【お試し連載】フューチャーカードバディファイト ~炎の剣士の輝跡~ 作:巻波 彩灯
……毎度、更新遅くて申し訳ございません。楽しみに待っていてくださる方はいるかどうか分かりませんが、それでも本当に遅くて申し訳ございません。
話を変えて、今回の話についてですが正直バディファイト関係ない話になっているので興味のない方はブラウザバックを推奨します。何でも許せる方だけ読んでいただけたら幸いです。
では、後書きにてお会いしましょう。
第1話:夏祭り
男は目を覚ますと美少女達に囲まれていた。両隣の二人と男に乗っかっている一人。
ただ男も美少女達もちゃんと衣服は着ているし、布団が汚れたなどの乱れた痕跡はない。至って健全な状態だ。
しかし、この状況は異常事態と言っても過言ではない。見る人が見れば誤解を招きかねない。
男「おい、千歌。重たいから降りろ」
男は事態に大して動揺せず、自分の上に乗っている少女の名前を呼んで降りる様に促す。
千歌「えー? おじさん、少しぐらい驚いてくれたって良いじゃん!」
みかん色の髪の少女――高海千歌は不満そうに頬を膨らませる。童顔故にか、その表情はかなり幼く見える。
男「はぁ……ああ、はいはい驚いた、驚いた。だから、どいてくれ。後、両サイドのお前も」
ため息を吐いて、感情のこもっていない声音で言う。このイタズラを仕掛けた魂胆が分かる為、呆れているのだ。
千歌「ちぇー、おじさんのいじわる~。果南ちゃんや曜ちゃんのような美少女がいてもちっとも反応しないんだから」
男「俺は美少女には興味ないの。俺を動揺させたいなら美女になってからにしろ」
その言葉に両サイドにいる青色のポニーテールの少女――松浦果南と亜麻色のショートボブの少女――渡辺曜は苦笑いを浮かべる。男の事をある程度知っているから、ただただ反応に困る。
男「ってか、いい加減に降りろ。重たいんだよ!」
千歌「あっー! 女の子に重たいは言っちゃいけないんだよ!」
男「流石に動けねえから言ってんだよ! さっさとどけって!」
果南「……多分、美女だったら言わなかったよね……」
ポツリと男の内心を突く言葉が吐かれる。男は表情を強ばらせ、言った本人の方に顔を向けた。
男「なぁ、果南。それは言わねえお約束だぜ?」
果南「だって、おじさん美女なら良いっていつも言ってたじゃん」
男「ははは、そりゃキツイ冗談だぜ」
事実な為、否定は出来ない。今の彼はただ乾いた笑いで場をごまかすしか出来なくなってしまった。
千歌「なあんだ。やっぱりおじさん、そういう人だったんだ」
先程まで子供の様に言い争っていた相手にまで冷たい視線を浴びせられる。ただし、彼女に対しては別だ。
男「お前はお前で降りろ」
千歌「むー、もう少しぐらいいいじゃん!」
男「嫌だ! 重てぇ!」
千歌「ほんっと、おじさんって、でりかしーってもんがないよね! サイテー!」
どう見ても子供の言い争い再開。しかし、起きてからずっと同じ体勢でいる為、いくらそれなりにガタイが良くとも男の体は限界だ。
このまま言い争いを続けたら腰が悲鳴を上げそうである。誰か助け船をくれと男は願った。
曜「千歌ちゃん、もうさすがに降りたら?」
願いは通じた。この中で一番男と付き合いがあるだけ、それなり意図を汲み取ってくれる。
曜「今日はめいっぱい遊べるんだから、その時にとことん遊ぼうよ!」
前言撤回。願いは半分通じていなかった。これから男にとっての地獄が待っている事を思い出させたのだ。
千歌「あ、そうだね! おじさん、今日はとことん遊ぶよ!」
そう言って千歌はようやく男の上から降りた。その笑顔は若干含んでいたが。
?「あんた達、朝から騒がしいわね……志満姉からもう少し静かにしてくれってお達しがきたわよ」
襖を開けて顔を出した少女は千歌達も幾分か大人びていた。しかし、顔がどことなく千歌に似ている。
千歌「あ、美渡ねえ。ごめんなさい」
美渡「分かればよろしい。というか、あんた保護者なんだから、注意しなさいよ」
高海家の次女の美渡は気の強い言葉で男をたしなめる。ちなみに彼女が先程口にした志満姉とは高海家の長姉――高海志満の事である。
年下の少女にたしなめられた男は思いつく限りの言い訳を述べた。
男「騒がしくしない努力はした。だけど、静かにならなかった」
美渡「言い訳が雑すぎるでしょ。……それにしても、あんたさ……もしかして……」
美渡の笑いが何かを企んでいたかの様に悪いものになっていた。含み笑いをする表情は千歌の姉だけあって似ている。
ただ美渡の笑顔で男は今回のイタズラの主犯が彼女だと確信した。
男「お前なぁ、大人をからかうのも大概にしろよ……」
美渡「あら? 美少女達に囲まれて目が覚めた朝は格別じゃなかった?」
男「格別だったよ。えらい体力使った」
美渡「でしょうね」
