読者の皆様に感謝です。
今回はラディスちゃん視点です。
「うおりゃぁぁぁああああ!」
「あ〜、それだと届かなくないか?
あっ、ほら。やっぱり当たってない…。」
ロアルドロスがこっちに振り向いた時を狙って溜め2のアッパーをガツンとぶちこもうとした。
けれどアタシはそれを見事にスカした。
「むぐぐ…。
そんなデカイ口叩けるならヘタレはうまくできるんだな!?」
「う〜ん。まぁやってみるか…。」
そういってヘタレはハンマーを持って力を溜め始める。
「う〜んと……ここらへんか?
ほいっと。」
そしてヘタレはロアルドロスの頭に綺麗にアッパーを決めた。
そしてロアルドロスは気絶する。
むぐぐぐ………。
「だーっ!なんでヘタレにはできてアタシはうまくいかないんだーっ!
おいヘタレ!おまえのハンマー、長さを弄ってるだろ!」
「メゼポルタじゃあるまいし…。レイリスだってこのハンマー使ってただろ?」
そういってヘタレは金ピカの四角いハンマーを見せてくる。
むぐぐぐぐ……。何も言い返せない…。
「じ、じゃあ…、えっと…。
あ、あれだ!ズルしたな!
このやろー!ズルはいけないんだぞー!」
「なんだそりゃ…。 言っとくけどズルなんてしてないからな?
まだラディスがハンマーをうまく使えてないだけで…。」
ア、アタシがハンマーをうまく使えてない………?
そ、そんなぁ…。
「うぐっ……。 アタシってそんなにダメかな…?グスッ…。
こ、こんなんじゃレイリス達と仲間だってのは…バカにされちゃうかなぁ……ひぐっ。」
なんだか悲しくて涙が溢れてくる。
そんなアタシの様子を見て、ヘタレは顔を青くした。
「ちょっと迷子君!何泣かせてるのさ!
女の子には優しくしてあげないとって習わなかったの!?」
そこへレイリスがアタシのことを慰めにやってきてくれた。
「あ…、いや…。え?俺のせいなの…?」
「そうに決まってるでしょ! そんなんだから変なアダ名ばっかりつけられるんだよ!?
ラディスも泣かないで?ラディスはちゃんと強いハンターだから大丈夫。
私達のパーティに相応しいハンターだよ。」
「うぅ…。ありがとうレイリス…。」
レイリスのおかげでアタシはなんとか泣かないで済んだ。
「ほら、迷子君も謝りなよ?」
「えっ…。でも…」
「いいから謝れ。」
「あっ…。 あ〜ラディス、すまんかった。
許してください…。」
ヘタレがアタシに謝る。
………それだけじゃちょっと許せないぞ?
「…………あとでユクモ温泉たまごな。」
アタシを泣かせた罪は重いんだ。
これくらいで済むのはすんごいことなんだからな!ホントなら死刑だぞ!
「よし、それじゃあ2人とも帰ることにしようか!
ロアルドロスも本当は狩猟対象ではないし、特産キノコも集め終わったことだしね!」
レイリスがそんな提案をする。
そうだな。早く帰って温泉たまごが食べたい気分だ。
「うん!そうしようぜ!
おいヘタレ!早く温泉たまご食わせろ!」
「ハァ…、また奢りか…。
まぁ泣かせたならしょうがないかな…。」
アタシ達はユクモ村へと戻ることにした。
「そういえばさ…。アタシ、昨日の夜遅くに喉乾いて起きたんだよね〜。
温泉ドリンクでも飲みに行こうかと思って集会浴場に向かう途中で、ヘタレの家の前でレイリスとクルルナがなんかカチャカチャやってるのを見たんだけどさ。
あれって何やってたの?」
ユクモ村へ帰る途中に昨日の夜に見かけて疑問に思っていたことを質問してみる。
「えっ……?見られてた……?
え、え〜っとね。
そう!迷子君の家の近くに泥棒みたいな人が出た!って聞いてね!?
それでクルルナと一緒に迷子君が無事か見に行ってたんだ! アハハ……。」
「えっ!大変じゃん!ヘタレは大丈夫だったのか!?
なんか今日の朝やけに疲れた顔してんな〜と思ったらそういうことだったのか…。
ヘタレも大変だなぁ…。
それじゃあ次からアタシも泥棒捕まえるために2人と一緒に行動するよ!」
「え゛っ……。 い、いや…。それは大丈夫かな〜?やっぱり危険もあるしさ…。」
「アタシだって腕っぷしには自信があるから大丈夫だよ!
ヘタレもそう思うだろ?」
「うん……、そうですね……。でも2人に任せておけば大丈夫だと思うぞ……?
