「ううぅ……。クルルナさんとササユさんのコンビがあれほどに恐ろしいなんて……!
私はラディスちゃんとセレスさんにちょっと面白いお話をしただけなのに…。
あぁ…神さま…。 これから私はどうやってユクモ村で生きていけばいいの……!?
この悲劇のヒロイン、コノハにどうか救いの手を…。」
緊急の依頼が届いたとの報せを受け、俺は集会浴場を訪れていた。
いざクエストを受注……なんて思っていたんだけれど、クエストカウンターではコノハさんの小劇場が開かれていました。
「あ、あの〜…コノハさ〜ん?大丈夫ですか…?
緊急の依頼が来たとかで呼ばれたんだけど…。」
自分の世界に入ってしまっているコノハさんに、とりあえず声をかけてみる。
「……はっ!? 皆さんいつの間に!?
この敏腕受付嬢である私の視線を掻い潜るとは流石ですね!
ですが、私の実力はこんなものでは……」
「コノハさん?早い所、マジメな話に移りましょう。
この間みたいな仕打ちは嫌でしょう…?」
「は、はいぃ……!すみませんでしたぁ…!」
「え〜っとですね。 今回は獰猛化タマミツネの依頼が届きました。 困難な依頼になると予想されるので皆さんレベルのハンターにクエストをお願いしてもらいたいのですが…。」
ふむふむ、獰猛タマミツネさんですか。たしかになかなかの強敵だな。
獰猛化モンスター特有のディレイがかかった攻撃は避けにくいったらありゃしない。俺はタマミツネさんにはしょっちゅうぶっ飛ばされてた。
個人的にはタマミツネは苦手なんです…。
「オッケー!それじゃあ早速向かうことにするよ!ちょっと難しめの依頼だから…私にクルルナ、迷子君の3人にネコちゃん1匹でいいかな?」
うん、それなら全然問題はなさそうかな。
自分で言うのもなんだけれどこのパーティはめちゃくちゃ強い。
元の世界の兄妹達も、一緒にモンハンすればクエスト失敗することはないくらい強かったけれど、今のパーティは下手したらそれすら越えるかもしれない。
「それじゃあ後で村の入り口に集合だね!また後で!」
そう言ってレイリスとクルルナはそれぞれの準備をしに行った。
さて、俺も準備してくっか…。
それじゃあ、獰猛化タマミツネの狩猟。
いってみよー。
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抉られたような岩場の陰に隠れるように設営されたベースキャンプ。俺達は装備やアイテムの準備を終えて渓流を訪れていた。
もう時刻は夜になってしまっているので、満月が綺麗です。
俺はいつも通りにブレイヴ操虫棍。レイリスはブレイヴ大剣。クルルナは……ブレイヴ双剣ですか。
ブレイヴ双剣、面白そうなんだけどうまく使えないんだよなぁ…。
あ、オトモはアシストのネギトロ君です。
「旦那さん。タマミツネはエリア4にいるみたいだニャ。」
ほいほい、ありがとう。こういう時にネコがいると本当に便利。
この世界だとゲーム通りの初期位置じゃなかったりもありそうだからオトモは最低1匹は連れていった方がいいのかもしれないな。
俺達はエリア4へと向かい始めた。
さて……エリア4に来たわけですが…。
「……うん、いたね。 じゃあ私が斬り込むよ。
2人は後に続いてください。ネコちゃんは超音波笛を吹いて、ブルファンゴを追い払ってくれたら嬉しいな。」
「了解したニャ。」
エリアの東側。
ソイツは頭に黒い霧を纏いながら闊歩していた。
泡狐竜………タマミツネ。
MHXメインモンスターの内の1匹。
"妖艶なる舞"の異名を持つだけあってその姿は幻想的で美しかった。
けれど今回のタマミツネは獰猛化個体。
黒い霧を纏ったその姿は、美しさの中に恐ろしさが入り混じったような荒々しい雰囲気を感じさせるものだった。
「そんじゃあ…行きますッ!」
レイリスが駆け出し、俺とクルルナが後に続く。ネギトロは超音波笛でブルファンゴを追い払う。
さあ、狩猟開始だ。
レイリスが出会い頭に抜刀攻撃をタマミツネの頭にぶち込んだ。俺はその横から頭に虫を飛ばして赤エキスを回収。クルルナは武器を構える。
タマミツネが咆哮。それを俺達は一斉にイナす。
……今気づいたけれど、みんなブレイヴスタイルか。狩りに個性を生むっていうのはいいと思うんだけれど、どうにも強さを求めるとある程度スタイルが固定されちゃうのはしょうがないことなのかな?
