そっちの方がですわキャラっぽいかな…と。
それでは本編どうぞ。
「ふぃ〜…。 あぁ…やっぱ温泉はいいねぇ…。」
夜明け…というにはちょっと早い時間。
まだ空は暗く、辛うじて一方の地平線が明るみを帯びている…。
そんな時間に俺はユクモ村の露天風呂に浸かっていた。
「いやはや…、こんなに早起きするのは久しぶりだわ。
でもそのおかげでこの温泉に貸し切り状態で浸かれるとか素晴らしすぎるな。」
今、温泉に入っているのは俺だけ。
人っ子一人いないので泳ぐことだって出来る。
空を見れば少しずつ明るくなっているみたい。
そういえばこの世界は東から太陽が昇るのかね?
「しかし、こんな時間にお客さんなんて珍しいニャ〜。
さあさあ、朝の一杯に果実の恵みたっぷりの『ライフルーツジュース』はいかがですかニャ?」
浴場内に設置されている温泉ドリンク屋のアイルーに声をかけられた。
おっ、フルーツジュースか。いいね。
「ほいほい、それじゃあ一杯頂くことにするよ。」
「毎度ありニャ。ささ、一息に飲み干すのニャ。」
朝イチのフルーツジュースとか素晴らしい。
ついでにさっきの疑問についても尋ねる。
「どうもありがとさん。
そういや太陽が昇ってくる方角って東だよな?」
「のぼせてそんなことも忘れたのかニャ?
グイッといって頭を冷やした方がいいニャ。」
うん、まぁそうだよね…。
俺は腰に手を当て、フルーツジュースを一気に飲み干す。
渇いた体に果実の瑞々しさが沁み渡る。
「おっ、お客さん、なかなかいい飲みっぷりニャ。」
東の空から太陽が顔を出し、1日が始まろうとしていた。
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「さて…夜が明けたとはいえ、まだみんなは起きてないよなぁ…。」
どこへ向かうというでもなく、ユクモ村を歩く。
ここに来てから数日なので流石に迷子になったりはしない……ハズ。
………大丈夫だよな?
ちょっとだけ不安になりながら歩いていると、
どこかから金属を叩く音が聞こえてきた。
気になってそちらの方へと進んでみた。
「あぅ。こんなもんかぃ。さてぃ次はと……んん?
ワレぁ、この間ユクモに来たっちゅう凄腕ハンターけぇ?」
そこではユクモ村の加工屋の爺さんが何やら仕込みをしているようだった。
「あ…、はい。多分それは俺のことかと…。」
「おぅおぅ! こんなトコで会えるたぁ光栄だぁねぇ!
ワレぁの活躍はワテの耳にも届いてるぜぃ?
どうでぃ?
今なら時間があるけぇ、少しばかりの装飾品くらいならパッとやってやるが、どうするけぇ?」
おっ、気前のいい爺さんだな。
ん〜…、それじゃあこの間のラディスのスキルを見て作りたくなったのがあるからそれを頼もうかね。
「そいつはありがたいや。今すぐ素材を持ってくるからちょいと待っててくれないか?」
「あぅあぅ!ここにいるけぇまた来てくんな!」
俺は一旦マイハウスへと帰り、素材を持ってくることにした。
帰る途中に少し迷子になったのは秘密ですよ…?
「ほいっ。それじゃあこれで『龍気活性』の装飾品をお願いしたいんだが頼めるかな?」
俺はそう言ってバルファルク素材をメインにいくつかの原珠や素材を加工屋の爺さんに渡した。
さて、ゲームだと一瞬だったけどこの世界だとどうなるもんかね?
俺はワクワクしながら作業工程を見ようと意気込んでいた。
だけど…、
「んん?おいワレぁよ。なんでぃこの素材は?
原珠や素材はわかるがこの銀色に輝く素材はどっから持ち出したんでぃ?
流石に規格を外れた素材を使っての装飾品なんてワテにも作れはしないでぃ。
それに……、りゅうきかっせい?
なんでぃ、その聞いたこともないスキルはよぅ。」
…………えっ?
「すまんがちょっち力になれんかったようだなぅ。ワテもそろそろ時間でぇの。
もし別の装飾品や装備作りたくなったらもう一回来てくんな。待っとるでぇ。」
そう言って、加工屋の爺さんは作業場へと行ってしまった。
う〜ん、何でだ…?
だってラディスのアレは絶対に龍気活性だよな…?
俺はそれについて考えながら、またユクモ村を散歩することにした。
う〜ん、なんで生産できないんだ…?
