いやー、今回の話はネタが出てこなくて本当に苦労しました。
許して下さいね。
あ、あとよく言われるのが、斜(しゃ)にかまえる、
なんですが違いますよ。誤爆とか読み間違いではなく、斜めにかまえるです。
ユーザーネームとしてもじっただけだから!低学歴で誤読したわけじゃないから!
そんなななかまの、最新話をどうぞ
雨降って、地固まる。
誰が言ったかは知らないがこんな言葉があるのはご存知だろうか。
だがこの言葉、注意しなければならないことがある。
冷静に考えてみたまえ。
まず雨が降るとする。
雨があがるとする。
さて、ここで地を見てみよう。
抜かるんだままであろう?
むしろ最初より足場は悪くなっている。
そう、誰も『すぐ固まる』とは言ってないのだ。
つまり、一難去ってまた一難を越え、二度あることは三度あるを越え、やっと地固まるなのだ。
さて、先日大雨という一難と美少女と二人きりで宿泊という一難を越えたこの男、湊斗 椿。
そんな男は今……。
『変身!』
ヒーローになっていた。
あぁ、そこの読者。どうかブラウザを閉じないでくれたまえ。
これもまた、彼の一難であるのだから。
この一難の経緯を少し、お話しよう。
─── ─── ── ─
「なぜこんなことに……」
椿は大きくため息をつく。
ここはテーマパーク。
今日は休日、男が一人で来るには少々悲しい場所ではある。
すれ違う人の半分が哀れみの目で椿を見るなか、遠くから髪を揺らして歩いてくる少女が。
「遅いですよ。恥ずかしすぎて自殺を考えるレベルには」
「ごめんごめん。休日だから混んでてさ。はい、チョコ」
どうやらアイスクリームを買いに言っていたらしい。
彼女、松浦果南は微笑みながらチョコをわたす。
自分はバニラをチョイスしたらしい。
眼鏡を買いにと果南を連れ出したつもりが、強引な説得により近くのテーマパークに行き先が変更。
結果、デートのようになっていると。
そうこうしている間にも果南は周りをキョロキョロ見回し、次の獲物を決めているようだ。
「んー、次は……」
「まだライド乗るんですかぁ!?もうヘトヘトなんですけど……」
「……………椿ぃ、あの子……」
「??あの子って……どの子ですか?」
「ほら、一人でうろうろしてるあの子供」
「あぁ、あれは多分……」
迷子だろう。親を探してうろうろしているようだし何より顔が泣きそうだ。年齢は分からないが小学校低学年といったところだろう。ツインテールの女の子でなんともかわいらしい姿である。
椿が果南を見ると、なにかを決心した顔。
その意味を察した椿は立ち上がり、果南の一言を聞く。
「椿、いくよ」
「まぁ果南も私も、ほっとける性格ではないですからねぇ」
さも当然といった風に女の子に近付き、腰を屈め、
「こんにちは。君、お母さんは?」
黙って顔を横にふる女の子。
やはり迷子のようだ。
幸い迷子センターはそう遠くない。そこに連れていけば大丈夫だろう。
そう椿は考え、さらに問う。
「あらら、迷子なのね。お名前は?」
「…………知らない人には名前教えちゃダメってママが……」
「あー……」
管理の行き届いた子だ。現代教育である。
だがこれでは元もこもない。
「じゃああっちの方に迷子センターがあるからそこに……」
「だめ!おばさん怪しい!」
「おばっ………!?」
うわー……と。そう声を溢しそうになる椿。
部活動とはいえ仮にもアイドル、いや、元から美人の果南をおばさん扱いとは。
これは相当警戒しているらしい。
「あ、あのね?お、おばさんたちは悪くないよー……」
「証拠見せて!」
「え?」
「証拠!ママが言ってた!プリキュアは私たちのことずっと見てくれてるって!だったらさっきまで私が何してたか当ててよ!」
無茶苦茶だ。
少なくとも多くの人はそう言うだろう。
なぜなら彼らはプリキュアではないのだから。
────────まぁ、この男いる場合は別だが。
「そうだね、あてましょうか」
「つ、椿?」
「ゴーカート」
「へ?」
「それからメリーゴーランドに観覧車。違う?」
「お兄さん凄い!」
椿が言い終わる刹那。
目を輝かせて笑う少女。
ふむ、チョロい。当たっていたようだ。
果南、このまま連れていきますよ。そう椿が云おうとして……
「ふぁわぁぁぁ☆☆」
「いや果南が目を輝かせてどうするんですか!あーもう!」
果南を少女から少し離れたところに引っ張りこっそり耳打ち。
