モンハン世界で狩猟ツアー【完結】   作:糸遊

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更新が遅くてすみません……。
なかなか時間が取れない……。






第42話 彗星のカケラはどこに?

 

 

 

 

「さて…と。 あっ、ありましたね。」

 

「う〜ん。この素材って一体なんなのでしょう。クルルナさんはご存知でして?」

 

「いや…私もそこまでよく知ってるわけではありませんね。 防具合成の際に使用するということくらいです。」

 

 

目的の素材を採取しながら軽く言葉を交わす私とセレス。

今回、私達は高高度に存在する狩猟フィールド『遺群嶺』に来ています。クエスト内容は『灼けた甲殻』の納品。大型モンスターの出現も確認されてない様なので簡単な依頼ですね。

 

 

「それにしても…不思議な素材ですわね…。

小さいとはいえ、地面にクレーターができるなんて…。ここだって相当な高度のはずですが、これはどんな高さから落ちて来たのやら…。」

 

「今回の依頼はその謎を解明するための第一歩らしいですよ? 龍歴院の研究機関がこの素材の研究を進めているらしいですし…。」

 

「仮にモンスターが落とした物だとしたらその本体は一体どんなヤツなのか…。 この更に上空を飛行するなんてリオレウスですら不可能ですわ。」

 

「ふふっ、想像は広がりますね。 仮にモンスターだったとしたら私達に狩猟の依頼が来る可能性もありますよ。それはそれで楽しみじゃありませんか?」

 

「それはまぁ…。 いや、でもとんでもないモンスターだったら勘弁願いたいのですが…。」

 

 

灼けた甲殻を探しつつお喋りをする私達。目当てのアイテムをかき集めるために、遺群嶺を駆け回ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ。大龍神カズラも集めておかないといけませんわね…。 これがまた地味なところで足りなくて…。」

 

「えぇ、わかります。 なんでこんな植物を武具の加工に使うんでしょうね…。ツタの葉とかでも事足りそうな感じはあるんですが…。」

 

 

ちょっとした愚痴をこぼしながら、足りない素材の収集もする私達。 灼けた甲殻は結構な数が集まったのでもうベースキャンプに戻ってもいいくらいですが…。

 

 

「どうします? ここまで来たならいっそのこと頂上まで行ってしまいませんか?」

 

 

今私達がいるのはエリア7。 エリア9まではほんの少しでついてしまう距離です。

 

 

「そうですわね…。 それじゃあてっぺんまで行くことにしますわ。 灼けた甲殻もあるでしょうし…。」

 

「わかりました。それじゃあ早い所向かっちゃいましょう。」

 

 

私達はエリア9へ向かうことにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「しかし此処は本当に高い場所にありますわね…。

こんな所にモンスターなんて来るのかしら…。」

 

「今の所、此処を寝床にするモンスターはいないはず……いや、渾沌に呻くゴア・マガラがいましたね。

ともかくほとんどいないことには変わりありません。まぁ今の所は、ですが…。 いずれ新種の古龍などが見つかったらありえるかもしれませんね。」

 

 

エリア9へと辿り着いた私達はそんな会話を交わします。

太陽と月が同時に見える程の高度にあるこのエリア。風は吹き荒び、雲海ですら遥か眼下に広がる光景。地面や壁面には亀裂が走り、よくわからない赤い閃光が迸っています。

確か今の所、此処に出現するモンスターは確認されてない筈。

たとえ此処に棲息するとしても、この過酷な環境さえ平気な生き物…それこそ古龍などでしょう。

 

 

「あっ。灼けた甲殻がありますね。 さっさと集めて帰ることにしましょうか。

……この高度でもクレーターを作るなんて、この素材は一体なんなのでしょうね?」

 

 

エリアの端に刺さり、クレーターを作っている灼けた甲殻を集めながらそんな言葉が溢れます。

 

 

「…………。」

 

「……? セレス? どうしました?」

 

 

ふと、セレスが地面や壁面に迸っている閃光を凝視していることに気づきました。

 

 

「いや…この赤い閃光があるじゃないですか。

これって…あの、ラディスのよくわからないスキルで発現する光に似てませんこと?」

 

「そういえば……似てますね。」

 

 

言われて初めて気づきました。

ラディスが装備している装飾品によって発現するあの赤い閃光。

此処の壁や地面に迸っている光はその光にそっくりです。

 

 

「クルルナさんもあのスキルについて詳しいことはわかってないのでして?」

 

「ええ、そうですね。 体力の減少によって発動するということと、ラディスの力が湧いてくるという感想から『底力』の様な効果だとは思うんですが…。」

 

 

以前、ラディスが白い防具を纏った少女のハンターから譲り受けたという謎の装飾品。

本来なら自分の力に見合わない…身の丈に合ってない防具を身につけて誤解を招く事を避けるために、ハンター同士での装備品の譲渡は禁止されています。

ですが、あの銀色に輝く装飾品らしきものはギルドから装飾品だとの認定を受けずにラディスの手に渡りました。

 

そして、その装飾品で発動するスキルもまた謎に包まれた存在です。

各地の工房にあたってみても、『そんな効果のスキルはわからない』との答えしか返ってきませんでした。

 

 

「ラディスに装飾品をくれたハンターさんに会うことができれば謎も解けるんですが…、私達のツテを使ってもそんな人は見つからないですし…。」

 

「謎ですわね……。 もしかして変態なら知っていたりして……?」

 

 

いやぁ……いくら物知りなトマトさんでもそれはないでしょう。

 

 

「まぁ考えたって始まりませんよ。

とりあえず今日の所は帰ることにしましょう?灼けた甲殻も集まったことですしね。」

 

「ええ、そうですわね。

 

それじゃあ………」

 

 

 

 

 

セレスはそう言うと、切り立った断崖の方を見つめました。

 

 

 

 

 

「クルルナさん!先にどうぞ!

