私には、どうやらハンターの素質があったらしい。
なら、ちょっとハンターになってみようかな。
そんな簡単な気持ちで私のハンターライフは始まった。
私の故郷のココット村は、森丘フィールドに比較的近い場所にある集落だ。
なんでも、このココット村の村長である竜人族のおじいさんが作り上げたらしい。
そしてその竜人族の村長。
聞けばハンターという職業がまだ存在しない時代にモンスターに立ち向かい、モンスターを狩ることを生業としていたらしい。
そして、ハンターというものが広まっていったのだとか。
…えっ、ウチの村長すごいじゃないか。
小さい頃からちょっと怖い雰囲気が漂ってるおじいさんだなぁなんて思ってたけど、よくこの村を訪れる豪快な二人組からも「ココットの英雄」なんて呼ばれてるみたい。
そんなにすごい人だったのか…。
ハンターになった私は憧れた。 それはもう、強烈に。
私のハンター仲間も、私と同じく憧れを抱いたみたい。
そこから、私達は強くなろうと決めた。
それこそ、「英雄」と呼ばれるくらいに。
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私達は、着実に力をつけていった。
もちろん普通に比べて才能もあったんだろう。
「バハハハハ!俺達から言えることか!そりゃあ、決して無理はしないことだな!古龍を撃ち破る俺達だって調子が悪いときには他のハンターに依頼を代わってもらうことだってある!命あっての物種だ!」
「ドハハハハ!それに、名の知れたハンターなんてものは強大なモンスターを倒すからなるもんじゃねぇ!生き延びて、それでもモンスターに対峙する内にいつのまにか回りから称えられるようになるもんだ!」
だけど、無茶な狩猟はほとんどしないようなパーティだった。
力があるパーティが、万全に万全を期した状態でクエストに臨めば、その成功率がどうなるかは誰が考えても明らかだろう。
私達はどんどん名を広めていった。
飛竜、獣竜、牙竜、海竜。
さまざまなモンスターの狩猟経験を積んだ。
そして、遂には風を纏う古龍を撃ち破った。
そこからだろう。 一流と呼ばれるようになったのは。
だけどまだ、英雄には程遠い。
そのレベルに達しても私達は慢心せずモンスターに対峙し続けた。
難易度の高い大連続狩猟、古龍級生物、そして山のような古龍。
そのすべてにおいて、私達は持ち前の用意周到さで対峙したモンスターを撃ち破り続けた。
そして… ドンドルマに迫る、身体中に重油を纏った古龍を撃破したとき…
私達は遂に「英雄」と呼ばれた。
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「じゃあ森丘でガララアジャラの狩猟となります。
初めてのソロクエストね。頑張って!」
「ありがとうベッキー。それじゃあいってくる!」
私達は英雄と称えられた。
だけど…ハンター達の手が足りてない場所に私達はそれぞれ一人ずつ散らばることとなった。
つまりはパーティの解散だ。
寂しかった。
そして、怖かった。
私は一人でも大丈夫なのか? 今までクエストを成功できたのはみんなと一緒だったからなんじゃないのか?
そんなことばかり脳裏をよぎった。
そんなことを考えて臨んだガララアジャラ狩猟は―――
成功はしたものの2回力尽きるという、英雄と呼ばれるハンターが行う狩猟には程遠いものだった。
そこからモンスターと戦うことが怖くなった。
いや、戦うことが怖いというより負けることが怖かった。
私は所詮一人だと何もできない紛い物の英雄なんじゃないか?
