モンハン世界で狩猟ツアー【完結】   作:糸遊

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ものすごく筆が進みました。
久々の二日連続投稿です。

それでは本編どうぞ。




第33話 彼を守れるように。

 

 

 

 

ターゲットのモンスターを探して、私は渓流を走る。

 

頭の中には村を出る前の会話が思い出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「レ、レイリス……。さっきは何で嘘をついたのさ…。

 

金雷公は今、渓流で大暴れしてるんでしょ…?

それこそ…今すぐ対応に向かわないといけないくらいに…。」

 

 

ラディスが不安げな顔をして私に尋ねる。

 

 

「………迷子君のためだよ。」

 

「………ヘタレのため?」

 

 

よくわからないような顔をしたラディスに私は理由を教える。

 

 

「きっと迷子君は…。

自分が倒しきれなかったモンスターが暴れまわっているなんて聞いたら何が何でも狩猟に向かおうとするだろうね…。

自分の体がどれだけボロボロだろうと無理をしてしまうと思うよ。

 

だけど…それはとっても危ないこと。

ラディスだってそう思うでしょ?」

 

「う、うん…。」

 

「ね? だから今回は秘密にしておいたんだ。

 

きっと彼はあんなボロボロでも、この話を聞いたら無理に動いちゃうから…。それは私も嫌なんだ。」

 

「で…でも!レイリスが1人で行くなんて危ないよ!アタシも一緒に…」

 

「ラディス。 もし私に何かあったらその時に行動できるのは貴女だけなの。

 

大丈夫。もしものときはベルナ村にいる副リーダーの彼女を頼ってね?」

 

 

そこまで言うと、ラディスは何も言い返せずに俯いた。

 

……ゴメンね。今回の選択はちょっとだけ私のワガママも入ってるんだ。

 

 

「……それじゃあ行ってくるよ。

 

大丈夫。 無理はしないようにするからさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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無理はしないと言っておきながら1人で来るなんてのは矛盾している、なんて思いながら私はターゲットを探す。

 

正直ラディスと一緒に来た方が安全ではあると思う。

 

けれど……今回のクエストに1人で来た理由は別にある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬱蒼と木々が茂っているエリア5を訪れると、黄金の電気を纏ったモンスターがいた。

まるで私が来るのを待っていたかの様な…そんな感じだった。

 

 

私は背中に背負った、数々の修羅場を一緒に潜り抜けてきた大剣の柄を握る。

 

 

金雷公が天に向かって吠える。

 

 

私と金雷公。

それ以外には誰もいない森の中、静かに戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あっ、さっきはどうもありがとうございました。本当に命を救われましたよ…。』

 

 

 

初めて彼と出会った時のことを思い出す。

 

彼は森丘のエリア2で、丸腰の状態でランポスに襲われていた。

 

それから彼が新しくココット村に配属されたハンターだとわかり、一緒にクエストをこなす様になった。

 

一緒にクエストをこなしていくうちに、私は彼に惹かれ始めたんだっけか…。

どこか頼りないけれど、いざクエストとなるととんでもない実力を発揮する彼。

そんな彼と一緒にいるときはなんだか心があったまる感じがしたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金雷公が私を狙って前脚を叩きつけて来る。

それを避け、後脚に抜刀攻撃。更に納刀継続攻撃を当ててブレイヴゲージを溜める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど……彼はなんだか私達とは根本的に違う何かがある気がする。

 

以前に私達が元のパーティの4人でクエストに出ている間、彼が渓流で怒り喰らうイビルジョーに遭遇したと聞いた時は心臓が凍りついたようだった。

 

大急ぎでユクモ村に戻ると…、彼はいつも通りどこか気の抜けた様な振る舞いをしていた。

 

なんでもあの怒り喰らうイビルジョーを回復アイテムなしで捕獲まで持ち込んだとか…。

 

 

 

『なんで君はそう無茶ができるのさ……。

君に何かあったらタダで済まないのは君だけじゃないんだよ………?』

 

 

 

正直信じられなかった。

 

 

私達とは次元の違う様なそんな強さが。

 

 

………そして、そんな危険な行動を簡単にしてしまう彼の考えが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金雷公は素早い動きで頭突きを放つ。

それをイナシ。

 

金雷公はそのまま尻尾叩きつけに繋げてくるけど、納刀状態の私はそれを歩いて回避。

 

更にそこから、金雷公は飛びかかり攻撃。

それもしっかり避ける。

 

すぐに後脚を攻撃。

金雷公は威嚇をしているみたい。攻撃チャンスが生まれたのでそのまま納刀継続溜め3を後脚に放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど…彼のオトモさん達にそう言葉をかけられた時に気づいたことがあったんだ。