他人事の様に装う美渡。朝の騒ぎは大体彼らが起こしていると思っていたし、千歌達に指示を出したのは自分だからある程度は察していた。
男の方も事の起点は美渡にあると察していた為、怒りを覚えない訳でもない。現に拳を固く握り締め震わせている。
男「全くこんなイタズラはもうこりごりだぞ?」
美渡「まぁ、でもあんたが妹達に手出さないと思っていたし、私が言わなくとも千歌達が勝手にやっているでしょ?」
男「そんな気がする……」
千歌達の顔を見回す。三人とも遊びたい盛りの子供故にか、いかにも男にイタズラをしそうな顔をしていた。
?「美渡ちゃん達、志満さんがご飯できたから降りておいでって言っていたよ」
美渡と同い年ぐらいの少女が顔を覗かせる。空色の髪に美渡よりも気が強そうな目つきがかなり印象的だ。
美渡「あっ、みや。朝ご飯、もうできたんだ。じゃあ、皆の者ご飯食べ行くぞー!」
千歌達もさすがにお腹は減っていた為、素直に賛同し美渡に付いて行く。残ったは男とみやと呼ばれた少女だけだ。
みや「あの……広海さん、大丈夫ですか?」
見た目に違えて優しい声音で男を気遣う。男は疲れ切った様子で答える。
男「もう疲れた……三十路手前でこれは勘弁してくれぇ……」
みや「あはは、ごめんなさい。美渡ちゃん達は多分悪気があってやった事ではないと思うので……」
男「ああ、分かっているよ……まぁ、あいつらの面倒見るのは疲れるけど」
そう言って男――朝野広海は立ち上がる。そしてみやに先に行く様に促すと済ましておきたい事をやってから自身も下へと降りた。
志満「じゃあ、朝野さん。千歌ちゃん達をよろしくお願いします。私も手が空いたら、そっちの方へ顔を出すので」
朝食後、志満に頼まれる。彼女は大学生でありながらも旅館を背負う将来の女将として修業中の身である。
高海家の実家は「十千万」という旅館ですぐ目の前に海が広がっている景色の良さが評判となっている。また彼女達の父親が料理長として宿泊客達にその腕を振るっている。
ちなみに母親は現在東京の方で仕事をしているらしく旅館を留守にしている。その為、広海は彼女達の母親には会った事がない。
広海「ああ、分かった。任せてくれ」
その後、彼は支度を済ませると旅館の目の前にある海にへと足を運ぶ。そこにはすでに千歌達が楽しそうに遊んでいた。
また彼女達のバディもSD化して表に出ており、交ざって遊んでいる様子も確認できる。
広海「あいつら、海の家の手伝いの事、忘れてんじゃねえだろうな……」
他にも頼まれた事を思い出しながら広海もその中に入っていく。
午前中、夏だけあってそれなりに暑い。しかも、これから気温が上がるというのだから、たまったものじゃない。
そう思いながら広海は海の家で鉄板を温めたり、かき氷を作る為の準備をしていた。
千歌達が本格的に手伝うのは暑くなる午後からだ。それまでは彼一人で切り盛りする事となる。
とはいえ、今のところは地元のご老人達が集まり、ビールを飲んでは話が盛り上がっているだけで特に忙しい訳ではない。
余裕があれば、店の出入り口前まで動いて千歌達の方に気が向く事もできる。幸い、今は美渡やみやがいる為、彼一人の負担も軽い。
?「暇ならお前も遊びに行けばいいじゃないか? 目の保養にもなるだろう?」
広海の隣に蛇にも似た姿をした黒竜が姿を現す。尚、他の人間に刺激を与えない様にSD化している。
広海「レックか……お前が店の方を見ておいてくれるなら……って、お前は“手”がねえじゃねえかよ!」
レック「あ、すまん。すっかり忘れていた」
レックと呼ばれた広海のバディモンスター〈沈海竜 レクセアン〉は軽くおどけた。
広海はそんな相棒に呆れた様なため息を吐く。バディを組んだ時から本気なのか冗談なのか分からない言動に振り回されてきたからだ。
広海「つか、あいつらじゃなくてとびきりの美女じゃなきゃ俺の目は保養できねえよ」
レック「それもそうだな、あの子達じゃ幼さ過ぎる。だが、微笑ましいだろう?」
広海「ああ。俺も早く遊びてえ~!」
退屈をしのぐ様に体を伸ばす。元来、広海は子供と遊ぶ事が好きで時間を見つけては近所の子供達と全力で鬼ごっこやかくれんぼに興じている程である。事情を知らない周りの大人からは白い目で見られてしまっているが。
?「ホント、広海は体動かす事好きだね」
声をかけられた方に顔を向けると癖のあるショートヘアに柔和な顔立ちをしている男性が立っていた。
服装は半袖のポロシャツにクリーム色のパンツ、スニーカーと海に遊びに来たのか疑ってしまう程の恰好をしている。 また右肩にはショルダーバッグを掛けている。
広海「おっ、直樹! 来たのか! 悪いな、せっかくの休暇だってのに付き合わせちまって」
直樹「別に良いよ。家でだらけているよりかはこっちの方が良い気分転換になるからさ」
