艦隊これくしょんー死ねない提督と元ブラ鎮 作:ゆっくりRUISU
今回から魔法要素が入ってきます。
…なお、主人公の攻撃は他に出るかわからない魔女にしか効果はない模様。
Q.つまり?
A.深海棲艦相手に無双などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。
「えー…。
補給路の確保だけだったけど、大規模作戦も無事終わったという事で!
大規模作戦の成功を祝って!元々無礼講な気がするけど今夜は無礼講で!
乾杯!」
『乾杯!』
喜一の音頭に、艦娘達が唱和する。
大規模作戦も完了した、という事で本日はお疲れ会を兼ねた宴会である。
…なのだが。
「ほぅら提督さん、もっと飲めぇ~!」
「絡み上戸かよ!?てか俺あまり酒は飲めな…ガボガボガボボ!」
酒を瑞鶴に無理矢理飲まされて急性アルコール中毒で喜一が急逝した。
幸い数分で復活したのだが、その後。
「んふ~♪」
「ちょっと待て酔ってるだろおま…」
ボキベキグシャバキィッ!と、長門の全力の抱擁が喜一の胴体周りの骨を全て粉砕したり。…喜一は当然死んだ。
「鈴谷、一発芸いっきまーす!爆雷でお手玉…あっ、手が滑った」
「ちょっ」
鈴谷が爆雷でお手玉をしようとして喜一の方に放り投げたり。…結果は言うまでもあるまい。
そんなこんなが収まる頃には、殆どの艦娘は酔い潰れるか自室に戻っていた。
「うあー、疲れた…」
「随分飲まされたわね、喜一」
「おう…。世界が回るようだ…。
すまんが、片付け任せた」
「任されたわ。…ていうか、死ねばアルコールはリセットされなかったっけ?」
「…あ」
直後、矢矧はビール瓶で喜一を撲殺した。
「…んで、片付けはこの面子かぁ」
そう呟く喜一の前には、陽炎、矢矧、間宮、翔鶴、扶桑の5人。…ちなみに陽炎は矢矧が喜一同様撲殺した。
そして、6人で片付け始めた。
途中。
「そういえば提督。建造はなさらないのですか?」
翔鶴が不意に尋ねた。
「あぁ、建造ね。
…落ち着くまではやんないでいいか、って思ってたんだよね。
正直、そろそろやるかとは思ってた。
…資材次第だけど」
「資材の備蓄も増えたからそろそろ建造しても大丈夫よ」
「んじゃあ明日からやってみるか。…どの艦種狙えばいいんだ?」
聞かれた陽炎は矢矧と顔を見合わせて頷き、口を開く。
「この鎮守府だと重巡かしら。後は軽巡ね。もう少し増やしていいと思うわ。…戦艦とか空母も欲しいけど、資材事情を考えるとあまり増やせないわ」
「じゃあそれで。んじゃ片付け再開」
言われ、全員で動き始める。
「…今更だけど、変よねぇ」
ポツリと陽炎が呟いた。
「何が変なんですか?」
と、扶桑が陽炎に尋ねた。
聞かれたので、陽炎は答える。
「全部よ。司令が毎日死ぬってのもだし、建造とか出撃に関しても司令が決めるっていうよりも私達の方が決めてるじゃない」
「…提督も仰っていましたが、提督は正規の訓練を省いて着任されました。故に知識不足を補うために我々に頼っているのです。毎日死ぬのは…知りません」
「そこよ。そもそもなんで司令は殺しても死なないのよ。矢矧さん、何か知らない?昔乗せてたのよね?」
「知らないわよ。私に乗ってた頃から喜一は不死だったから」
陽炎は喜一と付き合いの長い矢矧に尋ねたが、矢矧からの返事もイマイチであった。
「…んで、直接聞きに来たと」
片付け後、陽炎は執務室にいた。
「そうよ。…死なない理由がわからないと、なんか怖いのよ。ふとした事で死にそうで」
それを聞いて、喜一は頷いた。
「…そりゃそうだよな。ただ、正直俺も死なない理由は知りたいんだよ」
ポツリ、と喜一は爆弾発言をした。
「…いや、どっちかってと知りたいのは死に方かな?」
「…もしかして、司令も死なない理由は知らないの?」
「呪われたから、とは言えるが。死ななくなった理屈は知らん」
バッサリと言われ、陽炎は肩を落とした。
これで手掛かりは途絶えてしまったのだ。
そのまま陽炎は執務室を退室した。
「…入るわよ」
「…今日は来客が多いな」
陽炎が退室してから数分後、今度は矢矧が執務室を訪ねた。
「…単刀直入に聞くわよ。
貴方はさっき『呪われたから死なない』って言ってたけど、貴方を呪ったのは誰で、何のために呪ったのか」
「…それを聞くのか?まぁいいが…。
呪ったのは阿嘉耶司依娜。魔女だ。
理由は不老不死の術式の実験。だから正確には呪いじゃないんだよな。
…結局、自分に掛け損ねたとは聞いたがまだ生きてるかは知らん」
「師匠は死んだよ。30年前に」
唐突に、矢矧に聞き覚えのない声が聞こえた。
咄嗟に身構えかけた矢矧を、喜一は制止する。
「…なんでこんなとこまで来てんだ?魔緒流」
魔緒流、と呼ばれた少女は、箒に乗って宙に浮いていた。
そして、さも当然とばかりに言う。
「そんなの簡単!君を殺してサンプルにするために決まってんじゃん!」
「帰れ」
シャッ!と、喜一は何処からか取り出した剣を振るった。
…だが、その剣は直前まで魔緒流が乗っていた箒の柄に受け止められた。
「…うん。やっぱり君、魔力を殆ど通せてないね。この程度の硬化すら突破出来ないなんて。魔力だけはあるのに、勿体ない」
「そもそも俺は魔力なんざいらんし使うつもりも無い」
喜一は力を込めているが、恐らく木製の箒の柄が切れも折れもしない。
咄嗟に矢矧は、艤装を展開して機銃を放った。
喜一は巻き込んで構わない。
そう判断し、かつ即死はさせない為の行動だったのだが。
「危ないなぁもー…。殺す気なの?」
そういう魔緒流の前で、銃弾は何かにぶつかったようにひしゃげて静止していた。
「…理解出来ないって顔だけど、普通の防御術式だよ?」
そう言ってから、魔緒流は喜一を小突く。
「さて。このままじゃ私以外の魔女に襲われたらあっという間に終わっちゃうので、最低限自衛が出来るように君を鍛えます!」
「…勘弁してくれ」
そう言って剣を何処かに仕舞う喜一も、箒を立て掛ける魔緒流も、既に殺気は感じられない。
矢矧は、喜一に尋ねた。
「…その人は、なんなの?敵?」
「顔馴染み。さっきのはじゃれあいみたいなもんだ。詳しくは明日全員に話す。今日は待ってくれ」
そう言うと、喜一は退室を促した。
見ると、魔緒流は既に寝転んでいる。
腑に落ちないが、矢矧は執務室を出た。
本日の死因
爆発 3回
急性アルコール中毒 1回
圧迫 1回
殴打 1回
少しずつ喜一の詳細をばらまき中。