rikkaのメモ帳(短編・走り書き集)   作:rikka

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転生サバイバー④

「そうですか。貴殿が自分を……かたじけない」

 

 束ねていた髪を一度下ろし、女は積み上げた藁の上に正座している。

 目を覚ました彼女は、慌てずに周辺を確認してから俺に声をかけたのだ。

 といっても、海にまだいくつか浮かんでいる残骸などで大体の状況は分かっていたようで、説明にもほとんど時間はかからなかった。

 

「しかし、貴殿もここがどこか分からないというのは……」

「それどころか外の事も分からないんだ」

 

 侍というか、漫画やアニメに出てきそうな『和風剣士』という感じのピンク髪の女は、不審というよりは困ったという様子で眉をひそめる。

 

「えぇと、アオイだっけ? 状況が混乱しているのは分かるし、信じられないのも分かるが、とりあえずそちらの知っている範囲の事を説明してくれないか?」

「……そうですね。まず、どこから話せばいいか迷ってしまいますが」

 

 そして女武人――アオイは、一度ため息を吐く。

 

「恐らく、この海の向こう側はもうほとんど滅んでいるでしょう」

「……そっか」

 

 

 

 

 

 

「…………………………………………今なんつった?」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 魔法と科学の文明が発達した――いや、しすぎた世界。

 自分がいるこの世界を一言で説明すると、そういう感じのようだ。

 

 魔法を使い限定的な奇跡を起こし、それらを科学の力で維持し、発展を続けていた社会は、一つの力を手にした。

 

 自動人形(オートマトン)と呼ばれる存在らしい。

 口の悪い人間は『スレイブ(奴隷)』と呼んでいたらしいが……。

 

 姿は人間型から動物型、果ては植物の様な物まで。ありとあらゆる作業を可能にし、暮らしも便利になったらしいのだが……どうにも、人はそれに頼り過ぎたらしい。

 

「機械の暴走、それに伴う社会の崩壊。最初はどうにかしようとしていたのですが、結局人類は押しに押され……」

「つまりアレか。その魔法と科学のハイブリットロボットとの戦争になって人類サイドが負けたのか」

「えぇ、もう200年以上は戦っていると聞いております。ずっと人は戦い続けていて……どこもボロボロに」

 

 ジーザス。なんてこった。

 目の前の女を助けた時には、彼女の暮らしていた場所を目指そうと思っていたのだ。

 それがまさか、その場所がかなり深刻な戦場になっているとは……。

 

「ここは、おそらく人の手が一切入っていない場所なのでしょう。でなければ、こんなに青々とした植物が()っているハズがありません」

「向こう側はどうなんだ?」

「植物も、人や家畜が口にするモノ以外は見た目こそ普通でしたが機械にございます。効率的に空気を浄化し、大気成分を一定にするための……暴走が始まってからはおぞましい姿に変わってしまっています。場所によっては毒を吐きだしていたりするので……」

「おぉ、もう……」

 

 完全に世紀末世界じゃねーか。今までこんな誰もいない所に放り出された事にブチ切れてたけど、認識を改めよう。

 神様ありがとう! ホンットありがとう! 今まで生意気言ってすいまっせんした!

 ここじゃなかったら俺また死んでたよ絶対!

 

「我々は、大陸を船で脱出し、新天地を求めて出発したのですが……予想外の暴風雨に巻き込まれてご覧の有様。護衛船の我々も、陛下が乗られていた船も――」

 

 女は俯き、フルフルと震えている。

 そしてそっと腰の短刀に手を添え、

 

「主君を守れなかった罪! この命を持って償わせていただきます! 御免!」

「待て待て待て待てっ!!!!!」

 

 我ながらよく動いた!

 咄嗟に短刀を握る手を掴み、渾身の力で押しとどめる。

 ってかコイツどんだけ馬鹿力なんだ! 片手に対してこっちは両手なのにジリジリジリジリと押されてるんだけど!?

 

「いいか良く聞け! まだ死んだと決まったわけじゃねーだろ! ひょっとしたらお前さんみてーにこっちに流されてくるかもしれねーじゃん!?」

 

 俺がそう言うと、ようやく思いとどまってくれたようだ。

 む、と小さく声を漏らすと短刀を握っている手の力を緩める。

 

 

――ぽーんっ

 

 

『info:パッシブスキル『説得 レベル1』を入手しました』

 

 

 ぃやかましいわっ!!!!

 

「だったら、お前さんは生きてここをちょっとでも住めるようにする必要があんだろ? ただでさえ色々と困っているし、食い物とか水含めて足りない物だらけなんだっ!」

 

 だから協力してくれ。

 そういう意図を込めてそう言う。

 良く分からんが説得スキルとやらが生えたんだ。多少は成功率も上がっているハズ――

 

「そんな……私が生き残ってしまったばかりに貴殿に負担が――腹を切ってお詫びする所存! 介錯を!」

「待て待て待て待て待て待てっ!!!!」

 

 言葉のチョイスが悪かった!

 手に入ったばかりのレベル1スキルなんぞを頼りにするのも悪かった!

 

 再び全力で自らの腹目がけて短刀を振りおろそうとしている腕を再び全力で止める。

 

「なに、なんなのお前!? 綺麗なサムライガールが来てくれたと思ったら綺麗なハラキリガールが来やがったのかっ!!?」

「申し訳ございません! 刃を振るう以外に能がない存在ゆえ――御免!」

「だから待てっつってんだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『転生生活日記』 8日目(追記)

 

 この訳のわからん転生サバイバル生活が始まって一週間ちょっと。

 ようやく仲間が出来ました。

 

 …………胃が痛い。

 

 

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