柔和な男性――成宮直樹はその柔和な顔立ちを崩さないまま笑みを浮かべた。幾分か広海より若そうな印象だ。
広海「すまねえ、後は頼んだ!」
そう言って広海は上着を脱いで水着一枚になると一目散に海で遊んでいる子供達の所へと走って行った。
直樹「相変わらず広海は元気だなぁ……」
レック「ああ、そうだな。でもなぁ……」
直樹「まだ立ち直っていないのか……」
レック「俺もいい加減子供達と――」
その先の言葉は風によってかき消された。けれど、直樹はその先の言葉を知っている。それは彼にとっても望んでいる事だから。
それから広海は千歌達と海で泳いでは情け無用で競争したり、ビーチフラッグやビーチバレーなどでは容赦なく襲いかかったりともはや大人というよりは体が大きいだけの子供として遊んでいた。
ただ彼は今年二十八歳になった男。もうすぐ三十路になるし、年の差が最大十五歳も離れているのだから体力的には十代でまだまだ遊び盛りな千歌達に負ける。
その為、体力はすぐに尽きた。大人になるにつれ、体力というものはいかに有限かというのを示した事だろう。
果南「おじさん、情けないよ。私達、まだまだ遊び足りないんだからさ」
この中で最も体力があるであろう果南が追い打ちをかける。浜辺でぶっ倒れ、今にも死にそうな広海にとって彼女は鬼や悪魔だと思った。
広海「俺はぁ……この中じゃあ、年寄りなんだぞ……丁重に労われ……」
美渡「それだったら、私達もまだ子供なんだから少しは手加減しなさいよ」
美渡の言う事は間違ってはいない。何せ、広海は怪我させない範囲とはいえどもほぼ全力で千歌達と遊んでいた。
子供相手ましては野郎ではなく少女が相手なのだから、少しぐらい力をセーブしないといくら彼女達が運動神経や身体能力が優れていても体格差は埋められない。
一番足が速い曜や全体的に身体能力がある果南でさえ完敗しているのである。ただし代償として体力をほとんど使い切ってしまい、動けなくなってしまっているが。
広海「子供なんかに手加減できる程、余裕はねえよ。それに全力で遊ばねえと楽しくねえだろ?」
何とか呼吸を整え上体を起こす。水滴が濡れた黒の短い髪の毛を伝い、浅黒い額からは大量の汗が流れ落ちていく。
千歌「それは千歌もそう思う! ねっ、バル!」
バル「バル!」
千歌のバディモンスター〈太陽竜 バルドラゴン〉は千歌に似て元気良く返事をする。
曜「おじさん。ラムネ買ってきたよ~!」
みや「皆の分もあるから今の内に水分取ってね、はい」
海の家の方に向かっていたみやと曜がラムネ瓶を人数分抱えて戻って来た。それぞれが彼女達から受け取り、ビー玉を押し込んで蓋を開けるとそのまま一気に炭酸が入った透明な液体を飲み込んでいく。
素朴な甘さが疲れを癒していくと一番疲れている広海は実感しながら一気に飲み干した。
広海「ぷはー! 生き返るー!」
みや「ふふ、よかったです」
配り終わった後、みやは広海の隣に座り、彼の様子を見て柔らかく笑った。彼女は目元が厳しい事から性格も厳しそうに思えてしまうが、とても優しく穏やかな少女。
そんな彼女だから、先程体力切れでぶっ倒れた広海を心配して飲み物を買ってこようと提案していたのだ。
また午後には志満から頼まれた海の家での手伝いもある為、今の内に休息を入れようとも考えて人数分買う事にした。
代金に関しては、流石に女子高生に全て任せる訳にはいかないと広海が受け持ったが……。
果南「じゃあ、もう少ししたら第二ラウンド開始だね!」
広海「それは嫌だ。お前とやるとまた三途の川を渡りそうだ」
これまで果南と体力勝負をして、何度のその川を渡りそうになった事か。それだけ彼にとって彼女からの挑戦状はトラウマでしかない。
もちろん、勝負は楽しい。ただ彼女の場合は何度も繰り返すから次第に広海の体力が限界になる。そして勝負が終わる頃にはもう一歩も歩けない程に疲弊していた事なんて珍しくもない。
曜「いっそ泳いで渡る?」
広海「その川は泳いだら最後だぞ」
この後、広海は海でたくさん泳ぐ事になり、曜の言う通り三途の川までも泳いで渡りそうな程になけなしの体力を使い切ってしまった。
昼食を挟んで昼下がり、海の家の手伝いが始まる。海で泳いだり、砂浜で遊んでいたりしていた客が集まっていた。
午前中で既に体力を使い果たした広海はその人だかりを見るだけでも辛いが、料理をしている間は人を見なくても良い為、料理に集中する。他にも調理係は曜とみやが担当している。
ホール係は美渡を中心としてテキパキと注文を受けたり、料理を運んだりとしている。たまに千歌や果南が注文間違いをする事があるものの客も気が荒い人物が少なかった為、大きな問題に発展せず至って穏便に済んでいた。
午前中から飲んでいる老人達や海に入っては一杯飲み、また海に入ってと繰り返す海水浴客のテンションが高く少し騒がしいところはあるが。
