魔女が求めるは魔王が欲した世界   作:シャットエアコン

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ねつ造、捏造、独自設定ありますが、よろしくお願いします。


第3話

ブリタニア帝国がエリア11と定めた旧日本の地、その首都であった東京は今や名前を変え、トウキョウ租界と言われブリタニア人にとっての首都となり、居住地となっていた。

その地において、一際存在感のある学園があった。アッシュフォード学園と呼ばれる中高一貫の学園だ。

度々マスコミや、その地域を巻き込んだトンデモごとをやらかすその学園を運営するのはアッシュフォード家。かつては栄え、伯爵までのし上がった正統な貴族であるが、ある事件を機に没落した悲運の一族。

 

その一族の唯一の跡取りであるミレイ・アッシュフォードは、アッシュフォード学園高等部の生徒会会長として今日も元気に仕事にはげんでいた。

 

「リヴァルー、まだまだ仕事は残ってるわよーん。このままじゃ、授業に間に合わないじゃなーい?」

「ぬわー! 会長、なんで俺だけこんなに仕事押し付けるんですか? 会長やシャーリーにニーナの量と比べて段違いじゃないですか!? もっと頑張ってくださいよ!、俺1人じゃこの量はどう考えても無理ですよー」

「ガーッツ! そこは気合いよ、気合い! そ、れ、にー。昨日の放課後の生徒会をサボタージュしたのはどこの誰かさんかなー?」

「だーから、さっき説明したじゃないですか、ルルーシュの奴が俺を置き去りにして勝手に居なくなったから俺1人でバイク押して帰るはめになって大変だったんですよ」

 

頭をくしゃくしゃにして半分ヤケクソに仕事しながらも、ここにはいない誰かに恨み節をぶつけるリヴァル。

 

「そのルルーシュにもたっぷり仕事してもらうつもりだったけど、なーんで今日に限って遅刻するのかしらね」

「サボりはしても遅刻はしないかも…」

 

ミレイの言葉にたいして、別の机で仕事をしているニーナが小さくつぶやく。本来他人にそんなに関心を示さない彼女が反応したことからも、ルルーシュの遅刻という怠慢は珍しく感じた。

 

「そーねー、私が部活の予算申請忘れてたのも昨日の夜思い出したわけだから、ルルーシュが知るはずもないしー。勘づいた?」

「まあ、ルルーシュなら予測ぐらいはしてそうですけどね」

 

生徒会長であるミレイは副会長の滅多にしない遅刻に、ありえないながらも予知によるサボりをうたがう。リヴァルも確かにありえなくもないと、何度も頷く。

ミレイは視界の端に浮かない表情を浮かべながら黙々と仕事をこなすシャーリーを収める。

 

「シャーリー、ルルーシュから何か連絡とかない?」

「…」

「シャーリー?」

「え!? 私ですか?」

 

なにか別の事を考えていたのだろうシャーリーは普段にも増して静かであった。急に名を呼ばれ、前後の内容を聞き逃していた彼女は驚きながら困惑の表情を浮かべる。

その、様子を見たミレイはリヴァルから興味を離し、仕方なさそうに笑いながらシャーリーの元に詰める。

 

「シャーリー、さっきから心ここに在らずって感じだけどどうしたの。愛しのルルーシュに早く会えないのが寂しいのはわかるけーー」

「ち、違います! 別に寂しくてこうなってるわけじゃなくてーー」

「じゃあ他に何かあったの?」

「……」

 

シャーリーは沈黙し、ミレイから目線をおろす。

その暗い表情に第六感でただならぬ様子を感じたミレイは真剣に、そして優しくシャーリーに言葉をかける。

 

「シャーリー、本当にどうしたの? 昨日からなんか様子がおかしいわよ? 私でよければ相談に乗るわよ?」

「……会長?」

「なんたって私は天下無敵の生徒会長ミレイ様よ? 生徒会メンバーの相談くらい乗ってあげないで生徒会長は名乗れないわ?」

「……会長、ありがとうございます」

 

座っているシャーリーに目線を合わし、陽気にウィンクしながらシャーリーに笑いかける。

そんな生徒会長に張っていた気が緩んだのか、小さく彼女らしい笑顔を見せる。

 

「実は、昨日ルルに電話した時なんですけどーー」

「失礼します、ミレイ様はいらっしゃいますか?」

「どうしたの?」

 

