モンハン世界で狩猟ツアー【完結】   作:糸遊

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依頼主:白いドレスの少女





第51話 白光

 

「なぁ……いつになったらこの人は目覚めるんだ?ずっとうなされてるけど……」

「知らないわよ……。

『イビルジョーが〜』とか言ってるけど、このハンターはイビルジョーを相手取るのは得意なんじゃなかったの?」

 

 

 

目の前に横たわってうなされているアスリスタ装備のハンターさんを見ながら、そんな言葉を落とすオレと彼女。

落ち着いた表情を崩すことなんて滅多にない彼女も、この人の様子を見て少し困惑気味だ。

 

あの天使さんがこの人を担いできて数十分。

いずれ起きるから、とは言っていたもののそんな様子は一切見られない。

普通に寝ているならまだしも、うなされているのを放っておくのもなんかなぁ…。

というか、初めての対面なのになんか残念なイメージしか湧いてこない。凄いハンターなのかが嘘みたいだ。

 

 

 

「あぁもう……焦れったいわね……。

ちょっと離れてて。雷落とすわ」

「待って!お願いだからやめてあげて!一応、オレの恩人だから!」

 

 

 

イライラしている彼女を必死になだめるオレ。

なんでこんなことになったのだろうかと思いながら、オレは数分前のことを思い返していた。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「お届けに参りました〜っと…。

はい、コレが例のハンターさ。まぁ放っておけば目覚めるだろう。

ちょいと面白い夢を見させてるから観察して楽しんどいてくれ」

 

 

 

古びた城の内部。

かつては城の兵器倉庫として使われていたのであろう場所で、オレと白いドレスの彼女はなんとも言えない顔をしていた。

 

 

 

「お、おぉ〜…。この人がオレを強くしてくれたんですか?」

「あぁ、そうさ。君がそこまでのハンターになれたのもコレのおかげだよ」

「なんだかナヨナヨしてて、ひ弱な感じが漂ってるけど…本当なの?」

 

 

 

白いドレスをたなびかせながら彼女が言う。

ちょっと酷く言い草じゃないですか…?なんて思ったけど、本当にちょっと冴えないオーラが漂っている。

『もう一人で無理しないから!』とか『乱暴はやめてッ!』とかの寝言を言ってるけど、何なんだ…。

 

 

 

「ま、起きたらまた来るから。その時に改めて説明するよ。

私はちょいと忙しい………ってわけじゃあないけど、新発売の国民的RPGやらないといけないから失礼するかな」

「「おいコラ」」

 

 

オレ達の言葉も聞かず、天使さんはスッと消え失せた。うーん、このハンターさんもあの天使さんも凄い存在なんだろうけど、いまいち凄さを感じにくいなぁ。

 

 

 

「まぁ、あの天使の言う通り待つことにしましょうか。

これでも私は我慢強いほうだから、少し待つくらい余裕だわ」

「おっ、頼もしいね。じゃあオレがあの人を無理やり起こしそうになったら止めてくれよ?」

 

 

 

軽い笑いと共に言葉を交わし、オレと彼女はハンターさんが起きるのを待つことにした。

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

待つことにはしたんだけれども、彼女は我慢できない性格だった。

いや、余裕って言ってたじゃん。まだ10分くらいしか経ってないじゃん。

 

 

「あぁもう、ぶっ放すから離れてて!」

「ちょっ、ちょ!?」

 

 

ハンターさんに雷ドカンをしようとする彼女を必死になだめるけどダメでした。

彼女はオレを振り払い、体から眩い光を発した。

 

あぁ、うん。これはもうダメだ。

ハンターさん、強く生きてください。

 

 

 

次の瞬間、倉庫の中が爆音と閃光で満たされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「どわぁぁぁぁぁぁぁああ!?あっばばばばばばば……」

 

 

 

