書き上げるのにえらく時間がかかりました。
もう2日3日早く更新する予定でしたが…。
それでは本編どうぞ。
「あれっ? ヘタレじゃんか。 3人はどうしたの? まるで戦争でも起きそうな雰囲気だったけど…。」
「あぁ、話し合いしてくるってさ…。 嫌な予感しかしねぇ…。ちょっと怖くて逃げてきたよ…。」
ベルナ村に到着した矢先に、銀髪の美人さんにいきなり告白されましたとさ。
そして、そこにいたレイリスとクルルナがもうとんでもない表情になった。魔王みたいでした。
それで3人はレイリスのマイハウスで話し合いをするという事に。 村中のムーファがどこか怯えた様子なのは気にしないようにしよう…。待っててねと言われたけれど、俺は逃げ出しました。
「ヘタレはヘタレだなぁ…。
なあなあ!それじゃあ…なんだっけ…。
チ…チーズファンデ! チーズファンデ食いに行こうぜ! ベルナ村のチーズは美味しいって評判なんだからな!」
「チーズでファンデーションをしてどうする…。 フォンデュだ、フォンデュ。
確かに俺もチーズフォンデュは食って見たかったかも。 そんじゃあ行くかぁ…。 」
「おっしゃあ! じゃあセレスも呼んでくるよ!ヘタレはここで待ってろよ!」
そう元気に叫びながら、ラディスは走っていった。 悩みが無いってのは気楽でいいねぇ…。
「はぁ…、これからどうなるもんかな…。」
風が吹き抜ける高原で俺は1人、青空を眺めながら溜息をついた。
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「おぉ〜っ!すっげ〜!めっちゃ伸びる!なんだこりゃ!」
「私もいただくのは初めてですわね…。 でもこれは美味しそう…。」
目の前に置かれた小鍋の中で、乳白色のチーズがふつふつと音を立てている。
気泡が生まれては弾けて芳しい香りを辺りに漂わせ、食欲を促進させる。
とろりと蕩けたチーズの皿の周りには、女帝エビや七味ソーセージなどの具材がズラリ。
「そんじゃあ、いただきますか。」
早速、七味ソーセージをフォークに刺してチーズの海に潜らせる。
充分に浸し終えた後、チーズの海からソーセージを引き上げる。
ソーセージをくるくる回す事で細く糸を引いているチーズを切り、熱々の湯気が出ているうちに口の中に運び込む。
「…あっ!ふぁっふ! ふぁっふい!」
「お、おおぅ…。そんなに熱いのか…。 とりあえずヘタレの犠牲のおかげで、アタシは痛い目見ないで済みそうだ…。」
口に運び入れたチーズフォンデュは、それはそれは熱かった。
すぐさま口の中で転がし、冷ますことに専念する。
なんとか口の中が落ち着いたのでゆっくり味わうことにした。
ソーセージをゆっくりと噛み切る。 すると、表面を炙られたソーセージの中から旨味たっぷりの肉汁が溢れ出し、それがとろとろのチーズと絡み、口の中で絶妙なハーモニーを奏でた。
「うっまぁぁぁあ! えっ! うまっ! お前ら早く食べた方いい! ほら、熱々の内に!」
2人にそう言葉をかける。 ラディスはすぐさまチーズにくぐらせた女帝エビを口の中へ放り込んだ。 「ふふぁ!?ふぁぇあ!?」とか言って涙目になってるけどまぁラディスなら大丈夫だろう。
セレスも…なんかむせてるけど美味しそうに食べてますね。良かった良かった。
そんなこんなで鍋の中はあっという間に空っぽに。 1番美味しかったのはシモフリトマトかな?ともかくお粗末様でした。
「そういえば…、ホロロホルル狩猟の依頼が届いているらしいですわね。 どうします?そこそこ緊急性のある依頼らしいので私達だけで出発しますか?」
食後にゆっくりしていると、セレスが急にそんなことを言い出した。
ほーほー、フクロウさんですか。まぁ古代林の下見も兼ねてちょうどいいんじゃないかな?
