rikkaのメモ帳(短編・走り書き集)   作:rikka

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コナン-④

○12月26日

 

 死ぬ、死んじゃう。

 どうにかクリスマスパーティは無事に乗り越えられたけど……おのれぇ、紅子ぉ。

 クラスメートだけとは言っていたが、絶対に他の取り巻き連中もなんやかんやで来かねないと思ってバイキング形式にしたのは正解だった。

 分量がかなり問題だったけどな! 特にケーキとか!

 スポンジ仕込んだのは数日前だけど未だに腕がヤバイ。クリームの仕込みもフルーツのカッティングも地獄だったって言うのに!

 

 オーブンとかも使いまくってたからまた火傷しちまったし。

 火傷したなんて言ったら「未熟ね」の一言で切って捨てられそうだ。ちくしょうご主人様め。

 

 その後、大量の洗い物や会場となった広間の片付け等を終えてからすっかり明るくなった帰路について昼過ぎまで爆睡。

 

 インターホンで起こされたのは二時過ぎくらいだったっけか。

 訪問者は瑞紀さんだった。

 瑞紀さんはマジシャンとしてクリスマスまでは忙しかったらしく、年末年始もまた忙しくなるとのことだが隙間を縫って様子を見に来てくれたとの事だ。

 先日の事件の事があったからもっと早く来たかったとか言ってくれてホント瑞紀さん大好き。

 

 実際、あの事件の後すぐにメールくれたしなぁ。やっぱいい人だ。

 

 で、二人で軽くショッピングをしてきた。

 といっても好きな所を見て回るってものじゃなくて、年末年始の準備というのが正しかった。

 うん、またなんだ。また年末年始は小泉邸なんだ。 

 

 今度は完全に身内。つまり紅子お嬢様に快斗君、青子ちゃんに恵子ちゃん。それに執事長と……6人分か。

 大変なのはおせちだなぁ。

 俺一人ならおせち無しでもいいし、用意するとしてもそこらのデパートなんかの予約品で十分なんだけど……紅子が箸を付けるというなら、それは絶対に許さないだろう。

 まったく、お嬢様め。

 

 とにかく、おせちを自作するとなると……縁起物入れるはもちろんだけど、食べに来る人の好物とかも上手い事入れて見た目もちゃんとした華やかな物にしないとなんか嫌だし、おせちとは別にそれぞれが盛り上がれるくらいの大好物と栄養バランスを考えたオードブルも作っておきたいし……。

 時期的に苦しいけど、キチンとした所の寿司とか注文するっていう手も考えたけど……どうしても魚がメインになってしまう寿司だと黒羽君がキツいしなぁ。

 

 まぁ、そっちは明日やっておこう。とりあえずおせち料理やら餅やら門松やらは無事買えた。予算はクリスマスパーティが終わった後に、紅子に自室に呼ばれた時に渡されてたから、できるだけ紅子の好みに合わせた物を用意してきた。

 あとは、無駄遣いは控えたかったのだが、正月のお屠蘇も兼ねた日本酒や自分用の酒を数本購入。

 

 うっし。今日は満月だし、外の庭で飲むか。

 キャンプ用の折り畳みイス持ち出して。

 アパートの管理人さんに前に聞いたら、ゴミとか放置しなければOKって言葉をもらったし。

 月見、月見……よし、今夜のナイトキャップは梅酒だ。

 先に風呂に入ってこよう。

 

 

 

○12月31日

 

 小泉邸にてペンを取っている。

 なんだろうな。まぁ、予想していたトラブルなどは一切起こらず、想定していた面子で過ごしている。

 唯一想定外があると言えば、自分は静かに去って執事長と一緒にこっそり過ごす物かと思えば、その執事長からの命令で他の面子と一緒に過ごす事になった事か。

 

