もう何話かユクモ村でやろうと思ったのですが、ありきたりな話ばかりになってしまったので…。
それでは本編どうぞ。
「えっ?拠点を移動する?」
「うん。ユクモ村にも結構な間滞在したしね。
それに、パーティメンバーの1人…迷子君が会ってない最後のメンバーがベルナ村に腰を落ち着けるらしいんだよ。
この間、久しぶりに会いたいって連絡が来てさ。会いに行こうかと思ったんだけど…どうかな?」
お昼下がりの午後。
受けれるクエストも採取ツアーなどのパッとしないものばかりだったのでマイハウスでゆったりしているとレイリスが訪ねて来た。
なんでも拠点の移動を考えているだとか。そして次に向かうとしたらベルナ村らしい。『英雄』パーティの副リーダーさんがいるみたいです。
「うん。いいんじゃない?俺もこの村では結構な数のモンスターと相手したしな。他の拠点に向かうにも心残りは……まぁ温泉は惜しいけれど、新しいモンスターに出会えるなら安いもんか。」
「それじゃあ迷子君も拠点移動するってことでOK?」
「あいよ。……で、飛行船が来るのっていつ頃なんだ?」
もちろん拠点移動には賛成。それなら荷造りなんかの準備は済ませておきたいところ。
こうゆうことは早め早めに終わらせるのが大事なんです。夏休みの課題を貯めてしまったときのような悪夢はもううんざりだ。いや、計画的に終わらせれた試しなんてないけどさ…。
「え〜っとね。たしか4時間後かな! 急いで準備しないとだね!」
レイリスは満面の笑みでそんな言葉を言い放った。
「………は?」
「ほらほら迷子君!ボサッとしてるヒマなんてないよ! クルルナも来てるし一緒に手伝うからさ!」
レイリスがそう言うと、玄関の陰からクルルナがひょこっと顔を出した。
「そうですよトマトさん!今回の飛行船を逃したら次に同じ船が来るのは2週間後なんですから!
私達も荷造りは手伝うので間に合わせることはできます!さあさあ、パパッとやってしまいましょう!」
「いや…荷造りなら俺1人でも間に合う…
「一緒に頑張りましょうね!」
「いや…その…2人に貸しを作ると俺が困る…
「頑張りましょうね。」
「あっ、はい。」
クルルナの圧に負けて手伝ってもらうことになってしまいました。
これは後でナニか頼まれてしまうかもしれないな…。正直嫌な予感しかしない。
「ほらほら迷子君!急がないと!」
「そうですよ!収納のコツは『入れるものをある程度整った形にしてから力任せに押し込むこと』です!
月刊『狩りに生きる』の収納特集増刊号にもそう書いてありましたから!」
そう言いながら2人は俺の部屋にあるものをどんどんアイテムボックスに押し込んでいく。
え?それ入るの?なんて大きさの物もガンガンボックスに吸い込まれていってます。やっぱりアタリハンテイ力学が働いてるよなぁ…。
ちょっとまって。今なんかミシッて音しなかった?俺の私物は無事ですか?
「ちょ、ちょっと2人ともそんなに急がなくても…。 てか、平然と下着なんかを手に取られるのは少し恥ずかしいんですが…。」
「…?? 今更なに言ってるのさ。
あ、クルルナ〜。そこに脱ぎ捨てられてるやつ寄越して〜。もう、迷子君ったら…だらしないなぁ…。」
そんな事を言いながら2人は俺の下着なんかもどんどんボックスに詰めていく。俺の尊厳なんてあったもんじゃない。
「ほら、迷子君も見てないで手伝ってよ!」
「ほいほい…。なんか俺の立場弱くないですかねぇ…?」
レイリスに声をかけられ、俺は渋々荷造りを始めた。
なんかいくつかの下着が見当たらなかったのは気にしないことにしよう。深く考えると恐ろしいことになりそうです。
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「それじゃあ行ってくるよ!コノハとササユさんも元気でね!」
「ありがとうございます。しばらくのお別れですが、2人とも頑張ってくださいね。」
「うぅっ…。ふ、2人とお別れなんて……。私、悲しいです…。
でも、この悲しみを乗り越えてこそ敏腕受付嬢への道は開けるというもの!