あと、今のレイリス達はちょっと怖かったから一旦村から離れたいかな〜…なんて。
「いいんじゃないか? そんじゃクエスト受けに行きますか…っと。……クエスト受付ってどこ?」
「………あそこに見える大きな看板の場所か、遠くに見える『龍歴院』という場所で受注できますわ。 教えたら流石に迷子になることはありませんわよね…?」
ソ、ソンナワケナイジャナイデスカー。
俺は方向音痴ではない。ないったらない。
……1人だとちょっと怖かったので、セレスとラディスには装備なんかの準備ができるまで待っててもらいました。
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「あら!貴方達は確か…、ルファールさんのパーティの人達ですね! もしかしてクエストを受けにきてくれたんですか!?」
2人の案内で無事にクエスト受付場に到着しました。 今回は大きな看板が設置されている場所、ゲームだとベルナ村の村クエを受注できる場所だ。
そして着いた途端に受付嬢さんが俺たちに食い気味に話しかけてきた。
「え、えぇ。 確かホロロホルル狩猟でしたわよね? ルファールさん達が忙しそうなので、ここにいる3人で出発しようかと。」
「あら!それはありがたいわ! 無事にクエストを達成できたらホロロホルルがどんなものだったか詳しく教えてくれないかしら?
私、ベルナ村の観光大使も務めているものだからホロロホルルのぬいぐるみなんか可愛いと思ってたのよね。
そう思った矢先に夜鳥の出現情報が!これはチャンス! ということでよろしくね!」
受付嬢さんがものすごい速さでまくし立てる。
確かにそんな設定がありましたね…。
観光大使の方はなかなか実を結ばないイメージがあったけどさ……特産品のチョイスが微妙だと思います。ゼンマイティーってどうよ?
「それじゃあ受注人数は3人で……あ、あれ?
え、えっと…本当に…3人でいいの?」
んん?どうしたんだろう? ここには3人しかいないからそれでいいはず…
そこまで考えた瞬間、俺の肩へと誰かが手を置いた。
背中にゾクリと悪寒が走る。
咄嗟に背後を振り向くと…
「………迷子君?私、『待っててね』って言ったよね……?」
アカン、死んだ。
そこには全く笑ってない笑顔を浮かべたレイリスとクルルナがいました。 そして、先程の銀髪美人さん…ルファールさんだっけ?がちょっと申し訳なさそうな顔をして立っていた。
「アッ、イヤー、チョットサンポデモシテコヨウカナーナンテ…。」
「どうしたんです、カタコトになってますが…。 私達は怒ってはいませんよ?えぇ、ぜ〜んぜん怒ってません。」
クルルナの瞳から一切のハイライトが消えている…ッ!
不味い、どう切り抜ける…ッ!?
「なんか3人が怖くて逃げてきたとか言ってたぞ! ヘタレはヘタレだなぁ、アッハッハ!」
そんな中でラディスが爆弾を放り込みやがった。
なんてことだ。俺に救いはないのか。
そんな言葉を聞いて、レイリスはニッコリと笑った。 手を置かれた肩がミシミシと悲鳴をあげる。
あれ?レイリスの髪って燃えるような赤色だよね? 今はなんか血の色に見えるんだけど…。
「あはは。 そんなこと思ってたんだぁ〜。
いや、私達は話し合いをしてただけなんだけどなぁ。
それで…そのクエストにルファールも一緒に連れて行ってくれないかな?」
「アッ、ハイ、ワカリマシタ。」
逆らえる訳がない。俺は言われるがままに返事をして、レイリスの案に賛成した。
「それじゃあ、私達は村に残ってますから…。
トマトさん達も頑張ってきてくださいね。 」
そう言って、どこか悪巧みをしているような顔のクルルナとレイリスは村へ戻っていった。
「あっ……、なんかすまない…。 いや、私もまさか2人と君がそんな関係だとは思ってなくてな…。
ともかくさっきのことは忘れてくれ…。」
「あっ…いえ、なんかこっちこそスミマセン…。」
謝り合う2人。なんだかルファールさんにも迷惑かけてしまったなぁ…。
「ヘタレもルファール姉も大丈夫か〜?
準備できたらクエスト行かないか〜?」
ラディスに急かされ、ハッと我に帰る。
「あ〜…。とりあえず忘れることにしませんか? その方がいろいろ吹っ切れるだろうし…。」
「あ、ああ!そうだな! それじゃあホロロホルルの狩猟を頑張ろうじゃないか!」
うんうん、なんとかいい感じにできた。
今回はルファールさんとの初めてのクエストなんだ。 どんなものか楽しみです。
そんじゃあホロロホルルの狩猟、いってみy……
「あ゛っ……。 待って!私、全然準備してなかった! すぐ装備整えてくるから待っててくれ!」
お、おぉう…。 なんだか出鼻を挫かれた感じ…。
まぁゆっくりいきましょう。 急いだっていいことはあんまりないしね。
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あれから十数分後、俺達は古代林へと向かう小型飛行船に乗っていた。
古代林ってベルナ村の近くにあると思ってたんだけど、飛行船で1時間ほどかかるらしい。初めて知った。
今回のみんなの装備は…
俺がまぁ、いつものブレイヴミラバル棍に会心特化装備。
ラディスがいつものギルドハンマーでケミキ装備。
セレスはストライカーでミツネ片手剣。
ルファールさんは……何だあれ?