 最初見た時は失礼ながら不気味な人だと思ったのだが、やはり仕事仲間。一緒に働いてそれなりの仲には慣れた。

 まだ使用人としての仕事を始めたなかりの頃はかなり迷惑をかけてしまったし、よく叱られたなぁ。

 

 風呂の用意も済ませてあるし、皆の着替えも用意してある。あと一時間で年明けだ、そろそろ年越しソバの用意を始めないと。

 

 ソバ食って皆で初詣に行けば後は眠って……明日は黒羽君と青子ちゃん、恵子ちゃんの四人で国立競技場にサッカーの天皇杯決勝を見に行く予定だ。

 

 

 

○1月1日

 

 元旦からとんでもねー事になってしまった。

 そもそも今回の国立競技場でのサッカー観戦は恵子ちゃんの発案だった。

 四人で観戦に行って、俺と恵子ちゃんでちょいちょい抜けて、青子ちゃんと黒羽君を二人にさせる時間を違和感を覚えない程度に増やそうという計画。

 紅子が来た場合のパターンも想定していたのだが、人ごみは好きではないし、やる事があると辞退。

 

 とにかくそういう事情で国立競技場で、東京スピリッツ対ビッグ大阪戦を観戦していたのだが――今度は拳銃持った犯罪者を相手にする事になりやがった。

 

 散々といえば散々な一日だったが、まぁ収穫もあったし良しとしよう。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

『相棒にこれ以上触るな! 観客を撃ち殺すぞ!!』

 

(くそっ、やっぱり仲間がいるか!)

 

 俺と灰原、そして少年探偵団の5人で来ていたこの国立競技場で、俺たちは無差別脅迫事件に巻き込まれた。

 

 犯人は、ちょうど俺たちがいた観客席のすぐ下に転がって来たボールを拳銃で撃ち抜いて見せた。

 そして試合を中継している日売テレビに現金5000万円を要求。

 ハーフタイムまでにそれを用意しろと指示し、試合を中断するような素振りを見せれば無差別に銃を乱射すると脅迫してきたのだ。

 

 俺は現場に到着した目暮警部に状況を報告すると同時に、こっそり警部の無線機に盗聴器を仕掛けて状況を把握していた。

 

『やはりサツがうろついてやがったか』

 

 目暮警部達は、現金五千万が入ったケースを置いた引き渡し場所に張り込み犯人の一人を確保する計画を実行。

 拳銃さえ押さえられればと考えたのだろうが、当の金の受け取り役はその拳銃を持っていなかった。

 

『話が違うじゃねぇかよぉ! 日売テレビの金子さんよぉ!』

『そ、それは……っ』

 

 盗聴器の向こう側では、そこから更に携帯電話の向こう側にいる犯人が、自分が未だ拳銃を所持している事をチラつかせて、警察の人間を牽制している。

 

 

『追加料金を払ってもらおうか……10億円だ!』

『じゅ……10億!?』

 

 そして今、犯人は警察を呼んだペナルティとして新たな身代金を要求してきた。

 だが10億なんて金額、そうそう集められる金額じゃねえ!

 

『そんな無茶な!』

『なんだ? 俺の分は払えねぇってか?』

 

 っ! 俺の分? つまり――

 

(犯人は二人だけだ!)

 

 とっさに盗聴器の向こう側にいる目暮警部にそう叫ぼうとするが、仕掛けたのが盗聴器だけだという事を思い出して思わず歯がみする。

 

 だが――

 

『あぁ、それじゃあ犯人はもうアンタだけか』

 

 盗聴器の向こう側、その更に向こう側のどこかから、最近耳にした声が聞こえてきた。

 

『なっ?!』

 

 少し前に、自分がいつも使っている変声機で真似た事がある声だ。

 ただし。

 博士以外で唯一、本人が起きたまま声を使った男。

 

『そ、その声は――』

 

 

『警部さん、13番カメラの所で犯人を確保しました。そっちにいる方を確保したらこちらにも人員をお願いします』

 

 

 ――浅見 透!

 

 

 

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