サクラ大戦~宿命の血~   作:鳳凰星座

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第二話 ラーメン屋の過去

side蓮

 

今まで普通の農家の娘だったジャンヌ・ダルク。

その若干十三歳の彼女が百年戦争で劣勢だったフランスを救い、何故連戦連勝できたのか?……何故英雄とされていた彼女が異端児として処刑されたのか?……。

神の声を聞いた……少女はそう語った。

 

「それが何だって言うんだ?」

 

「まぁまぁ、最後まで聞いてください」

 

私はまだ土下座状態の米田さんの疑問に答えずに話しを続ける。

それが後々、私の過去について絡んでくるわけだから。

 

「月の神であるアルテミスは彼女に声をかけただけでなく人智を超越した力を与えたんです……」

 

月の神アルテミスは彼女に創世王シャドームーンとしての変身機能と千年間、歳をとらない身体を与えた。

そして力に溺れた彼女は変わっていき、優しかった面影を無くし、自分こそが世界の支配者に相応しいと高らかに宣言、その力を怖れたフランス国王に裁判へとかけられ、処刑されたのだ。

そして月の神アルテミスが次に力を与えたのは北条氏綱。

ジャンヌ・ダルクと全く同じ力を与えられた彼もまた支配欲力に負け、更なる力を求めて降魔実験を行ったが失敗し、失踪した。

 

「実は時を同じくして太陽神・天火明命が高松蓮という青年に力を与えていたんです」

 

高松蓮に与えられたのは千年生きる肉体と飛天御剣流という対多人数戦に特化した剣術に加え、強烈な刺突技、牙突、そして仮面ライダーBLACKRXへの変身機能だった。

北条氏綱が月の子なら高松蓮はそれと対をなす太陽の子……この神の力を与えられたことが彼らの人生を大きく狂わせてしまう。

二人は神の力を持つ前に知り合い、氏綱は蓮を高く評価し、何度も配下に納めようとした間柄。

蓮の性格上、どこかに仕官するのを良しとしないため断っていたが、義を重んじて、人を大切にする、そして「勝って兜の緒を締めよ」の言葉通り、驕らない性格の氏綱が嫌いではなかった。

しかし徐々に人間性を失った氏綱は魔界の力を求め、降魔実験を行うが、蓮が後一歩のところで氏綱を倒し実験を阻止したのだ。

 

「じゃあ高松蓮が氏綱を倒したから、歴史上から消えたってのか?」

 

ようやく土下座の体勢から顔を上げる米田さん。

それも当然のこと。

自分が知らない歴史を聞かされてるのだから。

 

「断腸の思いで氏綱を倒した蓮はあるミスを犯します」

 

それはシャドームーンへの変身機能であったベルトを回収すること。

それは後々、最悪の展開を迎える。

南光坊天海と言う僧がそのベルトを手にしたのだが、彼は徳川幕府の参謀として暗躍しながらも太陽の神である天照大神から力を与えらていたのだ。

その力を悪用し、神として人類を掌握しようとする天海に蓮は関ヶ原をはじめ、何度も交戦し遂に勝利を収めるが、太陽と月の神の力を持つ天海の命まで奪うことはできず、天海は傷ついた自分自身を守るため天封石にその身を自ら封印した。

そして高松蓮は神の力を持つ人間が地上に自分しかいないことが怖くなってしまう。

いつか自分もジャンヌや氏綱のように人間性を失ってしまうのではないかと……。

そして悪を射つとは言え、仕方なく命を奪ってしまった人間もいる……彼らにはRXのボディが黒いことから黒き死神と怖れられ、蓮は今の自分がいかに強大な力を使っているのか痛感させられることも多々あった。

 

「彼は自分の役割は既にに果たし、戦う理由はないと思い、戦うことをやめると決心するのです そのみ今は大帝国劇場の近くのラーメン屋で働いています……これが私が知っている真実です」

 

そう……米田さんの勘は当たっていた。

私こそが、戦場で怖れられた黒き死神の正体である。

このまま天海が封印されたままなら一般人として隠居しようと思っていたが、やはりそうはいかないようだ……。

ここ最近、天海の邪悪な気配を感じていた。

封印の威力が弱まっていて復活が近い……と思っていた矢先に帝国華擊団の話しだ。

 

「じゃあやはりお前さんが黒き死神、高松蓮なんだな」

 

「そう言うことになります 帝国華擊団加入のお話し、時間をください 少し考えますから」

 

 


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