を改めて説明する。

 

「なるほどのぉ、確かにかつてグーングニルの秘められた力を引き出したように、わしの力ならお主らの潜在能力を引き出すことが出来る」

 

「本当か!?」

 

「ああ、人間の身体には無意識の内に力を制御するリミッターのようなものがあってな、そのリミッターを取っ払ってしまえば四大精霊のアドミスムコアも四大精霊そのものと同じぐらいの力を引き出せるぐらいの力量になるというわけじゃ」

 

「なら直ぐに!」

 

しかしマクスウェルは、こう続ける。

 

「じゃが…同時にリスクがあってのぉ、最悪の場合身体がリミッターを外すのに耐えられず死に至る可能性もある、それでもやるかね?」

 

マクスウェルの顔は嘘を言っているようには思えなかった。

しかしメルとディオに迷いはなかった。

 

「それでもやります、ここで立ち止まっていたらプリズムリングを消す事なんて出来ませんから!」

 

「メル…」

 

ディオはメルの決意を改めて思い知った。

元々メルの魔法がプリズムリングの引き金になったのもあり、彼女は魔術を使うのに躊躇いがあった。

しかし、彼女はボロボロになりながらも前を向いていた。

 

「では、お嬢ちゃんは良いとしてそこの坊はどうするつもりかな?」

 

「オレもやる、メルだけに良い格好させられないしな!」

 

「良いじゃろう、その前にお主らがどれほどのものか見せてもらうとしよう!」

 

マクスウェルは杖を取り出した。

 

「なら俺たちも行くか!」

 

チェスターとロディ、神敬介も武器を構えるがマクスウェルが待ったをかける。

 

「お主らは見ていてはくれまいか?あくまでこの子達の問題じゃからな」

 

「…分かった」

 

渋々武器を収める。

 

「では今度こそ始めるぞ!」




人物紹介

ロンドリーネ・E・エッフェンベルグ(ロディ)

なりきりダンジョンXでの追加キャラクターの1人、クレス達とも何度か顔を合わせたことがある
体術と双剣、魔術を用いる魔法剣士であるが彼女の剣は片方がブーメランとしても利用でき、もう片方は鞭のように伸びる関節剣である。
ダオスを追いかけているが、それにはある理由があった。

アルベルト

なりきりダンジョンXでの追加キャラクターの1人で意志を持ったタンス。
ディオとメルの2人のなりきり服などを収納している。
自称毒舌で女に目がないのが困ったところで、この作品ではカットしたのだがチェスターとの会話が物議を醸している。

マクスウェル

四大精霊を統括する原子の精霊で老人の格好をしている。
神の槍と呼ばれたグーングニルなどの物や人の秘められた力を解放することができる。
戦闘に関しては、杖から炎を出したり魔術を用いる。

ロディと本来はモーリア坑道では、チェスターたちと顔を会わせていないのですがこの話がクラースの時代をすっ飛ばしているため、前倒しにしました。
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