「勘違いしないでくださいよ?あれは全部適当で、本当は彼女のポケットにチケットが入ってただけですから!それに!彼女の握ってるパンフ!」
「え?」
素に返った果南は少女のポケットに視線を移す。
もちろんそこには言った通りチケットがあるわけで。
さらにはパンフには先程椿が述べたアトラクションにご丁寧に丸と数字。
いく順番を決めていたのだろう。
「なんだ。そういうことか」
「そういう事です。さっさと迷子センター連れていきますよ」
少女の元へ駆け寄りはて、と椿は考える。
この子は迷子の子だ。それは確定している。
本当なら手でも引っ張って行きながら迷子センターへ直行したい。
だが手を握っているところを母親に見られたら誘拐扱いされないし、その誤解を解いてくれようとこの子が説明しても、もしかしたら、もしかしたらだが、モンスターペアレントなら聞く耳を持たない可能性がある。
こういう時、現代教育というのは非常に厄介なモノである。
別段、椿は現代教育を否定するわけではないが、こういう事になるのであれば、必要な教育は今のような形ではないのだと少し考える。
と、まぁそんな面白くない話は読者諸兄も期待してないだろう。
それに、この場合は一切そんな心配はない。
なぜなら……
「へー!おねーちゃんあいどるなんだ!」
「そうだよー!Aqoursっていうスクールアイドルなんだけどねー?」
「へ?……ちょっ、はやっ!?」
気がつくと果南は椿の数メートル先、いつのまにかスッカリ子供手懐けて歩き始めている。
「待ってくださいよ果南!」
「「ん?」」
同時に振り向く少女と果南。
(あれ?2人反応した?)
「ん?あ、あぁ。椿、この子の名前もね、かなんって、いうの」
「名前まで聞いてたんですか!?」
「空鐘 華難です!」
「そらかね かなんちゃん、ですね?よし、覚えましたよ」
名前を覚えるのは苦手ですが、同じカナンなら…。
「華難ちゃんは何歳?」
「しょーに」
「小2ってことはえっと……誕生日来てて8歳ですか」
コクコクと頷く華難。
まだ一桁かー。などと思いつつ地図の道を交互に見る。
「いまからどこ行くの?」
「ヒーローショー!仮面ライダー!」
(そこはプリキュアではないのですか…)
椿よ。世の中には気にしたら負けという言葉があってだな。
「あっ!華難ー!」
「あっ、ママー!」
迷子センターが見えかけた頃。
黒髪で長髪の女性が手を振って駆けてくる。
その姿は誰が見ても華難の母親そのものの姿であった。
「うわぉ!華難のお母様美人さんですね」
「椿、それだと隣のレディーが美人じゃないように聞こえるけど?」
「なら訂正が必要ですかね。果南も美人さんですから」
「うっ……」
からかおうとする果南。サクッと地で回避する椿。
これは手強い。
「あの、貴方達は…」
そう言えばまだ名乗ってなかったですね、と椿は今更ながら思い、自己紹介と華難を送り届けた経緯を話し始めた————-
「へぇ、スクールアイドルをなさってるのね」
「そうなんですよ…」
マズイことになった。どうマズイかというと…。
「そちらの方とは恋人?」
「え?あ、いや!椿はそんなんじゃ!」
「あら?違うの?」
「ちがいます!」
このお母さま、話が長くて離してくれない。
お母様周りもっとよく見て!華難がつまらなそうにしてるよ!
どうしたものかと椿は一考しながら話に笑いを浮かべる。
そのとき果南が時計を見て、
「ってあぁ!こんな時間!すいませんお母さん!私たち、これから仲間と合流しなけちゃ…!」
「……!あぁ…!急いだら間に合います!果南行きましょう!それではまた!ぜひAqoursをご贔屓にってわぁっ!?」
露骨なステマをしつつ果南に急に手を引っ張られ走り去る。
「それじゃね!華難ちゃん!」
手を大きく振る椿。
突然現れ、自分を母の元まで案内し、笑顔で去っていく姿。
華難から見るとそれは、紛れも無い、
「すーぱーひーろー…ホントにいた!」
「いやー大変でしたね」
「だね。で、次どこいく?」
「そうですねぇ……え、まだ遊ぶんですか?」
「当たり前だよ!時間はまだまだあるよ!」
逃げようとする椿。振り向かない果南。
手を掴まれていたのを忘れていた椿。無言の圧力の果南。
反抗は無理と悟る椿。笑顔で振り向いてくる果南。
「あ、あははは…。つ、次はライドじゃなくていいんじゃないですかぁ!?」
とっさに話題を変えようとする。
滑稽である。リア充ザマァ見ろだ。
その時……!
