「お〜い、いつまで寝てるんだ〜。 もういい時間だぞ〜」
マイハウスの外からそんな声が聞こえてくる。
あぁ…この声はルファールさんだな。
ルファールさん、すみません…。 俺はもう少しだけ寝ないとやってられないです。ちょっと疲れてるんだ。
心の中に少しの罪悪感を募らせながらも、俺は再びベッドの中に潜ろうとした。
「………いるんだろ〜? 居留守を使うなら玄関ぶち破るからな〜?」
「だぁっ!ちくしょうっ!おはようございます!いい朝ですねぇ!」
だが、玄関ぶち破る宣言を聞いたまま寝ていられる俺ではなかった。すぐさま玄関へと向かい、外で佇んでいたルファールさんに挨拶をする。
「おぉ、どうしたそんなに慌てて?……ってなんか顔色悪くないか?」
「あぁ…いや、昨日の夜にイビル嬢に襲われただけですからご心配なく」
「は? えっ…私そんなこと知らないぞ!? まさかあの2人、抜け駆けして…!?」
「あ、いや…昨日は黒い髪のイビル嬢さんでした。レイリスは来てないです」
「……クルルナか。 彼女ももう少し節度を持ってくれればいいのになぁ…」
……つくづくそう思います。12話でレイリスがクルルナのことをお淑やかで優しいなんて言ってるけど、あれは絶対嘘だ。あんだけガツガツ来る人がお淑やかだなんて俺は認めないぞ。
「で、こんな時間に何の用ですか? 今言った通り疲れてるのでクエストは勘弁して…」
「おっ!いい勘してるな! 獰猛化ディノバルドのクエストがあったから一緒にどうかと思ったんだがどうだい?」
……ほれ見たことか。ディノバルドは面白い相手だから是非とも戦いところだけど、今の俺はそれ以上に疲れてるんです。 申し訳ないけど今回は休ませてもらおう。
「あ〜…すいません。 ちょいと昨日襲われて疲れてるので…。 今回は他の人と…」
「あっ!迷子君じゃん!おはよ! 今からルファールとディノバルドのクエストに行こうかと思ってるんだけど…どうかな!?」
おぉっとおぅ…レイリスが現れましたぞ?それも随分とニコニコしている。
う〜ん、嫌な予感…。
「あ、あはは…。ごめんレイリス。 俺ちょっと疲れてるんだ…。 今回は休み…」
「う〜んそうかぁ…。 まぁ私達に秘密でクルルナと乳繰りあってたら疲れるのも当たり前だよね! 」
「あ…いや、昨日のはクルルナが勝手に…」
「でも迷子君なら元気ドリンコ飲めば大丈夫だと思うんだけど?」
「うっ…、でも流石にしんどいと思う…」
「大丈夫だよね?」
「あっ…いや」
「大丈夫でしょ」
「………はい。大丈夫です」
「よし!決まった!それじゃあ今回は3人でディノバルドだね!」
…はい、というわけで今回は獰猛化ディノバルドみたいです。レイリスの笑顔が怖くて、断るなんてとてもじゃないができる空気じゃなかった。
なんで俺ばっかり虐げられるんだ…。クルルナずるくない?
まぁ…出発することになっちゃったんだからしょうがないか。マイナス思考に走りそうだから考えるのはやめにしよう。
「それじゃあ準備ができたら教えてね! その辺で待ってるからさ!」
「ほいほい、早めに行くようにするよ」
既にクエストに行く準備が出来ていたレイリス達は飛行船乗り場の方へと歩いて行った。
「さて…ちょいと疲れてるけど、ビシッと頑張りますか」
そう呟きながら、俺は氷結晶冷蔵庫の戸を開けて元気ドリンコを取り出した。
「これを飲んでファイト一発!って感じかな?」
適度に冷えた元気ドリンコを一息に飲み干す。
よし、スッキリ。元気も出てきた気がする。
それじゃあ獰猛化ディノバルドの狩猟、いってみよー。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
やってきました古代林。
飛行船ダイヤの関係もあって時刻は昼下がりといったところ。これは狩猟が終わる頃には夕方になるかな?