そうして日は暮れていき、海水浴場に人がいなくなっていく。今日はいつにも増して人が減るスピードが早かった。
広海「俺達も撤収準備に入るかぁ~」
と言いつつも使い終わった料理器具や食器は洗い終わっており、片付けという片付けはゴミの整理ぐらいだ。
直樹「いつもはこれぐらいなのかい?」
広海「いや、もうちっと遅いかな。今日は沼津の方で祭りがなるからな」
直樹「ああ、なるほど。そういえば、もうそんな時期だったね」
広海「流石に今年は翔吾は来れねえだろうな……」
持ち込まれた缶や紙食器を分別しながら、ここにはいない幼馴染の名前を交えて近況について話す。
直樹「そうだね。何だか向こうは大変な事件が起きているらしいから、忙しいだろうね」
広海「かくいうお前も忙しそうしてるじゃねえか」
直樹「そりゃ忙しいけど、一時期の広海や翔吾と比べたらまだマシだよ」
広海「今の俺は忙しいと無縁……ではねえな……」
少し離れたところで作業をしている子供達の方へと視線を向ける。千歌とバルが遊んでははしゃぎすぎてゴミが散乱させてしまい、その回収作業に追われていた。
千歌とバルは美渡に叱られ、落ち込んでいた。見かねたみやが美渡をやんわりとなだめては千歌達を慰める。
曜と果南はその間にゴミを回収していた。彼女達のバディもSD化した姿で手伝い、散らかってしまったゴミをビニール袋に入れていく。
直樹「あはは、彼女達は元気だね……」
その一連の流れを広海と一緒に見ていた直樹は、まるで昔の自分達を思い出してはその面影を重ねて穏やかに笑った。
レック「これから祭りに行くってのに……子供の体力は無限大だな」
広海「ああ、そうだな。特にあいつらの体力は化け物すぎる……」
中学生になってからようやく半分を迎えようとしている千歌と曜、家がダイビングショップである影響か持久力が特に秀でている果南。中学生達と比べて大人しいとはいえ、広海よりか十歳は若い美渡とみや。
結論をいえば、若さには勝てないという事である。多少鍛えても根本的な体力や気力というものは、年を取るごとに衰えていくのだから仕方のないといえば仕方のない事。
直樹「まあ、まだ広海は二十代だし大丈夫だと思うよ」
広海「もうすぐ三十路なんだけどな。もうちっと労わって欲しいぜ……」
直樹「何言っているのさ、まだ二年もあるじゃないか。それに三十越えたって人間まだまだ動けるよ」
広海「…………」
――鬼は身内にもいた。
その後、何事もなく店を閉め、事後報告の為に十千万に戻って来た広海達。到着した後はそれぞれ自分達の準備の為に分かれた。
志満「ごめんなさい。結局、様子見に行けなくて……」
広海「何、大丈夫だったぜ。今日は直樹も来てくれたし、客の減りも早かったからな」
志満「そうですか……えっと、直樹さんっていう方は?」
広海「ああ、今紹介する。おい、直樹!」
広海は男性用の更衣室で着替えを済ませ、玄関口の広間にある畳の上に座って志満と話をしていた。
直樹「よく出てくるタイミングが分かったね」
お手洗いから戻って来た直樹は少々驚きながらも広海達がいる畳の上に座る。その所作はかなり整えられていて、育ちの良さが表れていた。
志満「貴方が直樹さん?」
直樹「ええ、そうです。僕は広海の幼馴染の成宮直樹と言います。いつもウチの広海がお世話になっています」
志満「いいえ、こちらこそ、いつも朝野さんにお世話になっています。千歌ちゃん達といつも遊んでくださって……」
直樹「そうですか。広海らしいですね」
と、直樹は視線を広海に向ける。広海は特に照れる様子はなく、顎に生えている無精鬚を擦っていた。
直樹「ところでその彼女達は……?」
旅館に着いて、すぐお手洗いを借りていて近くから離れていた為、直樹は千歌達が今どこで何をしているのか知らない。
志満「千歌ちゃん達は今上の部屋で着替えていますよ。今日は皆で沼津の祭りに行く日ですから」
直樹「なるほど。じゃあ、もう少し待ちますか」
広海「志満だって、着替えても良いんだぜ?」
志満「ごめんなさい。私は旅館のお手伝いがまだ残っていて……」
広海「そうか、それはちょっと残念だな」
志満の様な美しい女性の浴衣姿を見れない事に内心がっかりしながらも仕方がないと割り切る。
彼女以外にも自分の知り合いで今年の夏祭りに参加できない人物もいるのだから、なおさらだ。
広海「んで、お前も大丈夫かよ? 明日は一応仕事だろ?」
直樹「そりゃそうだけど、行ける内は行かないとね。研修が終わったら、本格的に忙しくなるだろうし」
広海「ああ、そうか。じゃあ、下手したら今年しか行けなくなるって事か」
直樹「そういう事だね」
世間話もそこそこに階段から人が降りてくる音が聞こえてくる。それも一人分ではない。数人が揃って降りてきている。
みや「お待たせしました。準備できましたよ」
