モンハン世界で狩猟ツアー【完結】   作:糸遊

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セレスさん視点です。

あと、ちょっと汚いと思われてしまうかもしれない表現があるのでお食事中の方は気をつけてください。

それではどうぞ。



第36話 わたくしと変態ハンター

 

待ち合わせの時間まであと少し。

わたくしは集会浴場への階段を大股で登っていました。

 

 

「待っていなさい、変態クソ野郎…! わたくしが自ら天誅を下してあげますわ…!」

 

 

コノハから流れてきた、先輩方が酷い目に遭わされたという噂…。

それがもし本当だったら、その男はタダじゃおきません。 ギッタンギッタンのボッコボコにしてモンスターの餌にしてやります。

 

そしてわたくしは集会浴場に辿り着きました。

そこには、レイリスさんとクルルナさんの先輩方2人、そしてラディス。

 

……そして、どこかナヨナヨしていて放っておけば迷子になりそうな男が。コイツですわね。

 

わたくしはその男を指差して、高らかに宣言しました。

 

 

「貴方がレイリスさんとクルルナさんを誑かして寝取ったクソ野郎ですわね!

 

今からわたくしが貴方に天誅を下してあげますわ!

 

自分が如何に変態であり、如何に大きな罪を犯してしまったのかを後悔しながらくたばりなさいッ!」

 

 

 

これが彼との出会いでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ほいほいっ……と。

結構倒したと思うけどなぁ…。お〜い、セレス〜。ブルファンゴってどんくらい倒したっけか〜?」

 

「今ので15頭目ですわ。あと5頭で依頼は達成ですわね。」

 

「おし、狩技ゲージも溜まってきてるから最後はアレを試して、へぶぅ…。」

 

 

どこかのほほんとした様子で返事を返す途中に、遠くから走ってきたブルファンゴに吹っ飛ばされる彼。

こんな様子を見てばっかりなので、とても凄腕のハンターだとは思えませんわね…。

 

 

「ねぇ、変態。 貴方って普段の姿を見てると、とても凄腕のハンターには見えないんですが…。 こう、強者のオーラというかそういうものを何一つ感じませんのよね…。

普段はそうなのに、いざという場面になるとどうしてああも強いのです?」

 

「やばい…。変態と呼ばれるのに慣れ始めている自分がいるぞ…。

 

あ〜っと…、強い理由ねぇ…。」

 

 

彼はその場で少し考え事を始めたようです。

そして、少しの間を置いた後に答えました。

 

 

「そりゃあ、単純にたくさんのモンスターを狩猟したからかな…。

あんまり言いたいことではないんだけどさ。俺はみんなと出会う前は兄妹と本当にたくさんのモンスターと戦ってたんだ。

場数を重ねりゃ嫌でも強くはなるさ。 逆に、そんだけの練習をしてるってのにこの間なんかはクエスト失敗しちまったからなぁ…。

俺なんかみんなと比べれば才能なんて全然だよ。」

 

 

怒り喰らうイビルジョーを1人で倒しておきながら才能が無いなどとほざくとは…ムカつきますわね。

 

 

「あら…そこまで自分を卑下しているならよっぽどの努力をしてきたみたいですわね。

それじゃあ、今までで1番多く相手取ってきたモンスターはどのくらい戦ってきたんですの?」

 

 

ちょっと気になったので、聞いてみることに。

まぁ多くても30体くらいだとは思いますけど…。

 

 

「ん〜……。これは言ってもいいものなのかね…。

 

とりあえずダブルクロスだけだと…、

イビルジョーは少なくとも150頭は倒したと思うなぁ。」

 

「ひゃっ…!? はぁ!?」

 

「うん。150頭。 すごいでしょ。

まぁそんだけ努力したってわけだ。 でも俺の力はこんなもんさ。

きっとレイリスやクルルナ。セレスだってそれくらいの経験を積んだら俺なんかよりもずーっと強いハンターになってると思うよ。」

 

 

……正直信じられませんわ。イビルジョーは何処にでも出没するモンスターだとはいえ、その強さはかなりの物。古龍にすら匹敵する力を持つモンスターだというのに…。

あと…『だぶるくろす』?なんのことでしょう…?