 

 

『ただし…、その強さのせいで危うい行動に出るときもあるのニャ。そして、今までボク達はそうなった旦那さんを止めることは出来なかったのニャ。』

 

 

彼にとっては、そんな無茶をすることは普通なことなのかもしれない。

 

どれだけ危険で無謀だと思われるような事にも平然と突っ込み、いつも通りのどこか気の抜けた顔でクエストをクリアしてくる。

 

今までの彼の狩猟を見てきて、私が抱いた印象はそんなものだった。

 

……まるで私達とは生きてきた世界が違うみたいだと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

納刀継続溜め3斬りを受けた金雷公は怒り状態へ。

 

それと同時に私の体も青い光に包まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『だから…、レイリスさん達から見て旦那さんが暴走しているようだったら…、

その時は遠慮なく旦那さんの暴走を止めてもらいたいのですニャ。

 

このお願い、聞いてもらえるかニャ?』

 

『わかりました。『英雄』と呼ばれたパーティの名にかけてそのお願い、引き受けます。』

 

 

怒り喰らうイビルジョーの一件の最後に、

彼のオトモさん達に彼のことをよろしく頼まれたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

だけれど……今の私には彼を守れるような力はない。

 

 

 

 

 

 

 

だから……私は強くならないといけないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金雷公が吠える。

 

 

「貴方はとっても強いみたいだね…。

彼が負けるなんて正直信じられないよ…。」

 

 

金雷公は私にむかって突進をしてくる。

 

 

 

「だけど………私は強くならないといけないんだ。

 

彼を………好きな人を守れるくらいには。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覚悟を決めてそう呟いた途端……

 

 

世界が一気に狭まり、そして深く見えるようになった感覚に襲われる。

 

 

木々のざわめき、大地の鼓動、空気の振動、

そして命あるものの脈動、その全てが聞こえてくるようなそんな感覚。

 

 

まるで、自然全てが自分のものになったかのような心地よさ、そして力強さを感じられた。

 

 

 

(あぁ…、この感覚も久しぶりだな…。)

 

 

 

いつ以来だろう。自分の力をここまで強く感じることができるのは。ドンドルマで巨戟龍の相手をした時以来じゃないかな…。

 

 

 

 

「金雷公。貴方にも負けられない理由はあるんだろうね。

 

だけど、こっちも同じなんだ。

 

自分のために……そして私の好きな人のために、『英雄』の名を持つものとして負けられないんだよ。」

 

 

 

金雷公は再び吠える。

 

 

 

「私の名は レイリス=レッドイーグ。

 

『英雄』と呼ばれたパーティのリーダーとして、今から貴方に挑みます。」

 

 

 

 

一言だけ…そう呟いてから私は金雷公に向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金雷公は私を狙って前脚を叩きつけてくる。

それを歩いて回避する。

 

そして…私は金雷公の斜め後ろで力を溜め始める。

 

何でこんな場所で溜め始めたのかは自分でもうまく説明できない。

 

けれど、うまくいく確信だけは持てる。

 

 

 

力を溜めきって、渾身の力で大剣を振り抜く。

 

 

 

その刀身は、金雷公の振り向きざまの頭に直撃した。

 

 

金雷公はたまらずに怯む。

 

私はすぐさま納刀して、次の攻撃に備える。

 

 

 

金雷公は頭突きを放つ。私はそれを歩いて避ける。

 

そしてそこから尻尾叩きつけ。

私は見向きもせず、金雷公から距離を離す。

 

なぜ自分がこんな動きをしているのかは自分でもうまく理解できない。

けれど、こうするべきだとの直感だった。

 

金雷公は最後に飛びかかりをしかけてきた。

充分に距離を置いていた私は、それを余裕で回避する。

 

そして、大剣を持って力を溜める。

それも金雷公の目の前で。

 

普通に考えたら自殺行為。

 

けれど…金雷公は威嚇のモーションをした。

 

渾身の溜め攻撃が頭にヒット。

再び金雷公は怯む。

 

すぐさま納刀。

そして金雷公から少し距離を置いた斜め前で再び力を溜める。

 

そして………振り抜く。

 

その溜め攻撃はこちらに軸合わせをしてきた金雷公の頭に直撃。今度は怯まない。

 

 

金雷公は後ろに大きくジャンプして突進に繋げてくる。

 

既に納刀していた私は、突進を終えて、こちらに顔を向けた金雷公の目の前で力を溜める。

 

金雷公は背中に電気を溜め始めた。

 

その隙を見逃さずに、溜め攻撃。そして強薙ぎ払い。

異常に発達していた、金雷公の右角が砕け散った。

 