私は崖伝いにゆっくり降りていきますわ!」

 

「いやいや……できた先輩というのは後輩に先を譲るものですよ?

ほら?早く飛び降りなさい?」

 

 

 

 

 

エリア8へ移動する手っ取り早い方法はあの断崖から飛び降りる事。

ですが……いくら私でも雲海が眼下に広がるほどの高さから飛び降りることは流石に怖……可憐な女性として如何なものかと思うわけです。

 

おや?ポーチにいいものが入ってるではありませんか!

 

 

 

 

「あっ!私ったらモドリ玉を持ってきてるじゃありませんか!私は先に帰ってますね!

それじゃあまた後で………」

 

「危なぁぁぁぁああい! クルルナさんの後ろにブナハブラがいますわぁぁぁあ!」

 

「ふぐっ……。」

 

 

 

 

…………モドリ玉を使った瞬間、セレスが片手剣で私に斬りかかり、私を怯ませました。

 

お陰でモドリ玉は緑色の煙を出しただけで消え失せ、私はその場にとりのこされる始末。

 

 

…………私を怒らせましたね?

 

 

 

「………ふふ。…………ふふふふ。 可笑しいですねえセレスったら? ブナハブラなんて何処にもいないようですが?」

 

「い、いえ!絶対にいました!

ただ、リオレウスもかくやというスピードで飛び去っていっただけですわ!」

 

 

取っ組み合いながらそんな会話を交わす私達。

私達はジリジリと、断崖絶壁の方へと近づいていきます。

 

 

「ね、ねえ?セレス?

たった今、いい方法を思いつきました。

 

2人一緒に飛び降りるというのはどうでしょう? 随分と平和的な解決ではありませんか?」

 

「そ、それはいい考えですわね…!

だったらほら!早い所一緒に飛び降りましょうよ!

 

ちょっ…ちょっと!なんでそんなに押し出そうとするのです!?」

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで私達は断崖絶壁の上に並び立ちました。

 

 

 

 

「そ、それでは3、2、1、で飛び降りますよ?」

 

「わ、わかりましたわ…!」

 

 

 

今、私達は腕を組んだ運命共同体です。

この状態でどちらかを出し抜こうなんてのは到底無理な話でしょう。

 

 

 

 

「そ、それじゃあ始めますよ…?

 

………3」

 

 

 

 

セレスがゴクリと唾を飲み込みます。

 

 

 

 

 

「………2」

 

 

 

 

緊張で手に汗が滲みます。

 

 

 

 

「…………隙ありッ!」

 

「………なぁッ!?」

 

 

 

 

 

ふふふ。油断しましたね?

トマトさんをベッドの上から逃さないように、日々磨いてきた対人戦闘の技術が生かされました…!

 

 

私の腕はぬるりとセレスの腕から解き放たれ、私の体は自由に。

 

セレスはバランスを崩し、不安定な体勢です。

 

 

 

 

「それでは……おさらばです。」

 

 

 

 

私は体勢を崩しているセレスに向かって軽く蹴りを入れます。

 

すると、その蹴りの軽さからは想像出来ないほどにセレスは吹っ飛び、断崖絶壁から放り出されました。

 

 

「なっ……何で!?」

 

「ふふ……『ネコの蹴脚術』というものですよ?

それでは良い空の旅を♪」

 

 

 

セレスの目に涙が浮かび始めるのが見えました。

 

 

 

「いやああああああぁぁぁぁぁぁ……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……なかなかやりますね。 セレスも日々ハンターとしての腕が上がっているということでしょうか?………私もうかうかしていられないですね。

 

 

さて……それじゃあ私はゆっくりと崖伝いに降りて……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不意に。

 

 

 

私の耳が『シュ〜…』という導火線の様な音を捉えました。

 

 

 

「………ッ!?」

 

 

 

嫌な予感がして背後を振り向くと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………そこには爆発寸前の小タル爆弾が。

 

 

 

 

 

「…………ッッッ! あの小娘ッ!!」

 

 

 

 

 

私は爆発に巻き込まれ、宙空へ吹っ飛ばされました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃああああああぁぁぁぁぁぁぁ……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2人の女性ハンターが醜い争いを同士討ちという形で終えた後のエリア9。

 

不意に、空に赫い彗星が光り始めた。

 

 

 

 

 

彗星はぐんぐんとその大きさを増し、

 

凄まじい速さで地面に降り立った。

 

 

 

 

 

 

土煙が上がる中から現れたのは銀色の甲殻で全身を覆われた四足歩行の龍。

 

翼からは赫い閃光が迸っていた。

 

 

 

龍は一度だけ咆哮を上げると、凄まじい速度で再び空へと飛び立った……。

 

 

 

 

 

 






リオレウスもかくやという速度で飛ぶブナハブラを想像したら笑いました。


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