考えてもさっぱりわからないや。
早朝のユクモ村を歩きながらそんなことを考える。
ふと、いい匂いがするのに気づいた。
匂いの方向を見ると、そこには食堂が。
厨房では料理人やコックアイルー達が忙しなく朝の仕込みを行なっていた。
看板を見ると『営業中』の文字が。
「うん、考えても思いつかないならしょうがないかな?
『迷ったら食ってみろ!』ってどこかの編纂者さんも言ってたしな。」
俺は食堂で朝食をとることにした。
「おお、ハンターさんかい! こんな朝早くから飯を食ってくれるなんてうれしいねぇ!
だけどちょいと待っててくれるかな?
まだ仕込みが終わってなくてね…。」
店に入ると厨房のオヤジさんから声をかけられた。やっぱり忙しそうだなぁ…。
急がなくても大丈夫ですよ?俺だって腹が減って仕方がないというわけでもないしね。
「ああ、それなら全然大丈夫。
もし時間ができたなら適当な物を作って持ってきて欲しいんだけどいいかな?」
「そいつぁ、ありがたい! それじゃあそこら辺に座ってまってておくれよ!」
ほいほい、楽しみに待つことにします。
食堂の端の席に座って数分後、料理が運ばれてきた。
「お待ちどう様ですニャ。
こちら、『ふわふわゼンマイオムレツ』になりますニャ。
お好きな調味料をかけて召し上がってくださいニャ。」
おおー、オムレツか。いいね。
「これってどの辺がゼンマイ要素あるんだ?
一見普通のオムレツだけど…。」
気になったので聞いてみた。
「それはベルナ屋台のおかみ直伝の秘密の技ですニャ。
ちなみにフワッフワッフルも使っているのでフワフワの仕上がりですニャ。」
マジかよ…、おかみ凄いですね。
まぁ、ただ眺めているだけじゃ料理に申し訳ない。
「それじゃあ…、いただきます。」
実食といこうか。
オムレツにナイフを滑らせる。
それだけでオムレツは簡単に切れた。
……フワフワがやべぇ。どう考えてもこれは美味しいだろう。
一口サイズに切ったそれに、ケチャップの様なものをつけて口に運ぶ。
「うっまぁ…。」
それはそれは美味しかった。
シンプルイズベストという言葉があるけれど、この料理はまさにそれ。
オムレツそのものの味は卵の仄かな甘味がしたけれど、その味は付けたケチャップなどの味には負けていなかった。
その他にもソース、塩なんかを付けてみたりしたけれどどの調味料でもオムレツは絶品だった。
そんな風に夢中になってオムレツを頬張っていると…、
「な、なぜこんな所に変態がいるのかしら…?」
聞き覚えのある声がして、そちらの方を向いてみた。
セレスがいました。
変態を見るような目でこちらを見ていた。
こんな早い時間にどうしたんだろう?
「あっ、おはよう。
いやぁ、オムレツマジでうまいね。」
とりあえずそんな言葉を返す。
「ふ、ふふふ…!
今気づきましたが、貴方もしかしてケチャップかなんかを付けて食べてますの?
信じられないですわね!可笑しくて笑ってしまいますわ!
その様な低俗な食べ方をするとは愚の骨頂!
このオムレツはそのまま何もつけずに食べるのが最も美味しい食べ方ですわよ!
やはりわたくしと変態では住む世界が違うようですわねぇ!」
おぉう…、朝から罵倒されたぞ…。
でも調味料つけた方が美味しいと思うんだけどなぁ…。
「え〜…、でもこれだって美味しいけどな…。」
「お黙りなさい!それではこのオムレツを作ってくれた方に聞いてみますわ!
あっ、そこのコックアイルーさん!ちょっとよろしいかしら?
このオムレツはどういった食べ方が一番美味しくいただけるでしょうか!?
もちろん素材の味を楽しむためにそのままいただく方法ですわよね!?」
「人それぞれだニャ。だけど、厨房のみんなは何かつけた方が美味しいって言ってるニャ〜。」
そう言ってコックアイルーさんは厨房へと戻っていった。
セレスの目がなんだか潤んできている様な…。
「ううう……。なんでわたくしがこんな……。」
「あ、あ〜…。
まずセレスもオムレツ食えば?
奢ってやるからさ、ケチャップだってなかなか美味しいもんだぜ?」
しょうがないので奢ってあげることにしました。
「あら!ケチャップもなかなかいけますわね!