今回のみんなの装備は…
俺が鎧裂太刀でブレイヴスタイル。
ルファールさんが…あれは岩穿太刀かな?スタイルは俺と同じでブレイヴって言ってた。
レイリスはいつも通りブレイヴ大剣。
……みんなブレイヴスタイルかぁ。でもディノバルドにはブレイヴ太刀って俺の中では決まっちゃってるんだなこれが。
ルファールさんもわかる人らしい。いいね。
あ、オトモはボマーのマグロ君です。ブーメランでのサポート頑張ってくれ。
「なあなあドM君。アカム武器ってどう思う?」
ディノバルドを探している途中、ルファールさんからそんな質問をされた。
だからドM君はやめてほしいんですが…。
で、アカム武器ですと?
「アカム武器、ですか? いや…武器種によりますけどそこそこ使える感じなんじゃないですかね? ヘビィとか大剣、笛は使うこともありましたし…。 あと俺はチャージアックスが上手く使えないですけどアカムチャアクも強いっては聞きました。
急にどうしたんですか?」
「いや…この間会った狩友とちょいとな…。
ソイツ、アカム武器ばっかり使うやつなんだが…アカム太刀がこの下克上より強いとか言ってくるからさ、ちょっとムキになってしまってな…。 ドM君はどう思う?」
いや…流石にアカム太刀で下克上を超えることはキツイだろう。
ルファールさんの担いでいる太刀、『渦紋鬼懐刀【下克上】』はダブルクロスに登場する太刀の中でも屈指の強武器だと思う。
スキル自由度はカマキリ太刀やドヒキサキには負けるけど、神お守りがあるのならその火力はトップになる可能性も十分にある。
アカム太刀も弱いとは言わないけど、ここら辺の武器に比べるとどうも目劣りする感じが否めない。
「流石に下克上の方が強いですって…。 アカム武器を使うなんて相当な物好きですね。 是非一度会ってみたいです」
「あ、うん…なかなか変なヤツだけどな…」
アカム武器はやっぱりロマンがあるでしょ。そんな武器を使ってる人がこっちの世界にもいるとは少し嬉しい。アカムスラアクの滅龍ビンはちょっと救いようがないかもしれないけどさ…。
「私も最近あの2人と会ってないな〜。 すごく強いハンターさんなんだよ! しかも防具がアカムトルムとウカムルバスの男女でお似合いだしさ!」
おっ、そんな人たちがいるのか。 これはいずれ顔を合わせておきたいですね。
「旦那さん、お喋りもいいけどそろそろ切り替えるのニャ。あそこにディノバルドがいるのニャ」
おっと、もうこんなところまで進んできてたか。それじゃあいっちょ頑張りますか。
「じゃあいつも通り私が先陣を切るから…よろしくね。」
レイリスがそう呟き、俺達は頷き返す。
次の瞬間、レイリスは弾丸のように駆け出した。
ディノバルドがこちらに気づくが、その前にレイリスが抜刀攻撃…じゃなくてなんだあれ?
抜刀ガードをしたと思ったらすぐさま横殴りに繋げて納刀継続溜め3をディノバルドの頭にぶち当てた。 レイリスさんあんな技使えたのね…。
頭に溜め3を喰らったディノはすぐさま怒り状態へ。 それに呼応するように俺とルファールさんの左腕が赤く光り始めた。
下克上に挑戦者積めるとかルファールさんどんだけ神おまなんだ…。
怒り状態に入ったディノはレイリスに向かって尻尾を振り下ろす。それを軽く回避したレイリスは頭へ抜刀攻撃を加える。 俺達も横から攻撃してチクチクとブレイヴゲージを溜める。
その後もレイリスを狙い続けてくれたお陰で、俺達はあっという間にブレイヴ状態へ。
さて、それじゃあカウンタータイムといきますか。
ディノは獰猛化個体特有のディレイがかかった尻尾振り下ろしを俺に向かって放つ。
それをカウンター。 俺のすぐ傍にいたルファールさんも一緒にカウンターをかます。
ディノは2回目の振り下ろしに繋げてくる。ディレイがかかった攻撃なのでギリ2回目のカウンターが間に合うのでそれもカウンター。
あぁ…こりゃ楽しいわ…!