自身の髪の色と同じ様な色を基調とした浴衣に身を包んだみやが顔を出す。昼間と違い、随分と大人びた印象を覚える。
広海「おう、なら行くか」
直樹「そうだね。広海、ちゃんと財布持っていくよね?」
広海「お前なぁ……いくら何でもそれぐらい持ってくぞ?」
直樹は疑いの目を向けるが、広海の財布が彼のズボンのポケットに入っている事を確認すると疑うのを止めた。
志満「それじゃあ、朝野さん、成宮さん。千歌ちゃん達をよろしくお願いします。みやちゃんもよろしくね」
広海「おう、任せてくれ」
直樹「ええ、分かりました」
みや「はい。じゃあ、行ってきます!」
広海達はバスに乗り、会場近くで降りて屋台が行われている場所まで歩いて行った。もう既にたくさんの人が行き来しており、混雑しているのがはっきりと分かった。
広海「お前ら、はぐれんじゃねえぞ。ただでさえ人混みが凄いんだから、迷子になっても捜すの難しいからな」
千歌「分かっているって! そのために集合場所も事前に決めたんでしょ?」
広海「そうだな。一番迷子になりそうなお前が一番分かりやすい場所にしたんだからな」
千歌「私も子供じゃないんだから、そう簡単に迷子にならないよ!」
千歌はそう言ってみかん色の浴衣の袖をパタパタと振って抗議する。浴衣のデザインは子供らしさがあるものではないが、その行動と童顔な顔立ちに故にか実年齢よりも幼く見える。
その為、周りからは小学生の女の子が父親に反抗している様にしか見えない。実際、千歌自身は少し前までは小学生だったが。
果南「まぁ、でもこんな人混みなら大人の人でも大変そうだよね……」
みや「携帯も通じない可能性もあるから、なおさらはぐれない様にしないとね」
果南とみやは二人のやり取りをよそに冷静に状況を確認する。巾着の中にある携帯を取り出して、電波状況も確認するが繋がるかどうか少し怪しい。
美渡「そんな事よりせっかく祭りに来たんだから、さっさと行くよ! ここら辺、部活帰りの運動部の連中もいるんだから食べ物全部食べられちゃうかもよ?」
曜「そうだね! 私も早く食べたいし、遊びたい!」
美渡と曜が先頭を行く様に歩き出していく。それにつられて果南やみやも動き出し、千歌は先を行く二人を小走りで追いかけた。
広海と直樹はそんな彼女達から目を離さない様にしながら、最後尾で歩いて行く。
直樹「こんな大人数で祭りに行くのは初めてだね」
広海「いつもは三人で回っていたからな。今年は遊び倒せる気はしねえけど」
昔を思い出しながら、彼らもまた祭りを楽しもうとしていた。
通りの両端には様々な屋台が賑わっていた。
客も様々で両手一杯に食べ物系を抱えて回る人やくじ引きや射的などで欲しかった景品を得て、それを片手に駆け回る子供。その子供が転んだり、はぐれたりしない様に気を張りながら自分も買いたい物を買う大人。
皆、それぞれにこの祭りを楽しんでいる。もちろん、広海達も楽しんでないはずがない。
焼きそばやたこ焼きに綿あめやクレープなどを頬張りながらくじ引きで景品を当てたり、射的で景品を落としたりと自分のお小遣いの限りに楽しんでいた。
直樹「今のところ、誰一人もはぐれていないのは幸いだね」
広海「そうだな」
広海や直樹はそれぞれ焼きそばとたこ焼きを食しながら、先を行く少女達を見守る。浴衣姿の少女達はワイワイと騒がしくもしながらあちらこちらの屋台へと顔を覗かせる。
そして、その手には景品や食べ物でいっぱいになっていく。しかも、千歌に至っては自分のバディの分まで持っているのだから、浴衣が汚れないか心配だ。
ちなみにバルは通りに入ってから食べ物につられ、カードから出てきた。おまけに屋台にピザがないかと騒いでいる。
広海「おい、千歌! 荷物の一つぐらいは持っておいてやるぞ?」
千歌「ホント? じゃあ、これお願いするね!」
と手渡さたのはくじ引きで引き当てた景品。特別珍しいものはなく、どれもデパートや専門店で売っている様なものばかりだ。
しかし、少しばかり数が多く何か入れる袋が欲しいところ。と思っていたら、曜がとある屋台の前に立ち止まり、じっと見つめている。
果南「曜、どうしたの?」
曜「あ、いや、あのぬいぐるみ……」
彼女が指した方に視線を向けるとそこにはつぶらな瞳でこちらを見つめ返すぬいぐるみが鎮座していた。セイウチをモデルとしているのか全体的にはずんぐりとしており、口元にはその瞳に似つかわしくない獰猛な牙が生えている。
ぬいぐるみのサイズとしてはバディモンスターのSDサイズとあまり変わらず、抱きかかえても前が見えないという事はないだろう。
曜は自分の手元を確認する。別に足りないという訳ではないが、この後の事も考えるとある程度は残しておきたい。
しかし、ここは射的の屋台。くじ引きと比べれば手に入れやすいだろうが、腕が良くなければ何回も挑戦しなければならない羽目になる。
