艦隊これくしょんー死ねない提督と元ブラ鎮   作:ゆっくりRUISU

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今更ながら、コイツは1話2000字程度を目安に書いています。
今回と次回は着任直後なんじゃー。


6話

その日、きっかけは唐突だった。

 

「そう言えばさ、喜一はなんで提督なんてやってんの?」

魔緒流がそう喜一に尋ねた。

「なんで、ってなぁ…。金も尽き欠けてたし、自殺するのにも丁度飽きた頃だったから民間で応募したら適性があるってわかった。んで、『一番危険な場所』って希望書いたら此処になった」

「ザ・君!って感じの理由だねぇ…。ついでに、この鎮守府の皆との馴れ初めも聞かせてよ」

「まぁいいか。つっても精々2、3ヶ月前の話だが…」

言いつつ、喜一は数ヶ月前の出来事に意識を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

「…ここが俺の配属先、と」

呟く喜一は、鎮守府の正門の前に立っていた。

そして、正門に手を掛け。

 

 

バリバリバリッ!

「いってぇっ!?」

喜一に電流走る(弱)。

感電死する程ではないが、そこそこ痛い。

見ると、正門にケーブルが配線され、傍の配電盤に繋がっている。

…どうするか、と喜一がしばらく考えていた時。

 

 

「喜一さん、お久しぶりです!」

「…ごめん、誰?」

門の向こうから喜一の知らない少女が声を掛けてきた。

門の奥では、なにやら数人の少女達が口々に目の前の少女を呼び戻そうとしているようだ。

それを見て、喜一が口を開く。

「…俺は君を知らん。人違いじゃないか?」

「酷いです!いくらなんでも乗せた人を間違えはしません!坊の沖岬海戦で救助しました!」

坊の沖岬、という単語に喜一は微妙に覚えがあった。

「…もしかして、駆逐艦の雪風か?」

「はい!…それで、新しく着任する人って喜一さんなんですね!」

「まぁ、な。…て事で、そこの配電盤から門の電気落とせないか?」

「…ちょっとわからないので、待っててください。なんとか出来そうな人呼んできます!」

そう言うと、タッタッタッ…と雪風は走り去っていった。

 

それをぼんやりと見ていた喜一は、眼帯を着けた艦娘が歩いてきているのに気がついた。

「…おい、おっさん。俺たちは今さら提督なんざ要らねぇんだよ。帰るか死ぬか選びな」

…ぷっ!と喜一は笑った。

「いや、すまない。言葉と実際の殺気に差がありすぎてな。…帰るか死ぬか、と言ってたが、実際に殺したことはないんじゃないか?人殺しの目はしてないしな」

「…何を根拠に言ってやがんだ、おっさん」

「年の功だよ。こう見えても長生きでな」

ギリッ!と歯ぎしりしたその艦娘は、やがて観念したように配電盤に手を伸ばし、スイッチを切った。

「…歓迎するぜ。オレ様は天龍。いつ泣いて帰るか楽しみにさせてもらう」

「泣く事すら出来ずに送り返されるかもしれないけどねぇ」

軽口で返しつつ、喜一は足を踏み入れた。

 

「しれぇ!夕張さん連れてきました!…って、入れたんですか?」

「…うんまぁ、なんとかなった」

…少し遅れて雪風が夕張を連れてきた。

「…夕張、だっけ?とりあえず、正門の配線外してもらえると助かるんだが…」

「…すいません、どなたですか?」

「あっちゃあ、連絡行ってなかったかな?新しく着任した永谷喜一だ。雪風には坊の沖岬で乗艦が沈んだときに救助してもらった間柄でな」

喜一がそう言うと、天龍が口を挟んだ。

「…おいおっさん。あんた何歳なんだよ」

「詳しくはわかんねぇなぁ。百越えたあたりで数えんの止めたし」

ピシリ、と。

喜一と雪風以外が静止した。

その中で、再び天龍が口を開く。

「…なんだって?」

「だから、百越えたあたりから数えてねぇ。…あぁ、小さい頃にロシアと戦争してたのは覚えてる。たしか日露戦争って最近は呼ばれてんだっけ?」

「…何者なんだよ、おっさん」

「年寄り。それと提督として着任した奴」

そう喜一は締めくくった。

 

 

で。

「…雪風。貰った資料じゃ誰かが指揮をしてるらしいんだが、誰なんだ?」

「長門さんと大淀さんです!探しましょうか?」

「頼む。最低限顔合わせはしたい。体質も含めて全員に説明するのは骨が折れる」

 

 

「あら。喜一じゃない」

声を掛けられ喜一と雪風が振り向くと、ポニーテールの艦娘が立っていた。

「誰だ?」

「…乗艦を忘れたのかしら?」

「しれぇ、矢矧さんですよ」

「矢矧か!…乗艦を忘れたのか、って言われてもな。矢矧って艦と矢矧って艦娘がイコールで繋がってねぇんだよ」

「…大本営は書類を渡さなかったのかしら?」

「書類自体は受け取ったが、艦娘リストみたいな奴は貰ってないな」

「…また怠慢かしら?」

「大本営がマトモに情報を公開しないのは今も昔も変わんねぇってか。酷い話だと、坊の沖岬でお前や大和が沈んだのは本土じゃロクに知られてなかった」

「変わらず、酷い話ね。

ところで、誰かを探してたんじゃない?」

矢矧が話題を変えると、思い出したように雪風が口を開いた。

「そうでした!今、長門さんと大淀さんを探してます!」

「…その二人はこの時間なら執務室にいる筈よ。ただ、この鎮守府の殆どの艦娘は人間に少なからず悪い印象しか持ってないわ。私も含めて。偶々着任したのが喜一だったからマシだけどね」

「…なるほどな。『一番危険な場所』って希望で此処になる訳だ」

「どんな希望の出し方よ。

…とりあえず、気をつけなさい」

「…あまり意味はないが、まぁ用心しよう」

そう言い、喜一と雪風は執務室に向かった。

 

その道中。

「…ちょっと止まりなさいよ」

と、喜一は呼び止められた。

「…すまん、誰だ?」

「陽炎。あんたが連れ回してる雪風の姉よ。ちょっと面貸しなさい。不知火、雪風よろしく」

陽炎と名乗った艦娘がそう言うと、隣にいた不知火と呼ばれた艦娘が雪風の手を掴んだ。

「雪風、此方に来てください」

「…悪い雪風、ちょっとどっかで寄り道しててくれ」

「わかりました!」

喜一が言うと、雪風は不知火に手を引かれていった。

 

「…んで、何の用だ?」

「わかってるでしょ。

今すぐ、荷物をまとめてこの鎮守府から出ていきなさい。さもないと…」

「殺す、ってか?さっきも言われたぜそれ」

「殺しはしないわ。…死ぬより痛い目にはあってもらうけど」

そう言うと、陽炎は隠し持っていた鉄パイプで喜一を殴りつけた。




着任当日の死因(1/2)
無し
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