 

 

「そ、そんなハンターがいるならわたくし達の耳にだって届くはずですわ!なんでそんな噂が一切聞こえて来ないんですの!?」

 

「う〜ん…。まぁ、俺の住んでた所ってちょっと特殊だからなぁ…。噂が届かなくてもしょうがないかと…。 兄なんて俺よりずっとやり込んで…いや、たくさんの狩猟をしていたはずだよ。」

 

 

ち、ちょっと目眩が…。彼より更にたくさんのモンスターですって…? 住んでる世界が違いますわ…。

まるで戦闘狂で有名な副リーダーのようです…。

 

 

「はぁ…。 ともかくこれ以上はやめましょう。なんだか途方も無い話になりそうですわ…。早い所ブルファンゴを倒しましょう…。」

 

「ほいほい。なんか疲れさせちゃったかな…?ごめんなさい…。」

 

「気にしないでほしいですわ…。」

 

 

そんな会話をしながら、わたくし達はブルファンゴを探し始めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「なんだよ…。1エリアに1匹しかいないとかめんどくさいな…。」

 

「うだうだ言わないでくださいます?わたくしだってイライラを抑えているというのに…。」

 

「おぉう…なんかスミマセン…。」

 

 

ブルファンゴを探し始めたのはいいのですが、なぜか目に付くブルファンゴの数が激減。

居て欲しくない時にはうんざりするほどいる癖に、こんな時にはパッタリと隠れるとは…。

ハンターに嫌われてる理由がわかりますわね。

 

 

「そういやさ…。セレスってなんか言葉遣いが…なんだ…上品というか、上流の言葉遣いだよな。

そういう家の出だったりするのか?」

 

 

急に彼がそんな質問を。 わたくしの家柄なんて聞いてどうするつもりでしょう…?

 

 

「えぇ、まぁ結構な家柄だとは自負しておりますわ。王族の一家とも親密な間柄ですもの。」

 

「え゛っ…? セレスってすごい人じゃん…。セレス様とか呼んだ方いい…?」

 

「やめなさい!?虫唾が走りますわ!?」

 

「あっ、ごめん…。 え?それじゃあセレスって王族?の知り合いとかもいたりするの?

というか、よくハンターやること許されたな…。」

 

「えぇ、まぁ父が貴族でありながらハンターの資質もあったようで…。そんな父親の姿を見て育ちましたから。

王族にも仲の良い幼馴染はいますわよ?

次女…、第3王女は昔からよく遊びましたわね。

今でもハンター生活のことを文通したりはしてますわ。」

 

「あ、あの…第3王女と知り合い…!?

俺のこと変に伝わってないよね? 不埒な行為ばかりする変態ハンターだとか…。」

 

「い、いえ〜?べべべ、別に変な脚色を加えたりはしていませんわ?」

 

「おいコラ、変に伝えやがったな?

俺もう王族に変な目で見られるじゃねえか!

あぁ…、ギルドナイトに狙われたりしないよね…?」

 

 

彼が慌て始めましたが気にしないことにしましょう。

 

 

「それより今はブルファンゴです。

あと1頭ですわ。 あ、ほら。あそこに最後のブルファンゴが…。

あと少しだから落ち着いてください…。」

 

「だぁもう!こうなりゃヤケだ!

おいクソ猪!俺のラセンザンの実験台になりやがれぇぇえ!」

 

 

そう言って、彼はブルファンゴに全力のラセンザン。

今回が使うのは初めてだと言ってましたが…なかなか上手くできているじゃありませんか。

……ハンターの才能もわたくしよりあるんでは?

 

 

「ふぅ…。とりあえずお疲れ様でした。

早い所ユクモ村に戻って……ってどうかしまして?」

 

 

ラセンザンを放ち終えた彼はその場で立ち止まったまま。

わたくしの言葉にも全く反応しませんでした。

 

 

「……ちょっと?無視するのはあんまりじゃないかしら?