広海「何だ、あのぬいぐるみが欲しいのか?」
曜「わっ、おじさん! ええっと……」
直樹に荷物を預け、話に交ざる。そして件のぬいぐるみを見る。どう見ても水族館で買った方が安上がりだと思うが、それでも彼女は欲しいのか手元とぬいぐるみを交互に見てはその眉間に皺を寄せていく。
広海「……よし、俺に任せろ!」
曜「え!? お、おじさん!?」
広海「ちょっとは大人に頼れ!」
自分の財布から料金を払い、コルクを受け取った。その手にあるコルクの数は五つ、つまり挑戦できるのは五回までという事を示している。
直樹「広海、しくじるなよ」
広海「分かってるよ! こんぐらい余裕だぜ!」
近くで野次を飛ばす直樹。そんな事も軽く流しながら、広海はコルクを銃口にはめると銃を構える。
肩で固定し、片目を閉じて標準をそのぬいぐるみの頭部に合わせる。まさしく獲物を狙う狙撃手さながらの集中力で細かなブレを調整し、そのブレが収まった瞬間に引き金を引いた。
命中。しかし、ぬいぐるみは大きく後ろにのけぞるも倒れる事なく体勢を立て直す。
果南「惜しい……! もう少しだったね」
広海「ああ……ちくしょう、一撃で倒すつもりだったんだがな……」
みや「後、一回ぐらいで倒れるんじゃないですか?」
広海「かもな。じゃあ、もう一発かますか!」
次弾装填。もう一度構え先程の結果を踏まえて微調整をして、軽やかな発砲音を鳴らしながらコルクを目標に向けて飛ばして行く。
今回も命中。だが、先程よりも大きくのけぞっても倒れない。
美渡「倒れないわね……」
直樹「倒れないね」
広海「倒れねえな」
冷静に結果を口にする。しかし、広海は内心少し焦っていた。大見得切ったは良いが、目的の物は倒れていない。
弾数は残り三発。いい加減に倒さないと格好が付かない。流石に大人として情けないという思いが心を巣食う。
そしてコルクを一発装填し、構えては微調整をする。今度こそ倒れてくれと願いを込めながら、引き金をもう一度引いた。
命中、だが倒れない。
広海「マジかよ……」
これには苦い笑いを浮かべるしかない。命中して、しかものけぞっているのにも関わらず倒れないのは中々精神的に辛い。
千歌「おじさん、あと何発ぐらい残ってるの?」
広海「後、二発だ。もう一度金を払いたくねえから、この二発に掛ける」
と言って、先程と同じ過程を繰り返し銃を構える。小刻みに銃身が揺れる。それでも制して落ち着いた刹那に引き金を引いた。
命中、まだ倒れない。残り一発だけになった。
その様子に見守っていた者達は歯がゆい思いをしているし、広海はもっとしている。
最後の弾を装填。ただでさえ、お金を持っていない広海にとって再挑戦は金銭的にキツイし、何よりも格好が付かない。
ここは大人らしく格好良く決めたいという願望を引き金にかける。そして彼の願いを乗せてコルク弾は軽やかな音を立てながら放たれた。
命中――ようやく獲物は倒れた。見物した客はその結果を見て感嘆や歓喜の声を上げる。
広海「っしゃあ!!」
ガッツポーズをして喜ぶ。後ろで見ていた直樹は大人げない広海の喜び方を見て、笑ってしまった。子供の時から変わっていないと思いながら。
千歌「おおっ! おじさん、やったね!!」
バル「やったバル!」
広海「おうよ! 俺の手に掛かれば、こんなもんだぜ!」
先程まで張りつめた表情から一変、子供っぽく無邪気な笑顔を見せる広海。そこだけ見れば、千歌達と変わりない体が大きいだけ少年だ。
曜「おじさん、ありがとう!」
射的屋の店主からぬいぐるみを受け取った曜は広海に礼を言う。広海も「どういたしまして」と上機嫌に返した。
直樹「ほら、もう用がないならここから離れよう。後がつっかえちゃうよ」
みや「あ、そうですね。千歌ちゃん、曜ちゃん出るよ」
千歌と曜はみやに促され、射的屋から離れる。美渡と果南は既に直樹と共に先へ行っており、広海はコルク銃を返した後、最後尾に付いて歩いて行った。
それから、しばらくして花火が打ち上げられた。広海達はその様子を見晴らしが良い場所で眺めて楽しむ。
そこは広海や直樹が学生時代に花火を楽しむ為に見つけたとっておきの隠れスポットで、人がいないから心置きなく楽しめる場所となっている。
最後の花火が打ち上がり、綺麗な大輪の花が咲いては散る。空に残ったのは煙だけだった。
バル「千歌、花火もう終わりバルか?」
千歌「多分、今ので終わりなんじゃないかな?」
バル「え~!? バル、もっと花火見たいバル~!」
千歌「わっ、バル!? ちょっと暴れないで!?」
花火が終わった後、千歌の腕に抱きかかえられていたバルが駄々をこねて暴れ出した。
みや「ほら、バル。今度、皆花火やるって約束したでしょ? それまで我慢して?」
バル「いやバル! 今、見たいバル!」
みや「じゃあ、花火の代わりになんだけどファイトしよっか! それなら良い?」