シャーリーが話し出した瞬間、生徒会室の扉が急に開かれ、スーツを着た一人の男が入ってきた。

彼は貴族のアッシュフォード家に仕える使用人であり、普段はアッシュフォード学園の理事長であり、ミレイの祖父であるルーベン・アッシュフォードに仕えている。

多忙のルーベンは常に学園にいるわけではない。本国にいることも多いルーベンが不在時の代理をしている、いわゆる理事長補佐兼秘書といえる人物が彼だ。彼は滅多に学園の生徒達の前に姿を表すことがなく、生徒会室にすら一度も来ることはなかった。

そんな人物が生徒会室に来たことにミレイは驚きを隠せない。

彼はミレイを視界に収めると要件を伝える。

 

「ご歓談中申し訳ありません。理事長からお電話が入っております。緊急の要件だと」

「お爺さまが!? すぐに行くわ、ごめんみんなちょっと行ってくるわね! シャーリー、また後で話は聞くわ」

「待って会長! 私もついてきます!」

「ええ!? 会長、シャーリーまで? いったいどうしたんですか!?」

 

ミレイは男の話を聞いて一目散に駆け出した。男もそれについて再び走り去る。

シャーリーは驚いていたものの、すぐさま気を取り直し、意を決したようにミレイを追いかけだした。

 

「……いったいどうしたの?」

「……さあ?」

生徒会室に残されたリヴァルとニーナは、お互い顔を合わせてキョトンとしていた。

 

 

走りだしたミレイは走りながら男に疑問を聞く。

「ねえ、お爺様の電話が来ただけなら私を放送で私を呼び出せばいいんじゃない? 生徒会室には内線電話もあるわ。それを使わないでわざわざ貴方が呼びに来た理由をいい加減教えてくれないかしら?」

「……」

 

男は何も喋らない。顔を俯きかけながら前を見て小走りでミレイに追走する。

しかし、男が後ろからついて来るシャーリーを一瞬気にしたことにミレイは目敏く気づく。今度は声を萎めて話し出す。

 

「もしかして、誰かーー面倒なのが来てる?」

「……さすがミレイ様、ご推察の通りです。後ろのご学友は私が足止めしますので、理事長室へお急ぎください」

「わかったわ。任せたわよ。しっかし、本当にシャーリーたらどうしたのかしら? 」

 

並走していた男が向きを一転させ、後ろから追いかけて来るシャーリーを止めたのを見てミレイは再び走りだす。

普段とはなにか違う様子のシャーリーを疑問に思いながらも、この先に待つなんらかの面倒ごとに対し、溜息をはいた。

 

 

 

理事長室前に着いたミレイは息を落ち着かせると、扉を3度ノックをした。

 

「生徒会長ミレイ・アッシュフォードが参りました」

「入りたまえ」

「……失礼します」

 

扉越しに聞こえた声に反応し、眉を少し動かす。聞いたことのない声だ、なによりも扉越しにでも自分を待つ人物の傲慢さがわかった。

キイと音をたてて扉を開けて中に入る。

来慣れた理事長室のが来賓客用のソファーの側に三人の男が立っていた。

問題はその格好だ。

 

「軍人様? 当学園に、何の用でしょうか?」

「生徒会長であるミレイといったか、聞きたいことがある。質問に答えよ」

「なんでしょうか」

 

格好からすぐに相手が軍人だとわかった。3人のうち2人は、言い方がわるいが普通の軍人だ。

しかし、その2人を連れているのは2人と同じ軍服に華美な装飾のされたマントを羽織った一目で高位とわかる軍人だ。

高圧的な口調と滲み出る品格から、軍人であると同時に貴族であることも理解した。

男はミレイが部屋に入って早々に名乗りもせず話をきりだす。

 

「昨日、トウキョウ租界周辺のシンジュクゲットーでテロが発生したのは知っているか?」

「…いいえ、今知りました」

 

ミレイは若干驚いた。昨日の租界外が騒がしかったのは知っていたがテロだとは知らなかった。

 

「そうか、ではこの後テレビで確認するがいい、ニュースでどこも取り上げているだろう。さて、本題に入る。

私は紛らわしい言い方は好きではないのでな、率直に言おう。この学園の生徒にテロへの関与容疑がかかっている」

「すみません、おっしゃっている意味がわかりません」

 

表情を変えず、真剣な表情で淡々と説明する軍人と、その様子に釣られてか冷静に受け答えるミレイ。

しかし、軍人の、言葉の真意は理解できなかった。

テロ? アッシュフォードの学生が? なぜ?

