燃え盛る、ディオリア王国を眼下に飛行している飛行船。
「皆は大丈夫っぽい……?」
夕立姫は、乗船までの時間を稼ぐ為に、魔神に立ち向かった家来の身を案じていた。
――――――
「姫様、ここは我々が食い止めます。時雨殿、お客人殿、頼みましたぞ!」
教育係の爺である我那覇陽三をはじめ、男の家来達と
不知火登場で、Sハウンドの面々は、ここも平行世界、と云う確信を強める中、女中達と飛行船に乗り込んだ。
最後まで見送ろうとしている夕立姫の手を、
「時雨、私達も行くっぽい!」
「うん!行こう!」
最後に、二人が飛行船に乗り込むと、お屋敷に火が放たれ、燃え盛っていくのが見て取れた。
「ありがとう……爺や……皆」
一粒だけ涙を見せると、夕立姫はキリッとした顔に戻り、進行方向である
西には、ブラウンシュヴァイクの領地があり、周到に準備されていることは明白だからだ。
―――――――
空へ追い縋る飛び魚戦闘機は、上空からの砲撃で落としたり、ほっぽの艦載機が次々と迎撃していった。
「ディオリアは終わりだな……城が落ちたぜ」
崩れ落ちる王城を眺めながら、
「叔父上め!門閥貴族の誇りはどこへやったのだ!」
怒りに震えるフレーゲル男爵に、
「お前が言うなや。その門閥貴族の枝のお前が、ケチな自作自演をやっているように、既に根っこの部分は腐っていたんだよ。奴じゃねえ、奴を
「薄雲殿………」
「政治の腐敗の結果だ。賄賂を貰ったり、不正を行うのはそれ個人の結果であって、
「………」
無力感に打ちひしがれているフレーゲルの肩を、薄雲はぽんと叩いた。
「それより、船室の女中達を頼む。こっちはこっちで手一杯なんだ」
「わかった。薄雲殿」
そう言うと、船室に駆け下りて行ったフレーゲルを見送り、自身も砲撃を開始する。
「良いこと言うじゃない」
「いや、新井田の言葉だ」
声を掛ける
その言葉に、
その直後だった。
「右、右舷前方!!何か来るっぽい!!」
振り向いた全員が目にしたのは、
船体に体当りすると、そのまま後方でUターンする。
「きゃあああっ!!!」
「姫様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
揺れた船体から放り出された夕立姫と、その手を摑んだ
「姫様!結有!!」
瑞希も飛び降りようとするのを、智紀と吹雪が押さえ込む。
「よせ!今は、一刻も早くジャポネに行くんだ!ここには、戦闘の出来ない女中さんもフレーゲルも居るんだ!」
「結有ちゃん達なら大丈夫、
「ぐっ……」
「あの戦闘機姫は、オレがやる。降霊弾装填……ファイア!」
後方から突撃する戦闘機姫は、降霊弾に骨ごと吹き飛ばされて消滅していった。
「よし、離脱だ。南に下って海に出るぞ!こちら
『了解だ!』
砲雷撃戦は続いている。
「こっちだ!そこは危ない!!私の後ろに来るんだ!」
船内ではフレーゲルが、穴の開いていないところに女中を避難させながら、修理を開始している。
落ちないように、安全索を繋いでの作業である。
男であるフレーゲルが、
フレーゲルは、
――――――――
……時間は遡り。
智紀は、戻ってから何もしてない訳ではなかった。
ディオリアに最強の部隊を派遣させるべく、霊子装備をフル装備した特殊部隊、
霊子装備の89式小銃や、霊子レーダーという、霊子を強く持った相手を捕捉するレーダー等、
夕張
部隊規模は連隊クラスで、常時800人ほどの元海兵旅団の精鋭が在籍している。
そんな彼等を集結させて、次元の歪み……
裕二は協力的で、
もちろん、大垣大臣の理解もあってのことだが、
そして数日が経った頃、
「よっしゃ、引っかかった!やっぱり、
「そのようだな。野郎共!お前等の楽しみにしていた、戦場が待ってるぞ!」
『ウォォォォォ!!!!』
もはや、裕二も
そんな訳でやって来た、鬼神と愉快なキチガイ共は、各務原分家家臣団と合流し、深海棲艦もとい魔神相手に、殺戮を繰り広げていた。
偶々居合わせて、魔神に協力していたブラウンシュヴァイク公爵を、
『こちら薄雲、結有とぽいぽい姫が転落した。大佐はそのまま東に進んで、霊子レーダーで合流を目指してくれ』
その言葉に、裕二が
「了解だ!野郎共ォォォ!!私の大事な愛娘が転落した!これより東に突破し、救いに行くぞ!」
『ウォォォォ!!!!!!』
裕二の憤怒に満ちた怒声と共に、愉快なキチガイ達と家臣団は、怒声を上げて東へ突撃していった……
ディオリア王国に
だが、平和という、
軍に残った元海兵旅団は、ただの
―――――――
その頃、
中東は元々、七星の支配が弱い地域で、レジスタンスに拾われた彼女等は、
レジスタンスの一部と共に、東のジャポネを目指していた。
その後方から、突貫工事のごとく追いかけて来る
そのレジスタンスにも、支配領域から出る頃には別れを告げて、再び二人旅となった。
「大丈夫……?」
「ぽいー………」
しゅんとしょげている夕立姫をなんとか慰めながら、時には背負って、魔神のいない道を慎重に進んでいく二人。
シルクロードの砂漠をただ歩いているだけ……
夜は寒く、昼間は熱い。その過酷な状況は、二人の精神を確実に蝕んでいった。
「もうだめっぽい。ここで死なせて!!」
限界を超えた夕立姫が、自殺をしようとした時だった。
遠くから、戦車の音が聞こえた。
「待って!これは……?」
「あれは!?鉄の車に乗ってるのは、爺!?」
覗いている双眼鏡には、戦車から顔を出している、家老の我那覇陽三の姿と、
最強とはいえ、数十名の戦死者を出した、特別教導隊の姿が見えた。
「助かった!!!助かったよ!!!」
ぎゅっと、痛いくらいに抱き締めるその姿を、二人の
その頃飛行船は、南に向かって進撃中である。
吹雪「あ、結有がまた女作った予感」