頭にそんな考えばかりちらつく。
だから負けてはいけないと思い、鬼気迫る勢いで私はモンスターを狩り続けた。
だから…その頃の私の顔はよっぽど悲惨な顔をしていたんだろう。
ある日、ココット村の村長と話す機会があった。
「これは…ギルドの関係者がいった言葉らしいのじゃが
真のハンターとは
力ではない、強い装備でもない、
ましてや狩ったモンスターの数でもない。
すべてを自然の一員とみなし、
それを調え、制する者を指す。
…どうも最近のおぬしをみているとただ対峙する相手を倒す。その意識に駆られているように見える。
あまりに辛いなら休んでも構わん。このままじゃおぬしに取り返しのつかないことが起こりそうでな…
代理のハンターも心配はいらん。龍識船のハンターをこちらに回してくれるらしいでな。」
………そんな当たり前の事を忘れていたことに気づかされた。
最近の私は、英雄と呼ばれるハンター像とは全く違う。そのことに気付いて涙が溢れた。
私、なにやってるんだろ…。
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「たまには採取ツアーでも行ってみれば?気晴らしになるかもよ?」
ベッキーからそんなことを言われてなぜか自分もその意見に乗り気になった。
気晴らしかぁ…。たしかに自分を見つめ直すには採取ツアーもいいかもね。
そんなことを考えて私は森丘の採取ツアーに向かった。
そこで待っていたのは、木の棒をもってランポスに囲まれている丸腰の青年の姿だった。
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ベースキャンプに着くと、さっきの青年が待っていた。
「あっ、さっきはどうもありがとうございました。本当に命を救われましたよ…」
そんなことを言ってきた。う~ん。怪しいなぁ…
まさか、あんなところで迷子になってるわけないし…
「いやー、危なかったね!あんなところで丸腰で何してたのさ?」
とりあえず様子を伺うことにする。
「いやぁ… まぁ迷子みたいなもんで ハハハ…」
迷子って… どうゆうことさ…。
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ココット村に向かう竜車に彼も乗せて帰る道中、彼はなんだか疲れている様だったので元気ドリンコをゆずった。 元気ドリンコの感想は上々だった。
元気ドリンコが嫌いなんて人はなかなかいないんじゃないかな?
にしても、この人… 何者なんだろう…。
この辺りでは見かけないしあんなところで絶体絶命になってるなんて怪しいなぁ…。
うん?そういえば村長が龍識船のハンターが来てくれるとか言ってたな…。もしかしてこの人のこと…?
聞いてみることにした。
「この辺りだと見かけない顔だよね… あっ、もしかして新しく来ることになってるハンターって君のことかな?」
「あー、そうかも…しれませんね。」
…なんなんだ、そのハッキリしない返事は。自分のことでしょうが…。 ますます怪しいなぁ…。
「なんだよ~、ハッキリしないなぁ。まぁその家を見てみなよ。じきにココット村に着くからさ。」
そんな感じでココット村に到着した。
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「村長!この人、森丘で迷子になってたんだけど新しく来るハンターさんってもしかしてこの人のことかな?」
とりあえず村長なら何か知っていると思い、村長に話をふってみる。
「おお、そうじゃそうじゃ。この人が新しく龍識船所属のハンターになった方じゃな。」
あら。本物のハンターだったんだ。
…じゃあなんであんなところで丸腰で迷子になってるのさ。そんなんじゃ迷子のハンターとか呼ばれちゃうよ?
でも、私の代理ってことはなかなかに力量がないと務まらないはず。
まぁ、挨拶はしておこう。
「おおー、龍識船のハンターはみんな優秀だって聞くね!これからクエストにいくことがあったらヨロシク!
わたしの名前はレイリスっていいます!覚えといてね!」
とりあえず、よろしくお願いします。
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とりあえず、彼のレベルを見たいと思い装備が届いたと思われる時間帯のちょっと後に彼の家を訪ねてみた。
「おはよ~、装備届いたかい?」
「ええ、いい具合に仕上がってましたよ。」
「それは良かった!じゃあこれから受けていくクエストについて村長がお話したいらしいから来てくれるかな?」
「わかりました。じゃあちょっと準備してきますね。」
…………今ちょっとだけ装備が見えたけど、グリードXRとギザミXRじゃなかった?
まさか、私のパーティメンバー以外にあんな装備を持ってる人がいたなんて…。
なんてこった、下手したら私よりよっぽど強いじゃないか…。
ま、まぁとりあえず村長のところへ連れていこう…。
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「オヌシは既にG級レベルの力は持っておるとの報告が龍識船ギルドからきておる。なのでオヌシにはレイリスと共にG級レベルの高難度クエストに臨んでもらいたい。」
やっぱりG級レベルのハンターだよね…。
となるとさっきの装備は見間違いじゃなさそうだ。
なんであんな装備をもってるのにあんなところで迷子になってるのか…。
「オヌシの力は龍識酒場「ホーンズ」のマスターの御墨付じゃ。期待しておるぞ。」
あの高難度クエストがたくさん集まる酒場の御墨付!?
