「いっ…いぢぢ…。か、体が…」
「んもう…、ちょっとビリビリしただけなのに大袈裟ね…」
彼女…彼女と言っていいのか怪しいけど、オレには美少女に見える。
そんな美少女がどこか不満気な顔をしながら言葉を落とす。
い、いや…ビリビリって…。
あんなどでかい光の柱をドバンッとやられたこっちは、ビリビリ程度で済まないんですよ…。
地面に倒れ伏し、未だに体の自由がきかない俺の側に彼女がふわりと飛んでくる。
お、お…?白いドレスのスカートが風で…?
なんて考えたら、空から雷鳴が聞こえたのですぐに考えることをやめた。一時の過ちで消し炭にされちゃたまったもんじゃない。
それに彼女の白いドレスは、この風が吹く中でも一切荒れていなかった。う〜ん、不思議パワーだなぁ…。
「今日も残念な結果だったわね〜。 まぁ私は楽しいし、貴方も少しずついい動きが出来るようになってるみたいだけど? ほら…翼を狙って怯ませて撃墜なんかは確実に上達が見られる動きだったわよ?」
「あ、ありがとう…。
………いや、でもあの人ならサクッと倒せるんだろう?」
「それ…本当なのかしらね? あの胡散臭い天使の言うことはどうにも信用ならないから…。 まぁ…私達が退屈しなくなったのは確かだし、それには感謝してるんだけども…」
彼女は訝しげな口調で話す。
う〜ん、あの天使さんなぁ…。
いや、確かに親切なんだけれども、どうにも抜けてるところがあってなぁ…。
なんか、面白い書物とかを持って来てくれたりしたから彼女達は退屈しなくなったみたい。
なんか…『ゲットだぜ!』とか、『そーなのかー』とか言ってるけどオレにはよくわからん。
「………あの人は今どんな感じなんだ?」
「えぇ、凄いわよ?貴方とは少し強さの段階が違う…、それくらいには狩人としての力がある感じはしたわ」
うわぁ…マジかぁ…。 こんだけ努力してんのに、まだ遠いかぁ…。
ちょっとヘコむわぁ…。
「ふふっ、気にしないの。 きっと貴方と会ったら、貴方の力を活かし…そして自分も力を十全に発揮する…。 彼の強さはそんな感じだもの。だからきっと大丈夫よ。貴方だって弱くはない。 ただ、彼の方が強いだけよ」
「あ、ありがとう…。今日はなんだか優しい気がする…」
そこまで言って彼女の顔を見ると、なんだか悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
あ、あれ?なんか嫌な予感…。
「でも……貴方が強くなった方が私も楽しいから、まだまだ続けましょ? ほら、そこに薬を置いておくからがんばってね〜」
「え、おい…ちょっ…」
そこまで言ったところで、彼女は消え失せた。そして…空からは雷鳴の音、黒く立ち込める雲の中には稲光が。
「あーちくしょう…!こうなったら逃げられないし…、やるしかないかぁ…」
彼女が置いていってくれた、いにしえの秘薬をゴクリと飲み込む。身体に活力が漲り、体力も全開。そして、すぐに武器を研ぐ。
「さぁ、いきますか…!」
暗雲が立ち込めていき、雷鳴が鳴り響く空に向かって、そう言葉を放ったオレだった。