「お前どーすんだ!」
「「……ッ!?」」
方向にして椿と果南の右斜め後ろ。
ステージの裏から聞こえた耳が壊れそうな大声。
気になって目を向けると足を抑えてうずくまる男と、スタッフであろう者が話し合っている。
(なんかトラブルでもあったのでしょうか?確か一番近いステージは…)
【「いまからどこ行くの?」
「ヒーローショー!仮面ライダー!」】
「あっ…」
ヒーローショーだ。それも、華難が楽しみにしている。
そう考えると同時に椿の体は動いていた。
「あの…なにかありましたか?」
「あ?誰だお前」
「あー、えーと…。部外者です…」
良くも悪くも素直なのが椿だ。
こういう時、嘘はつけない。
「足を抑えて…ケガですか?」
「……あぁ、しかもコイツ、アクターだからステージに出ないと…」
図星だったらしく、素直に話し始める、監督風の男。
「なら、ウチの椿貸しますよ?」
「え、果南!?」
何言ってるんですか!?
その場にいる全員がツッコんだ。
だがこれでも高校三年生。
家業を手伝う立派な大人だ。
なんの考えもなしに発言するわけがない。
「ヒーローショーって言っても本人が来れるわけないし、スーツアクターですよね?なら、椿が動き覚えて、その人にアフレコして貰えば…」
「だが急に動き覚えろと言われてもその…椿くんだったか?無理に決まって」
「なるほど。それで行きましょう」
「キミィ!?」
「あ、大丈夫ですよ。暗記癖ついてるんで」
暗記癖。椿にこのクセが付くようになった経緯は簡単。
「私、演劇部ですので」
正式にはミュージカル専門だが…。と言いかけて言葉を飲み込む。
単純にスクールアイドルの手助けとして始めた演劇部部もとい、ミュージカル。
まさかヒーローショーに役に立つとは。
「さぁ!時間はありませんよ!私のために!何回か練習は通させてくださいね!」
そう言って嬉々としてステージにでる椿。
果南は笑いながら、思った。
————一番アイドルに向いてるのは、椿かも(笑)
こうして、椿はヒーローショーに出るのだった。
「ありがとう!君のおかげで助かったよ!良かったらウチで働かないか!?」
監督に強く手を握られ、やっちまったと思い返す。
そう、やっちまった。
速攻で動きを覚えて、本番に行ったところ、あまりの出来の良さに、監督が本当のアクターさんそっちのけで椿にこびを売るのだ。
「あー…私はこっちの道へは進もうとは……」
「何故だ!?才能があるのにか!?勿体ないぞ!」
何故って、スクールアイドルの手助けのために始めただけだから…。
と言っても納得はしてくれまい。
「ぬぅ…惜しいが仕方がない。お詫びとして何かできることはないか?」
あ、すんなり諦めてくれた。
しかも何か言うことを聞いてくれるそうだ。
一石二鳥なので何をしてもらうか迷う。
そこで隣にいる果南を見てふと、思い付く。
「では、機会があったらステージ貸して頂けませんか!?」
「はぁ……何をするのですか?演劇部の劇ですか?」
「いえ、そうではなく……」
チラリと果南を見て椿は語る。
「彼女たちのダンスを見て欲しいんです」
そう、ライブ場所の確保。
田舎で活動しているAqoursは大手の場所でのステージは厳しい。
なら、この機会にステージを貸してもらえれば知名度も上がるのでは?
そう考えたのだ。
「なるほどね。随分お人好しだね」
「ヒーローですから」
苦笑しながら一礼をしてありがとうございました、とその場を去る。
果南はそのあとを追い、並んで歩く。
「じゃあ、次は!」
「え!?もう日が落ちますよ!?帰りましょうよ!」
「次は!眼鏡屋、だね♪」
「あっ……」
やられた。
すっかり忘れていた。眼鏡屋に行くと言う目的のはずがなぜスーツアクターなどしていたのだろう。
いや、むしろコレを果南は狙っていたのでは?
と、考えてみるも答えなどでない。
ここは大人しく、果南ともう一度出かけることにしますか。と、決断。
「はぁー…来週でいいですか?」
「モチロン!」
果南の眩しい笑顔を直視することが出来ず、椿は痛感した。
私の幼馴染にはいつも敵わない…と。
はい、こんな話でした。
次回は色々したいです。
書きたいネタは20ほどあるのですが、書いてみると「つまらん!」ってなって19はボツになるので新作は遅くなるんですよねw
まぁまた1ヶ月ほどかけて書くので、お気に入り解除しないで、お願いしますね(震え)