結有と吹雪が異世界に放り込まれたようです   作:SAMICO

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ディオリア戦記Ⅲ~戦いの果てに~

インド沖海戦が始まっている頃、

ジャポネの()()()に、全員が集結していた。

「さて、やりますか……」

薄雲(智紀)の呟きに、全員に緊張が走った。

「では、行って来ます」

「後でまた会おう、諸君」

『オーーーーーー!!!!』

メルフィと裕二のその言葉に、全員が気合い入れの号令を叫ぶ。

「声が小さい!叫べ!」

『オーーーーーーーッ!!!!!!』

侍達も、今は和服を脱ぎ捨て、迷彩服に身を包んでいる。

腰には脇差で、戦い易くなっている。

各務原式CQCにより、()()()()()()()()()()()()()の誕生である。

 

「では行きます!Vas Rel Por!」

眼の前に現れた楕円形のゲートが開かれると、駆け込む二人。

二人が姿を消すと、ゲートが霧散して消えていく。

 

 

ゲートを潜って出た、ディオリアの首都ローミアは、既に廃墟となっていたが、

魔法学校()()は、無事にその姿を残していた。

「おかしい……」

「分かった、十分警戒しよう。では召喚の準備を……!」

そういった裕二は、()()()()()に気づいて、メルフィを抱き寄せた。

「きゃ!?」

小さく悲鳴を上げるメルフィに、大きな火球が掠めて行った。

チリっと焦げる髪に、飛んで来た方向を見ると、そこにはナスタージ導師がいた。

「ナスタージ導師!?……貴女が首謀者だったんですね!?」

「その通り。私は、ニール・ザ・ダークネス(暗黒術師)

暗黒術師とは、()()()()()()()()を専門に行う、道を外した魔術師のことである。

「そんな……じゃあ私は……?」

「そう。最初から、あの試験で教えた魔法は、『外の次元から深海棲艦……魔神』を呼び出す為だったんだよ」

「………そんな……」

バシィン!

力無く項垂れそうな、メルフィの頬を叩く裕二。

「甘ったれるな!お前のその力が、()()()()()()()()()()だ。現状維持は私がやる!呼び寄せろ!仲間達を!」

「は……はいっ!」

一瞬茫然となったが、頬を手を押さえながら、涙目で強く頷いた。

「行きます!Vas Kal An Mani In Corp Hur Tym!!!」

それを止めようとするニールに、裕二は日本刀で斬り掛かり、詠唱を妨害する。

ニールも魔法の杖で受け止め、魔力がスパークする。

「貴様……魔人か!?」

「いや。私は()()()()()鬼神(オニ)だ!」

 

二人が斬り結んでいる間、メルフィの前に魔法陣が展開され………

現れたのは、戦車と精鋭達の姿だった。

「くっ……魔神共……!」

そのインスタント詠唱に呼応するように、魔神達が現れ、大規模な戦いになって行く。

「よっしゃあ。お、ナスタージ導師も無事か……?」

薄雲(智紀)の言葉に、メルフィが叫ぶ。

「違います、その人は……!」

「そいつが首謀者だ!」

続けて裕二が叫ぶ。その言葉に、新井田博士が確信めいた言葉で囁く。

―――こいつが私の同位体か……

(そのようだな)

「全軍、魔神共を制圧せよ!」

副隊長(横関大佐)の号令と共に、特別教導隊と武士達は、魔法学校めがけて進撃を始める。

時雨(結有)はそっちには加わらず、薄雲(智紀)と共に、ニールめがけてナイフを抜き、裕二の援護を行う。

少数の護衛と共に、その様子を見守っている。

「3対1か……では逃げ……体が動か……!?貴様か!?」

そう。智紀と新井田博士が、意識を押さえ込んだのだ。

「スキありっ!!」

その言葉と共に、首筋を切り裂き走り抜け、その後ろから裕二が胴体を切り裂いていった。

結有の霊子の刃と、裕二の刃が、ニールの首と胴体を切断していったのだ。

その意識は薄雲(智紀)へと流れ……

記憶と能力だけを奪い、新井田博士が意識を磨り潰して行く………

―――この若人の補佐は、この儂だけで十分じゃわ。

等と言いながら、薄雲(智紀)をげんなりさせる。

実際、いろいろな面で世話になっている智紀は、何も言えないのだ。

 

すぐにメルフィ達も、あのミステリーサークルへとやって来た。

その辺りでは、武士や特別教導隊の死体から、()()()()()()に替わり、生き残った精鋭達と共に戦っていた。

霊子が強く、死んだ者は、妖精化の傾向が強いのだ。

空には黒龍騎士団もやって来て、混乱しているが、

「行こう!メルフィ!」

「はいっ!」

時雨(結有)が手を差し出すと、メルフィが摑んで……

 

「Vas Kal An Mani In Corp Hur Tym!!!」

その詠唱と共に、辺りが光に包まれて行き……

夕立姫の声が響き渡った。

「ありがとう。また会おうね、結有ちゃん!!」

「うん!夕立姫」

 

 

――――――――

気づくと、結有達は東富士演習場にいた。

陽子妖精等、いずも改二リペア組も一緒だった。

「結局、大特異点はメルフィだったんだな………」

「ぽいー…お帰りっぽい、結有」

特別教導隊見習い隊員の()()が、笑顔で出迎えをしてくれていた。

 

 

結局、歴史はあの世界の魔法要素()()を受け入れ、()()()()()()()()()()()()()()()()()

魔神による戦いや、レジスタンスの決起。そして、日本の大きな変更点は、

()()()が存在しておらず、()()()()()()()()()()()()が幕末まで存在し、明治維新で倒れた。

高梨家は、GHQの()()()()()()によって、臣籍降下した由緒ある家にされてしまっていた。

 

更に夕立は、先祖帰りを起こして、夕立姫の記憶を持っていることが判明したのだった。

結局は全て元通り。一つ違うのは、死んだ者達が妖精化したことと、

いずも(ミナ)が「元」艦娘化したことにより、Sハウンドが解体されたことだった。

 

こうして、魔法の世界に放り込まれた結有と吹雪の冒険は終わった……筈だった。

 

 

 

「うわぁぁぁあぁっ!!!」

と云う声と共に、()()()()()()が飛んで来なければ……

「何しに来やがった!?このダメルポめ!!」

「ダメルポって何ですか!?」

 

結局、戻れなくなったメルフィは、放ったらかしておくといろいろ危ないので、特別教導隊として面倒見ることになりましたとさ。

こちらの世界では、戦艦女神討伐の影響で空間の霊子が足りず、メルフィの出す魔法も、やること成すことも三振ばかりであったのを、最後に添えよう。

「このダメルポがッ!!!!」

今日も、鬼教官各務原裕二の叫び声が響き渡る。

「ひえええええ!!!」

 

 

 

 

あと一つ。フレーゲル男爵は、その後ディオリア王国の王族となり、イタリアやその周辺国の再生に尽力して生涯を終えた、と歴史書に刻まれている。

その傍らには、ジャポネの女官達がいつまでもいたという。

その後は、だいたい民主化運動が起こり、現在の世界とそうは変わらなかった。

だが、()()()()()()という波、に一つの楔を打ち込んだのは間違いないだろう。

 

こうしている今も、数多(あまた)の平行世界が存在する。だが……

「もう懲り懲りだよ!」というのは、()()()()()()()()である。

 

 

fin




思いつきで始まったお話、無事完結しました。
これにて、通常営業の本編とエナツキの不定期更新に移行していきたいと思います。

次回更新までお時間を頂くかもしれませんがご容赦ください

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