ディノは口元から炎を迸らせ、咽喉部を紅く染め上げた。そして俺とルファールさんのいる場所へ噛みつき攻撃。 それもしっかりカウンター。
バックステップをしたディノはそのままブレスをかます。それもしっかりカウンターで防ぎ、すぐさま前転してディノとの距離を詰める。
ディノは再び俺とルファールさんに向かって噛みつき攻撃。それをカウンター。
カウンターを喰らったディノは口元の粉塵が爆発。大ダウンをして転がった。
すぐさまディノの頭付近に近づき、気刃斬りのコンボを叩き込む。 少しだけディレイをきかせたコンボは最後の剛・気刃斬りまでが綺麗にディノの頭に吸い込まれた。
「2人ともナイス! てぇぇえい!」
そしてディノが復帰する直前にレイリスが駆け込み、頭に抜刀溜め3をぶち込んだ。
『居合術【力】』のスキルが乗ったその一撃はディノバルドからスタンを奪い取る。
「やるじゃないかレイリス!流石私達のリーダーだ!」
「あったり前だよ! ほら、ラッシュかけて!」
スタンを起こされてもがいているディノの頭部にラッシュをかける俺達。
そしてディノがやっとの事でスタンから復帰。
だけど復帰した途端、ディノバルドが苦しげに身を悶えさせ始める。
「麻痺とったのニャ!」
マグロ君よくやった!麻痺蓄積値管理できるとか素敵!
ラッシュをかける時間が伸びたので、気刃斬りのコンボを容赦なく叩き込む。
一通りのコンボを決め終えると、とうとうディノは拘束のコンボから抜け出した。
途中で怒り状態が解けていたみたいだけど、再び怒り状態へ。
そして、ディノは寝床へと向かって脚を引きずり始めた。
……まぁこの3人が弱点に向かってあんだけのラッシュを加えてたらあっという間に瀕死にもなるか。
「ふぅ…いやぁうまくいったね! それじゃあ…私、捕獲用のアイテム持ってきてるから捕獲することにするけどいいかな?」
「うん、その方が手っ取り早いかもな。ルファールさんもそれでいいですか?」
「あぁ、それでいこう。 そろそろブレイヴ状態も切れそうだしな…」
よし、それじゃあ今回はほぼクリア確定ってとこだな。ちょいと疲れてたから不安だったけど、やっぱりこのパーティはかなり強い。無事に終わって良かったです。
「じゃあ私が罠設置するから2人は麻酔玉よろしく! もし麻酔玉無かったら私の使っていいから!」
一狩り終える頃だってのにレイリスは元気だなぁ…。 ちょっとその元気が羨ましい。
そんなことを思い浮かべながら、俺達はディノが逃げた先へと向かい始めた。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
「むにゃ……えへへぇ…キングターキーだぁ……」
俺の肩を枕代わりにして寝言を零すレイリスを見る。
………綺麗だな。 こんな人に好意を持ってもらえてるのはホントラッキーだ。 いや、なんで俺なんかに構ってくれるんだろうね?
ルファールさんはちょっと離れたところで大きないびきを出して寝ている。 残念美人オーラが半端無い。
あの後、無事にディノバルドの捕獲を終えてクエストは成功。
今は夕焼け色に染まった空の上で、飛行船に乗ってベルナ村に向かっている最中です。
「あっ……迷子君だぁ……いただきまぁす…」
おいこら、夢の中でまでいただくんじゃない。そんなんだと俺の体が持たないぞ。
全く…これだからイビル嬢は…。
「お〜お〜。お2人さんはラブラブだニャ。
ほら、旦那さんも早いところ喰われておけニャ」
「うっさいわ。どうした急に冷やかしに来て…」
そんなことをしていたら、マグロ君がこちらにやってきた。
全く、ウチのネコ達はどうしてこう従順じゃないのかね?
「いや…ちょっとお話があってニャ〜」
「なんだよお話って…。どうせ大したことじゃないんだろ?」
「いや、今回は結構重要だニャ。 話す機会がやっときたから今話したいのニャ」
……なんだかいつになくネコが真剣な顔をしてるな。 いや、でもこう見せかけてしょうもない話題だったりするからなぁ…。
「ほいほい…。 どれ、話ってなんだよ? 相談でもなんでもいいから話してみ?」
「それじゃあアイルートークの時間の始まりだニャ」
マグロはそう呟きながら、近くの椅子に腰を落とす。
そして、口を開いた。
「旦那さん。 この世界はどうですかニャ?
生まれ変わって楽しめてますかニャ?」
他作品との関連を匂わせて誘導するスタイル。
どんどん忙しくなって、更新頻度を上げることが難しくなってきてます…。のんびり待っていただければ幸いです。
感想など気軽にどうぞ。 お待ちしてます。