なんかイビル嬢に貪られる悪夢を見ていたと思ったら、急に爆音が轟いた。

続いて襲ってくるのは強烈な痺れ。

これは…アレだ。雷属性の攻撃を受けた時の感覚に似ている。

 

なんとか体は動くようで、反射的に背中の操虫棍に手が伸びた。

背負ったままの操虫棍の柄を握りつつ、辺りを見渡すと────

 

 

 

 

 

 

「だ、大丈夫ですか…?」

 

 

 

 

 

 

背中にセルレギオス武器らしき操虫棍を背負った、S・ソルZ装備の男性ハンターがいた。俺より結構若い感じ……セレスくらいの年齢だろうか?

傍らには少しうんざりした表情を浮かべた、白いドレスの少女が。その姿はどこか恐ろしさを感じるほどに、綺麗で儚げだった。

 

………ん?

天使さんが言ってた白ドレスってもしかして…。

 

 

 

「あぁ、やっと起きたか。

クッソ…あのおてんば人魚め…、ねっとうなんて技使いやがって…」

 

 

 

そんなこんなで状況を把握できないままでいると、いつの間にか悔しそうな表情をした天使さんが現れた。

なんの話だ?悪いけど別ゲーの話は勘弁ですよ?

 

 

「あの…どういう状況ですかね? そこのお2人は?」

「うん。まぁ私から紹介してもいいんだけれど、ここは是非とも自己紹介してもらいたいものだね。

ほら、恩人と感動の対面だ。自己紹介でもどうだい?」

 

 

 

天使さんがその場を取り仕切り、事を進めていく。

自己紹介を促されたハンターと少女は俺に向き合い、口を開いた。

 

 

 

「あ。そ、それじゃあ…初めまして。

えっと……なんて言えばいいかな?あ〜っと…。

な、名前からかな?」

「早くしなさいよ…。別にちょっと冴えない男に話するだけじゃない」

 

 

 

おっと、さりげないディスりが聞こえたぞ?

俺の扱いは何処でもこうなのか?

 

 

 

「はい、それじゃあ名前から!

オレの名前ですが────

 

 

 

『ユウ』といいます」

 

 

 

 

……………『ユウ』ねぇ。やっぱりそうなのか。

となると、このハンターさんは……。

 

 

 

 

「……うん、素敵な名前じゃないですか。

俺もその名前は好きですよ。大好きです。

……嫌いなわけがない。……そりゃそうか」

「えぇ、素敵な名前ですよ。オレもこの名前は誇れます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてったって、貴方からもらった名前ですから!

ね?(ユウ)さん!」

「…………そうか。……そうなんだな。君がそうなのか」

 

 

 

誇らしげな顔をしているユウ君にもう一度尋ねる。

俺の中ではほぼ確定だったけど、一応確認を取らないといけない。

 

 

 

「……君が主人公か。 なんとなくそんな気はしてたんだけど…。

俺が操作していたキャラ……。

この世界で、俺の代わりに駆け回ってくれていたハンターが君なんだな?」

「そうです。

貴方のお陰でハンターとして大きくなれた、主人公です」

 

 

 

あぁ、うん。

俺はいっつもモンハンのプレイヤーネームは名前をカタカナにするんだ。

だから、『ユウ』。

そうやって、今目の前にいる主人公に名前をつけたんだったな。

 

 

 

「今でも思い出しますよ。パンツ一丁でダレン・モーランの背中に乗ったり、狂竜化ウイルス騒動で奔走したこと。

最近なんかは、各地で四天王と呼ばれるモンスターを倒しましたね」

 

 

 

その言葉を聞いて、4シリーズの主人公でもあることに驚いた。

随分と長いこと、俺の代わりに頑張ってくれたみたいだね。

MH4が発売したのは2013年の9/14。

少なくとも4年間は俺の代わりにこの世界を駆け回ってくれていた人が、目の前にいた。

 

 

 

