rikkaのメモ帳(短編・走り書き集)   作:rikka

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コナン-③

「すみません、浅見さん。コナン君のお世話まで」

「いや、大丈夫。熱がキツかっただろうにここまで走ってきた男の子だ。俺としても、この子が俺達に何を伝えようとしたのか興味ある」

 

 いやホントに。

 服の所々に煤が着いてるし、多分橋は燃やされたんだろう。

 これで脱出ルートは無くなった。何かが動くとなるとそろそろだ。

 

 駆け寄った時に、このコナン君は蘭さんに「逃げろ」と言っていたし、あまり蘭さんから離れる訳にもいかないし……。

 

「浅見君、ボウヤの様子はどうだい?」

「えぇ、大丈夫です。土井塔さんの見立て通り、ただの風邪の様です」

「君と僕の見解が重なっているんなら間違いないだろう。」

 

 にしても、危機的状況に駆けつける男の子か。

 毛利探偵が鍵と思ってたけど……この子か?

 

 まぁ、決めつけるのはまだ早いけど。

 とりあえず、この事件の解決を見届けない事にはなんとも……。

 

「あの、コナン君は私が見ていますから、皆さんはどうぞ下に。今日は皆さんのオフ会なんですし」

 

 見た目通り人がいい蘭さんはそう提案してくるが……さて。

 

(前々から思っている通りここが物語の仲なら十中八九ミステリー。となると探偵役がいるのが当然なんだけど……)

 

 有力候補だった毛利探偵はここにおらず、連絡手段は恐らくなし。

 こちらでなにか起こっても情報を伝える事はできない。

 さっきこっそりと電話を確認したら、もう切られてたし。

 

(毛利探偵の娘である毛利蘭と、友達でミーハーな鈴木園子は多分違うかなぁ。動機を持つ程の接点は多分ない。子供のコナン君も当然違う)

 

 容疑者候補は、やっぱり自分達愛好会のメンバーになるだろう。まだ事件起こってないけど。

 あぁ、いや、コナン君がなんでここに戻ってきたかにもよるか。

 

(探偵役はこの中の三人の誰かだと思うけど……そうか、何か聞かれた時に他の人間の動きを把握しておかないと、探偵役に情報を渡せないよなぁ)

 

 探偵役なら、なんだかんだで情報を手に入れる事は出来るハズだが、早いに越したことはないだろう。

 

「オーライ。それじゃあお言葉に甘えて、俺たちは下で皆と絡んでくるよ。もし、坊主の様子が変わったらすぐに呼んでくれ」

 

 とりあえず、名探偵の娘で財閥の令嬢と繋がりのあるこの子は要注意人物だ。

 なんというか、変な事でピンチになりそうだ。探偵役だったにせよ、その関係者だったにせよ。

 鈴木園子も同じなのだが……なんというか、こう……この子は鈍そうだ。

 

(となると毛利蘭か……あるいは多分燃えかかっていたんだろう橋を突っ切ってきたこのクソ度胸のある子供か)

 

 うん、よし。下に参加した方がやっぱり良さそうだ。

 

(出来ることなら、事件が起こる前に犯人とっ捕まえる事が出来れば理想なんだけど……)

 

 なお、飲み会を始める直前で、起きたコナン君から、すでに一人死んでいる事を聞かされた上に、参加者の浜野さんが殺されていた件について。

 うーん……やはり、そうそう上手くいかないか。

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

○12月22日

 

 クリスマス目前だというのに金も彼女もなし。お寒い事で……。

 事件は無事解決した。

 犯人が殺害を予定していた人間はあの二人で、つまりは被害を減らすことは出来なかったわけで……。

 まぁ、仕方がないと割り切るしかないか。

 ただし、収穫はあった。

 名探偵『眠りの小五郎』の正体が分かったことだ。

 まぁ、同時に図らずも探偵役の邪魔をしてしまったけど……あれは焦った。

 妙な物を構えていたから反射的に手を出してしまって……とっさに瑞紀さん仕込みの演技で上手い事誤魔化して、『眠りの小五郎』の正体だったコナン君の協力を得て解決できた……けど。

 

 土井塔さんにはビックリしたなぁ。まさかキッドだったとは。

 いつの間にか俺にスピーカー付きのシール張り付けて消えていたコナンが謎を解いたら土井塔さんがキッドになって……園子ちゃんが音波兵器になって耳がきつかった。

 

 しかし土井塔さん……繋がりが欲しい人だったんだが……。

 実際にあの事件を通して簡単な検死が出来るくらいの医学知識があるのは分かってたし、人柄もいいと思ったんだけど……。

 まぁいいや。とりあえず、俺の人を見る目は間違ってなかったという自信を持てると言う事にしよう。

 

 今日は旅行疲れというか殺人事件に出くわして死体を見たり不自然に見えない様に情報収集に全力を尽くしたり演技をしたりと疲れ切ったので、もうずっと寝てた。

 カップ麺と弁当だけで一日過ごすのホント久しぶりだなぁ。

 

 

 

 

○12月23日

 

 小銭稼ぎということで、知り合いから日雇いのバイトを頼まれた。料理学校の講師だ。

 小泉邸にいた時に、割がいいバイトという事で週末だけバイトをしていたのだが、その時のツテだ。

 ぶっちゃけまだしばらく過ごせるだけの貯金はあるのだが、まぁ、稼げるときに稼いでおくべきだということで了承。

 

 で、仕事を終えて帰りついたら元ご主人様から連絡。

 

 明後日のクリスマスにパーティを開くから準備をするようにとの事。オイ。

 

 ちくしょう、紅子の奴め。クリスマスパーティーだってクラスの面子全員呼ぶとか……せめて一月前にそれ言ってくれよちくしょう。

 