ミレイは表情にこそ出さなかったが、心臓がバクバクと鼓動を早めるのがわかる。

ミレイの様子に気づいていないのか、気づいているがどうでもいいと思っているのかわからないが恐らく後者なのだろう。

 

「君が納得しなくともよい。すでにこの学園の理事長及び校長にはすでに電話で話は通してある。さて、話は終わりだ、この学園のシャーリー・フェネットという生徒に話を聞きたい。案内したまえ」

「シャーリーが!? どうして!?」

「君に答える義務はない」

 

思いがけず軍人の口から自分の知る名が出てきた。今まで失礼のないようにと気を張って受け答えしていたが、張り詰めていた姿勢と口調を崩してつい反応してしまった。

軍人は気にしないで冷静に話を続ける。

 

「早く案内しろ、我々も暇ではないのだ」

「いやよ!」

 

初めて軍人の男の眉が下がり、眼光が鋭く光り、険しい表情を浮かべた。

 

「軍の命令に逆らう気か?」

「逆らうわ。 私はミレイ・アッシュフォード。この学園の生徒会長で、理事長の孫娘。この学園全ての生徒を守る義務が私にはある。例え軍だろうと貴族だろうとね!」

 

剣呑な雰囲気を出す軍人に怯えることなく目を逸らさずに反論するミレイ。

覚悟はもっている。自分はこの学園の生徒を守る為ならなんでもするぞと目で訴えかける。

それに対して。市民に対する目線ではない殺気のこもった目線で答える軍人。

数秒か数十秒か、わからないが長い時間目線を合わせ続ける。目線を絶対にそらさない! そんな決意がミレイか、聞こえた気がした。

その様子に耐えられなくなったのは今まで黙っていた後ろの軍人の1人だった。

 

「貴様! 先程から卿に対してなんと無礼な態度を!」

「よせ」

「っ! イエス、マイロード」

 

激昂した様子の部下を片手を挙げることで静止する。

冷静な上官の態度に驚きつつすぐに命令を遵守し、引き下がる。軍は完全縦社会、理不尽なことでも楯突くわけにはいかない。

しかも自らの上官は軍人としてだけでなく貴族なのだから。

大人しく下がった部下を見て、目線を先に逸らしてしまい、負けたことを軍人は自覚した。

そもそもそんな勝負ありはしないが、良くも悪くも軍人の男はプライドは高かった。

 

「……いいだろう、質問に答えてやろう。そも、我々はこの生徒がテロリストと決めつけてるわけではないのだ、あくまで関与が疑われただけであるからな」

「訳をお聞きしても?」

「そうだな、訳を話してやる」

 

軍人が険しい表情を崩し、先程よりは若干和らげに話したことに少し安心し、ミレイは相手にわからないように一息つき、冷静に努める。

 

「昨日のテロが起こった現場に、この携帯が落ちていた。これの持ち主から話を聞きたい」

 

軍人はビニールに包まれた携帯電話を胸元からとりだした。ビニールの中の電話機には血痕のようなものがこびりついている。そのテロ現場にでも落ちていたのだろうか。

しかしわからない、それとシャーリーに何の関係がある? シャーリーの携帯だとでもいうのだろうか。ミレイは問いかける。

 

「……なぜ、シャーリーに?」

「我々がこの携帯を押収した際、都合よく電話がかかってきた。このタイプの端末はロックがかかっていても、電話がかかってきた場合は誰でも取ることができるからな。その相手がこの学園の生徒、シャーリー・フェネットなのだよ」

 

その言葉は胸にスッと入り込んできた。

朝のシャーリーの様子と、この状況に納得がついたからだ。

恐らくシャーリーは電話越しに素直に自分の名と学園の、名を言ってしまったのだろう。

朝からモヤっとした事が、一本の線で繋がったような気がして

 

ーーない。

 

 

ミレイは自分の心臓がドクンと大きく鼓動をしたのがわかった。

 

バクバクと先程よりも音を立てて鼓動を始める。心臓の音なのに耳から聞こえるほどの大きさの音。

急に息も上がったように感じた。

 

理解した、理解してしまったからだ、その一本の線に先に繋がった他の事実があるということに。

 

ミレイは思い返す。

ヤメテ。

 

昨日リヴァルは誰とどこにいった?