バル「やるバル!」
やる気満々と千歌の腕から降りて両腕に力こぶを作るバル。その様子を見て、みやは千歌に申し訳なさそうな笑みを向けた。
みや「ごめんね、千歌ちゃん。勝手にファイト申し込んじゃって……」
千歌「ううん、別に良いよ! それに今日はまだみや姉とファイトしていなかったからね!」
みや「ありがとう!」
そう言ってみやと千歌はある程度の距離を取って向かい合う。広海達はファイトの中に起こる余波に巻き込まれない様に少し遠くに移動する。
曜「頑張ってね! 千歌ちゃん、バル!」
千歌「うん!」
美渡「みや、千歌の事ボコボコにして良いからね!」
みや「いや、それは流石に……でも、負ける気はないよ!」
それぞれが声援を送る。千歌は曜の言葉に士気を向上させ、みやは美渡の言った事に困惑しながらも勝つ意志を表示する。
広海「っで、誰が掛け声かけんだよ……」
果南「それはもちろん、おじさんなんじゃない?」
広海「俺がか?」
直樹「まあ、広海が言った方が締まるんじゃないかな?」
「自分が言った手前だしな……」と言うと広海は咳払いを一つする。そして両者に確認を取る。
広海「二人とも用意は良いな?」
二人は頷く。それを肯定を意と捉えた広海は力強く宣言する。
広海「それじゃあ、行くぞ! バディーファッイ!」
千歌&みや「「オープン・ザ・フラッグ!」」
曜「千歌ちゃんとみや姉のファイト凄かったねえ」
広海「そうだな……ただ、あそこで千歌は凡ミスしなきゃ勝てたかもな」
曜「あはは、あれは仕方ないよ。でも、次はしないじゃないかな……多分」
直樹「ふふふ、そうだね。次に繋がると良いね」
夏祭りの帰り道、千歌達と別れ広海、直樹、曜は自分達の家がある方角へと歩いていた。明日から曜は部活があり、直樹は仕事がある。広海はというと海の家の手伝いぐらいしかないし、それなら逆方向になるのだが……。
広海「んで、曜は明日ちゃんと起きれるよな?」
曜「お、起きれるよ!」
広海「本当か? この間なんて俺がたまたまお前の家に行かなきゃ、寝坊していただろ?」
曜「うっ……」
彼らが言っている出来事というのは夏休み入る少し前に曜が珍しく朝寝坊してしまい、たまたま曜の家に用があった広海が母親に頼まれ叩き起こされた事だ。
曜自身、しっかりとしていて同年代の中ではかなり頼りにされいてる方だ。しかし、最近では広海と関わっているせいか抜けているところも表に出てき始めている。
とは言っても、大人と関わっている時だけで同世代の子達の前ではまだまだしっかり者として馴染んでいる。
広海「まっ、一応信じてやるよ。だけど、俺は起こしに行かねえからな」
直樹「とか言って、どうせ起こしに行くんだろ?」
広海「何でそうなるんだよ! 俺はツンデレか!」
成人男性二人と女子中学生一人が夜中を少し賑やかにしていきながら帰路を歩く。それから少し時間が経つと曜の家が見えてきた。
曜「じゃあ、この辺で。おじさん、直樹さん、また明日!」
直樹「また明日、気を付けてね」
広海「おう、また明日な。寝坊すんじゃねえぞ」
曜「それはしないよ! じゃあね!」
元気良く手を振る曜の姿が見えなくなるまで見届けると広海達も歩く方向を変え、自宅に帰って行った。
帰宅後、直樹は明日の準備と身支度を整えるとすぐさま寝てしまった。広海は居候する際に充てがわれた部屋からベランダに出て紫煙を燻らせていた。
広海は元々東京の方で仕事をしていたが、半年前に起きた出来事をきっかけで辞めてしまい、現在は地元の方に戻って直樹が住んでいるアパートに彼と同居している。
仕事を辞めてしまっている為、今の彼は無職だ。ただ一応、日雇いの仕事をしているし、この時期は海の家の手伝いがある為、完全には無職ではない。それでもフリーターと呼べる程に生活費を稼いでいる訳ではないが。
ちなみに彼が家に戻って来たのは煙草がもうすぐ切れる上に家に予備を置いてきたから、それを取りに行く為だから。
そして今、最後の一本を吸っている最中だ。
広海「…………」
広海はズボンのポケットから二つ折りの携帯を取り出して、慣れた手つきでアドレス帳を開いてはある人物に電話を掛けた。
携帯のスピーカーを耳に当て電子音を聞き取る。待っている間、弱くゆっくりとまるで熱々のスープを吸うかの如く煙草を吸い、口の中に広がる煙草の味をたっぷりと味わうと吐き出す。
彼が吸っている煙草は燃焼材などを含んでいない無添加な煙草故に非常に長持ちする上、煙草本来の味わいを楽しめると愛煙家達に評判の銘柄だ。広海も煙草を吸い始めてからずっとその銘柄を愛煙しているぐらいに気に入っている。
?『すまないな、広海。出るのが遅くなって』
電話の向こうから聞き慣れた声が聞こえた。忙しそうにしている様子はなく、声音は落ち着いている。
広海「いや、こっちこそ悪ぃな。急に電話をかけちまって」
