rikkaのメモ帳(短編・走り書き集)   作:rikka

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FF7②

 気配は完全に隠している――つもりだった。

 実際、ここまでまったく反応は見せなかった。

 後ろから近寄って素早く意識を刈り取ってマテリアを回収。さっさとオサラバしてもっと実入りの良さそうな所に行く予定だった。それが――

 

(一番身動きの取れない場所に来た途端に矢を――)

 

 どう見てもお手製の粗悪な弓と矢だ。あれでは狙い通りに射るのも一苦労するハズ。

 だが、この男は的確に自分の潜んでいた天上が崩れるように矢を撃ち込んだ。

 そして今、寸分の互いなく自分の首元をいつでも貫けるように槍を突きつけている。

 

 故郷を飛び出て、色んな経験を積んできたと思っていた。

 ヤバい目だって、乗り越えてきた。

 だけど、初めて出会った。

 

 ――勝てないかもと、強く思わせる男に。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど。ようするにここってその『神羅』って連中の兵士が使ってた施設で、君はそこに残っているだろうマテリアを回収しにきたと。そして、そこにいる俺を『神羅』の兵隊と勘違いしたと」

「そ、そうなんだよアニキ! ホント悪気はなかったんだって!」

 

 ……アニキ?

 

 まぁいいや。とりあえず言葉が通じるのはすごくありがたい。

 人と話すのが久々すぎるというのもあって凄く嬉しい。ずっと一人で、しかもすっごく不安だったから人相悪くなっているだろうけど勘弁してほしい。

 

「話は分かった。まぁ、正直別に気にしていない」

 

 襲おうとしていたって聞いた時は『おぉう?』ってなったけど、別に殺そうとしたわけじゃないんだし……。

 

「マテリアに関しては、そうだな……」

 

 ここにあるのは黄色と紫の奴ばっかり。

 多分、どれも使えば強力なんだろうけど現状俺には使えない。

 お守り代わりに一つだけ――なんとなく紫の奴を選んで、他の奴を全部少女――ユフィに差し出す。

 

「コイツ以外は基本的に、全部君が持っていっていい。そうだな、一応念のために君もここを調べておくといい」

「マジで!?」

 

 マジです。

 ぶっちゃけ、欲しい人間が持っていた方がいいだろうし、俺はここを出て安全な生き方を見つけられればそれでいい。

 

「ただ、一つ頼みたい事がある」

「なになに!? 変な事じゃなかったらなんでも聞いてあげるよ!」

 

 お、おう。なんか急にテンション高くなってノリ良くなったねユフィ。いや、そっちの方が助かるけど。

 

「とりあえず、俺もここを出たい。適当な町まで一緒に行ってくれないか?」

「町?」

「あぁ……色々理由があって。俺はずっとここにいて……つまり、周辺の地理などまったく知らないんだ」

 

 地図こそ見つけたが、そもそも現在地がさっぱりだから何の意味もない。一応貴重品入れの中に入れているし、頭に叩き込んではいるが現状役に立たない。

 

「つまり、外に連れ出してほしいと?」

「そういう所だ」

 

 周りは深い森だし、おまけに化け物に囲まれているときた。

 マテリアとやら使えば戦えるかもしれないと思って、前に出来るだけ持って外に出ようとしたことがあったが、その時は凄まじい数の化け物が押し寄せてきて滅茶苦茶怖かった。まだこちら側に来たばかりの時だったか……。

 

「外からここまで来た君なら出来るだろう?」

 

 ここまで来たということは、あの化け物達がいる森を抜けてきたと言うことである。

 当然ながら、外に出る道順もわかるはずだ。

 

(仲良くしておこう。この娘とは)

 

 結果として、矢で殺しそうになった俺に対しても怒りを見せず、それどころかフレンドリーに接してくれるとか……いい娘だよ。この娘すごくいい娘だよ。

 

「あぁ、そうだ」

「ん、なに?」

「基本的にマテリアは全部あげるけど――」

 

 

 

「――使い方だけ教えてくんない?」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

(やっぱり、コイツめっちゃ強い!)

 

 ここらの事を何も知らないと言ったその男は、モンスター相手に矢を放てば的確に弱点を射ぬき、槍を振るえば一撃で相手の動きを封じ、攻撃されれば確実に避ける。そのどれもが最低限の動きで、だ。

 

「……ん?」

「どうしたの、アニキ?」

「そこの木の洞、中で何か光った気が……」

「ちょっと待ってて、アタシが見てくる!」

 

 そして目も勘も利く。大した観察眼と言うべきか。

 さっきからそのおかげで様々な物を拾っている。薬にアイテム、武器に弾薬、そして――大量のマテリア。

 

「やった、またマテリア! しかもレア物!」

 

 正直笑いが止まらない。

 新羅の影響下にある街にいけばいくらでも買えるような物から、滅多に見れないレア物までマテリアがザックザクだ。

 

「確か、珍しい物でも使いこめば増えるんだったか。例の拾った武器に取りつけておいたらどうだ?」

「あー、アタシの武器のマテリア穴はもう増やしたい奴で一杯だし……そっちの武器でいいんじゃない? 強いし」

「いいのか?」

「いーのいーの! そっちの武器も成長早い奴だし!」

 

 この森の探索――正確にはこの男を拾ってから、自分の装備も立派な物へと変わった。切れ味も良く、マテリアの成長率も良いという素晴らしい物だ。

 そして、それはこの男も同じだ。

 

 トールと名乗る男の背には立派な弓が、そして腰には刀と拳銃がそれぞれ差されている。

 性能はもちろん、これらもマテリア成長を早める物だ。おかげでこの男、ますます手がつけられなくなっている。

 

(絶対にこの男は怒らせない様にしよう)

 

 少なくとも悪い奴ではないとは思う。手に入れたアイテムは基本全部自分に管理をさせてくれているし、モンスターとの戦闘時は自分の手間を減らすために、自分から囮役を買って出たりもする。

 うん、悪い男ではない――と、思う。

 

「分かった。とりあえずは俺が預かっておこう。それにして……ここは思った以上に深い森だな……」

「っていうか、どうしてあんな所にいたのさ?」

「俺にもよく分からん。普通に家で寝ていたはずなのに、気が付いたらあの建物の中だ」

「……さらわれた、とか?」

「どうかねぇ。正直、俺にも良く分からん――というか……まぁ、説明しづらい」

「ふぅーん……」

 

 ただし、正体は不明のままだ。本当に自分でも分かっていないのか、それとも隠しているのか。

 ただ、演技にしても知らない事が余りに多すぎる。

 マテリアの使い方程度ならともかく、『神羅』の事まで知らない。いや、そもそも自分が今どこにいて、そしてどこにいたのかを上手く説明できないというのは……。

 

「まぁ、そういうわけだ。だから、お金――ギルだったか? それといくつかのアイテムは山分けにしてもらいたい」

「あ、いや、ううん! 別にいいって別にいいって! マテリアだって十分すぎるくらいもらっているのに!」

 

 だからこそというか、この男の無欲な部分がえらく目立つ。

 

「そうだ。トールは街に着いたらどうするつもり?」

「トールじゃなくてトオル……まぁ、いっか。正直、考えてない。とりあえず当面の金さえあれば、安宿でも拠点にしながら仕事を探そうと思っている」

「……つまり、予定は未定ってことだよね?」

「ん? あぁ、まぁな」

「じゃあさ」

 

 

 

 

「ちょっとアタシと一緒に一稼ぎしてみない?」

 

 

 

 

 

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