カンガエルナ。

 

どこで別れた?

チガウ。

 

昨日どこでテロが起きた?

ソンナコトハナイ。

 

シャーリーは誰に、電話した?

ヤダ。

 

そしてーー

ミトメタクナイ。

 

ーー今朝から、昨日から誰がいない?

 

脂汗が額から流れ、頬を伝う感触が気持ち悪く感じた。

気丈に振る舞っていた身体が震え、自分を抱きしめるように胸の下で腕を組んだ。

脚は震え、すぐにでも膝をついてしまいそうで、立っていられることが嘘のようだった。

 

急変したミレイの様子に、何かを感じたのか、先程まで睨みつけていた後ろの2人の軍人も、怪訝そうにミレイを見る。

しかし軍人の男は態度に出さない。

 

「さて、我々は事情を話した。案内、いや。連れてきてくれるね? シャーリー・フェネットという生徒を、そしてもう1人ーー」

 

もうミレイにはその先がわかってしまった。

自らの心の中で、秘めたるその名を口にする。

 

「ルルーシュ、ルルーシュ・ランペルージと言う男子生徒も」

 

ーールルーシュ……

 

 

 

ミレイ・アッシュフォードはしばらく震えていたと思うと、静かに後ろの扉を開け、シャーリーを連れてきますと言い、走りながら出て行った。その様子に、先程自分に啖呵をきった生徒会長の姿はなく、見ず知らずの大人の男性に囲まれたか弱い1人の女性に見えた。

残された自分たちは再び待つという時間になる。

後ろで困惑する2人の部下に待機の命令を出した。

渋々ながらも自分の命令に従う2人。

内心ではなぜ自分達がここまで下に出ているのだとでも思っているのだろう。それとも、普段の自分の態度と違うことに困惑でもしているのか?

昨日までの自分の部下に対する態度や、行動を考えると後者かと疑いだす。ありえる。

 

シャーリーという生徒を呼びに行ったミレイが戻ってくるのはなぜか早かった。部屋を出てから一分もたっていない。

ミレイはノックをして扉を開いた後、2人の人物を中に入れた。

1人は先程まで自分達が対応していた理事長補佐という男、そしてもう1人はオレンジの髪の活発そうな女子生徒。

浮かない顔をし、緊張の表情を隠さない2人と、先程とは別人のような暗い表情のミレイがはいってくる。しかし、体の震えはない。

あちらから話しかけてくるそぶりはないので、自分が話しかける。

 

「随分早かったな、そして、はじめましてと言えばいいかな? お前が昨日の電話の相手のシャーリー・フェネットだな? 朝早くから悪いが、重要な話だ、昨日の電話の通り、話を聞かせてもらおう」

「わかり、ました」

「シャーリー、私が答えられるところは答えるから、気をしっかり」

「はい、会長」

 

不安げな2人に対してそういえば名乗ってなかった事を思い出し。本題の前に自分の正体を明かした。

 

 

「私の名前はジェレミア・ゴットバルト。昨日シンジュクゲットーで起こったテロに関与した、もしくは巻き込まれた可能性のある男子生徒、この携帯の持ち主、ルルーシュ・ランペルージの情報を教えてもらいたい」

 

 

 

次の日ジェレミア・ゴットバルトは純血派を率いてクロヴィス総督の遺体を奪取し、クロヴィスの薨御を発表。急転直下の勢でエリア11内の実権を握った。そして、総督殺害の実行犯を枢木スザクという名誉ブリタニア人と断定し世間に公表。逮捕し、軍事裁判行きと言う名の処刑をすることとなった。

 

 

 

 

「ワタシはお前のことなどさして知らんよ、お前が知ってることを知ってる程度だ。ましてやその記憶とやらもな」

 

 

「なに。記憶がないものどうし仲良くしようじゃないか。こう見えてもワタシは尽くすタイプなんだぞ?」

 

ーー

 

「おいおい酷いな。そこまで言わなくてもいいじゃないか。さすがに傷つくぞワタシも…」

 

ーー

 

「ふん、どっかの誰かと同じで冗談の通じないやつだな。まあいい。だがこれだけは教えてくれ」

 

 

「お前は、私の、ワタシの共犯者になってくれるか?」

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