 

金雷公はそれを意に介せずに真帯電状態へ。

 

 

私は直感で再び金雷公の目の前で力を溜める。

 

金雷公は私が目の前にいるというのに再び威嚇モーションをとった。

 

そんな隙だらけの頭に抜刀攻撃が叩き込まれる。

 

 

私の今の装備は、見た目はレウスXシリーズだけれど、それは外見の話。

防具合成によって、本当はブラックXシリーズを装備している。

 

そして、その装備に備わっているスキルの『居合術【力】』の効果により、金雷公は目眩を起こした。

 

 

すぐさま絶対回避【臨戦】を使って金雷公の頭付近に移動。

 

そして力を溜める。

 

体から青い光が溢れ、その輝きが一際大きくなったタイミングで私は大剣を振り抜く。

 

そして、そこから渾身の力で大剣を横に薙ぐ。

 

すぐにステップを挟んで、再び同じコンボを決める。

 

そこで金雷公は目眩から復帰。

 

 

 

「貴方はとても強いね…。

とてもじゃないけど、普通に考えたら私1人でだったら到底相手にはできない…。

 

いや、()()()()()()と思うんだ。」

 

 

 

金雷公は前脚を叩きつけてくる。

 

それをスレスレの位置で回避する。

 

被弾したら間違いなく致命傷になると感じる。

 

 

 

「けれど……今は負ける気がしない。

 

貴方のような強敵が相手でも、まるで負ける気がしないんだ。」

 

 

 

2回目の叩きつけを回避した私は、再び直感に従って力を溜め始める。

 

金雷公も屈むような体勢になり、力を溜めている。

 

 

 

「今の私は、彼のために頑張れる…。

 

不思議だけれど…彼のためならどんなことだって出来るような気がするんだ。」

 

 

 

金雷公は、尋常じゃない威力を持った突き上げ攻撃を私に放ってくる。

 

私も溜めていた力を、その一撃に込めて解放する。

 

 

 

「私は強くならなくちゃいけない…。

 

だから今回は勝たせてもらうよ。」

 

 

 

金雷公の必殺の一撃と私の渾身の溜め攻撃がぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

絶大な破壊力が衝突し、今回の狩猟で1番の手応えが私の両腕に伝わってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……金雷公は地面に崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ありがとう。いい勝負だったよ。

 

お陰で私はまだまだ強くなれるみたい。

そのことを知ることが出来ました。」

 

 

 

もう動かなくなった金雷公に一言だけそう呟く。

 

 

次の瞬間、集中の糸が切れた私はヘナヘナとお尻から地面に崩れ落ちる。

 

 

 

「ふ、ふへぇ…。疲れたぁ…。」

 

 

 

地面に座り込んだ私は、そのまま仰向けに。

 

長い長い夜を終え、空は明るみを帯び始めていた。

 

 

 

「ふふっ…。綺麗な空だなぁ…。」

 

 

 

ふと東の空から光が差し込む。

 

そちらを見ると、朝日が昇り始めていた。

 

渓流を流れる水と生い茂る緑が太陽に照らされ、瑞々しさを感じさせる輝きを放つ。

 

美しい景色だった。

 

 

 

 

『モンスターハンター』

 

すべてを自然の一員とみなし、それを調え、制する者か…。

 

『英雄』と呼ばれ続けてきたけれど、更に強いハンターならその称号が相応しいのかもしれない…。

 

 

 

「モンスターハンターか…。

彼の隣に立つならそれくらいじゃないといけないね…。

 

ふふっ、目標なんてものを持つのは久しぶりだな…。」

 

 

 

よし、決めた。

 

彼の隣に立つなら『英雄』じゃ物足りない。

目指すは『モンスターハンター』の称号だ。

 

 

 

「さて…と。剥ぎ取りしてユクモ村のみんなに知らせなきゃね。

 

ふふっ。今回は私がすっごく頑張ったんだから迷子君に貸しが出来ちゃったね…。

 

後で何頼んじゃおうか…。むふふ…。」

 

 

 

私は金雷公の剥ぎ取りをしながらそんなことを考える。

 

 

 

 

 

彼の隣に立つために…。

 

彼を守れるように…。

 

強くならないといけない。

 

 

 

 

朝日を背に浴びる私の胸の中には、新しい決意が宿っていた。

 

 

 

 

 




レイリスさんが主人公しすぎている気がしてきました。

今回のレイリスさんは多分主人公より上手かったと思います。

主人公の立場が無いなぁ…。

そして、使わない設定と言っておきながら本名を出してしまいました。第8話の後書きに名前は出ています。スミマセン…。


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