?『別に構わないさ。俺もお前に電話をかけようと思っていたところだから……直樹は寝ているだろ?』
広海「ああ、もう寝ているさ。医者は朝が早えからな」
?『そうだろうな。っで、少し話が変わるんだが、広海』
電話口はそう言って、語気を鋭くさせた。彼が真剣な話をする時の合図だ。
?『昨日、こっちで起きた事件の犯人が今日の朝方に目を覚ました』
広海「本当か!? それでどうだったんだ?」
?『その事件の事はあまり記憶にないそうだ。ただ彼とファイトした人物の言葉が強く印象に残っているみたいだったな』
広海「そうか……それでその子は……?」
?『とりあえずは釈放だろうな。それで自分の居場所に戻ってもらう』
広海はその報告を聞いて胸を撫で下ろした。何にせよ、その人物が日常に回帰出来れば幸いだ。
?『まあ、色々と問題は山積みだが犯人の子はお咎めなしになるだろう。むしろ、子供相手にさえ、心の弱みに付け込んでそそのかした奴を許せないと躍起になって捜査しているよ……バディポリスの大人達は』
広海「俺もその場にいたら、そうなっていたかもな」
?『そうだろうな。特にお前なんかは頭に血を昇らせて犯人のところに殴り込みに行きそうだ』
広海「違いねえな。っで、お前の方はどうなんだよ、翔吾?」
翔吾『俺か? もちろん、頭にきているさ。今目の前に現れたら、一発ぶん殴っている』
幼馴染だから分かる。声音は穏やかだが、瀬戸翔吾の目は絶対に笑っていない。むしろ、怒りに燃えているだろう。
広海はそんな幼馴染を思い浮かべては今の自分の境遇に苦笑いを浮かべた。今の自分には――。
翔吾『……広海、今変な事考えていただろ?』
広海「バレたか? やっぱり、お前には敵わねえな」
翔吾『幼馴染だからな。この手の話題なら多分そう考えているだろうなと思っていた。……焦るなよ?』
広海「ああ、分かっている。すまねえな、いつも」
翔吾『気にするな。じゃあ、今日は伝えたい事は伝えたから俺は寝る。お前も早く寝ろよ』
と言って通話が終了した事を知らせる電子音が鳴る。止めて、一服に戻る広海。
見上げると星が満天に広がっていた。もし星に願いを込めるとしたら、何を願おうかと少し思案するがすぐに止めた。
今、自分の心を見るのが怖い。だから、何も願わない。
いかがだったでしょうか? まあ、一応前書きにて忠告させていただきましたが、バディファイトが関係しない話だったと思います。
え? ファイトシーン? そんなもんなんて書いていなかったはず……。
後、書き方変えると言って外伝と同じ書き方になっているのはツッコミを入れないで……。
それとこの小説、連載開始してから地味に一年経っているんですよね。……一年経ってもたった十話程度しか書けていないお試し連載がかつてあっただろうか……。
ただ合計文字数がこの話を更新する前だと13万字ぐらいでした。更新遅いのに文字量が多いのはお試し(以下略)
次は本編の外伝(~.5話)を更新しようかなと思います。一か月以内に出たら、死ぬほど頑張ったんだなと生暖かい目で見てやってください。
ついでにこのパートの主人公を紹介します。流してもかまいません。
朝野 広海(あさの ひろみ)/男性/28歳
使用ワールド:ダークネスドラゴンワールド/使用デッキ:黒竜/バディ:沈海竜 レクセアン
容姿:ボサボサした黒髪で短髪、青い瞳で肌は日焼けしていて浅黒く顎に無精髭を生やしている。私服は紺色の七分丈袖シャツ、黒のズボンにサンダルが通常のスタイル。釣りに行く時はそれに加え、麦わら帽子を被る。身長は185cmで筋肉質。
性格:面倒見が良く、特に子供の面倒を見るのが好き。名前の通り広い海の様に心が広いものの、子供っぽいところがあり大人気ない。ただ、全力で遊んでくれるので子供達に好かれている。後、美人には目がなく見かけたら口説いているが、あまり成功していない。ただし、20歳未満は子供として見ているので抱き着かれようが何されようが(常識的な範囲なら)動じない。
概要:半年前に仕事を辞めて沼津にやって来た為、ほぼ無職。家は従弟の成宮直樹の家に住んでおり、曜の家の近所。趣味は釣りでよく直樹の船で釣りをしている。曜とはいつも船で釣りしているところを見られていた事がきっかけで仲良くなり、今では彼女が家に遊びに来る様になるぐらいになった。東京にいる瀬戸翔吾、共に暮らしている従弟の成宮直樹とは幼馴染で交流も深い。喫煙者で子供達の前では吸わないが、吸っている銘柄は「アメリカン・スピリット」。
彼もまた見かけた事のある方があると思います。アナザーエピソード東京編の後書きで述べた通り、あの作品はあの作品、この作品はこの作品とある程度割り切って読んでくだされば幸いです。
では、次回の更新でお会いしましょう。感想や活動報告のコメントもお待ちしております。