というか増えるのは勘弁してほしい……。」
ヘタレはさっきからレイリスをじと〜っと見ている。
自分が危ない目にあったってのにのんきなヤツだなぁ…。
レイリスがなぜか汗をダラダラ流しているのを見ながら、アタシ達はユクモ村への帰り道をゆっくり戻っていった。
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「ふぃ〜!いい湯だ〜!」
「うん、そうだね。 狩りの後の温泉は疲れも抜けるし極楽だね〜。」
アタシとレイリスは混浴の温泉に浸かり、おしゃべりを始める。
おっ、ガーグァのプカプカする人形で遊ぶのも楽しいな!
「そういえばさ…。
レイリスとヘタレはどうやって出会ったの?」
ふと聞きたくなったので尋ねてみた。
「えっ?迷子君と?
う〜んとね…。
まぁ簡単に言っちゃうと…私が森丘の採取ツアーに出発したらそこで迷子君が丸腰でランポスに襲われてたのを見つけたのが始まりかな〜。」
何やってんだアイツ…。
ヘタレはやっぱりヘタレなのか?
「な、なんかよくわからない出会い方だな…。
ヘタレはなんでそんな所にいたんだ…?」
「う〜ん…それは私にもわからないかな…。
彼については私もクルルナも知らないこと多いしね。」
う〜ん…謎に包まれたヘタレかあ…。
まぁよくわかんないからどうでもいいか。
その後もガーグァやクルペッコのおもちゃで遊んでいると、ヘタレも温泉に来たみたい。
「げっ…。まだ2人いたのかよ…。男湯にいけば良かった…。」
「おいっ!聞こえたぞ!
『げっ…。』ってなんだそれ!アタシ達と一緒の温泉はイヤなのか!?」
なんか失礼な言葉が聞こえた気がするぞ?
ヘタレのくせにそんな態度はいけないと思う。
「いや…目のやり場に困るというか…。」
「目のやり場?なんかそんなにイヤなものでもあるのか?」
「ちょっ…ちょっとラディス…。そんなに問い詰めなくてもいいから…。
ほら、迷子君も一緒に入ろうよ!」
「あ〜…じゃあ失礼しますね…。」
レイリスにそう言われるとヘタレは渋々といった表情で温泉に浸かった。
なんだかその様子が気に入らなかったのでアタシはガーグァのプカプカをヘタレに投げつけた。
ヘタレはビックリしてた。 ふふっ、ざまあみろ。
「ねえねえ2人とも。
アタシの狩りを見てて正直なところどう思ってる?」
少し3人でおしゃべりした後に、2人にそんなことを聞いてみた。
今日少しだけロアルドロスと戦ったけど、アタシはこの2人よりは絶対に下手だ。
だけど…なんとかして強くなりたい。
そんな思いからの質問だった。
「う〜ん、ラディスの狩りかぁ…。
迷子君はどう思うの?」
「そうだな…。
あれかな? 攻撃を仕掛けるタイミングとかは正直かなりいい線いってると思うんだよな。
あとは…やっぱりハンマーのクセをしっかり覚えることとか?
ほら、さっきだって溜め2のアッパーが届いてなかっただろ?
それはどのくらい踏み込むのか、攻撃の出の速さはどのくらいなのかをしっかり覚えなきゃいけないからさ。
俺やレイリスはハンマーに限らず、そこがしっかりしてるんだと思うぞ?」
ふむふむなるほど……。
そんなことは考えたことなかったな…。
アタシもハンマー以外に大剣とかガンランス、チャージアックスにヘビィボウガンとか使うけど…レイリスやクルルナ、それに副リーダーみたいにうまく使えない。
モンスターの隙を見つけて攻め込めば正直なんとかなると思ってたけど…武器のこともしっかりわかってあげなきゃなんだな…。
「なるほど〜…。
そんなことは考えたことなかったな。
ヘタレのくせにやるじゃん!」
「おうおう、もっと敬いたまえ。」
………ヘタレは一体なんなんだろうな。
なんだか普段はナヨナヨしていて頼りないクセに、クエストとなるととんでもない動きをし始める。
見てて楽しいくらいだ。
この間なんて納品クエスト中の乱入で、あの『怒り喰らうイビルジョー 』に出会ったらしい。
そして、それを1人で倒しちゃったとか…。
レイリスやクルルナだってそんな相手に1人で挑むなんて無謀なことは余程の事態じゃない限りしない。
なのにヘタレは挑み、それで倒してみせた。
なんだかよくわからないや…。
「なぁヘタレ。アンタはなんでそんなに強いんだ?
アンタ程の力ならアタシ達の耳に少しくらい噂が届いててもいい気がするんだけど…。
今までどこでハンターやってたとか教えてくれよ!」
アタシはそう尋ねた。本当に軽い気持ちでそんなことを。
すると…………
ヘタレは今まで見たことないような悲しい顔をした。
…………えっ?
「………俺か?
まぁ………ず〜〜っと遠いところで兄妹達と楽しくハンター生活してたよ。
ちょっと訳があって今は離れ離れさ。
………多分もう会えない。」
悲しげな顔のまま、そんな言葉を落とすヘタレ。
………それってもしかして。
「ん? あぁ、勘違いはしないでくれ。
アイツらは今でもきっと楽しくやってるさ。
ただちょいと離れすぎてて会えないだけ。
だからラディスもそんな顔しないでくれよ?