「……俺の成り行きというか、ここまでの経緯は知ってる?」

「……ええ、知ってます。天使さんから聞いてますよ。

 

………一度、亡くなってしまっているという事も。

そして…こちらの世界でまた頑張っている事も」

 

 

 

俺のことはしっかり判っているらしい。

まぁ…余計な混乱がなくて楽だ。

それにしても…主人公ねぇ。

 

なんとなくそんな気はしてたんだ。

こっちの世界に来てから、俺のハンター経歴とかいうものが何処からも出てこなかった。

ゲーム通りの設定なら、最終的に主人公は英雄扱いされて何処でも有名人という感じになる。

 

だけど、レイリス達は俺の事なんてこれっぽっちも知っていなかった。

だけど、目の前にいるユウ君のことは多少なりとも知っているんだろう。

 

 

 

「アイツらは…ネコたちは元気ですか?

しばらく会えてないので…」

 

 

 

今度はユウ君…。

自分の名前を呼ぶのはなんか恥ずかしいから、主人公君とでも呼ぼうか。

主人公君が俺に尋ねた。

 

 

 

「あぁ、元気さ。

本当に頼もしいよ。 アイツらがいなかったら、俺はまだ此処に来れてないかもしれない」

「そう、ですか…。良かった…」

 

 

 

主人公君はホッとした様子。

アイツらには本当に助けられた。いいオトモ達だよ。

 

 

 

「ねぇ……私には時間をくれないわけ?」

「あっ、ごめんよ。じゃあ、次は彼女からということで…」

 

 

 

主人公君と2人で話していたら、白いドレスの少女がぶすっとした様子で口を開いた。

すみません、少し存在を忘れてました。

 

 

 

「なんか失礼なこと考えてるような…?まぁいいわ。

私は……まぁ、白いドレスの少女とでも覚えておいて?」

「いや、どういうことですか…」

 

 

 

意味がわからない。白いドレスの少女と言われても何が何だかサッパリだ。

と思っていたら、傍観していた天使さんが急に口を開いた。

 

 

 

「あぁ、言ってなかったね。

此処は『シュレイド城』と呼ばれる場所だよ。

君ならこれで合点がいくと思うんだけど…どうかな?」

 

 

 

あぁ…そういうことですか。

たしかによく見たら、此処はシュレイド城のベースキャンプだった。

シュレイド城で白いドレスの少女。昔のモンハンの、とあるイベントクエストを思い出すなぁ。

 

 

 

「よし、じゃあ自己紹介も済んだことだし、私から色々補足の説明もしておくよ。

まぁゆったりしてくれ」

 

 

 

今の状態を多少理解したものの、まだまだ判ってないことは多い。

俺は地べたに座り、天使さんの話を聞くことにした。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

「以前君にも言ったと思うんだけど…。

私は頑張っている者を見ると、ついつい応援したくなる。

君だって相当な努力家だったから、今この世界にいるんだろう?」

「まぁ…そうらしいですね」

 

 

 

天使さんの話を静かに聞く、俺と主人公君と白いドレスの少女さん。

俺以外の2人は粗方判っているみたいだけど、話に付き合ってくれているみたい。

待たせるのも悪いから、早めに理解しないとだ。

 

 

 

「それで、だ。

 

そこにいる白ドレス。

彼女…まぁ彼女というのが正しいのかどうかわからないけれど、彼女もこの世界で孤独に頑張っていてね。

一人でこの世界をじっと見守っていたんだ」

 

 

 

へぇ…。

まぁ、白ドレスさんが俺の思う通りの存在ならそれは何となくわかる。凄く重要な存在だもんね。

 

 

 

「見守るといっても、それをたった一人で何百何千年だ。

たまに彼女に届きうる存在の狩人が現れるけれども、それも彼女の仲間達と戦うことになる。

彼女は結局一人さ」

「まぁ…一人でいることにはなれたわ。

たまにあの子達が土産話をくれるから、それを聞くのが唯一の楽しみだった。

でも…やっぱり羨ましくないといえば嘘だったわね」

 

 

 

白ドレスさんが寂しげに言葉を落とす。

たしかに大変そうだもんな…。

ゲームの中でさえ、出てくるのは最終盤。

白ドレスさんの仲間…まぁ裏ボスとか呼ばれる人達の大トリなんだ。

人によっちゃ、会わないままモンハンを辞めてしまう人もいるんじゃないだろうか?