 引っ越し先を教えていた黒羽君とか青子ちゃん、恵子ちゃんが遊びに来てくれて――というか手伝いに来てくれてホントに助かった。

 明日までに紅子のドレスも仕立てる必要あったから……ホントになにもかもがギリッギリで足も腕も指ももう限界です。ちょうどいいラム酒が手に入った事だし、コークハイでも飲んで寝よう。

 

 明日は屋敷の広間を整えないと……。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

「で、バレちゃったわけ? 貴方が毛利小五郎を眠らせて、代わりに推理をしてるって事が」

 

 昨日の事件について説明したところ、灰原哀――自分同様、子供の体になった宮野志保から冷たい視線で睨みつけられた。

 あるいは、呆れられているのかもしれない。

 

「あ、あぁ……」

 

 孤立してしまったロッジで起こった殺人事件。

 ある奇術師への――あるいは祖父への愛が引き起こしたこの事件は無事に解決した。したのだが――

 

(まさか、時計型麻酔銃がバレるとは思ってなかったしよぉ……)

 

 全ての事件の謎を解き、犯人が証拠を隠滅するチャンスを消すためにも犯人が使ったトリックを使ってボウガンの矢を発射し、まるで外に誰かがいるような状況を作った。

 そして存在しない誰かを追いかける事で皆に後を追ってこさせ、集まった所で園子を眠らせようとしたんだが。

 

(いったい、アイツは何者なんだ?)

 

 眠らせた後にもたれかからせる木を見つけて、園子をおびき寄せて麻酔針を撃った――瞬間。

 空を斬る鋭い音と共にトランプが飛んできて、園子の首元を狙って発射してしまった麻酔針を防いでしまった。

 トンッ、というどこか軽い音の後には、ちょうど横の木の幹に、針が刺さったままのトランプが突き刺さっていた。

 

 

 

――ごめんなさい、園子さん。コナン君に動いてもらおうと思って、つい彼と仲が良い貴女の名前を使ってしまいまして……。

 

 

 

 呆気にとられる俺と園子を尻目に、アイツはゆっくりと歩いて来てなんてことのないようにそう言った。

 そして静かにしゃがみこんで俺に目線を合わせ、

 

 

――すまん。君が探偵だとは思ってなかった。反射的だけど邪魔しちゃった。

 

 

 他の人にも聞こえない様に、耳元で小さな声で俺にそう言うと、一瞬俺の服装やサイトを立てたままにしてた時計などを観察して、

 

 

――悪い。唐突だけど園子さんの代役、俺に務まるか?

 

 

 あそこで否定すれば、犯人に証拠を隠滅する機会を与えかねなかった。

 ……つまり、拒否する事が出来なかった。

 

「それで新一。その浅見透という青年とはそれから?」

「いや、今の所特になにも……奴も『また会おう』って言っただけで、警察での事情聴取の後は車を取りに戻るって言って高木刑事の車で……あぁ、そういや」

「そういえば……何?」

 

 目の前にいる、自分の正体を知る二人の片方。

 俺の身体を小さくした薬を作り、自身もその薬で小さくなった女――宮野志保。

 いや、灰原哀。

 

「救出に来てくれたのが目暮警部だったんだけど」

「あぁ、あの時私を叱り飛ばした刑事さんね。で?」

 

 初めて灰原と共に巻き込まれた事件で、犯人を牽制するために発砲した灰原に「危ない事をするんじゃない!」と叱ったのが目暮警部だった。

 その後泣きじゃくったのは演技だったが、やはり強く印象に残っていたのだろう。

 

「いや、正確には目暮警部だけじゃなくて、周りにいた刑事もだけどさ」

 

 

 

「驚いてたんだよなぁ……」

 

 

 

 ダークスーツに身を包み、少々癖っ毛のある髪に整った顔、サングラス。そして、なぜか肩に白猫を乗せた奇妙な男。

 その男の顔を見て、刑事達の何人かは確かに驚いていた。

 

 

 

「アイツの顔を見て」

 

 

 

 まるで、幽霊でも見るような顔で、

 

 

 

 




本編のごとく後書きコラム

『奇術愛好家殺人事件』
原作:File192 - 196(第20巻)
アニメ:132話~135話(DVD:PART5 Vol.7)

本編では土井塔がレストランのステージにいるので触らなかったのですが、作者お気に入りの事件の一つ。
リアルタイムで追い掛けていた人からしても、事件の内容、まさかのキッドの登場と記憶に残っている人も多いのではないでしょうか?

本来は、最低でも一月の後になっているはずですが、作品の都合でとある事件と順序を逆転させております。逆転というか、先に持ってきたと言うべきか。

個人的に、キッドが絡む殺人事件は結構好きな話が多いんですよねぇ。
四名画とか絡繰屋敷とか。

もちろん純粋な宝石争奪戦も大好きです。

劇場版でも世紀末の魔術師はもちろん、賛否が多い『銀翼の奇術師』や『天空の難破船』、『探偵たちの鎮魂歌』と好きな作品がやはり多い。

今年の映画はキッド作品ということで、またマジック絡みの事件増えないかなぁ


念のための人物紹介

○瀬戸瑞紀 23歳
『??????』タイトルは一応伏せておきます。

原作:File.674 - 676(第64巻・第65巻)
アニメ:537話~538話(DVD:PART18 Vol.4)

知らない人は調べてみてください。本編でもこう書きましたが、ホントにこれしか書けねぇ……。


○小泉紅子 16or17歳
『まじっく快斗』

 まじっく快斗の世界で、快斗の高校に転校してきたガチの魔女。
 決してただの厨二病患者ではありません。厨二病患者ではありません。

 コナン世界では出せないですけど、魔女モードの時のあの衣装は超大好きです。

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