せっかくの元気が無くなってるぞ?」
どこか違和感を感じる言葉を返されたアタシは何も言えなかった。
「……おいおい、頼むよ?
しんみりした雰囲気はそこまで好きじゃないんだ…。
いつもの元気を出してくれよ?
そんな顔したままなら…、ほれっ。お仕置きじゃ!」
ヘタレはそんなことを言いながらクルペッコのおもちゃをアタシに投げつけてきた。
「あたっ…。こ、こんにゃろ〜!やったなぁ!
もう怒ったからな!」
ヘタレのおかげでアタシはいつもの調子に戻れた。
あんなこと聞いちゃったのに…。ありがとうな。
「ガーグァ!やっちゃえ!」
「フハハハハ!そんなものに当たるかよ!
クルペッコ!君に決めたァ!」
元気におもちゃを投げつけあって遊んでいるアタシ達をみてレイリスは笑っていた。
………そうだ!いい作戦を思いついた!
「レイリス!ちょっと協力して!」
「ん?別にいいけど…どうすればいいの?」
「そこに居てくれれば大丈夫!アタシでなんとかするから!」
そう言ってアタシはレイリスの後ろに隠れる。
「アーッハッハッハ!レイリスに隠れようと無駄無駄ァ!
俺はレイリスにだって躊躇なく投げつけ……
あっ、ごめんなさい…。
ちょっ、レイリスさん?睨むのはやめて…?」
チャンス!
「喰らえヘタレ!
レイリスの破壊力を見ろぉぉ!」
そう叫びながら、アタシはレイリスの体を隠しているタオルをグイと引き下げた。
「………………………ふぇ?」
レイリスがよくわからない声を出し、
ヘタレが凍りついたように動きを止めた。
チャーンス!
アタシはヘタレの顔面めがけてガーグァを投げつけた。
ガーグァはものすごい速度でヘタレの顔面に吸い込まれていき、ぶち当たった。
ヒットした衝撃でヘタレは後ろへ倒れこむ。
「よっしゃあ!どうだヘタレ!これがアタシとレイリスのコンビネーションだ!
レイリスもありがとな!」
周りの女性客がクスクスと笑っていた。
なんでだろう?
「お〜い、ヘタレ〜。いつまで寝てるんだ〜?
早く起きないと溺れるぞ〜?」
そう声をかけてみる。
………ヘタレの沈んだ場所に出てきていた泡が消えた。
…………えっ?
「えっ……ちょ!?ヘタレ!?
おい!大丈夫か!?」
急いでヘタレのことを起こす。
………ヘタレは鼻血を流してぶっ倒れていた。
「………レ、レイリスの破壊力って凄いんだな。
あのヘタレが一瞬で気絶したぞ…?」
そういってレイリスの方を見ると、
レイリスが涙目になって震えていた……。
あれっ?アタシもしかしてやらかした………?
数秒後、浴場にはレイリスの甲高い悲鳴が鳴り響いた……。
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「もうっ!ラディスったらぁ!なんであんな場所で私が迷子君に裸を曝け出さないといけないのさ!
絶対許さないからぁ!」
レイリスが涙目になってアタシに怒鳴りつける。
ううぅぅ……。
まさかレイリスがこんなに怒るなんて……。
アタシも涙目になってレイリスのお叱りを受ける。
怒る側も怒られる側も涙目だ。
なんだこれは……。
「で、でも…周りに男の人はいなかったから…。
レイリスとヘタレの仲ならいいかなぁ…と。」
そういうと、レイリスは顔を真っ赤にして
「そういう問題じゃなぁぁぁあい!」
と、大激怒。
こ、怖いよぉ……。
アタシはひたすらにレイリスの怒りが治ることを願った。
…………でも、ヘタレと出会ってからなんだか楽しい日々が続いている気がする。
アタシも強いハンターになるためのヒントを見つけることが出来た…。
もしかしたらヘタレのおかげなのかな……?
集会浴場の隅で、未だに鼻血を垂れ流しているヘタレを見る。
あんなののおかげで充実してきてる……なんて思うのはちょっと癪だけども、実際今のアタシのハンターライフはとっても楽しい。
ふふっ、こんな日々が続くのを考えるとなんだか笑っちゃうな。
「何笑ってんのさ!ラディスったら反省してるの!?」
「あうっ……、ごめんなさい!」
ともかく……ヘタレ。
アンタには感謝してるよ。
おかげでアタシももっとスゴイハンターになれそうだ…。
あと、いつか絶対に腕相撲リベンジするから覚えとけよ!
レイリスに怒られながら、アタシはそんなことを思った。
ラディスちゃん視点でした。
う〜ん…、他の人とくらべると駄文な気が…。
ラディスちゃんのことが好きな人はごめんなさい…。
今回も本名紹介です。
ラディスちゃんは【ラディス=プロード】という名前です。
今回もしっかり由来はあるので暇な方は是非かんがえてみてください。