 

ましてやここはゲームより現実に近い、リアルなモンハンの世界。

こんな存在と会うことのできるハンターなんて全くと言っていいほどいないのだろう。

 

 

「で、一人で頑張る彼女に何かご褒美をあげたくてね。私が直々に姿を現したということさ」

「まぁ…正直胡散臭かったけれど、半信半疑で頼んだわ?

『ハンターとの勝負を楽しみたい』ってね」

「それで、私が動き出したというわけさ」

 

 

 

なるほど…。

で、俺がこの世界に呼び出されたと。

 

 

 

「そういうこと。 まぁ、いくら君でもいきなり彼女と手合わせは難しいだろう。

だから、まずはこの世界に馴染んでもらうことにした。

君だって、さっきの戦いで自分なりのスタイルをつかんだろう?」

 

 

 

確かに、いきなり戦う相手がシュレイドに棲む奴とか嬉しくないプレゼントだ。

今なら全然大丈夫だけど、いきなりだとマトモな戦いにならなかったかもしれない。

 

 

 

「そして君がこの世界に慣れるまでは、主人公君に白ドレスの相手をしてもらうことにしたよ。主人公君のオトモには悪いことをしたかもしれないけど…」

 

 

 

あぁ、なるほど。

つまり主人公君は、今まで白ドレスさんの相手をしてくれていたわけか。

またまた頑張らせてしまった。

本当に頭が上がらないです。

 

 

 

「なるほど…。まぁ大体理解はしました。

……となると、これからまた一狩りいくことになるんですよね?」

 

 

 

大体の状況を理解した俺は、天使さんにそう言葉を返す。

すると、天使さんはニヤリと笑った。

 

 

 

「話が早いようで何よりだ。 白ドレスは今も君達と踊りたいらしくてウズウズしてるよ?」

「ちょっ…余計なこと言わなくていいでしょう!?」

 

 

 

白ドレスさんが少し慌てたように言葉を返すけど、まぁ理解した。

つまりこれから、俺はこの白ドレスさんと勝負するわけだ。

 

 

 

白ドレスさんからの依頼────『ハンターとの勝負を楽しみたい』という依頼を達成するために。

 

 

 

 

 

「オーケー。わかりました。

じゃあ今すぐにでも始めましょうか!

俺とユウ…主人公君の2人の参加でいいですよね?」

「オ、オレもですか……。

彼女にはボッコボコにされてばっかりで、足引っ張るかもしれないんですけど…。

あと主人公君って何ですか」

「なんか自分の名前を呼ぶのは恥ずかしくて…」

「あっ、はい」

 

 

 

なぁに、大丈夫。

気にすることなんてない。

なんなら力尽きて大笑いしてしまうくらいの感覚でいい。

 

 

そう…ゲーム感覚で楽しめばいいさ。

 

 

 

「うん…じゃあ私は終わったあたりにまた来るから失礼するよ。

3人でめいっぱい舞踏会を楽しんでくれ」

 

 

 

天使さんは俺達を満足気に眺めると、姿を消した。

 

 

 

「それじゃあ……私も外で待っているわね。

準備が出来たら外に出てきて?」

 

 

 

白ドレスさんもそう言い残し、ベースキャンプを後にした。

 

残ったのは俺と主人公君の2人だけ。

同じ名前の2人だ。

 

 

 

「えっと…主人公君の装備はそれでいくのか?」

「あ、はい…。彼女との相性は全然良くないみたいですけど…」

 

 

 

確かに相性は良くない。別に変な意味じゃないですよ?

