オリジナルキャラしか登場しません。
???「飽いた」
無限に等しい世界を見守り管理している、精霊の王であるイクスはそう呟いた。
精霊の王となり悠久に等しい時間を過ごし、管理している世界が滅びぬよう、時には見守り時には手を出してきた。
滅びぬようにとしてきたが、増え続ける世界の管理は気が遠くなるような膨大な時間を要し、結果として思い出せぬほどの長く永い時間を過ごすこととなった。
そして、ふと気が付き思い呟いた言葉が先程の呟きだった。
イクスは飽きていた。
時に大きな変化はあれど、変わる事無く穏やかに過ぎる無数の世界を見守るということ。
気が付かなければ機械的に出来た事だが、気が付いてしまうと無理であった。
???「……飽いた」
呟くが答えは返ってこない。
思うと急にやる気が無くなった世界の管理をどうしようかと思案にふける。
???「……イクス~……」
どれほどの時を思案していただろうか。
自分を呼ぶ声に気が付き視線を向けると、懐かしい姿がこちらに向かってきた。
???「イクス~ ただいま~」
イクス「ヴェルか、久しぶりだな。何年振りか?」
ヴェル「ん~? イクスに世界を貰ったのが最後だから、軽く数千年ぶりかな? 下手したら万年?」
イクス「……もうそんなに経つのか。ここは時間の概念があって無いような物だから、つい忘れてしまうな」
自分に飛び掛かり抱き付いてきた、銀髪の少女を抱きしめながら話す。
ヴェル「久しぶりだから、しばらく一緒に過ごしたいな~」
イクス「いいよ。俺も久しぶりに愛する妻と一緒にいたいからな」
ヴェル「やん♪ 私も大好きな旦那様と一緒だから嬉しい」
今でこそ世界を管理する精霊の王である2人は、かつてはとある世界で人族の夫婦だった。
イクスが多くの精霊に慕われ、人としての死を迎え精霊の王となる際に、妻のヴェルも共にと願いイクスと同じ存在となる。
命ある者が認識できない異界の果てで、多くの世界を精霊を通じて管理している存在が、今のイクスとヴェルである。
この世界の管理は義務や強制ではない。
最初は滅びゆく世界をヴェルが見て涙したところから始まった。
しかし、記憶にない程の時間を経て飽きてしまったのだった。
ヴェル「あ、それとイクスに貰った世界? 全部滅びちゃった」
イクス「ちょっと?! 何してんの?!」
……訂正、飽きた者と滅ぼした者であった。
ヴェル「だって~…… 全部の世界が私を崇め奉るんだよ?」
イクス「それでいいんだよ? 生きている者の信仰と祈りにより存在しているようなものだから」
ヴェル「私だけじゃなくてイクスも崇めてくれないと……」
イクス「俺は介入していない世界だから、俺を崇めることはおかしいからね?」
ヴェル「だから、つい……ね? テヘ♪」
イクス「可愛いから許したいけど、何をしたの?」
ヴェル「こう……、ついカッとなって、陸地を消し飛ばしたり、海に沈めたり……」
イクス「いや、本当に何してるんだよ……」
ヴェル「テヘ♪」
可愛らしくてへぺろする妻を睨むも、今まさに飽きて放り出した自分が何か言う訳にもいかず。
そのままヴェルの頭を強めに撫でつけることにしたイクスであった。
ヴェル「イクスはこれからどうする?」
イクス「ん~……。飽きてしまったから世界の管理は放置かな」
落ち着いて話をしようと場所を変えた2人は、談話室の様な場所に来て椅子に座り茶を飲み歌詞を食べていた。
空腹も乾きも無い2人だが、座るだけというのも味気ないので、暇つぶしの一つとして飲み食いをしていた。
ヴェル「じゃあさ、お願いがあるけどいいかな?」
イクス「お願い?」
生前より聞き慣れたヴェルからの『お願い』に、イクスは一旦姿勢を正した。
ヴェル「どこかの世界でいいから、一緒に降りてまた過ごしてみたいなぁ~……ってね」
イクス「ああ、それはいいかも知れないね」
世界の管理を止めたので、することが無くなったイクスは、これから何をしようかと考えるつもりでいた。
そこにヴェルのお願いの内容は、暇つぶしには十分な内容だった。
イクス「いいんじゃないかな? 移し身を降ろせば意識はあるし、死んでもここに戻って来るだけだし、そもそも死なないし」
ヴェル「じゃあ、いいんだね?」
キラキラと期待を十分に含んだ表情でイクスを見つめるヴェル。
それに了承を貰えたことで、早速2人で多くの世界から降りる世界を選び始めたのだった。
ヴェル「これは?」
イクス「ん~……、生きていたころの世界そっくりだからパス。どうせなら違う世界がいいな」
ヴェル「じゃあ……、こんなのは?」
イクス「……ずいぶん近未来的だけど、ヴェルはこの世界でやっていけそう?」
ヴェル「ムリ!!」
イチャつきながら世界を物色、もとい見て回る2人。
そんな2人の前に、突如新しい世界が誕生した。
気になった2人はその世界を覗いてみると……
イクス「元いた世界と比べると近代的な世界かな?」
ヴェル「魔法は無いみたいだね」
イクス「代わりに科学が発達している。鉄の塊が空を飛ぶなんて生前は考えつかないことだな」
ヴェル「人種族しかいないね? エルフとかドワーフや魔族もいないね」
イクス「その代わり人種族同士で争っている。これはどの世界も共通しているな」
ヴェル「でも、この世界はなんか変だよ? 女の人が海の上を走って戦っているよ?」
イクス「……どうやら人種族に敵対する勢力が世界中の海を制圧し、それに対して海を駆ける少女たちが戦っているみたいだ」
しばらくその世界についてあれこれ話していたが、意見が決まったようで2人は顔を合わせ、ニヤリと笑う。
ヴェル「この世界にしようよ~。なんか面白そう♪」
イクス「そうだな、海を行き空を駆ける少女達の戦いを見てみたいしね」
ヴェル「じゃあ、準備をしてすぐに行こう!」
慌ただしくも楽しそうに準備をした2人は、目的となる世界へ移し身を飛ばし降りたのだった。
後に残ったのは管理される事の無くなった無数の世界が広がる空間のみだった。
次回は説明回。
会話一切なしw
とりあえず伏線を張ってみたけど、分かった人いるだろうか……?