艦隊これくしょんー死ねない提督と元ブラ鎮 作:ゆっくりRUISU
…物好きな方々、書いてもエエんやで?
季節外れだが。
『冬』と言われて何が思い浮かぶだろうか。
旬の食材かもしれない。
雪かもしれない。
一理ある。
だが、もう1つ、冬で忘れてはならない物がある。
『風邪』だ。
体調を崩す人がどうしても増えてしまうので、体調管理に気を配っていただきたい。
が、しかし。
人間、夏でも風邪を引く。
実際、作者も風邪を引いた。
それは、不死だろうと関係ない。
「だりぃ…」
「…大丈夫なの?」
「大丈夫じゃない、問題だ…」
熱を出した喜一は、自室にて寝込んでいた。
なぜか陽炎も同時に風邪を引いてしまったので、矢矧が看病をしているのだが。
「死んだら治るんじゃないの?」
「もう2、3回自殺した。変化無しだ…」
「…それは変ね。いつぞやの悪戯の時と違って何も仕込んでないんでしょ?」
「仕込む余力がねぇよ…。
真面目に体が変だ」
リセットが効かないことを含めて喜一が苦し気に答えたとき。
「あー、それ魔法熱だね」
唐突に魔緒流が部屋に入ってきた。
「…魔法熱?」
矢矧が疑問符を浮かべながら聞き返す。
「そ、魔法熱。魔力を持ってる人だけが感染する病気だよ」
「…その理屈だと、お前も感染してんじゃねぇの?」
「大丈夫大丈夫。
昨日治ったから!」
「つまりバラまいたのお前かよ!?」
ゴホッ、と。
叫んだ直後に喜一は咳き込んだ。
で。
喜一と陽炎は纏めて執務室横の仮眠室に叩き込まれていた。
というのも、感染する心配がない以上隔離しておくのも手間が増えるからである。
「…てか、なんで死んだのに治らないの…?」
「体の中の魔力に淀みが生じて発症するんだとさ。淀ませる原因の細菌は死ねば消えるが、淀みは時間経過でしか治らんらしい。魔緒流曰く、経過的に明日の朝には治るだろうってさ」
「うへぇ…。暇で死にそう」
陽炎が少々、少女として出してはいけない声を漏らした。
その後。
「陽炎、風邪の具合はどうですか?」
「司令共々よろしくないわよ…。
喉も鼻も痛くないのに熱はしっかり出てるし…」
「風邪薬を用意しました」
「いや、これは時間経過するまで熱は下がらんらしい…」
不知火が風邪薬を持って来たが、喜一にバッサリ切られてトボトボ戻ったり。
「お粥を間宮さんに作ってもらいました。お二人とも、食べられそうですか?」
「な、なんとか…」
「…一応動ける。すまんな初霜」
初霜がお粥を持ってきたり。
…ちなみに、陽炎は手を滑らせて胸元に溢して火傷したし、喜一は変なところに入ってむせた。
「提督よ。この書類はどうすればよいのだ?」
「あー…。
それは鎮守府に関係無い個人的な依頼だからなぁ。悪いが除けといてくれ」
「うむ、了解した」
「…あと、こっそり承認しようとしてるその建造指令書は破棄しろ」
長門が書類捌きついでにこっそり建造しようとして喜一に見抜かれたり。
…どうやら、妹艦である陸奥を建造したかったらしいのだが、資材に余裕がない以上は無理な相談なのであった。
「提督さん、体調大丈夫?」
「…よろしくない。風邪薬の類いも効果がないから待つしかない」
「…死んでみる?」
「陽炎も含めて何回か死んだが意味は無かった」
瑞鶴が部屋を訪ねてきたりしていた。
そして、数時間後。
しばらく寝ていた喜一は、目を覚ましてから陽炎に話しかける。
「…陽炎、動けるなら風呂行ってこい。正直臭ぇぞ」
「…司令はどうすんのよ。私の後に入るとか言ったら殺すわよ」
「家に一旦戻る。とりあえず汗流してから軽く飯食う」
「…だったらお言葉に甘えさせてもらうわ。内線借りるわよ。不知火に着替え持ってきてもらわなきゃ」
そう言うと、もぞもぞと陽炎は布団から這い出して壁の電話へと向かっていった。
それを見届けた喜一は、自宅へと向かって歩くのであった。
翌日。
「復活っ!」
「治ったっ!」
「「健康最高っ!HAHAHAHA!!」」
「…魔法熱のせいでテンションが上がっちゃう事がよくあるんだよね」
「…ぶっ飛びすぎてキャラ崩壊してるんだけど。
あれ、リセットできるのかしら?」
「出来る筈だよー」
直後、矢矧は躊躇いなく喜一と陽炎を撃ち殺した。
で。
「…なんかバグってたわ、すまん」
「正気に戻ったわ…」
「ならいいわよ。ほら、とっとと仕事に戻りなさい」
そう言い、矢矧は喜一と陽炎に書類を押し付けた。
少々短めでしたが、以上となります。