S・ソルZ一式にセルレギオス棍。物理火力は相当のものだけど、あの相手に物理火力で対抗するのはあまりよろしいとは言えない。

 

 

 

……まぁ、俺がカバーすればいいだけの話だ。

 

 

 

「おし、じゃあ装備変えるからちょっと待ってね。

う〜んと…アレ相手だと…。あの装備にするか」

 

 

 

思いついた装備を頭の中にイメージ。

 

武器はバルファルク武器の『赫醒棍レヴィアナ』にスピード会心虫。

お守りは『跳躍6 龍属性攻撃13 スロット3』

と、かなりの神お守り。使い所がピンポイントすぎて、こういうところでしか使えないけれども…。

 

 

発動スキルは

『龍属性攻撃強化+2』『見切り+2』『連撃の心得』『会心撃【属性】』『超会心』『飛燕』

の豪華6点セット。

 

 

 

「うわ……すごい装備ですね」

「すごいでしょ。兄貴からはお守り寄越せと何回も言われたよ」

 

 

 

………さてさて。

それじゃあ、いざ出発と行こうか。

俺と主人公君は顔を見合わせる。

何故だかわからないけど、お互いに笑っていた。 やっぱり性格とか似るのだろうか…?なんとなく顔つきも俺に似てる気がするし…。

 

 

 

「そんじゃあ一狩りいってみよ〜」

「いえ〜」

 

 

 

うんうん、ノリもいいじゃないか。

レイリス達はなかなかこういうのに乗ってきてくれなかったからね。

 

そんなしょうもない事を考えながら、俺と主人公君はベースキャンプから外へと飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ベースキャンプから外に出る。

そこには懐かしい光景が。

 

廃れた城といった雰囲気の漂う場所。

広場には巨大な柱が数本。そして年季の入ったバリスタ、大砲などの迎撃兵器、

そして…撃龍槍のスイッチが。

 

MH4ベースのシュレイド城。

今回の戦いの舞台が、俺の目の前に広がっていた。

 

そして…ゲームでは見たことがなかった、夜空が広がっていた。

空には数多の星が散りばめられ、月は儚げに光っている。

 

すっご……。こんな光景がシュレイド城で見られるなんて知らなかった。

狩りの時はいつも禍々しい雰囲気だからなぁ…。

 

 

 

「どうですか?なかなかの景色でしょう?

オレもよくあの柱の上に登って、月を眺めてたりしました」

 

 

 

あら素敵。

随分とロマンチックなことをしているじゃないか。

苦労させてしまった…なんて思っていたけれど、ここも案外、住めば都だったのかもしれないな。

 

 

 

「あら?もう準備はいいのかしら?」

 

 

 

なんてことを考えていると、広場の真ん中に白ドレスさんがいた。

気のせいか、体が淡い光を帯びている気がした。

 

 

 

「えぇ、準備万端です。

俺達はいつでもいいですよ?」

「そう…ありがとう」

 

 

 

白ドレスさんはボンヤリと星空を見上げた。

恐ろしいほどに儚げで美しい…。見ていて吸い込まれそうになってしまう。

まぁそんなことをしていたら、クルルナにお仕置きされそうだから我慢だ。

 

 

 

「まさか、私がこんなことを出来る日が来るなんて思ってもなかったわ…。

目の前には超一流のハンターが2人。

これなら、私の全力を出しても良さそうね…」

 

 

 

空を見上げていた白ドレスさんは言葉を落としながら楽しそうに笑った。

 

 

途端、空に暗雲が立ち込める。

 

雷鳴が響き渡り、あれだけ綺麗だった星空や月は、数秒もかからないうちに禍々しい雲で覆われた。

 

そして、空にはブラックホールのような謎の空間が。

 

 

 

「まずは貴方達に感謝を。

ここに集まってくれて、本当にありがとう。

 

これから始まるのは白い光が煌めく舞踏会…。

ここにいる3人、みんなが最高に楽しめるはずよ?」

 

 

 

うんうん、随分と楽しそうじゃないですか。

舞踏会……武闘会のような気もするけど、そこは突っ込まない。

主人公君は少し嫌な顔をしているけど、まぁ大丈夫だろう。気楽にいこう、気楽に。

 

 

 

「それじゃあ始めるわ…。

 

大丈夫。貴方達のような超一流のハンターでも、決して退屈なんてさせないはずよ?