もし、軽めの相手と戦う機会があったらエリアル麻痺棍担いでみよう…。ピョンピョン跳んでみたい願望はあるしね。
さて、今はタマミツネに集中だ。
咆哮をイナしたレイリスは再び頭に抜刀攻撃。
ブラックXで来てるはずだから頭にスタン値が溜まっていってるはず。このパーティの火力でスタンを取れるならすごいと思う。
クルルナはタマミツネの周囲を細かく動き回り、隙を見つけては納刀継続攻撃を入れていた。
俺は尻尾から白エキス、胴体から橙エキスをゲットしてトリプルアップ状態に。猟虫は広域虫だからパーティメンバー全員に効果が発揮される。 攻撃防御UPも大きいけれど、会心+15%の効果は超会心の時代だったダブルクロスの環境ではなかなかのブーストになると思います。
体をピカピカさせた俺はタマミツネの後ろ脚付近に陣取り、斬りまくる。
納刀継続攻撃はほとんどしない。
ブレイヴ操虫棍の強さってのはブレイヴ状態が強いんではなく、非ブレイヴ状態の時でも充分な火力が出せるところにあると思うんだよね。
コンボなんかはギルドスタイルとほぼ同じだから、使い心地は狩技枠が1つ減った代わりにイナシを使えるようになったギルドスタイルだ。欠点はセルフジャンプしにくいことくらい。
だけど、このパーティなら乗りを狙う方が時間がかかってしまいそうなのでその点も問題ナシ。遠慮なくブレイヴ操虫棍で戦える。
タマミツネは俺達の攻撃によって、あっという間に怒り状態へ。
さて、気を引き締めないとな。
怒り状態に移行したタマミツネは前脚での叩きつけ攻撃。
俺を狙った攻撃らしく、俺はタマミツネの体の内側に避難するように移動。初段の叩きつけから2回目の叩きつけに繋げてきたけれど、それも同じように移動して回避。
その隙にクルルナが納刀継続攻撃を当て、ブレイヴ状態に入ったみたい。
叩きつけ攻撃を終えたタマミツネはバックジャンプしながら前方に泡を飛ばす。
更にそこから再び泡を撒き散らす。
そして、大ジャンプ。
回転しつつ、泡沫を巻き起こしながら俺達に突っ込んで来た。
俺は絶対回避【臨戦】でそこへ飛び込む。
そして、横薙ぎに斬りつける。
クルルナも斬り払いをしつつ、突っ込んで来た。
2人ともノーダメージ。そして地面に広がる滑液によって足元が安定していなかったのか、タマミツネはダウン。
そこにレイリスが駆け込む。
いつのまにかブレイヴ状態になっていたレイリスは高速抜刀溜め3を頭にぶち込む。
そこから最速で納刀。更に抜刀溜め3。
そこでタマミツネは起き上がる。
けれどレイリスは攻撃の手を緩めずに、再び頭に抜刀攻撃を溜め無しで素早くぶち込んだ。
そこでタマミツネはスタン。
おぉう…。なんだか素晴らしい連携ですね…。
というかレイリスさんマジかっこいい。
暢気な考え事もすぐにやめ、俺は後ろ脚のあたりに連撃を叩き込むためにすぐさま駆け寄る。
クルルナとレイリスは頭のあたりでザクザク斬りまくってるみたい。
そしてラッシュをかけ終わり、そろそろタマミツネもダウンから復帰するかな?なんて思ったその時。
「はああああぁっ!」
珍しくクルルナが大声で叫び、タマミツネの頭に錐揉み回転をしながらドリルのように突っ込んだ。
うわ…すっご…。 え?まだ回転するんですか?うわうわ…うわわ…。
強烈な連撃を加えたクルルナはそのまま地面に着地した。
なんじゃありゃあ……まるで人間のする動きじゃねえぞ? だって空中で5回転くらいしてなかった?しかも横方向に突っ込みながら。
双剣専用狩技 【ラセンザン】
弱点目掛けて錐揉み回転しながら抉るように斬りつけ、大ダメージを与える狩技。
ゲームでもその人間離れした動きにはドン引きしていたけど、生で見るとそれはもうトンでもなかった。お前ら人間じゃねぇ。
とまぁ、そんなことを思いながら俺はタマミツネの後ろ脚や尻尾を斬り続ける。
そして尻尾に攻撃がヒットした途端、タマミツネは再びダウン。
あらら…なんか怯みハメみたいになっちゃってるな…。
まぁ順調に進んでいるかな?
強敵に挑んでいくのも面白いけれど、仲間達とこんな風に見事なコンビネーションを決めるのだって相当に面白い。
モンハンはソロでの挑戦も楽しいけれど、仲間達とワイワイやるのも最高だもんな。
さて、油断は禁物だ。
いくら順調だからといっても相手は獰猛化の強敵。一瞬で形勢が変わってしまう可能性だってある。
最後までこっちは全力でいかせてもらうよ。
俺は操虫棍を強く握りしめた。
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「ふぅっ!お疲れ様! 今回はすっごく順調だったね!