「あの…ルファールさんの装備って何ですか?
見たことなくて…。」
「ん?あぁ、これは『闘王弓グラディエンテ』という弓さ。ちょっとマイナーだけれど、重射矢という種類の矢を撃ち出せるんだ。これがなかなかに強くてな。 最近ハマっているのさ。」
おぉう、マジっすか。重射弓ですか。
もうこの辺りから玄人の臭いがプンプンするぞ…。
「さて、と…。 それじゃあ私は一眠りさせてもらうとするよ。 セレス、古代林に着いたら起こしてくれよ?よろしく頼む。」
そう言うと、ルファールさんはあっという間に眠り始めた。
寝つきいいっすね…。 飛行船ですぐに眠れるとかすごい気がする。
………いびきが凄いんですけど。
「………ルファールさんっていつもこんな感じ?」
「………まぁそうですわね。 これだから25になってもいい人が見つからないのですわ…。」
………確かにこれだとねぇ。ルファールさんは足をガバッと広げ、無様としか言いようのない姿で寝ている。いくら美人でもこんなオッさんみたいな眠り方をされちゃあ幻滅されてしまいそうだ。
……ん?
「え?25って行き遅れの部類に入るの?」
「何を当たり前のことを言っているのです?
18〜20歳が適齢ですわよ?」
………マジかよ。 え?じゃあレイリス達も案外必死だったりしたのかな?
元の世界なら25〜30歳位でも全然大丈夫なイメージはあったけど…こっちの世界はそのあたりの感覚全然違うのね…?
「あれ?セレスって18だよな? もういい人見つけちゃったりして………ちょっ、拳を下ろせ!スミマセンでした!」
なるほど、セレスも苦労してそうだな…。
いい人見つかるといいね。
「まさか…ラディスはそんな色恋話は無いよな…?」
「ん?なんだ?彼氏とかそういうやつか?
まだアタシには早いかな〜。」
「そ、そうですわよね。 まだラディスは16ですものね!」
「あ、でも、故郷に仲の良かった男はいるぞ?
今でもたまーに手紙来たりするし、一緒にメシ食べたりもしてたな!アイツ、もしかしたらアタシのこと好きだったのかもな!」
ラディスさんったら案外マセてやがった。
そして、その言葉を聞いてセレスが固まった。
「い、いや…。 最悪お父様に頼めばいいお相手を見つけてくれるはず…。 そう、私はルファールさんみたいにはなりませんわ…!」
コイツ…貴族の権力を使う気かよ…。
まぁ俺が口出しする話じゃあないんだけどさ。
ルファールさんのよく響くいびきをBGMにして、飛行船での時間は過ぎていった。
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「ルファール姉!着いたよ! ほら!シャキッとする!」
「むげぁぁぁ゛………。眠いぃぃ゛……。」
まるで中年オヤジの様な振る舞いをするルファールさんをなんとか叩き起こす。
飛行船から降りると、そこには何処か中生代を思わせるような原始の森と大草原が広がっていた。
「おぉ…。ジュラ○ック・パークみてぇ…。」
思わずそう口にしてしまうほどに、古代林は雄大な景色を見せてくれた。
山間に設置されたベースキャンプからは高い山を一望でき、遥か眼下には草木が豆粒程の大きさで見える。
おっ、あのどデカイ望遠鏡もあるじゃないか。
「ふふ、どうだい? 古代林のここからの景色は中々のものだろう?」
いつの間にかシャキッとしているルファールさんにそう声をかけられた。
うん、確かにこれは凄いです。ずっと見てられそう。
「さて、景色の余韻に浸るのもいいが今回はホロロホルルの狩猟という目的があるんだ。
あんまり悠長なことはしていられない。そろそろ出発しないか?」
ルファールさんにそう言われ、俺は改めて自分の中のスイッチを入れなおした。
うん、こういうのを楽しむのはクエストが終わってから。 だからちゃっちゃと終わらせちゃおう。
「うん、いい顔になったな。 それじゃあ3人とも、準備はいいかい? ホロロホルルの狩猟、スタートだ。」
ルファールさんがそう言葉を落とし、俺の古代林で初のクエストが始まった。
そんじゃあホロロホルルの狩猟、いってみよー。
ほい、というわけでベルナ村編スタートです。
ベルナ村編はユクモ村編ほどは長くないかなぁ…?
そして、そろそろ物語をある方向に進めていかないとなぁ…なんて思ったりしてます。
感想など気軽にどうぞ。 お待ちしてます。