艦隊これくしょんー死ねない提督と元ブラ鎮 作:ゆっくりRUISU
今回も死なない。
鎮守府の、文字通り全てが賭かった演習まで、後1週間まで迫ったある日。
「…参ったな」
喜一が呟いた。
と言うのも、原因は喜一の目の前にある手紙に『1週間後の演習において、荒天時と仮定し航空戦力の投入を禁止とす 志多羽中将』と書かれている事である。
この手紙自体は更に1週間前に送られてきたのを、内容に疑問を感じた喜一が青葉に1週間かけて調べてもらったのだが。
「案の定でした。志多羽中将は鎮守府の提督でしたが嘉祢画中将の推薦によって大本営に栄転、その後も嘉祢画中将によって中将にまで昇進しています」
「つまり志多羽中将は嘉祢画中将の手下って事か」
「はい。また、嘉祢画大佐とも繋がりが深く、彼の要望にはほぼ無条件に従っているそうです。おそらく…」
「大佐殿は資材がほぼすっからかん。ボーキサイトがないから航空戦力を使えないんで、こういう搦め手を打って来た。…って言うのはこっちの思い上がりか」
「いや、合ってるよ」
唐突に、魔緒流が会話に割り込んだ。
「潜入ご苦労さん。どうだった?」
「どうもこうも、殆ど噂通り、もしくは噂より悪いって感じだね。資材は相当逼迫してるし」
「…魔緒流さん、潜入なんてしてたんですか?」
青葉が震え混じりに聞くと、魔緒流は首肯した。
「認識阻害使えば楽だしね。ちなみに、通報すれば1発で嘉祢画大佐をクビにできる程度には犯罪の証拠が出てきたよ」
「そっちは握り潰されるのがオチだ。
…予想の件について言及は?」
「無茶苦茶な嘘でごり押ししてるね」
「そりゃまた。…なら、相応の対策をさせてもらおうか」
そう言うと、喜一は内線に手を掛けた。
30分後、大食堂に全艦娘が集まっていた。
「…1週間後の演習だが、残念ながら予想通りになっちまいそうだ。
てなわけで、そこをふまえた編成の仮案を発表する」
喜一がそう言うと、食堂中がざわめいた。
「…発表するぞ?
旗艦は陽炎。多分一番狙われるからな。
以降雪風、矢矧、浜風、不知火、曙。
俺のとりあえずの考えとしては陽炎と雪風で突貫かな」
「…正気?私はともかく、雪風は」
「だからこそ、だよ。レア艦に該当する雪風はアッチとしても確保したい艦だから、万が一にも沈めるわけにはいかない。…筈。
んで、ホントに予想が当たっちまった場合は陽炎を残して全員退避、陽炎は突っ込んでくれ」
そう言うと、喜一は立ち上がった。
「改めて確認しておく。
演習は1週間後、艦隊は陽炎、雪風、矢矧、浜風、不知火、曙。負ければ鎮守府の生命線を全部、綺麗さっぱり持ってかれる。勝ってもなんもない。
…以上を踏まえて、勝ってくれ」
そう言い、喜一は再び座る。
引き継いで、陽炎が立ち上がった。
「じゃあ、私たちで作戦を詰めていくわよ。呼ばれたメンバーは全員集合、遠征や演習、出撃はメンバーが組み込まれないように。…構わないわよね?」
「あぁ。その辺は必要に応じて判断任せる。改装も任せる…って、改二はまだ開発中か」
喜一がそう言うと、明石が挙手をした。
「そういえば、陽炎さんと不知火さんに第二次改装の、浜風さんにも改修案が来てます。練度は十分なので、資材さえ融通してもらえればすぐにでも」
そう言われ、喜一は多少考えてから口を開く。
「…陽炎、資材の残量は?」
「余裕はあるわ。ただ、改二改装の資材消費を考えると、改装した場合しばらく戦艦や空母、場合によっては重巡と軽空母の運用もギリギリになるわよ」
「後の事は考えなくていい。負ければ全部持ってかれるしな」
「…それもそうね」
喜一があっさりと言い放った事実に、陽炎は頷きながら答えた。
パンパン、と手を叩いて切り替えるように促しながら、喜一は口を開く。
「明石、夕張。陽炎と不知火の第二次改装、それと浜風の改修を頼む。陽炎には第二次改装の調整が完了次第全面的に丸投げさせてもらう。以上、解散!」
「相変わらずね。…けど、自分の意見しか認めなかった前任者よりもずっといいわ」
苦笑しながら言うと、陽炎は工廠に向かって歩いて行き、やや遅れて不知火と浜風も陽炎の後を追って工廠に向かった。
「…魔緒流、少し頼めるか?」
「はいはーい。何すればいい?」
「小細工。手紙と署名、お前の見つけた証拠を入れたんで、この封筒をこれから言う場所に届けてきてくれ」
そう言い、喜一は魔緒流に封筒を渡した。
魔緒流は試しにその封筒から手紙を取り出して見てみたが。
『559151729123427243425255915152449155425551725272
4500915155914291211272345145513351
91214551910091255223125272522142524552211275915121422252423352
4591215233427252009133515591514591555121912100915145424291759121917551』
「…何これ」
「俺と知り合いとの間で使う用の暗号」
「…まぁいいや。どこに届ければいいの?」
「皇居」
「…へ?」
ポカン、と。
珍しく魔緒流が唖然とした。
「そこで知り合いが来る」
「あっ、なーんだ…」
ややこしい喜一であった。
以上。
そろそろ書き貯めが切れる。