お2人がいない間も頑張っちゃいますからね!期待しててください!」
「それは楽しみですわね。私達もベルナ村からいい報告ができるように頑張りますわ。」
飛行船に乗り込む直前、ユクモ村に滞在していた2人と受付嬢さん達のお別れを見ていた。
コノハさんは感情豊かだなぁ…。ササユさんはクールで仕事の出来るお姉さんって感じです。俺はアイシャ推しだけれども、コノハさんもなかなか素敵じゃないですか……あいたぁ!?
クルルナに脛を蹴られた。その本人は眩しい笑顔でこちらを見ていました。
あっ、ヤバいやつだ。闇を感じる眩しい笑顔とか初めて見た。
「皆さま、そろそろ出発の時間ですニャ。」
そんな事をしていると、あっという間に出発の時間に。
俺たちはコノハさんとササユさんに挨拶を済ませて、飛行船に乗り込んだ。
「2人とも〜!頑張ってくるからね〜!」
ラディスが飛行船から身を乗り出して2人に手を振る。
この2人はユクモ村で受付嬢さんたちに良くしてもらったみたい。すごい仲の良さだった。
「ベルナ村でもササユさん達に噂が届くくらい活躍しないといけませんわね…。燃えてきましたわ…!」
おぉ…やる気になってますな。
これはベルナ村でもいい感じにクエストをこなしていけそうです。
そんな事を考えながら、今回の空の旅は始まった。
ラディスちゃんとセレスさんが乗って行った飛行船が見えなくなるまで、私は空を見ていました。
「お2人、行ってしまいましたね。
コノハもお2人に負けないように頑張らないとですね。」
「もちろんです!これからもじゃんじゃん仕事をこなしてユクモ村の受付嬢として恥ずかしくない存在になれるように頑張りますから!」
「あらあら、それは頼もしいですね。
それでは、そんな貴女に新しい仕事が届きました。
この資料をまとめておいてくださいね?」
そう言うとササユさんはどこから取り出したのか、沢山の紙束を私に手渡してきました。
「うわ…、すごい量ですね…。いや、これも敏腕受付嬢になるための道…!頑張ります!」
「いい心持ちです。頑張ってくださいね。」
ササユさんは最後にそう言葉を落として、歩いて行ってしまいました。
「うわぁ…難しそうな話も沢山あるなぁ…。
何々……? 『目撃された物体と【銀翼の凶星】の伝承との類似点について』…?
……さっぱりわからないですね。
サ、ササユさ〜ん!教えてもらいたいところがあるんです〜!」
私はササユさんを追いかけて走り出しました。
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空をゆっくりと進む船の上で、俺たちはのんびりしていた。
俺は今回で空の旅は3回目。まぁ慣れたもんで空からの景色を余裕をもって楽しむことが出来ている。
飛行船に出ている屋台のようなお店で軽い食事をとったり、ラディスと腕相撲をしたりもした。 戦績は2勝3敗でした。
だ、大丈夫。俺はまだ本気出してないだけだから。
ちなみに、俺が飛行船に乗るたびに見かけている腕相撲が強い船員さんをまた見かけたので、今回はラディスと2人で挑んだ。
はい、負けました。 いや、強すぎない?
10戦10敗って……。
と、まぁこんな感じで飛行船での時間は過ぎていった。 なかなかに楽しいので時間が過ぎるのは速かった気がします。
「そういや、副リーダーさんがいるって聞いたけど…。どんな人なんだ?」
空の旅の途中、気になったのでレイリスに尋ねてみた。
「えっ?副リーダー?
う〜ん…あの人はねぇ…。 ちょっと迷子君に似てるかもしれないかな。」
えっ?俺に似てる?
その人大丈夫?自分で言うのもアレだけど、なんか残念な人だったりしない?