そのままが一番なんて言ってるのがバカらしく思えてきましたわ!
素材の味とか言っている時代遅れな方々にも教えてあげたいものですこと!」
コロッと態度をかえましたね…。
いや、さっきのコックアイルーさんだって人それぞれって言ってたじゃないか…。
オムレツを頬張るセレスを横目に見て、俺はさっきの考え事をしていた。
そして、ふと疑問が。
「なあ、セレス。ちょいと質問なんだけど…。
この間ガノトトスの狩猟に行ったじゃないか。
で、その時ラディスがなんか赤黒くバチバチいってただろう?
あれってどういうスキルなのか…わかる?」
『龍気活性』について、自分も知らないフリをしてセレスに尋ねてみた。
「あぁ…、あのよくわからないスキルですか?
なんでも本人曰く…『いてて…となるとググッと力が湧いてきてヨッシャーッ!』となるスキルらしいですわよ…?
確か装飾品で発動させてるとか…。
そんなに強いスキルなのかしら…?」
………セレスも『龍気活性』については知らないのか。
ん……?でも、装飾品で発動させてる…?
「ん?それじゃあさ。
ラディスはどうやってその装飾品を手に入れたのかね?」
「あぁ…、それなのですが…。
以前、わたくしとラディスが別々の人と組んでクエストに出たことがあったのですわ。
それでその時にラディスが組んでいたハンターから譲り受けた、だとか…。
装飾品の譲渡は禁止されているのですが、わたくし達のパーティの全員が装飾品だとは気がつかずにいましたわ。それでラディスがその装飾品をつけたらあのスキルが発動したというわけですわね。
お相手のハンターさんも探してみたのですが結局見つからずじまい…。
流石に白い防具を身につけた少女という手がかりだけでは見つけるのは難しかったですわね…。」
………どういうこっちゃ。
なんだか見当もつかない話になってきたぞ?
「う〜ん…、それじゃあさ。天…」
「あれっ!?迷子君じゃん!それにセレスもいるし…。
まさか2人で密会……?」
質問しようとしたら、食堂の入り口の方から声をかけられた。
そちらを振り向くとそこにはレイリス、クルルナ、ラディスの3人が。
………なんかクルルナの笑顔が怖い。
「ハハハ…。ま、まさかそんなわけないじゃないですか〜…。」
「わ、わたくしだってこんな変態とはまっぴらゴメンですわ!」
クルルナを怒らせたらどうなるかわからん。
そんな疑いをかけられるのは勘弁です…。
「あらあら?2人とも顔が真っ青ですよ?
まさか私が怒ってるなんて思っているんでしょうか?
フフフ、そんなことはありませんよ?
えぇ、ぜ〜んぜんそんなことはありません。」
アカン、もうダメだわ…。
「なぁなぁ…アタシ腹減ったよ〜…。
早いところ朝ごはんにしない?」
「それもそうですね。
偶然にも5人揃っていることですし、楽しく朝にしましょうか。」
そう言って後から来た3人が近くのテーブルに座る。
「ク、クルルナさん!
わたくしがあの変態とそんなことをするわけがないじゃないですか!
今のは偶然で…」
「あらあら…、未だに彼のことを『変態』呼ばわりですか…?
あとでオハナシが必要なようですね…。」
「え…? あっ……。」
「まあまあ一旦その話は置いておいてさ!
クルルナもメニュー頼みにいこうよ!
ほら、ラディスとかもう行ってるし。」
「オッチャン!肉頼む、肉!
ドッカーンとウマイのヨロシクな!」
明るい雰囲気で談笑する4人を見る。
いい人たちに出会えたよなぁ…。
さっきの問題だって正直大したことでもないし…、今は一旦忘れることにしよう。
「う〜ん…。2人がオムレツ食べてたから私もオムレツにしようかなぁ…。」
「おっしゃー! 肉だーっ! 肉食べるぞ〜!」
「私は…、何かサラダにしましょうか…。」
「ク、クルルナさん!
お願いですからこの間のようなお仕置きは勘弁してほしいのですわ〜っ!」
俺も何か頼みたくなったので近くを通った給仕のアイルーさんに注文をする。
「トマトジュース1つお願いしていいかな?」
「承りました二ャ。待っててニャ〜。」
向こうの4人は相変わらず楽しそう。
うん、今日もいい一日になりそうです。
日常回と言ってもいいんでしょうか?
ゲームではフワッフワッフル×ゼンマイ米でふわふわゼンマイオムレツが作れます。
……ワッフルと米でオムレツ? 疑問です。
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