 

 

白い光が綺羅星のように舞い散って……

 

 

退屈なんてさせないんだから……!」

 

 

 

白ドレスさんが楽しげに笑いながら言葉を落とす。

 

 

 

 

次の瞬間、白ドレスさんの体から眩い光が溢れ────

 

 

 

 

 

 

エリアが極光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

あまりの眩しさに思わず目を瞑る。

 

 

 

 

 

 

瞼越しに溢れる光を浴びる俺。

 

最初に気づいたのは、ゆっくりとした羽ばたきの音だった。

 

落ち着いた目を開けると、そこには神々しさを感じさせる存在が羽ばたいていた。

 

 

 

「よし…足を引っ張っちゃうかもしれないけど、オレも出来る限り頑張りますよ!」

「うん、頼りにしてるよ。まぁ楽しくいこうか」

 

 

 

羽ばたいてゆっくりと降りてくるソイツを見ながら、軽く言葉を交わす。

 

 

目の前の龍はゆっくりと下降し……地面に降り立った。

 

 

 

 

 

 

 

祖龍───ミラルーツ。

 

 

リアルで見ると、その神々しさはゲームとは比べものにならなかった。

すげぇな…。なんか…圧倒されそう…。

 

 

まぁ……こっちだって圧倒される気はさらさらない。

舞踏会?いいさ、跳び回ってやるとも。

 

 

フッと息を吐いて目を瞑る。

 

 

 

 

 

 

 

 

もう一度目を開けると、目の前にはゲームと同じコックピット表示が出ていた。

 

うんうん、いいじゃないか。

これで楽しい戦いが出来そうだ。

 

 

 

「それじゃ、頑張ろうか。

別に力尽きたって構わない、楽しくいこう」

「了解です。出来るだけ力尽きないようにしたいなぁ…」

 

 

 

俺達は操虫棍を抜刀。

今回は2人ともエリアルスタイル。

舞踏会なんだから、楽しく踊らないとね。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ行くぞ…?

 

俺なりのエリアルスタイル、見せてやんよ」

 

 

 

 

 

小さく言葉を落としつつ、俺は操虫棍でセルフジャンプ。

ミラルーツに向かって、飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

さぁ、狩猟開始だ。

 

 

 

 




自分の文章力が無いばかりにややこしくなってしまったので、あとがきで説明をば。もしかしたら矛盾する点なんかも出てきているかもしれないです…。


・主人公
本名は『宮凪(みやなぎ) (ゆう)
この話を書いてるときに考えました。適当です。
主人公君の名前を『ユウ』にしたかったのです。
自分のことは『俺』と呼びます。

・主人公君
ちょっとややこしいですが、ゲームで操作できるキャラのこと。この話の主人公とは別人です。ゲームの中の主人公、所謂プレイヤーハンター。
バルファルクに関する調査の途中で、シュレイド城へ行くことに。
S・ソルZシリーズはMH4Gのストーリーの時点で揃えていたみたいです。
自分のことは『オレ』と呼びます。閑話に出てきていたのも彼です。

・白いドレスの少女
MHP2Gのイベントクエスト『白光』の依頼主を意識しました。
ちなみに、イベントクエストの内容はミラルーツの討伐です。
この人?も閑話に出てきてました。


感想、質問などあったら気軽にどうぞ。お待ちしてます。


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