絶対強い人じゃんか…。なんか自信無くすなぁ…。
「おおー、ただの迷子じゃなかったんだね。ヨロシク!」
とりあえずこの人の弱みは迷子になってたってことくらいかな…。
そこを強調して挨拶しておいた。彼はちょっと不満そうな顔をしていた。
心のなかで「俺は方向音痴ではない」とか言ってそうだ。
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その後、村長に頼まれて彼と一緒にクエストに行くことになった。
森丘でのリオレイア狩猟かぁ…。
彼の力量をみるにはちょうどいいかな…。
そんな気楽な考えでクエスト前に彼と会ったところ、
それはもう驚いた。
な、なんなんですか、そのトンデモナイ装備は…
以前の私のパーティメンバーが装備していた装備とまるっきり同じじゃないか…
なんだか切れ味関係のスキルが充実する装備だった気がする…
そして、それにもましてトンデモナイのが…
…なんですか?その武器は?
とっても禍禍しい雰囲気を纏っていてヤバイ香りがプンプンする。
私のパーティメンバーは私と同じく、古龍級生物の甲虫種から作られる操虫棍を使っていた。その武器だって鋭い切れ味でとても強力な武器だった。
だけど彼の武器はそれすら上回っていそう…
彼はいったい何者なのさ… こんなにすごいなら私の耳にも入ってきていいはずなのに…
そんな具合で私はビクビクしながらリオレイア狩猟に臨んだ。
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…結論から言うと彼はとても強かった。
下手したらもとの私達のパーティの誰よりも強いかもしれない。
もちろん持っている武具の性能もあるだろう。
なんなんだあの操虫棍は…振り回してるだけで爆発の嵐じゃないか…
物理性能だって高そうなのに属性値もそんなに高いのかな…
だけど…………彼自身の立ち回りがうまかった。
まるで以前の私達が行っていた、被ダメージを抑え安全第一でいくというスタイルの到達点のようにも見えた。
それに…
狩りが終わってからの剥ぎ取りの際にお辞儀をしていた。
以前の私は忘れていたその感謝の心を彼はしっかり持っていた。
あぁ…これは私より強いなぁ…
なんで彼が無名のハンターなのかが謎だった。
だけど…
私も久々に協力してクエスト達成することができた。
なんだか久しく感じていなかった感覚だ。
やっぱり力を合わせるのが私には合っているらしい。
多少、彼の実力に嫉妬したりもしたけど…うん、
今日は久々に美味しいお酒が飲めそうだ。
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「かんぱーい!」
「イエーイ!」
グラス同士が当たり、小気味良い音が響く。
「いやぁ、やっぱりただの迷子じゃなかったね!あんなにスムーズに狩猟ができる人はなかなかいないよ!」
「いつまで迷子を引っ張るんですか… まぁでも初めてにしちゃ上出来だったんじゃないですかね?」
「上出来も上出来さ!あんな気持ちいい狩りが出来たら達人ビールだって美味しくなっちゃうよ!」
あんなに気持ちのいい狩りは久しぶりだった。
こりゃあ今日は達人ビールを飲みまくるしかないでしょ!
久々に達人ビールを飲みまくったなぁ…
なんだか彼に装備がどんなもんか聞かれたりしたかも知れないけどよく覚えてないや。
ともかく、今日は狩猟を楽しめた気がするいい一日だったかな…。
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次の日、彼が採取ツアーに行くらしいので私もついていくことにした。
彼はなんともいえない顔をしていたけれども私だってこの間は君を助けただけで採取ツアーをほとんどしてないんだ。それくらい許してほしい。
そんなこんなで森丘へ。
私も彼も採取装備で来ている。
採取装備は作っておくと何かと便利だ。
新米のハンターにも採取装備はあると便利だということをしっかり伝えておきたい。
森丘ではのんびりキノコ採集をしたりすることにした。あと、彼は森丘での経験が浅いから森丘の案内も兼ねてるかな?
やけに厳選キノコが見つかるなぁ…今日はいい日になりそうだ。
彼は毒テングダケしか見つかってないみたい… なんだか自慢したくなったので自慢したところ、彼もムキになって厳選キノコを探し始めた。
おっ、見つかったかな?
彼が厳選キノコを天に掲げて叫ぶ。
「厳選キノコ!ゲットだz…」
彼はキノコを掲げたままブルファンゴに吹っ飛ばされた。
そりゃもう、大爆笑した。息できなかった。
あぁ… 楽しいなぁ… やっぱり私は多人数の方があってるかな…?
