rikkaのメモ帳(短編・走り書き集)   作:rikka

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少し前に書きなぐってお蔵入りしていた物です


【オリジナル】転生サバイバル
転生サバイバー①


『転生生活日記』著:南雲透 5日目

 

 

 何かに記録を残しておかないと感覚が狂いそうになるので、こうして記録を書き残すことにする。

 俺が死んで――うん。多分死んで五日が立った。

 

 病院のベッドの上で意識が遠のいたと思った俺は、気が付いたらどこかの浜辺に打ち上げられていた。

 身体は普通に動いた。寝たきりとは思えない程に。

 だけど滅茶苦茶腹へって、しかも寒かった。ずぶ濡れだったのだから当然だ。

 

 とにかくどうにか暖を取らなきゃと強く考えてたら――なんか掌から炎が出てきた件について。

 

 

 

 

 

 

 

 

【01:火の扱いはサバイバルの基本】

 

 

 

 

 

 

 この訳のわからん浜辺に暮らしだして6日目。天気は小雨。

 まず起きてやることは釣りだ。

 といっても普通の釣りじゃない。

 

「……ん……」

 

 まずはじっと海面を見る。

 態勢を低くする事がコツだ。普通の魚はどうなのか知らないが、ここらの奴らは見つかったら一気に離れて行く。

 立ったまま観察していた時は、近づくかと思った瞬間一気に逃げて行きやがった。

 

「……いた」

 

 目視できる距離にいない事もあったのだが、今朝はどうやら運が良かったらしい。

 5匹程の小さな群れが、浅い所を泳いでいる。

 

 そっと、手のひらを向ける。

 

「ファイアっ!」 

 

 感覚は未だに掴めない。

 だが、分かりやすい言葉を口にする事でイメージを集中させると発生しやすい。

 ここにきた当初ではライターの日よりは少し大きい程度。それが今では基本的に30センチくらい……かなり頑張れば2m程まで炎を撃つ事が出来る。

 

 爆発する海面。そして宙を舞う、気絶した40センチくらいの魚三匹。

 朝飯としては十分すぎるだろう。

 

 海面に浮かぶそれを回収して、辺りを見回す。

 やはり、本当に何もない。

 

 目の前にはただただ広がる海と雨雲。足元には白い砂浜。

 背後には森。右方向にはマングローブ? の林。左はずっと砂浜が続き、遠くの方に山が見える。以上。

 

 建物無し、人影なし、寂れたバス停や休憩所のような、人の手が入ったと思われる物が一切なし。

 

 

 ――というか、ここどことかいう前に、ここは何?

 

 

 そもそも手の平から火が出る時点で普通じゃない。

 そして――

 

 

『info:スキルの上昇を確認。炎魔法スキルのレベルが4になりました』

 

 

 ぽーんっ。という音と共に、こういうアナウンスはまず脳内に流れてこない。

 

 おう神様。いるかどうかわからんけど神様よ。

 生き返らせてくれたのは嬉しいけど、もうちょい分かりやすくしてくれてもいいんじゃないんですかね?

 

 

 ――魔法使えるのは嬉しいけどさ。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 とにもかくにも、下手には動けない。

 今はどうにか食糧が確保できる環境にあるが、例えばこのまま森の中に入っても同じように食糧が確保し続けられるか分からない。――というか、迷う。迷って泣き叫ぶ自信がある。

 

 浜辺に沿って山が見える方に行くと言う事も考えたが、緩やかなカーブを描く砂浜は向こうの方まで真っ直ぐ見通せ、特に何かがあるようには見えない。山の手前の方にはやはり森が見えるし。

 

「まずはキチンとした家作ろう」

 

 今の自分の住んでる所は、簡単なテントだ。

 流木や木の枝を適当に立てかけて、近くの木の大きな葉っぱを壁代わりに引っかけた――つまり、正確にはテントの成りそこないという代物である。

 

 無論、キチンとした建物を作るなんて事は無理だ。

 ただ、せめて隙間風などしない、キチンとした寝床が欲しい。

 今みたいな小雨(こさめ)ですらすぐに雨水が()ってくるのは勘弁願いたい。

 

 今日の様に雨が降ると一気に冷え込むが、普段は意外と温かい。

 だからこそ、せめて室内だと思わせてくれる住処が欲しい。今の状況はほぼ野宿と変わらない。

 

「つまりは、木が必要になるんだが……」

 

 本当はもっと他にいい方法があるのかもしれないが、パっと思いついたのは木の板をいくつも用意して、それを敷きつめて床や壁、天井にする事だ。

 

 そして、木なら大量にある。すぐ後ろに。

 問題はそれをどうやって加工するか、だ。

 

「火ならいける……か?」

 

 昔なにかの本で、熱した鉄ごて等で丸太を加工してボートを作り出すというのを読んだ事がある。

 同じ要領で、切り倒す事は出来ないだろうか?

 さすがに道具無しでは上手くいかないだろうが、とりあえず根元の方を焦がしていけば脆くなって、ちょっとした力で倒れてくれるかもしれない。

 

「うし……っ」

 

 とりあえず、食い終った焼き魚の骨を捨てて立ち上がる。

 いつもならば水の確保もしなくてはならないが、今は雨水を貯めている。

 

 森に生えている木は、どれもこれも結構太い。

 目に入る中で一番細い奴に掌を向けて――

 

「ファイアッ!」

 

 炎を放った。

 

 

 

――ずどがぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁっ!!!!!

 

 

 

 つもりが爆散した。

 

 

「………………ぁお?」

 

 

 ちょっと幹を焦がすつもりだった。

 それがどうでしょう。周辺の木々を巻き込む爆発、炎上、そして倒壊。

 

「ちょ、待――っ! ちょまちょまちょまっ!!!?」

 

 めきめきめきぃっ! と音を立てて、巨木が倒れる。

 よりによって、燃え盛るまま。

 よりによって、まだ無事な他の木々へと。

 

 

――ぽーんっ

 

 

『info:炎魔法スキルのレベルが4になったため、威力、射程にボーナスが追加されます』

 

 

「知るかぁぁぁぁぁぁぁぁっ! つかなんでその説明が今!!?」

 

 使ったからか。スキル使わない限り教えてくれねーのか! どんだけ不親切なシステム!? つーかお前はなんなんだよ!?

 

 頭の中の声に文句を付けている間にも、火をどんどん燃え広がっていく。

 この小雨(こさめ)では消えるのにも時間がかかるだろう。

 つまり――燃え広がる炎を止める手段がないわけで……。

 

(……よしっ。魚、もう一匹焼こう)

 

 俺は燃え盛る森から目をそらして、粗末なテントの中へと戻っていく。

 見えない。俺にはなんにも見えないし聞こえない。

 どんどん強くなる炎の音も、雨が蒸発する音も、何かの動物の雄たけびもなんにもなんにもきーこえない。

 

 

「俺しーらないっと」

 

 

 

 

 

 

 

『転生生活日記』 6日目

 あいもかわらず周囲に人の影なし、食糧と水を確保し続ける生活。

 

 

 追記:森の一部が現在進行形で盛大に燃え上がっている件について。火の用心には今後気を付ける事。

 

 

 

 

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