ほら、早く帰りますわよ…。」

 

 

わたくしは近づき、動かないままの彼の背中を軽く叩きました。

 

 

 

「あっ……背中はマズッ………ぉぇ。」

 

「……え?どうかしまして?」

 

 

彼が苦しげに言葉を発しました。

その目にはなぜか涙が溜まっています。

 

 

 

 

 

 

…………まさか。

 

 

 

 

 

 

 

「ラ、ラセンザン放ったら回りすぎて…。

 

き、気持ちわるぇぉぉぉろろろろろrrrrr………」

 

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「全く……あんなものを目の前で見せつけられるなんて……。」

 

 

クエストを終えて村に戻ったわたくしは、温泉で疲れを抜いていました。

ここからの美しい眺めでさっきの汚ない記憶を消し去らなければいけませんわ…。

 

 

「おっ!セレスじゃん!そっちも終わったところ?」

 

 

ふと声をかけられてそちらを見ると、そこにはラディスがいました。

 

 

「ええ。さっき無事に……とはいきませんでしたけどまぁ終わってきたところですわ。」

 

「むむ…?ヘタレがなんかやらかしたでしょ?

アイツは毎回何かしら仕出かしてる感じだもんな!」

 

「まぁそんなところです…。思い出したくもないですわ。」

 

 

ラディスと話していると、さっきの光景を思い出しそうになってしまいます。

 

急にえづいて涙目のまま下を向き、口から汚物を…いえ、これ以上はいけませんわね。

 

 

「おー、そういえば郵便屋さんがセレスの家に手紙届けてたな!

いつもの人からじゃないかな?」

 

「あら、もうそんな日でしたか。それじゃあわたくしはそろそろ上がりますわね。」

 

「はーい!アタシはもうちょいぷかぷかしてるよ!」

 

 

わたくしは温泉に浮かんでのんびりしているラディスを後ろに見ながら、その場を後にしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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マイハウスに着くと、ポストに随分と豪華な包装が施された手紙が届いていました。

 

馴染みの友達からの便りを手に取り、今回はどんな面白おかしいエピソードを書いてきたかを楽しみにして目を通します。

 

 

 

『久しぶりじゃの!我が友セレスよ!

最近は侍女達がわらわの監視だとかなんとかいってわらわをなかなか部屋から出してくれぬ。

つまらないのう。

 

それで…、この間くれた手紙に書いていた新しいハンターとやらがなかなかの手練らしいの!

ぜひ今後もそのハンターの活躍を書いてわらわに伝えて欲しいのじゃ!よろしく頼む!

 

ただ、なんか問題があるようだったらしっかりわらわに伝えるのじゃ!

父上に頼んで痛い目にあわせてやるからの!』

 

 

 

手紙を読み終えたわたくしは、無性に笑いがこみ上げてきました。

 

 

「ふふっ…。貴女のわがままにはいろんな人が振り回されてばっかりですからね。そうやって監視をつけられるのも当然ですわ。」

 

 

彼女からの手紙は私がハンターを頑張れる理由の一つです。

その立場から自由に動くことのできない彼女の代わりにハンターとして活躍し、それを彼女に伝える…。

小さい頃に彼女と約束したことですわ。

 

 

「新しく出会ったハンターについても問題ないですわよ?

あの変態…、彼はあのレイリスさんが信頼を寄せるほどの実力ですもの。

きっと貴女の無茶な要望にも応えてくれますわ。」

 

 

そう呟きながら、わたくしは机に腰をかけペンを手にしました。

 

 

「さて…、今回はどんなお話を伝えましょうか…。

彼が怒り喰らうイビルジョーを1人で倒したお話なども喜びそうですわね…。

レイリスさんの単騎で金雷公討伐のお話もいいかしら…。」

 

 

 

村も沈み帰った夜の中。

雷光虫のランタンが照らす机の上で、わたくしは友へと送る手紙を書き始めました。

 

 

 

「彼のことを『変態』だなんて呼んでいるけれど、別にそこまで嫌悪感はないのですのよね…。

ふふっ、でも彼はそんな風に呼ばれるくらいがちょうどいいでしょう。

さて、今回はどんな脚色を加えましょうか…。」

 

 

 

静まり返った部屋の中、ペンを滑らせる音だけが響きます。

 

 

 

うん、今回も満足のいく報告ができそうですわ。

 

 




ほい、セレスさん視点でした。

思いつきで第3王女様と仲良し設定を作ってしまったけど大丈夫かなぁ…?

さて、今回も恒例のフルネーム紹介です。
セレスさんのフルネームは【セレス・レギオーナ】と言います。
そろそろ由来に気付く人もいるんじゃないかな…?

感想など気軽にどうぞ。お待ちしてます。
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