怯みがいい感じに続くし、ネコちゃんが罠だったり武器で麻痺させてくれたりでいい感じだったよ!」
それから数分後、俺達の目の前には捕獲されたタマミツネがスヤスヤと眠っていた。
今回は今までで1番スムーズだったんじゃないかな?
レイリスの言った通り、相手の攻撃に合わせてクルルナが斬り払いで突っ込んで転倒を奪いまくるわネギトロが罠を設置しまくるわダメ押しで麻痺も奪うわでなんかタマミツネが可哀想だった。
「にしても迷子君はなんで力尽きかけてるのさ! なんかボケーっと突っ立ってたみたいだけど…。」
「あっ…。いやぁ、ちょいと気になるものが目に入りましてね…。」
そんな俺達の会話を聞いてクルルナはクスクスと笑っていた。
いやいやクルルナさん…。アナタのせいでしょうが…。
ヘタレの俺には、滑液でヌルヌルになった容姿端麗なナルガX装備の女性はレベルが高すぎます…。
しかも戦闘中にいたずらっぽく笑ってくるしさ…。おかげで死にかけてしまいましたぞ…?
「………まさか泡まみれになったクルルナを見て鼻の下伸ばしてたわけじゃないよね?」
「いいっ…!?いやいや!全然そんなことはありません!ホントです!信じてください!」
必死で言い繕う。レイリスは相当訝しげな顔をしていたけれどなんとか納得してくれたみたい。
ハァ…無事にクリアは出来たけれど、心はなかなか休まらないなぁ…。
こんな感じで、獰猛化タマミツネのクエストは無事に終了した。
おつ狩り様でした。
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ユクモ村への帰り道、竜車に揺られながら俺は夜明け前の空を眺めていた。
レイリスは相当疲れていたのかグッスリ俺の前で眠っている。
「あら?手を出したりはしないんですか?
今なら襲い放題ですけど…。」
急にクルルナがトチ狂った事を言い始めた。
な、なんなんですか一体…。
だいたい俺にそんな事をする度胸はありません。
「何を言いはじめるんだよ…。
……で、なんか用でもあるのか?急に話しかけてくるなんて珍しいよな。」
「えぇ、私の滑液に塗れた艶かしい体は如何程のものだったかの感想を聞きたくて…」
おいバカやめろ。作者は一体何をしているんだ。これ以上、クルルナのお淑やかなイメージを崩すんじゃない。
「というのは冗談ですよ?ふふっ、トマトさんったらいちいち慌てちゃって可愛いですね。」
「……ほっといてくれ。で、本題はなんなんだ?」
「えぇ、この間トマトさんはレイリスと1日のお付き合いをしたじゃないですか?
その時の話をこの間レイリスとしたもので…。」
……うっ、その話か。レイリスにはいい返事を返せなかったから心の奥にしまって置きたかったんだけど…。
「あぁ、いえ。別に責めようってわけではないんですよ。
ただ、私からもトマトさんに聞きたいことがあるだけです。」
「聞きたいこと?できる範囲でなら答えるけど…。」
「えぇ、でもその様子だとトマトさん自身の事を聞いても話してくれなさそうですね…。
生い立ちとか、なぜそこまでの力がありながら今まで無名のハンターなのかを聞きたいと思ったんですが…。まだその時じゃないんでしょう?」
うっ…痛いところを…。
ま、まぁ確かにその話はまだ早いんじゃないかと思います…。
なんか吹っ切れるような出来事があれば別なんだけど…。
「大丈夫ですよ?私もレイリスもトマトさんのためならいくらだって待ち続けれます。
だから急ぐことはないんです。"急がば回れ"なんて言葉もあるわけですしね。
トマトさんはトマトさんなりの努力で目標に進めばいいんです。
私達も頑張りますから!」
「………ありがとう。ホント俺なんかにゃ勿体無いパーティだよ。」
そう言葉を返すと、クルルナは微笑んだ。
「そんなことはありません。トマトさんは素晴らしいハンターですよ…。」
そうですか…。でもまだ自分に自信は持てないや…。
「う〜ん…、ごめん。眠くなってきちゃった。
俺も少し寝ることにするよ。」
「ええ、ゆっくり休んでください。」
ありがとうございます。それじゃあ遠慮なく…。
そう考えた途端、俺の意識は眠気の底へと引きずりこまれていった。
うん、今日もいい1日でした…。
「…………滑液を使って襲うのも良さそうですね。どんどんバリエーションが増えていきます…!」
…………なんか聞こえたような気もするけれど、気にしないでおこう。
戦闘描写が短い…? 勘弁してください…。
そろそろユクモ村編も終わりに近づいてきました。
副リーダーさんを出してあげれる日も近そうです。
感想など気軽にどうぞ。お待ちしてます。