「あの人はねぇ…とにかく強いかな。
私なんかよりもずっと強い。 それこそ迷子君に近い強さだと思ってるよ。 まぁ色々と抜けてるところがあるから副リーダーなんだけど…。」
待て待て。 俺は自分がレイリスより強いなんて思っていませんぞ?
そして…そんなレイリスが自分より絶対に強いと言ってるだと?
なんなんだソイツ。『モンスターハンター』ってその人のことなんじゃないか?
「あっほら、ベルナ村が見えてきたよ。その人にももうすぐ会えるね!」
なんか不安になってきたなぁ…。
今までの4人は美人ばっかりだったから最後の1人はゴリッゴリのモンスターなハンターだったりして…。
直前になって初めて不安を覚えながらも、飛行船は無事にベルナ村に到着した。
さて、ベルナ村ではどんなハンター生活が待っているのかね?
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「村長さん!お久しぶりです!」
「おお!『英雄』の皆ではないか!久しいな!」
ベルナ村に到着したので、まずは村長さんにご挨拶。
なかなか精悍な顔つきのダンディなおじ様って感じの村長さんです。
「今回は彼女に会いに来たと聞いていたが…。
彼女は確かオトモ広場の方に行っているらしいぞ?向かうといい。」
「わかりました!ありがとうございます!」
村長さんから、探し人がオトモ広場にいるとの情報をいただけました。親切な人だ。
そういうわけで、俺たちはオトモ広場へと向かい始めた。
「ちょっと迷子君!ムーファを構って道草してないでよ!」
「いや、だって…。コイツがモフモフなのがいかん。 へへっ、フワフワだぁ…。」
オトモ広場へと向かう途中、俺はムーファの罠にかかっていた。
いや、気持ち良すぎでしょこれ…。全然獣臭く無かったし。
「もう!それじゃあ私達だけで彼女連れてくるからね!ここで待っててよ!?」
「あ〜い…。よろしくぅ〜…。」
そう言ってレイリス達は副リーダーさんを探しに行った。
俺はムーファをわしゃわしゃし続ける。
ポカポカとした暖かさを感じられる綿毛はマジで気持ちいい。 ムーファもわしゃわしゃされるのは気持ちいいらしく、どんどん俺にわしゃわしゃを求めてくる。
しまいには他のムーファも集まって来てムーファ天国になっていた。
「ユクモ村の温泉も良かったけど、ムーファ天国もいいなぁ…。来て良かった…。」
そんなふうにしていると、レイリス達が戻って来たみたい。
「……レイリス。彼が私に紹介したいと言っていたハンターか?」
「う、うん…。そうなんだけど…。 あんな姿初めて見たよ…。」
おっと、ムーファに囲まれて有頂天になってたみたい。挨拶はしっかりしないとだな。
俺は改めて、レイリスが連れてきた副リーダーさんを見る。
…………デカイな。いや、何がとは言わないけれどさ。クルルナに殺されるから…。
いやいや…身長もデカくない!? 女性なのに175はありそうだ。明らかに俺よりは大きい。
「あ、はじめまして。 最近、レイリス達とパーティを組ませてもらってる……」
そこまで言ったところで、副リーダーさんが恐ろしいほどの速さで俺の方に近づいてきた。
そして、俺の肩をガッシリと掴む。
……え?どうされたのですか?
顔がちょっと近すぎるような…。
あ、美人さんですね。銀髪が素敵です。
そして、副リーダーさんは真っ赤な顔になって叫んだ。
「わ、私と! つ、付き合ってもらえないだろうか!?」
「「「は?」」」
俺、レイリス、クルルナの素っ頓狂な声がシンクロした。
あぁ…、なんだかベルナ村も波乱万丈な展開になりそう……。
なんだかそんな気がします。
収納上手の書って『狩りに生きる』の別冊という設定なんですよね。最近はゲーム内で『狩りに生きる』を読めなくなってしまい、少しだけ寂しいです。
やっと副リーダーを登場させてあげることができました。
これでキャラは全員揃ったつもりです。これからの展開をお楽しみに。
それではまた次回で会いましょう。