彼がものすごい形相でブルファンゴに向かっていくのを見てそんなことを思った。
最後は釣りをして時間を潰すことにした。
なんか、やけにトロサシミウオが食いつくなぁ…
彼はいまいち食いつきがよくないみたい。
なんだか見てて楽しい。
普段の行いから来てるんじゃないか?なんてことを言ったら彼はしょげた。
もう、目に見えてしょげた。
ちょっと悪いことしたかな…
私だって君が来るまでは褒められた行いなんかしてないのにね…
「私、迷子君がくるまでほとんどソロだったんだよね~、もちろん馴染みの仲間もいるけどいまは各地に散らばってて忙しいし…」
「ヘルブラザーズさん達ともいったりするけどあの人達もだいぶ年配になってきてるし、毎日クエストをこなすってのは難しかったんだ~」
「それに、ソロっていうのは危険性が跳ね上がるからね…最近は亡くなったりする事例はギルドの支援が充実してきたからぐんと減ったけど、大ケガをしてしまう可能性は低いわけじゃないんだ…」
「だから、迷子君が来てくれたのは本当にうれしいな。
これで久しぶりに協力して狩猟ができるからさ!」
本心を彼に打ち明けてみた。
彼は穏やかな顔をして私の話を聞いてくれた。
危険性の話をしたところでなぜか彼が息の詰まったような顔をしていたけれどなんだろう…?
彼くらいのハンターならそんなことは重々承知しているはずだけどなぁ…
ともかく、本心を吐いたらなんだか心が軽くなった気がする。
ありがとう。迷子君。
おかげで私はまだ折れることは無さそうです。
彼が上手にこんがり肉を焼き上げるのを見ながらそんなことを思った。
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「で?彼とはなんかあったりしたの?」
「…なんかってなにさ。」
「そりゃもう色恋の話に決まってるでしょ!
アンタはハンターとしてのレベルが高すぎるから、今まで一緒にクエストへ行けるような男性なんていなかったじゃない?
そこへあの迷子君の登場よ?そりゃなんか期待しちゃうわよ~?」
ベッキーがふざけたことを言ってくる…。
だ、だいたい彼は龍識船所属のハンターなんだしココット村を拠点にしてる私に好かれても困っちゃうでしょ。
それに私と彼じゃ釣り合わないし…
「あら、じゃあ私のツテを使って彼のこと貴女の仲間に紹介しちゃうけどいいかしら?彼女たちも貴女と同じようなもんだしね。」
………なんですと?
そ、それは勘弁してほしい。
彼女たちが先をいって私だけ置いていかれるのはさすがにゴメンだ。
そんなことをされたらあの頃の私以上に心が荒れそうだ。
「じゃあ、さっさとくっついちゃいなさいよ。
何でも彼の噂、他の仲間たちにも届いてるらしいわよ…?
彼、なかなか顔立ちも整ってるし実際あったらどうなるかわかったもんじゃないわね。」
これはマズイ…。 彼女たちならガンガン攻めていきそうなのが何人か思い当たる…。
…でもくっつくなんていったいどうすればいいんだ。
今までハンターとして一直線だったからそんなことサッパリだ…。
「う~ん、彼もなんだか色恋沙汰にはサッパリそうね…
やっぱり貴女から、ガンガンいきなさいよ。あれね、最近流行りのイビルジョー系女子よ。」
どんな女子だ…それは…。
「やっぱり彼が寝てるところを拘束して一思いにガバッといくのが…」
私は逃げ出した。
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今日も大連続狩猟を終えてパッと軽い宴会をした。
なんだかベッキーが変な話をするから彼のことを普通に見れなくなっちゃったじゃないか…。
…………でも。
彼が来てから私も楽しくハンター生活が出来ている気がする。
彼となら…なんてこともたまーに、
ほんとたまーーーに思ったりもする…かな?
ひとまず、色恋沙汰は抜きにするとしても
これからも彼と一緒にクエストをやっていけたらいいなぁ…そんなことはよく考える。
こんな私だけど、これからもよろしくお願いします。
書きたいことを書いていたら長くなりました。
彼女の仲間達…後々登場する予定です。
あまり期待しないで待っててください。
使わない裏設定を少々…
レイリスさんのフルネームは
レイリス=レッドイーグと言います。
使わない設定です。